俺のこの手が真っ赤に燃えるゥゥゥゥゥ!!!!   作:龍角散ガム

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評価バーに色がついたので初投稿です



ひとりぼっちのタタッコ

 

タタッコは9番道路のボスであった。

朧花色に白い拳。

そのタタッコはいわゆる色違いであった。

 

本来、野生の色違いは同族からは異端のみなされ、群から排除されるのがほとんどである。

だが、そのタタッコは排除されるどころかその群れを牛耳り、群れという垣根を越え9番道路のボスにまで上り詰めていた。

 

歯向かうポケモンや気に入らないポケモンは、自身の白い拳を振るい、一撃で仕留める。

そうやって暴力だけで9番道路の頂点までのし上がってきた。

 

だが、タタッコの人生は一瞬にして崩れ去った。

 

 

「べあーく!!」

 

 

「タタ・・・・・・ッッッ!!」

 

 

突如目の前に現れたポケモン、ウーラオスに蹂躙され、無様に地面に倒れ伏している。

既に身体はボロボロで、自慢の白い拳は自身の血で赤く染まっている。

 

9番道路に住むポケモンたちは、ウーラオスとそのトレーナーを讃えるかのように鳴き、二人の周りを囲んでいた。

 

タタッコには仲間がいなかった。

 

周りのポケモンは、暴力に怯えてタタッコの後をついていくだけで、誰も彼を信頼していなかったのだ。

 

その光景を目にしたタタッコの瞳から、ツーっと一筋の雫が流れ落ちた。

 

それはバトルに負けたことによる悔し涙なのか。

それとも———

 

 

「お前、なかなか見どころがあるじゃないか。俺と一緒に来ないか?」

 

 

「べあーく!!」

 

 

目の前の人間が優しい笑みを浮かべながら、モンスターボールをこちらに差し出してきた。

 

その表情を見ると、タタッコの胸の奥が不思議とが暖かくなった。

だがタタッコは、その感情を消し去るように首を振るい、モンスターボールのスイッチへと手を伸ばした。

 

「お前を必ずぶっ倒し、俺が最強だと証明してやる」とウーラオスを睨みつけながら———

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

タタッコは再び地面へと倒れ伏していた。

 

観客のいない巨大なジムフィールドの上。

目の前には腕を組むカイリキーがつまらなさそうにタタッコを見つめていた。

 

タタッコは主人となったカトル・ムラサメのことが気に入らなかった。

ウーラオスの実力は身をもって体感しているため、ウーラオスの下につくのは納得はいかないが理解はしていた。

 

だが、なぜ弱い人間の下に自分がつかなければならないのか。

9番道路で()()()()()()()()()タタッコのプライドがそれを許さなかったのだ。

 

だから、タタッコはカトルに宣言した。

 

「俺一人でジムバトルとやらを制覇して、お前が必要ないことを証明してやる。そしたら、ウーラオスの元から消えろ」と。

 

カトルはニヤリと笑みを浮かべ、タタッコと申し出を受け入れた。

そして、カトルはかくとうタイプのジムであるサイトウにバトルを申し込んだ。

 

本来であれば、ジムチャレンジャーとして正式な手続きを行わないとジムバトルはできないのだが、カトルの連れているウーラオスを見たことにより、サイトウのジムリーダーとしての本能が疼いたのだ。

 

正式なジムチャレンジではなく、かくとうポケモンのトレーナー同士での戦いであるため、観客のいない夜のジムでポケモンバトルをすることになった。

 

見守っているのはジムの職員たちと、その報告を受けたマクロコスモスの社長兼ガラルポケモンリーグの委員長であるローズのみ。

ただ、ローズは実際にその場にいるわけではなく、中継ロトム越しにそのバトルを観戦している。

 

サイトウが繰り出すポケモンは、ジムチャレンジャー用のパーティではなく、今のサイトウが持つ最強のパーティで組まれたポケモンたち。

その内の2体とウーラオス・タタッコのバトルであった。

 

サイトウの先発のポケモンはネギガナイトだった。

 

タタッコはカトルの指示を受けず、自身の力だけでネギガナイトに挑んだ。

初めはネギガナイトの素早い動きと剣のようなネギ捌きに翻弄されたのだが、クロスカウンターの要領で自身の拳を叩き込み勝利を掴んだ。

 

サイトウはタタッコの実力を見て感心していた。

それと同時に、何も指示を出さないカトルに対し不快感を覚えた。

 

だが、これは真剣勝負。

決して手を抜いてはならないと、サイトウは自身のパートナーであるカイリキーを繰り出した。

 

タタッコは現れたカイリキーにピリピリとしたプレッシャーを感じながらも、カイリキーへと飛びかかり拳を叩き込む。

 

タタッコの拳は確実にカイリキーの顔を捉えた。

 

だが、カイリキーは何事もなかったかのようにタタッコの拳を受け、不敵な笑みを浮かべた。

そして次の瞬間、タタッコの身体に凄まじい衝撃が走り、地面へと叩きつけられた。

 

パンチ一発。

 

それだけで、タタッコはKOされてしまったのだ。

ウーラオスとは比べ物にならないほどの一撃。

圧倒的強者の前に、タタッコは地面に倒れ伏すことしかできなかった。

 

 

「———キョダイマックスとやらは使わないのか?」

 

 

タタッコのバトルに一切口出しをしなかったカトルが、サイトウに向けて言い放った。

 

 

「———タタッコには申し訳ありませんが、あえて正直に言わせてもらいます。貴方のタタッコと私のカイリキーでは実力が違いすぎます。わざわざキョダイマックスをする必要はありません」

 

 

ポキッ———

 

 

タタッコの中で何かが折れる音が聞こえた。

サイトウとカイリキーには自身は映っていない。

二人の瞳の先にあるのは、ウーラオスだけだった。

 

確かにタタッコには力がある。

サイトウのネギガナイトを一人で倒すほどの力が。

 

だが、所詮凡人の領域なのだ。

 

タタッコは、ウーラオスやカイリキーといった化け物たちの足元には及ばない。

弱いポケモンたちの中でイキっていただけの井の中の蛙だったのだ。

 

それを自覚してしまったタタッコには、もう何も残っていなかった。

 

いや、そもそもタタッコには何もなかったのだ。

 

周りとは異なる体色でいじめられ、家族からも見捨てられた。

暴力だけで勝ち取った群からは信頼されず、強敵からは見向きもされない。

 

 

今も昔もタタッコはひとりぼっちなのだ。

 

 

「お前がキョダイマックスをしないのであれば、こっちも何もしない。このまま帰らせてもらう」

 

 

「ッ!!」

 

 

カトルの舐め切った態度に、サイトウは苛立ちを覚えた。

自身のポケモンであるタタッコに何も指示を出さず、助けを出すこともしない。

 

そして、ボロボロになって涙を流すタタッコを目もくれずにこちらを挑発するかのような発言。

 

ジムリーダーとして、トレーナーとしてサイトウはカトルが許せなかった。

 

 

「———いいでしょう。貴方の腐った根性を私が叩き直して差し上げます。行きますよ、カイリキー!!!!」

 

 

サイトウの掛け声と共にカイリキーは唸り声を上げ、モンスターボールへと吸い込まれていく。

そして、そのモンスターボールにエネルギーが収縮していき、巨大なボールへと変化した。

 

サイトウはボールを優しく抱き抱え、そして力強くフィールドへと放り投げた。

 

 

 

 

 

 

「グオオオオオオオオオオッッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

現れたのは巨人だった。

巨人の瞳と4つの拳が太陽のように光を放ち、その遠吠えはフィールドを揺らした。

 

タタッコは目の前の化け物を前に、体を震わせることしかできなかった。

恐怖と絶望に襲われ、瞳からハイライトが消えている。

 

もうだめだ。

 

自分はここで死んでしまう。

 

すると、タタッコの肩から暖かさが広がっていった。

あの時、カトルに向けられた表情を見た時と同じ暖かさが。

 

 

「見てろタタッコ。俺が本当の“強さ”とは何かを教えてやる」

 

 

カトルはタタッコを守るように前に立ち、サイトウとキョダイカイリキーへと向く。

 

 

「流石はジムリーダーだ。俺が思っていた何倍もすごい。だからこそお前の相手は———」

 

 

「来るか」とサイトウとキョダイカイリキーは身構え、ウーラオスへと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———俺がやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※以下、【我が心 明鏡止水-されどこの拳は烈火の如く】を流しながらお読みください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はああああああああっ!!!!!」

 

 

 

「流派!東方不敗の名の下にッ!!」

 

 

 

「石破ァッ!!」

 

 

 

「てんッきょぉぉぉ!!けぇぇぇーーーーーーんッ!!!!」

 

 

 

「石破てんきょォォォッ!!」

 

 

 

「ゴォォォォォッド!!フィンガァァァァァァァァ!!!!!!」

 

 

 

 

カトルから放たれた衝撃波ッ!!

 

そして続く黄金の右手がキョダイカイリキーの首元を掴み上げるッ!!

 

 

 

 

 

「ヒィーーーーートォ!!エンドッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

カトルの掛け声と共に黄金の拳は爆散し、ラテラルジムだけでなくラテラルタウン、いや、ガラル地方全体に衝撃を生むのであったッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ、タタッコ。これが“強さ”だ」

 

 

「だが、俺の“強さ”もまだまだ未熟。だからお前も俺と一緒に“強さ”を求めて旅をしようじゃないか」

 

 

冷たく凍りついていたタタッコの心が溶けていく。

目の前の太陽のような暖かく優しい主人の手を、タタッコは涙を流しながら取る。

 

 

 

タタッコはもうひとりぼっちではないのだ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

パァァァァン!!!!

 

 

 

目の前のモニター真っ白に染まった次の瞬間、モニターが爆破した。

 

キョダイカイリキーが現れるまでは理解できた。

 

だが、続いてチャレンジャーである男が前に立ち、突如黄金に輝き始めたと思ったら、なんかよく分からない衝撃で溢れ、地面どころかガラル全体が揺れ、モニターが爆発した。

 

それを目の当たりにしたローズは———

 

 

「??????????????」

 





・カトル・ムラサメ
東方不敗の元で修行を行い、流派東方不敗を極めた男。ポケモンより強い。
イメージはドモン・カッシュ。
漢らしい見た目とは裏腹に食事のマナーはしっかりしており、料理に強いこだわりを持っている。悪食が嫌い。
実はどこかの町の生き残りだとか———???


・タタッコ(色違い)
色違い故に群れから見放されたポケモン。
見放された屈辱と孤独感から力をつけ、9番道路のボスとなった。
本話でカトルに惚れ、カトルに一生ついて行くことを決意する。
イメージはガンダムマックスター。


・サイトウ
今回の被害者①。
ガラル地方ラテラルタウンのジムリーダー。
自身の相棒をポケモンではなく人間によってワンパンで沈められる。
だが、カトルの武闘家としての実力に惚れ弟子入りを志願する。


・ローズ
今回の被害者②。
なんか面白いことやってるなーって見てたら脳のキャパシティが限界突破した。
今後も被害が増えていくと思われる。
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