絶対に笑ってはいけない謝肉祭36時byVespers Directer's Cut 作:フウコの育て親
それは、私の大切な友達の、ほんの些細な気の迷いで始まった―
「さて…どうしたものでしょうか…」
友達の一人、桐藤ナギサが頭を抱える。
この頃私たちは、10月に開催を控える謝肉祭の開催テーマを考えあぐねていた。
私たちトリニティの謝肉祭は、毎年異なるテーマのもとで出し物を決めている。その出し物の中核たるテーマを決めるのは、生徒会であるティーパーティー…すなわち私たち3人だ。
でも今年は締切ギリギリまでテーマが決まらなかった。何本ロールケーキを食べても、何杯紅茶を淹れても、一向に「これだ!」と納得できるようなテーマが思い浮かばない…。
「ふむ…どれをとっても印象に残る作品を作れる保証はないな…少なくとも今のままでは『傑作』と評された昨年の祭典を超えることはできないだろう…」
「去年は『架け橋』なんていう壮大なテーマだったからねぇ…よく思いついたもんだよ…はぁ」
「『繋がる世界』も昨年と重複していますし…『楽園』も少々…」
(prrrr...prrrr...)
「?セイアちゃん?携帯が鳴ってるよ?」
「(ピッ)…げっ…」
「…来てしまいましたか…」
「そうだな…少し席を外すよ…」
この生徒会のホスト、百合園セイアがげっそりとした顔で執務室を後にする。私たちも会議を止め、彼女を見送ることにした。
彼女の視線の先にあるのは…
見つめてはいけない目つきをした空力バカシュナイダーの職員、そして…
思わず笑ってしまった。
テスト予定だという新型AC。その胴体が…あまりにスッカスカなんだもん!!!
こんなの誰でも笑っちゃうじゃんね!!
<スイマセーンマジメニヤッテクダサーイ
(咳払い)
とにかく、彼女はテストのためにACに乗り込んだ。これから始まるであろう惨劇を前に肩を落としながら…。
でも、この時の彼女すら、機体テストが可愛く見えるほどの悪夢が起こるとは思っていなかった…。
「笑う…そういえばあのとき…」
「ぅう…ナギちゃん…?」
「笑うことが禁じられた中…全力で笑わせる…」
「えと…ちょっと…?」
「つまり全力で笑わせることができれば…絶大なインパクトが…!」
「ま、まさか!」
…こうして、悪夢のような謝肉祭が始まった…。
ナギサ様の思い付きで始まってしまった「笑ってはいけない謝肉祭」
その全貌やいかに―!!