魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
クリスマスプレゼントにサンタ(作者)から主人公の魔法情報を開示しますね。
因みにですが、私はこの魔法で牢屋敷に送られたくはないです。
解釈不一致はブラウザバッグして下さい。
それと、他作品と内容丸かぶりしてたらこっそり教えて下さい。トレデキム飲んできます。
それでは本編どうぞ。
前世の記憶は......満足して死んだ。不慮の事故とは言え、誰かを助けたゆえの事故だったし、たくさんの人たちに囲まれてみんなに惜しまれながら死んでいった。
十分生きたうえでの事故だったから、大まかに言って大往生だった。
生まれ変わったと自覚したのは......多分1歳くらいになってからだったと思う。それまでは全くまとまらない思考で何が何だか分からなかった。
その自覚が生まれてから、精神の中にスイッチがある感覚がずっとあった。
そして、それが魔法と呼ばれるものと気が付いた時は、双子の姉......ソレイユが魔法としか言いようのない未来予知を行っていたから。
自分の中にあるそれがどういった魔法かもなんとなく分かってた。
俺の魔法は【存在消失】
使っている間、世界から俺を消すことが出来る。
より具体的に言えば、誰からも認識されなくなる。
そこにいるはずなのにいない。
誰の視線にも入らない。
挙句の果てには使い続けると......顔も、声も、名前も忘れ去られてしまう。
そこまで長時間試したことはないものの恐らく機械情報からも忘れられるように記録が消去されてしまう可能性さえあった。
使うのをやめればそれまで忘れてたことさえみんな忘れて普通に接してくれる。人間の認識に喧嘩を売るような魔法だった。
ただし、ソレイユだけは、どれだけ魔法を使い続けても......関係なく俺を見つけてくれた。
そんな俺の魔法は......だけど、代償も存在した。
世界から存在を消失させる俺は同じく世界から存在を消失された......呪いとか......幽霊とか......この世ならざる物を認識することが出来たし、向こうからも認識されやすくなってしまう。
初めて魔法を使った時は......顔のほとんどが溶けた人......体から内臓が零れ落ちている人。さらには、頭がない人まで見えてしまった。
そこから、魔法を使わないようにする生活が始まった。
ただ、どうしてもスイッチというものはあっても不意に押してしまうことがあって......それは魔法のコントロールを全く上達させなかったから起きる事故だった。
ある日、姉と一緒に川遊びに行った。夏のお盆真っ只中の、暑い日だった。
そんな時、不意に魔法が暴発した。
川に入っている間に発動した。
川や水辺というのはよくないものが集まるというのは聞く話で、水の中に引きずり込まれた。
「やばっ!?早く魔法を解かないと!?......ど、どうやってこれ、収め...ひっ!?引きずりこまれ......。」
”なんでこっち側の人間が生きてんだよ。お前もこっち側だ。”
”死ね!!死ね!!苦しみながら死ね!!”
”羨ましい。恨めしい。その肉体が欲しい。”
そのまま川に流されてしばらく......ようやく岸に辿り着けた。
そのころにはもう夜の帳が下りていて、どこに辿り着いたのかも分からなかった。
岸のそばで体育座りして助けが来るのを待つ。しかし、頭のどこかでは助けなんて来ないんじゃないかと不安が出てくる。
折角人生二週目だと息巻いて......今度は自分の為だけではなく誰かの助けになれる人生を送ろうとして......こんなところで一人寂しく死んでいく。
そう思った瞬間、涙が込み上げて嗚咽が漏れだした......。
「う......うぅ......どうして......なんで......こんな魔法持って生まれてきたんだ......誰か......助けて。」
「ふん!来てやったわ......ルナ!」
そこには、太陽のような笑顔で仁王立ちしている姉ちゃんがいた。
「ど......どうして......ここが?」
「未来視をひたすら使ったわ。ルナの姿は見えないけど、私が一点を見つめていたなら、そこにきっとルナがいると思ってね。」
その時の姉の姿は暗くてよく見えなかったものの、視覚情報過多と情報処理過多により、目と鼻から出血を起こしていたらしい。
そこからは、魔法が暴発する度に姉に見つけてもらう繰り返しだった。
俺は......姉から離れることが出来なくなってしまっていた。精神的に成長して魔法が暴発することもなくなっても......姉から離れることが出来なくなっていた。だからこそ、少しの期間姉がどこかに行っていなくなる時は不安に押しつぶされた。俺にとって、最早姉は......片割れだった。
だから、姉が死んだ時はストレスによって魔法がかなりの成長を遂げた。通常時でも意識すれば代償の幽霊の声が聞こえてくるようになった。
でも......不思議と姉の声は聞こえなかった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
牢屋敷に来た時も......呪いの力が強いもの......特に地下牢や湖、シャワールームにもそういった声は良く聞こえた。
魔法を使えば尚更。
エマがバッドエンドに向かう地下牢も、あの後誰からも怪しまれないように魔法を使いながら調査もした。
当然、魔法を使えば聞きたくない声もたくさん聞こえるわけで。
”なんであたしたちがこんな目に合わなきゃいけないんだよ!!”
”ルナ?どうしてこんなところに?死に戻りの魔法が発動していないと思って調査していたんだが......一体、キミは?”*1
”死ね!!死ね!!みんな死んでしまえ!!わたしの体に傷をつけたヤツ全員死んでしまえ!!”
「呪いの声が強いな......やはりよくない吹き溜まりになってしまってる。どれか一つと特定するのは難しいな。」
”あれ?あいつあたしたちの声聞こえてね?うまくいけば呪い殺せるかも!”
”もしかして私たちの声が聞こえるのか?ルナ。私自身の声は周りの声が強すぎて聞こえていなさそうだが。”*2
”マジで!?殺そう殺そう!こいつも含めて全員不幸になって殺しちまおう!”
「【魔法解除】......。ふぅ......。流石にコントロールをさぼってたからなかなか辛い物があるな。魔法の嘘もついちゃったし、やっぱりあんまり使いたくないな。」
☆☆☆☆☆☆☆☆
ノアが死んだときも、シャワールームで魔法を使って鏡の中の君との会話をした。あの呪いが強いシャワールームの中でも、あの声はかなり響いた。
”あなた......もしかして私の声が聞こえているの?”
”ルナ。そいつはルナやエマの体を乗っ取ろうとする悪い奴だ!そいつの話を聞く必要はない!”*3
「もちろん。聞こえてるし、俺の方からも干渉できるだろうな。」
”もしかして、ルナちゃん。嘘ついてたの?未来予知の魔法ってみんなに説明していたのに。のあ、嘘つきは良くないと思うけどな。”*4
”まぁ......嘘をつくのは良くない。でも......どうしてルナは未来予知のような行動が出来るのだろうな......。”*5
それ以外の声も聞こえてくるものの、どれも怨嗟の声が多くて大音量で響き渡るものだから、鏡の中の君に集中しなければならず、それ以外の情報は何にも入ってこなかった。
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「【存在消失】......タロットカードは......すぐに見つかったな。」
マーゴの占いバッドエンドの回避にも、魔法を使ってマーゴの部屋に行き、タロットカードを回収した。
”まさか【なれはて】になって氷漬けにされたら、仮死状態になってこうして幽霊のように浮遊しながら死んだみんなに会えるとは。ノア君。キミには本当に......。”*6
”なんで寝ている間に殺されなければならなかったの!?......私何か悪いことしたかしら!?”
”レイアちゃん、もうのあは仕方ないことなんだって言ったはずだよ?そんなことより、ルナちゃんは何をやっているのかな?”*7
”こんなクソみたいなところで殺されて......マジで意味わかんねえ!!あちくしは帰んなきゃいけねえのによぉ!!”
”分からないな、あれは。タロットカードに祈ってる?一体何をやっているんだルナは。”*8
相も変わらずこの監房でも霊たちの声は響いている。反響してうるさいくらいに。それを全て耳からシャットアウトして聞かないようにする。
死人の声など......聞いても後悔しかしないから。
☆☆☆☆☆☆☆☆
エマが爆弾を掘り当ててしまう日も......魔法を使ってずっと近くで待機していた。
”フハハハハ!!我の魔法【爆弾生成】で作った最後の爆弾をそこに埋めておいたのだ!!あのクソみたいなメッセージにイラついてそこの近くに埋めておいたのだ!!”
”えっ!?それじゃエマちゃんが死んじゃう!ルナくん!早くそこからエマちゃんを連れて逃げて!!”*9
「なんだか傍迷惑な霊の仕業と気づいてしまった気もするけど......ここにいても爆弾からエマは救い出せる......。」
”なんだかこの霊、わがはいとキャラが被っているのではないか?というか、死ぬと彷徨う霊になるのは分かるが......なれはてになって凍結されても霊になるとはどういうことだ?”*10
”そのままお前ら死んでしまえ!!”
”アンアン。その話題はレイアの時にもう話した。今は早くこの状況をルナに伝えなければ。”*11
そして、すぐ近くに待機していたからこそ、エマを爆弾の脅威から助けることが出来た。
”ぐっ......あんなに熱烈に抱きしめられて......桜羽...エマ!!貴様ああぁぁぁ”*12
”アンアン、落ち着け。あれは爆弾から守るためだ。一旦落ち着いてくれ。”*13
☆☆☆☆☆☆☆☆
エマとの対面での会話の時には、エマの手を握って......エマに憑依しているであろうユキとも会話した。
(そこにいるんだろ?ユキ。)
”......何の用ですか?私はあなたに用事なんて特にありませんが。”
(......お願いが、あるんだ。)
”聞くだけ聞いてあげましょう。”
(これ以上、エマの心を......追い詰めないで欲しいんだ。エマはいずれ確実に魔女になる。なら、追い詰める必要なんてないはずだ。)
”もしかしなくても、あなたの知っている原作知識とやらですか?”
(うげっ......バレてたのか。なら尚のこと、エマを追い詰めないで欲しい。しかるべき時が来た時、エマは魔女になる。どんな過程があろうと、きっかけ一発で。)
”えぇ、知ってます。そうトラウマを植え付けたのですから。”
(だったら...。)
”ただ、私はエマを追い詰めてはいません。ずっと、一言も喋らず、見守っていました。”
(え?)
”エマが追い詰められているのは、この状況そのものです。当然です。友達だと思っていた人が同時に二人もいなくなってしまったのですから。”
(なら......どうすれば。)
”そろそろ時間です。これ以上エマと手を繋いでいると、私があなたを呪い殺してしまいそうになります。”
(あ、ご......ごめん。)
そして、エマから手を離した。
今思えば、この段階から......歯車が狂い始めていたと気付くことが出来たのかもしれない。
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ナノカとの対面での話の時には、俺の魔法についての俺のポリシーを話した。
「ナノカ。俺の魔法を使えば、死人の言葉を聞くことが出来る。死人とコミュニケーションが出来る。確かにそう考えることもできる。」
「だったら......私のお姉ちゃんとも。」
”なのちゃん。話したい事や伝えたい事......たくさんあるけれど、でも......それはダメだと思うの。私に構わず生きていて欲しいの。看守としてヒロちゃんのこと殺した私が言う事じゃないかもだけど。”*14
ナノカの言いたいことも分かる。死人の声がこの牢屋敷だと多すぎて特定が難しいという問題はあるけれど......でも、それを抜きにしても俺は死人の声は聞かないよう生きてきた。いくら友達として好きでも、それは曲げられない。
”ナノカさんのお姉さんだったんですね!あの看守さん!びっくりな真実が今明かされました!”*15
「ダメだ。俺は死人の声を聞くことも、言葉を代弁することもしたくない。どんなに良い人だと思っても、彷徨うような未練を残している人にまともな人なんて少ないんだ。ナノカの姉がどういう人か分からないけど、その言葉に左右されるのは今を生きる人としてよくない......と、思うんだ。」
「そう......あなたが......そういうのなら。」
「......ごめんな。力になれなくて。」
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魔女化した時......この魔法が持つ真の力を感覚で理解することが出来た。
世界から存在を消す代償として死者に干渉し、干渉されるというこの【存在消失】。その本質が死者との対話が主目的であれば......この魔法の本質は......死者と同じ目線で話すために、自分も死者と同じように世界から存在を消失させる。
で、あれば。この魔法が成長すれば......死んでいった魔女と対話し、死んだ魔女を忘れない為にその魔女の魔法を再現する。【魔女想起】が本当の俺の魔法だと......感覚で理解することが出来た。だから、ここで死んでいった魔女......みんなの魔法を再現することが出来た。
しかし、その魔法も、俺が片割れしか持っていないから......魔女化した時に出現した杖を介してしか魔法を使うことが出来なかった。
”なんだ!?あのルナの姿......まるで”*16
「まずは手始めに......【発火】!!」
”は?ウチの魔法?......どうして......。”*17
杖から火が噴きあがる。それは看守に当たり、燃え盛る。
”あっつ!!あっちゅちゅ!!”*18
「それは......アリサさんの魔法......ですか?死者の魔法を使うなんて、冒涜的な......。」
「ああ。冒涜的だ。何も否定しない。そして、ここで看守の足止めをする。それが俺の......今すべき事だからだ!」
”あ......あの......どうして誰もあの姿に言及しないんですの?わたくしがおかしいんですの?”*19
そうして続けざまに魔法を発動する。幸いにも、この牢屋敷にて死んでいった魔女候補たちの魔法は多種多用で、看守の足止めには十分効果を発揮していた。
桜の木。咲き乱れる花。浮遊に視線誘導。様々な魔法を杖を介して看守の足止めを続ける。洗脳や怪力などは杖越しではうまく効果は発揮できず、不発に終わった。
”すごいわね。お姉ちゃん......看守に桜の木を生やして行動を阻害、花を大量に咲き乱れさせて毒花の成分を摂取させる。浮遊を付与して鎌の威力を低減、視線誘導で狙いを外させる。かなり見ごたえのある戦いが繰り広げられてるわ。”*20
「そして、俺が今まで使ってた存在消失で、看守に攻撃して身動きを取れなくして時間を......!?」
”あっ!?ルナちゃん!!それ危ない!!”*21
”今ならルナさんに大声出せば届くかもしれませんよ!!おーい!!ルナさーん!!気づいてくださーい!!”*22
看守が見えないはずの俺を完全に見えている動きをしてみせ、体を浅く切り刻んだのち、杖を握っていた右腕もろとも鎌で切り飛ばした。
「ルナさん......知らなかったんですか?看守さんは、透明人間でも相手をすることが出来るんですよ。姿が見えなくても戦えるんです。」
「......忘れてただけだ。クソッ......。」
「そこで大人しくしてくださいね。エマさんを連れてきたら後で治療してあげますから。」
そうしてメルルは看守を連れて外へ行った。俺は看守を止めようと右手を伸ばすも、その右手はとうに無くなっていたのだった。
魔法を使いながら玄関になんとかたどり着いたころ、エマも牢屋敷に戻ってきていた。
”エマ......ルナ......どうしてこうなってしまったんだ......”*23
俺は魔法を解除して息を整える。エマは突然現れたように見えた俺に対して驚いている様子だった。
少し会話をした後、また魔法を使ってメルルたちが目の前に通るのをやり過ごす。
”これ、もう詰みって状況じゃないですか?どうするんでしょうね?ここから。”*24
☆☆☆☆☆☆☆☆
なんとか魔法を使いながら、裁判所内へ入る。そして、エマとメルルのやり取りを見届けた。
ユキの残滓があったから、最後の力を振り絞り......ユキと最期の会話をする。
「なぁ......これでよかったのか......ユキ。」
”よかったんじゃないですか?だって私は人類の滅亡なんてもう望んでいなかったんですもの。ソレイユと会った時点で私にとって人類に復讐するのはもう目標じゃなかったんです。エマたちとコンタクトを取ったのだって......ただの偶然だったんですから。”
「なんで......ソレイユ姉ちゃんを知ってるかは......置いといて......お前にとってエマは親友だったんじゃないのか?」
”もうどうでもよかったんですよ。”
「はぁ?どうでもいい?なんで」
”ソレイユは私の元を離れていきました。あなたが待ってるって。その瞬間から私は惰性でしか生きていなかったんです。失恋でした。”
「......ソレイユが離れてしまってから惰性で生きていた......だって?」
”その後に、エマと出会って、この子に最後の魔法を渡そうと考えたんです。ソレイユに渡したかった私の愛のカタチ、【魔女殺し】の魔法。エマに渡したのは単なる偶然でした。”
「......は?エマに魔法を渡したのは偶然?」
”でもエマは、とても純粋無垢な......綺麗で可愛い私の自慢の親友です。ヒロとも関わった私は、エマとヒロの関係がとても眩しくて......危うく見えたんです。きっとエマは、ヒロにとっての些細なことでも傷ついて、トラウマとなって......魔女になってしまう。で、あれば......下手なトラウマが作られる前に私が......二度と彼女たちの前に姿を現さない私自身がトラウマとなれるよう、いじめや自殺をエマに印象付けたんです。全ては人類が些細なことで滅亡しないように。”
「......下手なトラウマで人類が滅亡しないように......自分がトラウマになれるようわざと自殺したって?」
”えぇ。私は、ソレイユに会って......エマに会って......ヒロに会って......みんなと関わるうちに、これまでの私の行動は見当違いの八つ当たりだと......。身勝手だとは思いますが、自分の終わりが醜悪な魔女ではなく......綺麗な人間でありたいと思ったんです。最後に魔法を開け渡して、魔女ではなく、人間として死にたいと思ったんです。私の復讐として植えつけた魔女因子は少しだけ気がかりでしたが......どうせあなたたちの事だから適応してみせるでしょう?”
「人間として死にたいって......思ったって......なんでそんなこと。」
”魔女の心なんて人間で推し量れるものではないのはあなたも分かってるはずです。そして、私が大魔女だったからこそ、ソレイユは私の未来を見通せず、私に興味を持ったのでしょうね......。”
「あぁ......なるほど。格が違うから姉ちゃんでもユキの未来が見通せなかったと。」
”彼女、すごいんですよ?私のことを未来視で見えていないにも関わらず『楽しそうに虚空に話す私がそこにいるのなら、そこにユーちゃんがきっといるわ!』と......あそこまで自身の魔法と感性を信頼して行動できる子はそうそういませんよ?あら......もう死んでしまいましたか。おやすみなさい、ルナ。次は幸の多い人生を歩めると良いですね。”
そうして俺は死んだ。そして、死んだらみんなに会って......今まで嘘をついていたこと、みんなのことを見捨ててしまっていたことを謝ろうと思い、目の前を見渡した。
何もなかった。
真っ白い空間以外なんにもなかった。
「は......はは......そ、そうじゃない......よな?まさか......死んだら魔法がなくなるとか、今まで見て......聞いてきた魔法が全部嘘だったとか......そんなんじゃない......よな?み、みんな......どこにいるんだ?」
そして、彷徨う
彷徨う
彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う
彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う彷徨う
永劫ともいえる時間を彷徨い歩き、自分の中に答えはある程度出てしまっていた。
自分の魔法で見えていた幽霊や呪いは選ばれた存在だけがなれるものだと。
選ばれなかったものはこの虚無の空間に送られてしまうと。
死んだらここで過ごすことになってしまうと。
(俺は......俺は何てことを......今まで死んでいったみんなはこんな寂しい場所でずっと過ごしてたのか!?......理不尽に魔女から殺されて、理不尽にこんな寂しい空間に閉じ込められる......そ、そんな。そうだと知ってれば......お、俺は最初からみんなをた、助け......)
手遅れだった。もう全て手遅れだった。
手を差し伸ばすことなく見るだけだった己の罪業が死んでから押し寄せてくる。
嗚呼......あぁ......なんと、なんと......残酷なのか。
死んでも霊体になれるからみんなと会える。その時に謝ろう。
死んでも霊体になれるからシェリーの遺言を自身が死んでもやり遂げよう。
そう思ってた俺はなんと滑稽だったのだろう。
「あああああああ、あ、あ、ぁぁぁぁあぁぁああっ、あっああああぁぁぁぁぁ!!!」
ひとしきり泣いても叫んでも何にも変化はなく。ただ真っ白い空間だけがそこにあった。
(もう、何もかもどうでもいいや)
そして、全てを諦めて地面に倒れ伏して目を閉じる。
「ルナ!!」
その声にハッとした。
およそ牢屋敷に来る前から聞くことがなかった声。
藁にもすがる思いで魔法を使っても聞こえなかった声。
ずっとずっと......聞きたかった声。
顔を上げれば......。
姉ちゃんがそこにはいた。
第14話の後書きで主人公の魔法開示が12月中旬くらいと言ってましたけど、概ね合ってましたね。
次回更新ですが、ストックがZEROと化したので、1週間ほどお休みいただきます。
次回のお話そのものはあるにはありますが、シームレスに読んでいただいた方がいいかと思いますし、丁度年末年始なのでその期間にまたストック貯めなおそうかと思いました。
次回更新以降は、また2日に1回程度の更新になるかと思います。
次回
第36話「さようなら1周目。こんにちわ2周目」