魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
体調は完全に戻りましたが、執筆のテンポ感が全くつかめてなくて全く執筆進んでないです。そのため、また1週間ほどお待たせすることになるかと思います。
それでは本編どうぞ
ラウンジから監房に戻ってしばらくして、スマホの通知が鳴り響いた。
見てみると、ココの配信が始まっていた。
「やっほ~沢渡ココだよ~!あてぃしのこと、見えてる~?」
「ちょっと。何をしていますのあなた......?」
見る限り、2周目開始と同じような展開だった。
「へえっ、ふぅ~ん、ほぉ~~。な~るほどね~!こりゃひで~!ふんふん、黒幕がいて、共犯者がいて、あてぃしが化け物になって......サイテー!!」
???
......共犯者?一体どういうことだ?原作ではそういう描写はなかったぞ?......つまりこれは......俺か??
俺が共犯者?......メルルに協力していたのか?
何をやったんだ?1周目の俺は......。
いや......原作ブレイクしたわけではない。このまま......このまま俺が全部誘導して......見逃していけば......。
【自由に生き、自由に逝きなさい】
なんだよ......なんだよこの声は......。
俺は......どっちに行けばいいんだ......。
教えてくれ......姉ちゃん。
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飯の時間になっても思考はまとまることはなく、そのままぼーっとしたまま食堂に来ていた。
食堂では、ヒロが点呼を取っていた。
「天音ルナ、遅かったな。席は決められてないが、節度を持った関係を築くように。」
「あぁ、ありがとう。」
そして、適当な返事をして、食事を持ってみんなから離れた場所に座る。
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「ここ、相席してもいいかしら?」
「ん?......マーゴか?別に構わないが。」
「そう。じゃあ失礼するわね。」
マーゴが俺の席まで来ていた。特に断る理由がない為、同席を促す。
そして、マーゴが食器に料理を置いたタイミングでまた新たな少女がやってきていた。
「あ!ルナくんとマーゴちゃん。おじさんもご一緒していいかな?」
「ミリアか。別に構わない。」
「あ?ルナっちとミリアに、マーゴじゃん。あてぃしもそこ座るね~。」
「......ココか。」
そして、推定共犯者の俺に接触しに来たのかココがやってきていた。
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「ルナちゃんは本当に男の子なのよね?......その喉仏を見ればよく分かることなのだけど。」
そう言って俺の首にちらりと視線を向けるマーゴ。
今俺はマフラーを横にどけて無防備な首筋をさらしていた。
男とバレてしまったからこのマフラーも防寒具以上の意味がなくなってしまった。
食事時にこういうものを付けるのはマナーが悪い気がするのでコートも一緒に脱いでいた。
「まぁ......女の子に間違われるのはこれまでも何回かあったし。でもこうやって女の子だけで共同生活するってのは全くなかったから......気を付けるよ。」
「本当に男の子なんだね。おじさん、こんなに可愛い男の子を見るのは初めてかも。」
「何度見てもありえねぇよな~。肌だって超綺麗。髪までしっとりさらさらとか羨ましすぎ。」
「ちょ......ココ......や、やめ。」
ココが左隣に座ったと思ったら至近距離でそんなことを言ってきて髪の毛をもふもふと触りだしてきた。
スッ......。
と、耳のところ......髪でよく見えない位置に何か差し込んできた。
「???」
「いいからいいから......ほれ、もふもふ~。」
「ココちゃんとルナくん。なんだか仲いいね。」
「そうね。エマちゃんやヒロちゃんのような元々からの知り合いかしら?」
「んや?今日が初対面だけど?あてぃしは男の子だろうと配信ネタになるならお喋りしたいし。」
「そ......そっか。」
そこからは他愛ない会話をして食事時間は終了した。
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その後、シャワーを浴びる時間になった後、シャワー室で誰もいないことを確認したのち、耳に挟まれたもの......メモ用紙を広げた。
『明日の夜。水精の間で待ってる。』
それしか記載されていなかった。
それだけで十分だった。
(おそらく、ココは俺が今共犯者の立ち位置かどうか見定めている。もし、共犯者だった時を考えて......トレデキムで身の安全を確保してから俺と話をしようとか考えているのかもな。正直には話せないけど......共犯者じゃないってことは伝えないといけない。)
【自由に生き、自由に逝きなさい】
(自由ってなんだ?原作通りに進めれば全てハッピーエンドに繋がるというのに...そこに俺の意志は必要ないんじゃないのか?なんでこんなに胸がざわつくんだ?)
もらった紙をダストシュートに捨て、悶々とした気持ちのまま、その日は眠りについた。
夢は......見なかった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
次の日、昨日と同じ面子で会話をしている時に、ヒロの方から全員の連絡先を交換しようと提案があった。
アリサ以外の連絡先が記された自分のスマホを見て、ふと女の子の連絡先を知るのはこれが初めてだと気付いて少し気恥ずかしさを感じた。
ふと、視線をめぐらすと......いつの間にかエマとハンナとシェリーが食堂からいなくなっていた。
(この後は...確か看守にシェリーが攻撃をしかけようとして看守が暴れるイベントがあったんだったか。俺が介入しない方が原作通りに進むよな......。)
”本当にそれでいいのかしら?”
(......ん?今どこからか声が。)
”もしかしたら......あなたがいることによって何か変わることがあるのかもしれませんよ?それこそ看守がいつも以上に暴れまわったりとか。”
(そ......そんなことは......俺の魔法は【存在消失】。たとえ消えてる間に、この世にいないものから干渉されるとしても、使わなければ関係ないんじゃないのか?いや、それよりお前は誰だ?)
”私が誰かなんて今は重要じゃないでしょ?あなたは自身の魔法を勘違いしているんじゃなくて?”
(か......勘違いなんて......だって使ってる間、本当に世界から存在が消えてしまうし、代償として幽霊たちの声だってめちゃくちゃ聞いてるし。)
「ぎゃあああああぁぁー!!」
「!?!?」
頭に響いてくる声に返事をしていると廊下からココの叫び声が聞こえてきた。
俺はいよいよ始まったと思い、頭に響いた声は一旦後回しにして不測の事態が起きないことを確認しに廊下へと飛び出した。
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廊下では予想通り、看守が大きく鎌を振りかぶりながら少女たちを攻撃していた。少女たちは必死に逃げまどっている。
少女たちが通った後を看守が鎌で切り裂き、あらゆるものを真っ二つに粉砕していった。
(ヒッ!?あ、あんなもので切り裂かれたら、命が危ない!?)
あまりの光景に恐怖心でその場から動くことが出来ずにいた。
(!?!?......み、右手の肘から先に......い、痛みが!?)
そして俺も......右手の肘と手首の間。前腕部と呼ばれる箇所が異常に痛み出すように感じた。
(な......なんだこの感覚。......お、俺は、前に......この看守に歯向かったような感覚が.......い、いや。俺の記憶にはないぞこんなもの!?)
そして、少女たちに決定的な一撃が振舞われる瞬間......。
「もうやめなさい!許しませんよ!」
ゴクチョーの声がその場に響いた。その声をたどってみるとマーゴが看守を睨みつけながら立っていた。
(このまま見過ごせば、マーゴは怪我をして......メルルから治療されて......その献身に愛を感じたマーゴが......自身が愛されないように......献身の愛を否定するためにメルルを殺す。そう。それでいいじゃないか。)
なのに......なんで俺の気持ちはこんなにも前に出たがるのか。前に出てもマーゴが怪我をせず俺が怪我をして原作をぶち壊すだけなのに......。
どうして......こんなにも......誰かを守りたいと......思ってしまうのか。
【自由に生き、自由に逝きなさい】
「えっ?」
「......あれ?」
俺の体は......まるで誰かに背中を蹴られたかのように......体がマーゴの前へと踊り出ていた。マーゴを後退させるように片腕を突き出してマーゴを鎌の射程から逃した。
そのまま、看守は鎌を振り下ろした。
「っ!?ぐっ......ぎゃああああぁぁぁぁ!?!?」
「ちょ!?ルナちゃん!?」
「ルナ!!」
血しぶきが舞い、先ほど痛みを訴えた右手の前腕部が看守の鎌によって切り飛ばされ、鎌を引く手で逆袈裟斬りのように肉体が切り刻まれた。
「う......ぐっ......ぐぁ......。」
残った左手で無くなった右手を抑えるようにしてうずくまる。
それでも無くなったものは戻ってくることはなく、廊下を俺の血によって赤く染め上げていく。
「ル......ルナさん!?し、しっかりしてください!!」
「そ......そんな......ルナちゃん!?い、嫌よ!わ......私が余計なことを......。」
「マーゴさん!!あんまり揺らさないであげてください!わ、私が、な......治してみせます!」
そんな会話が聞こえてくる。
(ま......待て......今の状況。ナノカが見たら......どう思うだろうか......。)
命がけで誰かを庇う行為。さしものナノカも即座に魔女化すること間違いなしと自分の命が消えつつある状況から現実逃避気味に考え、意識が朦朧とする中、周りを見渡した。
ナノカの姿は遠巻きからしか見えないものの、魔女化している様子はなかった。
「う......うぅ......み、右手は......動くかわかりませんが......なんとか、つ......つなげることは出来ました。後は、体に出来たき、傷です。」
「大丈夫よルナちゃん!メルルちゃんが今必死に治してくれてるわ!!」
薄れゆく意識の中、どこか客観的に状況を俯瞰する俺がいることに気付いた。
(原作では......メルルはマーゴを含め......集められた少女の中に大魔女がいると信じて行動していた。大魔女の可能性があるマーゴを死なせたくない一心でメルルは怪しまれないギリギリの治癒を施していた。
つまり......男である俺は......大魔女の可能性が一切ない俺は......メルルが必死に治す必要のない魔女候補のうちの一人。むしろ......今後の立ち回りを考えると、俺を生かす理由はない。てことは......普通に俺はここで死ぬ可能性があるのか。)
死にたくない。
生きたい。
ハッピーエンドをこの目で見たい。
でも、叶わないのなら......せめて俺の死が重荷にならないように......みんなに明るく生きて欲しい。
そう考えると、口が勝手に言葉を紡いだ。
「メ......メルル......マ......マーゴ......。」
「喋っちゃダメよルナちゃん!!きっと治るわ!!」
「はっ......はい!!きっと......治してみせます!」
ただ、周りの忠告なんて知る由もなく。言葉は紡がれる。
「お......俺が......し、死んだとしても......そ、それは......俺の自業自得だから......。み、みんなは気にすることなく......い、生きてくれ。」
「ルナ!気を確かに持つんだ!!」
「メ......メルル......た、たとえ...お、俺を治せ......なくても......メルルは全力で......治してく......くれた。メルル......あ、ありがとう......な。」
「そ......そんな!?......い、いいえ。諦めるわけにはいきません!しっかりしてください!ルナさん!!」
「マ......マーゴ。マーゴが......看守の攻撃から......みんなを庇おうとし......したことは......美徳だと、お......思う。俺が......このまま死んでも......それはマーゴのせいじゃなく......お、俺が......勝手にやったこと......だから。だから......気にせず......生きてくれ。」
「そ、そんな......い、嫌よ!ルナちゃん!!生きて......生きて頂戴!!」
「一人一人に......言葉をの......残したい......けど......じ、時間がないのかな。......もう、眠くなってきた。元気でな......みんな......。」
「いや!いやだよ!!ルナちゃん!!」
ただ......前世でも今世でもやり残したことは......たった一つある。
前世は普通の人生を送って......今世は周りに馴染めなかったがゆえの心残りがあった。
「あぁ......最後に......身を焦がすような......恋がしてみたかったなぁ。」
そして、俺の意識は闇に落ちた。
次回は1週間ほど後になります。
次回
第38話「意外と世界は優しい」
※追記
投稿設定ミスって投稿時間が12時になってないですが気にしないでください。作者のミスです。