おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。   作:荒井竜馬

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第27話 数日振りの冒険者ギルド

 ヒノキ風呂を作った翌日は、風呂周りの防御力を上げるために作業に費やした。

 

 そして、その翌日。

 

朝から特にすることもなかったので、ノエルと共に冒険者ギルドに向かうことにした。

 

以前は冒険者ギルドを少し騒がせてしまったが、さすがに二日も経てば大丈夫だろう。

 

そんな願いを込めて冒険者ギルドの扉を開けた。

 

「あっ、あの人ですよ」

 

すると、俺がドアを開けるなり受付の女性が俺を指さしてきた。そして、二十代後半くらいの男が俺の方に振り向いた。

 

というか、あの服装って前に助けた憲兵が来てたのと同じ服じゃないか?

 

「ほう、あの人が」

 

 青年は俺の足元から頭までを見て小さく頷くと、俺のもとにやってきた。

 

 ……なんだか、あまり良い展開じゃない気がするな。

 

「おっさん、知り合いか?」

 

「多分一方的に知られているパターンだな」

 

「憲兵に一方的に知られているって、おっさん何したんだよ」

 

「いや、捕まるようなことをした記憶はないぞ」

 

 俺は首を横に振ってから、二日目のワードとの騒ぎを思い出した。というか、それ以外に思い当たる節がまるでない。

 

 もしかして、喧嘩両成敗パターンで俺も捕まったりするのか?

 

 俺がそんなことを考えて憲兵に視線を向けてみたが、憲兵の男は爽やかな笑みを浮かべていた。

 

 とても、これから班員を捕まえるときに浮かべる表情ではない。

 

 すると、憲兵の男は俺にスッと片手を差し出してきた。

 

「初めまして。私はこの街の憲兵長のグラムって言います」

 

「……どうも、初めまして。G級冒険者の田中博です」

 

 憲兵長を無下にすることなどできるはずがなく、俺は差し出された手を握って引きつった笑みを返した。

 

 憲兵長って、憲兵のトップってことだよな? なんで異世界に飛ばされて数日でそんな人とあいさつしてんだ、俺は。

 

「えっと、私に何か用でしょうか?」

 

 いくら考えても憲兵長が俺に挨拶をしている理由が分からなかったので、俺はド直球に思ったことを口にしてみた。

 

 すると、グラムは握っていた俺の手を放して姿勢を正した。

 

「博さん。あなたにお願いがあってまいりました」

 

「お願い? 俺にですか?」

 

 俺が眉間にしわを入れて聞くと、グラムは力強く頷いて俺に真剣な眼差しを向ける。

 

「あなたに我々の仕事を手伝って頂きたい。今、近くの森に大型魔物が多くいることはご存じですか?」

 

「ええ、まぁ少しは」

 

「その原因が分かったんです。原因はイワネズミという魔物の巣ができたことでした。繁殖スピードが速く、大型魔物の恰好の餌になる魔物です。この魔物の巣の破壊、及び駆除を行うのですが、あなたに一緒に来ていただきたいのです」

 

「……俺に、ですか?」

 

 事態がまぁまぁ深刻だということは分かった。

 

 でも、俺G級の冒険者なんだけど? 普通、こういうのってある程度ランクが高いやつが一緒に行くもんじゃないのか?

 

 俺が首を傾げて尋ねると、グラムは頬を掻いて言いづらそうに言葉を続けた。

 

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