魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
魔法少女ノ因習村と配信少女ノ裏垢迷宮の情報が解禁されましたね。
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それでは本編どうぞ。
その後、ルールに追加したシャワーの男子利用残り時間が迫っていたため、少女たちと別れシャワールームへと向かった。
その後、自分の房へ戻る時、人影が見えた。
「はぁ...はぁ...君が...ノアくんがいけないんだ。私が一番目立たないといけないのに...恨むなら牢屋敷に連れてこられたこと、そして私より目立ってしまったことを恨むんだ。」
「うぐっ!」
俺は咄嗟に懲罰房の扉の前まで音を立てないよう移動し、息を潜める。
レイアがノアを殺す時間帯に近いことは予想していたものの、詳しい時間までは知らなかった為、こうして殺害現場に居合わせかけたことを半分喜び半分後悔する。
原作の人形劇でしか描写されなかった部分が実際に目の前で起きているファンとして嬉しくなる半面、ここでバレたら口封じに殺されてしまうかもしれないという恐怖だった。
2週目のレイアとエマを殺害したハンナは、エマを口封じで咄嗟にレイアの剣をとって殺しているのだ。これまで少女たちと過ごしてきた中で、ハンナは割と慌てると精彩を欠いてしまうことはよくわかることだった。そんなハンナが咄嗟にでもエマを一瞬で殺せたということは、手元に武器があり、尚且つ身のこなしに自信のあるレイアは口封じと判断したら一瞬で殺すことが出来ると予想できた。
(イレギュラーである俺は、もしかしたら殺害現場にこれからも居合わせてしまうことがあるかもしれない...今後は自分の行動に気を付けながら過ごすか。)
ただ、それは逆に言えば、俺の行動次第で目の前から零れ落ちる命を救える可能性があるということだ。ただ少女たちが殺されていくことに指をくわえてみていることしかできないわけじゃないんだ。
いや...原作は忠実でなければならない。俺は1週目も2週目も...そしてもちろん最後も全部好きなのだ。
だから、残酷だとは思うものの、これからも少女たちを見捨てていこうと決意する。
”あなたなら助けられるかもしれないのに、見殺しにするんですか?”
出たな推定ユキもどき。
この世界の全ての元凶である月代ユキではない俺の脳内に語り掛ける存在。
ユキではないのはメタ的に言えばCVが完全に違うからだ。
俺は前世でこんな声は聞いたことがない。まのさばをやっていてこんな声を聞いたことが一度だってない。だからユキとは違うと断言できる。
”ユキのことはご存じでしたか。あの子は私が島から離れる前に生まれた一番若い大魔女ですからね。”
元凶であるユキの正体を知ってるのはともかく、お前は本当に誰なんだ?
”これ以上はあなたが魔法を強くしてから。今はわずかの会話しかできま...”
消えていった。
俺の魔法がどうしてお前との会話時間に...?
それからしばらく息を潜めると、原作にもあったレイアとエマたちが邂逅する場面へと移っていた。
「ああ、そうだ。今日医務室に行った時、間違ってアンアンくんのスマホを持ってきてしまったらしい。...届けてくれると助かる。私はこれから、配信の予定があって......申し訳ないんだが。」
「うん、それくらいぜんぜんいいよ。あの、あのさ、レイアちゃんのやってること、すごく偉いと思う!ボクら、グループは別になっちゃったけど......でも、助け合えたらいいなって思うんだ。」
「...ありがとう。」
エマが医務室へと駆け出していく場面だと予想できた。レイアが出て行ったことを確認したのち、自分の房へと戻る。
そして、ノアとアンアンの房の前に行く。
ノアの監房を視界に入れようとすると強烈な違和感が発生する。
まるで『ここに視線を向けてはいけないよ』と強く言われてるかのように。
(なるほど。これが【視線誘導】の魔法。だったら...)
そう思ってスマホを取り出して、目線を向けずに動画を回す。じっくりと房が全部収まるように手の動きだけでスマホを操作する。
この死亡時間が明確になる証拠を出せば魔女裁判はかなり議論が進むことになる。ただ、これはエマの推理が思うようにいかなかったときの為に保険として取っておく。裁判がスムーズに進めばそれでいいし、そうじゃなかったらメルルがエマの背中を押すはずだろう。
そして一定時間動画を撮った後、動画に撮影時間があることと、そこにしっかりノアの真新しい死体があることを確認したのち、同室のメルルがいる自分の房へと戻っていった。
「あっ...お、おかえりなさい。どこへ行ってたんですか?娯楽室からシャワーに行ったのは確認していますが...その後どこに行ったのか分からなくて。」
「少しだけ懲罰房の中が気になって。あそこは呪いの溜まり場だから...」
「そうですか...無事に帰ってきてよかったです。」
メルルとも、ある程度会話できるくらいには打ち解けた気もする。演技か素かは分からないものの、メルルは人見知りが激しいうえに、間違ったとはいえ男と同室なんて不安でいっぱいだろう。
俺はそそくさとスマホを起動し、作業しながら流すことが定番になってほとんど画面に視線を向けないココの配信を見ることにしたのだった。
「やっほぉ~ココたんだよ~!...うぉ...今日はあいつもしっかり見てんじゃん。気合入れないと。...今日はなんと!あの!芸能人、蓮見レイアとのコラボ実現回だよ~!」
「はは、ずいぶんテンションが高いんだね。」
「あの......おじさんはなんで呼ばれてるのか......。」
「アンタはただの賑やかし!ザコだし!」
「ザコ......。」
その後はレイアの曲芸まで一緒だった。
配信を見てもレイアは画角までしっかり計算していたのか、それともココのカメラワークが悪いのか、あるいは本当にただの偶然だったのかレイピアの先までは確認することが出来なかった。
ただ、本当にそれだけの配信で就寝時間を告げる通知が表示され、その後はお開きになった。
配信を閉じて、スマホを投げ出す。
(明日から捜査と裁判が始まるのか。確か、捜査パートでバッドエンドが1つあったな。明日の捜査開始から終わりまでシャワールームで待機するか。)
考え事をしていると眠気というものはあっという間に押し寄せてくる。俺は微睡みに身を預けるように目を閉じた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「あああああああああぁーっ!!」
翌朝は、ほぼ聞いたことがない声の主の絶叫にてたたき起こされた。
みんなが驚いて声の主の方へ向かう。
俺も、のそりと起き上がりアンアンとノアの監房へと向かう。
「なんで、なんでなんでなんでぇ......っ」
「みんな落ち着くんだ!」
レイアが監房の中へと入りノアの首元に手をあてがう。
「ダメだ......死んでる......どうして!!」
そして、スマホの通知が地下通路に鳴り響く。確認するまでもなくゴクチョーからの通知だ。
ラウンジにすぐに来いとのお達しだった。
みんなノアの死体が気になるものの、看守に連れてかれるのは嫌だったのか、足取り重くラウンジに向かう。
俺もみんなの後を追う形でラウンジに向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
ラウンジでは、誰も何も言わない状況が続いた。
そんな空気がしばらく続いたのち、ゴクチョーがラウンジに現れた。
「はぁ...殺人事件......起きちゃいましたね......。
今夜、【魔女裁判】を開廷します。
今いる囚人の中から必ず殺人犯を特定してください。その者は【魔女】として処刑するので。
やすやすと死なない魔女の活動を確実に沈黙させる方法での処刑です。かなり酷いこととか......しちゃうので。
また、囚人全員への告知ですが、特定ができなかった場合は、全員処刑とします。
私としても、仕事が増えるんで避けたいんですが、もともと皆さんは、危険人物として捕らえられているので......。
ただ......主が、いや...まぁこの牢屋敷側の気持ちとしては、そんなのはあまりにかわいそうだと思っているんですよ。
だから投票で確実に【魔女】だけを選んでもらって、【魔女】だけを排除しましょう。
全員処刑措置は、あくまで【魔女】を選出できなかった場合にだけ適用します。
頑張って犯人を特定してくださいね......犯人を見つければ、生き残れるので......まあ、あの、前向きに楽しんでください。
あ、あと捜査中に不正がされないようにみだりに遺体に触れたりしないでください。現場はそのまま保持しておいてくださいね。
では捜査をお願いします。あっ!どうせ難しいので、無理はしないでくださいね......。わからなくても皆さんが死ぬだけなので......。
期限は魔女裁判開廷のアナウンスが入るまでです。業務中なら万が一気が向けば質問も答えますね......たぶん。」
そう一方的にまくしたてると、ゴクチョーは飛び去って行った。
みんな疑心暗鬼に陥っているのか、しばらく周りの顔色を窺っている。
そんな中、レイアはラウンジの中央へ向かう。全員レイアに注目が集まる。
「こんな事態になってしまい、本当に辛いと思うが......私は、犯人を特定したいと思う。」
「賛成よ。私もいわれない理由で選ばれて死にたくないもの。殺人事件の犯人を、きちんと【魔女】として裁いてもらうべきだと思うわ。」
その言葉にマーゴだけでなく、他の面々も賛成の意を示す。
「ああ、みんな同じ気持ちだと思う。時間はあまりない。手分けして捜査をはじめよう。」
出口へと向かうレイアとマーゴを止めたのは、エマだった。
「ま、待ってレイアちゃん!誰が犯人かわかったら、それでその子を処刑させるの!?」
「みんなを助けるためだ。疑わしい人物も、目星がついている。」
「え......!?」
「遠野ハンナ。キミが、城ケ崎ノアを殺したんじゃないか?」
「なっ......。」
「まだしっかり調べていないが、あの現場は足跡が残っていなかった。つまり......浮ける魔法を持つ者が犯行に及んだんじゃないか?」
「ハンナちゃんが犯人なわけない!」
「......そう思うなら、キミたちも捜査を進めたまえ。今夜にはすべてがはっきりする。」
白々しい。どうしてもそう思ってしまう。
物語の全てがわかっている俺は、このトリックも、犯人も全部わかっている。それらを全て裁判で発言していけば、魔女裁判RTAの完成だろう。ただ、そんな『まのさば』は、『まのさば』じゃない為、エマのポンコツ推理に対して補助する程度に今も、これからも務める予定だ。
まず先んじてシャワールームに向かおう。シャワールームにある鏡にエマが引き込まれないようにするためだ。
そう思い、俺は外に出ようとする。
「あっ!待ってください!!」
そこでシェリーに呼び止められた。
「ルナさん!あなたなら犯人が誰か分かるんじゃないですか?」
「は?」
「牢屋敷で誰か死ぬ可能性があるとき、あなたの未来予知は発動します!そして、ノアさんは確実に死んでいます!なら、あなたならノアさんが死ぬことを知っていたんじゃないですか?」
シェリーのその言葉に周りの視線が集まる。皆一様に驚いたような、信じられないような視線を俺に向けている。
「はぁ~......シェリー。俺の魔法はあくまで牢屋敷のシステムで殺される可能性が出てきたときに見えるものだ。今回のこれは殺人。少女同士での殺害には俺の魔法は発動しないんだよ。」
「はぁ~。案外使えない魔法なんですね!期待して損しました!!」
「このノンデリゴリラ...!」
今度こそ俺は部屋から出た。
次回は11月2日になります。