魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
お気に入り、評価、感想いつもありがとうございます。
今回も質問が来ていたので答えます。
Q.まのさばでは何章が好きですか?
A.どれも好きですが、個人的には2周目1章ですね。演出といい仕込みといい、序盤でヒロがいた世界といなかった世界の差分が大きいことをプレイヤーに如実に体感させるのが上手すぎる。裁判パートもエマの前作主人公感が立ちはだかるような演出も大変好みです。
夕食後、シャワーまでの時間が空いており、まだ日も沈み切っていない状況だった為、俺はかねてより気になっていた場所...
まのさばでも名前だけは表示されたままで、結局詳細な描写がないまま物語が終了した場所...
サンルームに来ていた。
サンルームとは、雨風をしのげる日当たりのいい室内だ。洗濯物を干したり、植物を置いてティーセットを置けばなんちゃってお茶会も開ける。
作中、ここに主人公が来ている描写が一切なく、また、誰か来ている様子も無かった為、一人になるのにピッタリだと思った。
登場人物のバッドエンドを回避するために動く必要があるものの、いつもずっと動き続ける必要はないはずだ。
なら、一人になって周りの好感度を上げなければ原作通りの展開に今からでも修正が可能なはずだ。
サンルームの周りと中を見る限り、かなりの清掃が必要なものの利用することは可能なように見えた。
「...何をしているの?...天音ルナ。」
後ろを振り返ると、そこには黒部ナノカがいた。
「ナノカか。こんなところでどうしたんだ?」
「それはこちらのセリフよ、天音ルナ。あなたは迷いなくまっすぐここに来ていた。ここに何かあるの?」
なるほど。つけられていたのか。
「ちょっと、散策をね。」
「散策なら、もっと周りを見渡すような挙動をするはず。特に私たちはここにつれてこられたばかりなのだし...屋敷の中はともかく、外は土地勘も何もないと思うわ。それでもあなたはスマホを一瞥するだけでここまで来た。ここに何かあると思うのは自明だと思うのだけれど。」
そんなことはない。ただ、原作の少女たちが絶対に来ない場所の候補としてここが真っ先に浮かんだだけだ。ただ...それを正直に言う必要もない。適当にはぐらかすか。
「本当に何もないんだ。ここは見ての通りサンルームのようだ。日当たりがいいだけの何もないところだよ。自由時間は一人で過ごせそうなところを探して、ここを見つけた。荒れているけど、掃除をすれば多少は過ごしやすくはなるだろ。」
「...本当に何も企んでいないのね。」
「あぁ。俺はただ、一人で静かに過ごしたいんだ。」
「...そう。その願いは叶うかどうか怪しいけど...今は見逃してあげる。」
そう言ってナノカは屋敷へと戻っていった。
俺はスマホを手に取ってサンルームの周りや中の写真を撮っていった。
明日から始める掃除の計画を練るのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「...ん...んふあぁぁぁ......よし。起きるか。」
俺はそう言ってベッドから抜け出す。時刻は7時を示すところだった。
下段のメルルはもう朝食を食べに行ったのかもぬけの殻だった。
そして、顔を洗って朝食を食べに行こうと廊下に出たときだった。
「...うぅぅ......だ、誰か助け...い...息がく...苦しい。」
そんなか細い声が聞こえた為、急いでその部屋まで行き、中を覗いた。
「ふんふんふ~ん。ふんふんふ~ん。」
ノアが部屋に盛大なアートをスプレーで描いていた。
そのすぐ近くのベッドではアンアンが苦しそうに呻いている。
(よかった。バルーンの注目イベントを潰したわけではなかったんだな。それはともかく...)
「ノア!!アンアンが苦しんでいる!!」
俺は叫びながら部屋の中に入り、アンアンを引きずり出す。体に塗料がつくのもお構いなしにアンアンを抱えて部屋を出た。
アンアンは抵抗する気力がないのかされるがままで目を回している。
「あっ!ルナちゃんだ~。おはよう~。」
ノアはのんきに絵を描きながら挨拶をしてくる。そして、俺が踏み入った箇所に再度スプレーをかけて足跡を消すようにしている。
「おはようノア。絵を描くのは自由だが、同居人に迷惑はかけてはいけない。見ろ...このアンアンの姿を」
そうしてアンアンに目線を向けると、スケッチブックをこちらにかかげ『またわがはいの体に触れたな。わがはいが弱ってる隙に許可もなく。そういう趣味か?』とぐったりしながらもジト目で訴えてくる。
おうおう助けた人間に対してその態度はいかがなもんなんだ?ええ?
とは言わず、ノアに目線を映した。
「...む~。でものあ、昨日ごはんたべてる時、気づいたらルナちゃんいなくなってたんだもん。インスピレーションが湧いてくると思ってずっとくっつこうと思ったのに。これじゃ創作意欲不満だよ。欲求不満だよ。」
ふくれっ面でこちらを見てくるノア。俺はため息をついてしまう。
「あのなぁ...曲がりなりにも女の子なら欲求不満とか口にするんじゃありません。それと一緒にくっつかれても俺にとっては迷惑だから今後やらないように。.....あー、あと...創作活動が出来ないからと言って、同じ部屋の人に迷惑をかけるのはよくない。......とりあえず、俺はアンアンを医務室に連れて行く。」
そういって俺はアンアンを抱きかかえて医務室へと急ぐ。体勢的にお姫様だっこになってしまうが、アンアンは何も言わず俺の胸元のシャツを握りしめていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「え、えと...軽い、貧血ですね。環境の変化に体がついていけなかったようです。体調がよくなるまで、私が診ておきます。」
「ありがとうメルル。流石に男の俺が世話出来るわけがないから助かるよ。」
「いえいえ、好きでやっていることですので。」
医務室に行くと、メルルがそこで薬品の整理をしていたので、事情を話してアンアンをベッドに運んだ。
「じゃあ、俺はもう行くよ。アンアンにとってもお邪魔だろうし。」
後はメルルがやってくれるだろうと思い、俺はその場を後にする。
メルルは微笑みながらこちらに手を振っていた。
アンアンはスケッチブックをこちらに見せてくる。
『今回はわがはいに免じて大目にみてやろう』
本当にどこ目線だろう。微笑みを返してその場を後にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆
朝食を済ませ、俺は掃除用具を持ってサンルームに来ていた。とりあえず、割れたガラス窓や生い茂ったツタ。壁に付着した苔を落として見栄えだけをよくしようとする。
一人で作業していると、あっという間に時間が過ぎていくように感じる。少し休憩を入れようと思った時、外から気配を感じた。
「えっと、ここは...」
「ここはサンルームのようですね。日当たりがよさそうです!そして、どうやら先客がいたようです!!」
その声に振り返ると、そこにはエマとシェリーがいた。今日は屋敷の探索のイベントがあるっぽかったが、ここに来る予定はなかったはずだ。
「...なんのようだ?エマ。シェリー。」
俺は努めて冷たく言い放つ。正直、彼女たちがここに来た時点で原作の流れが残っているかどうかわからない。俺に出来ることは、少しでも彼女たちを早々に追い払うことだった。
「えっと...ルナちゃん。ここで一体何を?」
「掃除道具がありますね。お掃除中でしたか!...お手伝いしてもいいですか?」
シェリーが元気よく聞いてくる。原作キャラと仲を深める絶好の機会ではあるものの、だからこそ突き放す必要がある。少しの好感度でどうなるか分からないのが、まのさば世界だ。
「...いい。これは俺一人でやる。俺は掃除も含めて楽しんでるんだ。お前たちの手伝いは必要としていない。」
「そんなこと言わないでください~。ほら私、腕っぷしには自信ありますよ?」
「一人でやるよりも、みんなでやった方が早く終わるし楽しいよ?」
俺はため息一つついてエマとシェリーに向き直る。
「俺がいる為の空間を作るのに他の人の手伝いなんていらない。ここは俺が気に入る空間にしたいからな...」
そう言って掃除を続ける。エマもシェリーも観念したのか、ここを立ち去るようだ。
「ではエマさん、次は図書室に行きましょうか!」
「う...うん。じゃあね、ルナちゃん。」
「...待て。図書室と言ったか。」
俺はその言葉を聞いてエマたちを引き止める。...確か、記憶にある通りなら...
「はい。図書室に行こうと思ってました。」
「えっと...それがどうかしたのかな?」
「図書室なら、『血文字』の本には気をつけろ。あれにも呪いがついている。」
そう...確かエマとシェリーが血文字を追いかけて最後は本に食われてしまうエンディングだったはずだ。着いていきたいのはやまやまではあるものの、突き放すことを言った以上、着いていくのは言動が一致していないようで少し不自然に感じるから。
アドバイスしたうえで血文字を追いかけるならもうそれは俺の知るところじゃない。バッドエンドが見たいプレイヤー操作だったと諦める。
「の...呪い!?」
「わくわくしますね!!」
「シ...シェリーちゃん!!」
「分かってます。忠告ありがとうございますルナさん。さ、行きましょうエマさん!」
そう言って二人は離れていく。俺は忠告が機能することを願った。その後、また掃除作業へと戻った。
☆☆☆☆図書室にて☆☆☆☆
「エマさん、エマさん!これ、これ見てください!」
たすけて
「ひっ...」
「これって、さっきルナさんが言っていた血文字ですよね!!」
「そ、そうかも...。」
「高まりますね~!」
「ちっとも高まらないよ!」
「他の本にも、こういうメッセージが残されていたりするんですかね?ルナさんの忠告を無視することになりますが、ちょっとだけ調べてみませんか?」
エマはシェリーの提案に...
「だ、ダメだよ。ちゃんと忠告は聞いておかないと!ルナちゃんの魔法による忠告なのかもしれないし...」
「う~ん。限定的な未来予知ですか...確かに、あれから時間も経っていませんし、発動条件は満たしていると思います。ではやめましょうか!」
なんとかバッドエンドは回避したのだった。
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