おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。   作:荒井竜馬

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第59話 森の異変

 それから、簡単な作戦を考えた俺たちはワードのもとへと向かった。

 

 作戦と言っても、そんなに対したものではない。森の主のゴアキリンは周辺にいる魔物を暴走状態することがあるらしい。

 

 なので、俺とノエルとワード以外の冒険者には、その対応をして貰おうという話になった。

 

 そして、俺とワードは共闘してゴアキリンを倒して欲しいとのことだった。正直、あまり大人数で相手にするよりも、そちらの方がやりやすいというのはある。

 

 ただワードがちゃんと共闘してくれるかだろうか?

 

 まぁ、さすがに一人でどうすることもできなくなったら、ワードも無意味に意地を張るようなことはないだろう。

 

 もしかしたら、あれだけ自信満々だったわけだし、俺たちが到着した頃にはゴアキリンを倒しているかもしれない。

 

 そんな少しの希望を抱いてゴアキリンが出たという森に向かった俺たちは、普通ではない森の光景に一瞬言葉を失った。

 

「……森が枯れている」

 

 俺たちの目の前に広がっていたのは、森の途中から不自然に枯れている木々だった。

 

 人工的に枯れされた? いや、そんなことができるのか? 俺がそんなことを考えていると、おっさん探検家の気配感知が反応した。

 

 なんだこの異常な数の気配は? というか、その中央にいるやつの気配が普通ではない気がする。

 

 それと、少し離れた所に人の気配があるな。

 

「おっさん?」

 

 俺が気配のある方を見ていると、ノエルが俺の様子に気づいて顔を覗いてきた。

 

「あっちのほうに大量の魔物がウジャウジャいる。なんだ、この数は」

 

 集中してじっと気配がたくさんある方を見ると、急に後方から別の気配が近づいてきた。俺がそちららの方に振り向くと、その気配は空を飛びながらこちらに向かってきた。

 

 昆虫の六本の足に緑色の体をしていて、羽を羽ばたかせている。体調が一メートルくらいあるような気がするが、その姿には見覚えがあった。

 

「なんだ、あのでかいアブラムシみたいなのは」

 

「なにって、アブラムシだぜ」

 

 俺が眉をひそめて跳んでいるでかすぎる虫のような魔物を見ていると、ノエルが当たり前のような口調でそう言った。

 

「え? アブラムシ? 俺が知っているのと随分と違うんだが」

 

「そうなのか? 別に危険な余物ではないないぞ。こっちから襲ってこなければ何もしない魔物だよ。木の栄養を吸い上げて体内で高濃度の油を作る虫だから、火気厳禁だけどな」

 

「いやいや、それって普通に危険なんじゃないか? 火事とか起きたら大変だろ?」

 

 山火事が起きたら一気に爆発でもしそうな魔物だし、普通に危険な魔物だろ。

 

しかし、ノエルは何でもないように首を横に振る。

 

「油を作る虫が大量に集まることなんかめったにないって。アブラムシの好物を森に塗りたくったりする馬鹿がいれば、話は別かもしれないけど、そんな馬鹿なことする奴がいるわけーー」

 

 ゴワアアアッ!!

 

 すると、ノエルの話の途中で凄まじい爆発音と熱風が押し寄せてきた。目を閉じてその爆風をぐっと答えてから目を開けると、目の前に広がっている森が唸りを上げながら燃えていた。

 

「森が、燃えてる?」

 

 さっきまで枯れている木々が広がっていた場所は、一瞬で火災現場へと変わっていた。俺たちが突然の事態に戸惑っていると、さっき気配を感じた方から魔物の咆哮のようなものが聞こえてきた。

 

「ブモオオオ!!」

 

「こ、今度はなんだ⁉」

 

 俺があまりにも大きな咆哮に耳を塞ぐ。

 

 その声が鳴りやんでからノエルを見たが、ノエルは眉をひそめて首を横に振っていた。

 

「知らない。初めて聞く魔物の声だ」

 

 ノエルはそう言いながら、剣を鞘から引き抜いて戦闘態勢に入っていた。どうやら、俺のように魔物の気配は感じなくても、ただならぬものが近くにいるということは肌で感じているのかもしれない。

 

 俺もスキル『おっさん』を使って、おっさん剣士の力を発動させながら剣を引き抜く。

 

 それを見た他の冒険者たちも戦闘態勢に入り、緊張感が走った。

 

「何かがこっちにくるな。あれ? 人?」

 

 おっさん剣士の力と並行しておっさん探検家の力を使っていると、俺たちのもとに走って近づいてくる気配が一つあった。

 

 その気配は徐々にこちらに近づいてきて、俺たちに手を伸ばしながらバタバタッと走ってきた。

 

「はぁ、はぁっ、 はぁっ!! はぁ! た、助けてくれぇ!!」

 

「え? ワード?」

 

 俺は一瞬見間違えたのかと思って目を擦る。

 

 服や髪を焦がして、涙を流しながらこちらに向かってきたのは、自信満々に一人で冒険者ギルドを出ていったワードだった。

 

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