先生がビルドドライバーとフルボトルを使って仮面ライダービルドになった世界線。先生が仮面ライダービルドとして”先生”としてキヴォトス中の学園の問題や学園同士の問題それらのほとんどが解決され、
銃撃戦が日常だったキヴォトスから銃撃戦が減り、かなり平和になった。そんな時にキヴォトスに謎の男”ブラッドビルド”又の名を”ブラッド”が襲撃してきた。キヴォトスとの全面戦争となり、
先生はその争いを終わらせるため、一人でブラッドに立ち向かうのだった。先生はグリスブリザードに変身し、戦いには勝ったものの体が耐えられず消滅してしまった。キヴォトスに残されたのは先生が使っていたビルドドライバーと変身に必要な全てのボトル、そして、あの未完成の謎のボトル。そのボトルの中には先生の記憶や思い出などの先生の情報があるらしい。
キヴォトスに残された生徒達は今後どのようなことになるのだろうか
その1 静けさの裏に
静かだ。数週間前くらいまであんなに銃撃戦の音がしたのに、今のキヴォトスにはその面影が全くない。平和になったと言うより、元気がなくなったと言った方が正しいだろう。
数日前、先生が死んだ。あのブラッドとかいう仮面ライダービルドもどきとの激戦で先生は体の限界を超えて戦うしかなかった。先生は勝ったけど、それと引き換えに先生は消滅した。
先生は私たち生徒にとってかけがえの無い人だった。みんな、先生のことが好きだった。愛してすらいた。だけど、そんな愛おしくて、かっこよくて、大好きな先生はもういない。
私たち生徒は先生にこのキヴォトスを託された。私たちが守らなくちゃいけない。
とある盆地で一人、一つの大きな墓を丁寧に磨いている女の子がいた。
ホシノ「・・・うへ〜、綺麗になったね。先生」
そういうと先生のお墓にエナジードリンクを置く。
ホシノ「あの日以来、いつも夢に出てくるよ…。先生が私たちと楽しく喋って笑っていた、そんな日々の思い出を…あ〜大好きだったのになぁ。この思いを告げる前に逝っちゃったんだもんね。正直悔しいなぁ。でも、おじさんはもう泣かないよ」
そう言うホシノの目には覚悟を決めたような強い眼差しを感じた。
ホシノ「先生、キヴォトスは私たちに任せてよ。絶対守り切るからさ」
そこにもう一人の生徒が現れた。ミカだ。
ミカ「あれれ?君は確かアビドスにいた先生のお気に入りの、ホシノちゃんだよね?」
相変わらずの能天気だ。
ホシノ「うへ〜トリニティのミカちゃんかな?何か用?」
ミカ「先生のお墓参りに来たんだけど、もう磨いててくれたの?ありがとう!」
二人は一緒に手を合わせて祈ることにした。
ホシノ「そういえばそろそろミレニアムのエンジニア部が、先生が残した未完成のボトルの解析が終わるから来てって言ってたよ。」
ミカ「そうなの?行く行く〜⭐︎」
二人はそのままエンジニア部へと足を運んだ。
〜エンジニア部〜
ホシノ「うへ〜進捗はどうかな〜」
ウタハ「来たのかい、ホシノさん。それと、お客さんかな?」
ミカ「トリニティから来ました。聖園ミカです。」
三人は軽く挨拶を交わした。
ウタハ「それで、あの未完成のボトルのことだね?解析も終わって実験も終了したよ。」
ホシノは真面目で強い眼差しをしている反面、ミカは目を輝かせている。まるで自由研究を楽しむ小学生みたいだ。
ウタハ「結果から話すと、あのボトルの中には確かに先生の体験してきたことが抽出されている。先生の記憶、思い出、苦難全てがこの中にあった。」
ホシノとミカは静かに話を聞いていた。
ウタハ「でもその先生の記憶の中に気になるものがあるんだ。高性能VRで先生の実体験をリアルに再現して観てみたんだけど、先生はとある実験に成功しているらしいんだ。」
ミカ&ホシノ「「実験?」」
二人は首を傾げる。
ウタハ「先生はどうやら並行世界に行くための装置を開発したらしい。」
ホシノ「それってもしかして大人のシロコちゃんがいたプレナパテスの世界みたいな?」
アビドスにはいつもの高校生であるシロコと大人になったシロコがいる。そのうち大人になったシロコは元々プレナパテスがいた世界の住人だった。
おそらくウタハの言っていることは、世界の分岐点により、世界線や結末が増え、時間を平行して進んでいる別の世界のことを指しているのだろう。
ウタハ「なかなかに近いな。この未完成のボトルの中で見つけた並行世界に行くための装置を使えば、別世界にいる先生と同一人物の者を探すことができるかもしれない。」
ミカ「それってもしかして、先生にもう一度会えるかもってこと?」
ホシノは理解した。そして悩んだ、これを決行すれば後には戻れなくなると。別世界にいる先生と同じ人間を持ってくると言うことは、その別世界には先生がいなくなる。
その世界の未来は先生がいない状態で向かう未来に行き着くはずだ。今私たちがいる世界は先生がいたからこんなに平和になった。
先生を取り上げるってことはその世界が平和になるどころの話じゃなくなるはずだ。ホシノは悩む。
ミカ「やろうよ!もう一度先生に会えるんでしょ!?私、先生に会いたい!!」
ウタハ「落ち着いて、まだ確定すべきことがいろいろあるから、それらが確定したら一度連邦生徒会にこれを持って行って、今後の方針についてどうするか決めないといけない。
先生に会いたいのは私も同じだけど、それは諸々が終わってからになるだろう。それまで待っててくれ。」
その場でミカは少し駄々を捏ねた。しかし、この場で駄々を捏ねてもしょうがないとミカも気づいたのだろう。今日はこれで解散とすることにした。
その2 心にしまいきれない恋心
その帰り道、クレープを買って途中まで一緒に食べながら帰ることにしたミカとホシノ。
ホシノ「ねぇミカちゃん。」
ミカ「ん?なに?どうしたの?」
ホシノはさっき考えていたことを話す。先生をとその別世界から取り上げたらその世界の結末がどうなるかわからないこと、
先生はこのキヴォトスを私たちに託してくれたからあとは私たちがやらないといけないんじゃ無いかと言うことを。
ミカ「確かに、先生がいなくなった世界ってどうなっちゃうんだろうね。」
ミカはそこまで考えていなかったようだ。口元にクリームをつけながら考えている。
ミカ「確かにその別世界には申し訳ないよね・・・。でも、」
ミカは食べ終わったクレープが入っていた紙の皿を握りつぶした。
ミカ「私は先生に会いたい。先生はたった一人で私を助けてくれて、お姫様扱いしてくれて、かっこよくて、ずっと一緒にいたいくらい大好きな人。」
そのミカの目には少し涙が溜まっていた。
ミカ「だから、何がなんでもまた会いたい!ホシノちゃんは違うの?」
急に話を振られて焦る。ミカは本気で先生のことが好きなようだ。
ホシノ「(本当に先生は、女たらしだなぁ。乙女の心を弄んだ罪は重いよ?先生)」
内心で少しディスりながらも語り始める。
ホシノ「おじさんもね、先生のことが大好きなんだ。私はね、アビドスのみんなにたくさん迷惑をかけて、それでも私の居場所になってくれたのが先生だったんだ。私が唯一頼れるたった一人の大人だよ。」
そういうとミカに向き直る
ホシノ「だからね、先生の人生はここで終わらせるべきだとも思うんだ。先生は私たち生徒のために心火を燃やして戦ってくれた。戦い抜いた。そんな先生をもう一度頼るなんて、あまりよく無いんじゃ無いかな?」
ホシノの言うことはごもっともだ。死んだ人間は2度と戻らない。戻ってはいけない。死んだならそれまでで、そこで終わらせるからこそたった一つの人生と言えるのでは無いだろうか。
それでもミカの心の中にはまだ、思いが残っていた。
ミカ「確かに、人は死んだらそれまでだよ。無限の命を持つなんてそんなの人として生きると言うことじゃ無いこともわかってるよ。でも、それでも、私は先生に会いたい。先生と笑って楽しく生きたあの日々も、この伝えることができなかった想いも、嘘偽りなんかじゃないんだから!」
ミカはミカの意思で先生に会いたいのだ。
ミカ「それに先生は私たちにたくさん幸せをくれたでしょ?先生は自分のことを後回しにして、私たちのことを第一に考えちゃうんだから。」
ミカは少しプンスコと怒っていた。
ミカ「私たちはそんな先生に何かあげれたっけ?私は先生にあげる幸せが足りなかったと思うよ。だから、もう一度先生にあって、先生にはちゃんと幸せになってほしいんだ⭐︎」
ミカはエヘヘと笑って見せた。その笑顔はとても明るかった。ノノミちゃんが持っている金色のクレジットカードよりも光っているように見えた。でもその眩しさには少しだけ見覚えがあった。
ホシノ「(ユメ先輩)」
ユメ先輩もいつも笑っていた。あの笑顔は目を瞑ってしまいたくなるほど眩しかった。でも、私はそんなユメ先輩に酷いことをしちゃった。だから今度は、私が幸せをあげよう。
そう心に誓うホシノだった。
ホシノ「うへ〜確かにそうだね。私も先生にあまり幸せをあげれなかったかなぁ。もう同じ過ちを繰り返さないために、もう後悔しないために、ミカちゃん私も先生に会いたい。もしも、先生に会いに行けるようになったら協力してくれる?」
ミカ「もちろん!」
ホシノとミカは互いの顔を見合わせた。この道が、人として理を外れることになったとしても、同じ過ちを繰り返さないために、もう後悔しなくて済むように、
ホシノ「(待ってて、先生)」
心火を燃やして、自分を貫く。
その3 揺らがない意思
ウタハが情報を確定した。先生は確かに並行世界へと向かう装置を作っていたと言うこと、先生が残した未完成のボトルの中にある先生の記憶が証拠だと言うこと。
〜連邦生徒会会議室〜
リン「…以上がミレニアムエンジニア部からの報告です。ウタハさんここまでに間違いはありますか?」
ウタハ「間違いはないよ。だけど一つ言いたいことがあるんだ。」
そう言うと、ウタハはホシノとミカの方を見た。
ウタハ「彼女らから、その話が聞けると思うよ。」
ホシノとミカが立ち上がった。ホシノとミカはもう覚悟を決めている。
ホシノ「さっきウタハちゃんが言っていた、先生が完成させた並行世界に行くことができる装置。それを使えば、別世界にいる先生と同一人物の人に会えるかもしれない。先生にもう一度会えるかもしれない。私たちは、先生に会いたい。」
ミカ「だから、この装置を使って別世界の先生をこっちに連れて来たいと思ってるんだ。」
会議室はざわついた。それはそうだろう、あの先生にもう一度会えるかもしれないのだから。
セイア「ちょっといいかい?それはもう一度先生を蘇らせると言うことだろうか?」
セイアが疑問の声を上げる
セイア「先生は一人の人間として、一人の先生として、私たち生徒のために命をかけてキヴォトスを守ったんだ。先生はその人生をそこで終わらせるつもりだったんじゃないのかい?それを私たちの”ただ会いたい”という一存で、一度亡くなっている人をもう一度呼び寄せるのはどうかと思うのだが…」
セイアが言っていることはごもっともだ。周囲の空気も、セイアの声に賛同する感じになって来ている。
ナギサ「私もセイアさんの意見に賛成です。先生はここまで何度も私たちの助けになってくれました。もうこれ以上私たちのために先生を戦わせたくはありません。また、命を削るようなことになってほしくはありません」
そう。亡者をもう一度この世に呼び出すのは、人としての理に反すると言うこと。人としての一線を超えてしまうと言うこと。
ヒナ「だいたい、その別世界の先生と同一人物の人に会ったとして、その人が私たちのことを知っていると思う?その人はあくまで別世界の人間でしょ?ここキヴォトスにきて私たちを助けてくれた、その先生じゃないはずよ。」
確信づいた質問だった。確かに別世界の先生は私たちキヴォトスのみんなにあった人じゃないかもしれない。つまり、私たちのことを知らないかもしれない。
カンナ「すみません。一つよろしいですか?」
ヴァルキューレ所属のカンナが手を挙げた。
カンナ「もしもその”先生と同一人物”に会うことができて、その人に先生の記憶が宿っていたとしても、その人を別世界から引き抜いたらその別世界はどうなるのかはわかっているのですか?」
別世界からその人を引き抜けばその世界の未来がどうなるのか、未来はわからない。だけどあまり良い結界にはならなそうだ。キヴォトスで英雄になれるほどの人を引き抜くのだ。
ただじゃ済まされないだろう。
ホシノ「正直、わからない。」
会議室がざわついた。別世界のことも考えると、やはり人を引き抜くのは違うだろうと、口々に話し始めた。でも、諦めるわけにはいかない。
ホシノ「おじさんは、以前、私の先輩に酷いことをしちゃったんだ。その先輩は誰よりも明るくて優しくて、いい先輩だったんだよ。でも私は、その先輩の幸せを壊しちゃったんだ。
何もしてあげることができなかった私は、すごく後悔した。」
ユメ先輩との日々を思い出す。ユメ先輩はドジでノロマでいつも馬鹿を見ていた。でもいつも、私のために頑張っていてくれた。あの時のように後悔したくない、だから自分を貫く。
もう一度先生に会って、先生に幸せをもらうんじゃなくて、今度は私が先生に幸せをあげたい。その想いが溢れ出した。
ホシノ「先生は私たち生徒にたくさんの幸せをくれた。だけど先生は?私たちは先生に何かをあげることができたかな?」
その言葉に生徒たちが反応する。
ホシノ「私は先生に溢れそうなほどに幸せをもらった。だけど先生に何もあげれなかったと思う。だから、もう一度先生に会って、今度はもらうんじゃなくて、あげたい。先生に幸せをあげたい!」
ミカ「私もトリニティで、何度も先生に助けられた。いろんな人を騙した私は、罪を背負って生きるべきだって思ってた・・・。どれだけ”魔女”と呼ばれようとしかたないと思った。
だけど先生は違った!」
ミカの中に先生との思い出が溢れ出す。
ミカ「先生は、私のことをただ”一人の生徒”としてみてくれていた。”魔女”なんかじゃないって言ってくれた。”お姫様だ”って先生が言ってくれた!こんな罪人の私にそんなことを言ってくれるのは、先生しかいなかった!」
ナギサ「ミカさん・・・」
ミカ「だから、先生にお礼を言いたい!先生を幸せにしたい!だから、お願い!みんなの力を貸して!!」
会議室がシーンとなった。これが独りよがりな主張だと言うことはわかっている。だけど、ここで引きたくない。その沈黙を破ったのはリンだった。
リン「ここで一度意見をまとめましょう。まずミカさん、ホシノさんはこの先生が研究した装置で別世界の先生と”同一人物の人”に会い、先生をここに呼び、もう一度一緒に暮らすと言うものです。反対意見として、先生は亡くなったためこのまま人として人生を終わらせるべき、先生を引き抜いた世界の未来がどうなるか予測不可能、と言う意見が出ました。」
リンが淡々と進める。
リン「私は連邦生徒会の行政官ですし、この場の立場上、あまり主張はするべきではないのですが…、私も先生には恩があります。先生が亡くなったのはあの戦闘により消滅したと言うのも一つの原因でしょう、しかしそれだけでしょうか?もしも先生があの場で戦っていなくても、余命はあと1ヶ月程度しかなかったと言っていましたよね?」
どっちなのだろう。リン行政官は真面目であまり理想を掲げるようなことをしない。と言うことはやはり反対なのだろうか。
リン「先生は元から、私たちを助けるために命を削り続けていました。それも私たちの知らないところで。それなのに…、先生の人生はこんな終わりで本当に良かったのでしょうか?」
先生は確かに生徒のことを何よりも大切に思っている。本人も、生徒のために死ねるなら本望と思っていてもおかしくはない。だけど、先生は”死にたい”と本当に思っていたのだろうか。
リン「先生は、もっと生きていたかったのではないでしょうか?私たちとの思い出や、たくさんの体験を大切にして来たあの人は、決してここで命を落とすべきではないのではないでしょうか!?」
リンの目からはいつの間にか一滴の涙がこぼれていた。
リン「私も、もう一度あの人に……”リンちゃん”と呼ばれたいです…!」
リンも耐えきれず涙が溢れ出してきた。先生の損失は生徒達にとって大きな衝撃となっていたのだ。先生の話題を出すだけで、みんなの心はずっと揺らいでしまうほどに…。
ヒナ「でもやっぱり、現実的じゃないわ。その人は別世界の人なのだから、”先生”とは違う・・・。私だって、先生にもっと甘えたい、頭を撫でてほしい・・・」
ヒナも本当は先生に甘えたくて、戯れあいたくて、褒めてほしくて、でも現実から逃げることはできない。
側から見たら先生はとんだ女たらしに聞こえるだろうが、その通りだ。
セイア「はぁ、ミカなら言っても聞かないだろう。」
セイアは両手を上げやれやれと首を振っている。そんなセイアだって先生のことが好きなのだ。
セイア「ミカ、やるならやるで覚悟を決める必要があるよ。なんせ別世界から人を一人拉致することになるのだから、本来は犯罪と同じことだよ。それでもやるのかい?」
ミカ「・・・!。うん!もちろん覚悟はできているよ!」
会議室の中がその意見に賛同する色で満たされていった。
リン「異論はありますか?満場一致ということでよろしいですね?」
会議室にいる各代表が頷く。
リン「わかりました。ではこれにてこの議題は、”先生を取り戻す”と言う結論で決まりました。みなさん、覚悟はいいですね?」
みんなが各々の想いを胸に真剣な眼差しをリンに向ける。先生を取り戻す。やるべきことは決まった。
その4 先生を迎えるのは誰か
先生に帰って来て欲しい、みんなの思いは同じだった。
リン「ではまず、先生が開発した別世界に行くための装置についてです。ウタハさんは先生の記憶をみたのですよね?こちらは、どこにありますか?」
ウタハ「・・・シャーレにある、先生の隠し部屋。セキュリティールームといったところかな。先生をストーカーしている生徒は何人かいるとは思うけど、その生徒すら知っているか怪しいものだったよ。」
〜別の場所〜
ワカモ「うっ!少し寒気がしましたわ・・・。誰かが私に対して悪口を言ったような感覚…」
〜連邦生徒会会議室〜
リン「わかりました。ではそれを使わせていただくとしましょう。次にヒナさんが言っていた、別世界の先生はあくまで同一人物であって、私たちが一緒にいた”先生”とは別物ということです。」
問題はここだ。先生に会ってもう一度あの青春の日々を送ろうにも、その人が”先生”出なくちゃ意味がない。
セイア「・・・!一ついいかい?」
セイアが何か閃いたように立ち上がった。
セイア「もしかして、その先生の記憶や生体情報諸々が入っているボトルからその情報を取り出して、先生に埋め込むことは可能かい?」
すごく無理矢理な方法だ。でもこの方法が可能なら”先生”が戻ってくる可能性は高い。
ウタハ「だが、データ化したものをもう一度生命に宿るものとして作り変えるのは、難しい。」
確かにそうだ。生体にあった記憶をデータ化するのはできても、データ化したものを元の生命に宿るものに戻すことはできないだろう。それは、生命体というものを作った”神”の所業だ。
感情というものを作るのと対して変わらない。再び行き詰まってしまった。
カンナ「大丈夫でしょうか、その人に先生の記憶を無理矢理埋め込んだら、その人の人格が崩壊したりとか、そのようなリスクがあると思うのですが…」
方法を見つけたと思ったら難しく、リスク付き。元からこんな簡単に行くとは思ってはいなかったが、それでもこのレベルとは・・・。ホシノ必死に考えた。
ホシノ「(先生の記憶を機械づてで埋め込むにはリスクがある。安全に先生の体に記憶を埋め込むには・・・。)」
頭をひねる。こういう時”先生”だったらどうするかな・・・。そう考えていた。すると一つ思い出す。
ホシノ「先生が使っていた大人のカード!!」
そう、先生の使っていた大人のカードには奇跡を生み出すという不思議な力があった。私たちはそれに何度も助けられた。その代償に先生は寿命を削ることになったが、
きっと、こういう時にこういう使い方をするのだろう。
ミカ「あっ!先生の大人のカードが使えるなら奇跡を起こせるかもしれない!」
使えたらの話だ。これは先生以外には使えない。”大人のカード”は生徒には扱えないのだ。
ユウカ「でも、それを使えるのは大人である先生だけのはずでは?」
ミカ「そ、そうだった・・・」
一瞬にしてミカが、輝きに満ちた顔からしょんぼりとした顔になってしまった。だがあとちょっとで、辿り着きそうだ。
ナギサ「あとは、先生とこの大人のカードが答えてくれるかと言ったところでしょうか・・・」
セイア「これはもう行って試すしかないね」
リン「先生が記憶を取り戻せるかは、とりあえず今は保留としましょう。次に、誰がその別世界に行くかです。」
そう言った瞬間生徒全員の目が光った。
ユウカ「わ、私が行きます!」
ナギサ「いえ、ティーパーティであるこの私が!」
セイア「・・・(汗)」
ヒナ「わた、私も行きたい。」
みんな先生を迎えに行く役割をやりたいようだ。やはり先生は罪深い女たらしな男だ。生徒達の上げる手が一向に下がらない。そのうち言い合いになってしまった。
ナギサ「いいえ!あなたじゃなくて私が行くべきです!セイアさんもなにかいってください!」
セイア「巻き込まないでくれるかな?」
ユウカ「私だって行きたいのに・・・な、何後ろでニヤニヤ笑ってるのよノア!!」
ノア「ふふっ♪ユウカちゃん先生にすごく会いたいんですね♪」
一部では戦争が起きそうな雰囲気になっているが、一部ではほんわかした雰囲気になっている。ここまで女たらしだとこのあと苦労しそうだ。そんな空間が一つの声によって変わった。
ホシノ「おじさんが行くよ。」
ホシノが手を挙げて言った。生徒たちが一気にホシノに注目する。
ホシノ「元はと言えば、これを言い出したのはおじさんだからねぇ、先生だったら最後まで責任持って自分で成し遂げると思うし、おじさんが責任持ってやり通すよ。」
確かに筋は通っている。しかしそこにもう一人切り出した。
ミカ「待って待ってホシノちゃん!それを言うんだったら私も行きたい!!協力するって約束したじゃんホシノちゃん!一人はダメ!私もついていく!!」
ナギサ「ミカさん、お行儀が悪いですよ。」
ナギサがミカを宥めようとする。しかし、ミカの暴走は止まらない。
ミカ「ヤダヤダヤダヤダ!行くったら行くもん!!」
駄々を捏ね始めた。お姫様はやはりわがままらしい。
ホシノ「わかったよ、ミカちゃん。行くなら二人でいこう。」
ミカ「ヤッタァ⭐︎」
駄々を捏ねていたミカが一気に元気になる。単純でわがままなお嬢様だ。
リン「みなさん、こちらの二人に任せますか?」
ナギサ「本気ですか!?ミカさんに任せるのは危険では!?」
ミカ「うわああぁぁ、なんでぇぇぇぇ!!」
超間接的にミカをディスるナギサだった。それに応えるようにミカはコユキ化した。
ヒナ「だけどまぁ、小鳥遊ホシノがいるならまだ信じられるわ。あなたはたくさん過ちを犯したけど、その分その時より成長しているはずよ。今のあなたなら、きっと大丈夫じゃないかしら。」
ミカはともかくホシノはお墨付きをもらった。それもゲヘナ最強の風紀委員長に。
リン「決まりですね。では、小鳥遊ホシノさん、聖園ミカさん、先生をどうかお願いします。」
ホシノ「うん。おじさんに任せて。」
ミカ「じゃ、準備していこっか⭐︎」
ホシノ「(先生、今会いに行くよ)」
その5 向こうへ
〜DU地区広場〜
あの会議から数日、大勢の生徒たちがここに集まっている。今日は先生のところへ行く日だ。みんな、心待ちにしているのだ、先生が帰ってくるのを。準備はできている。
ホシノ「これが、別世界に行くための装置?」
ミカ「先生が、これを作ったんだ・・・」
そこには大きな台とその周りに小型の発電機があった。別世界に行くという偉業を成すのだ。これくらいやらないと無理だろう。
ウタハ「二人とも準備はできたよ。テストもしたし、予備発電機も予備バッテリーもある。これだけあれば余裕だよ。」
ミカ「ありがとう!ウタハちゃん!」
二人はお礼を言った。先生を連れて帰ってくるのにどれだけの時間がいるかわからない。だけど、やるしかない。二人は覚悟を決める。すると観覧席から声が聞こえた。
ノノミ「ホシノ先輩!頑張ってくださーい!」
シロコ「絶対先生を連れて帰ってきてね。」
セリカ「無事に帰って来なさいよ?ホシノ先輩」
アヤネ「先生をお願いします!」
アビドスのメンバーだ。わざわざ送りに来てくれたのだ。
ホシノ「うへ〜頑張ってくるよ〜。先生のことはおじさんに任せて。」
そう言うとホシノはいつものショットガンと盾と、先生が使っていたもの一式(大人のカードと変身アイテム全てと未完成のボトル)が入ったリュックを背負う
セイア「ミカ、くれぐれも無理はしないことだよ。」
ナギサ「ミカさん、先生のことをよろしくお願いしますね。」
ミカ「うん、行ってくる!」
こちらも準備はできている。ミカとホシノは互いを見て、頷いた。
ウタハ「それじゃゲートを展開するよ。」
そう言うと目の前に台風の目のような裂け目が出てきた。
リン「二人とも、ご武運を・・・。」
ホシノ「うん、行ってくるよ。」
リン「それと、先生を連れて帰ってくるまでに10時間を過ぎましたら、こちらから増援を複数名派遣いたしますので、よろしくお願いします。」
ミカ「任せて⭐︎」
二人は裂け目の目の前に立つ。二人はその裂け目へと一歩一歩と近づき、その裂け目に飲み込まれていった。
リン「どうか先生を…お願いします。」
〜別世界の日本〜
生徒達「「「起立!礼!ありがとうございました!」」」
先生「お疲れ様〜。」
ここは日本。世界の中でもかなり平和で、そこそこ自由な国だ。そんな日本にある一つの小さな塾に”その人”はいた。
生徒A「先生!この問題がわからなくて…」
先生「どれ?えーとねここはこの公式を使って…。」
生徒A「あ、それを使うんですか!?盲点でした…。ありがとうございます。」
先生「大丈夫だよ。お疲れ様。」
先生の周りに生徒達が群がっている。
生徒B「先生先生!私も私も!」
生徒C「ちょ、私が先だって!」
先生「みんな聞いてあげるから、順番にね?」
生徒達「はーい!」
この世界でも先生は相変わらず女たらしのようだ。そうして先生は生徒達の質問に答え、仕事を終わらせた。
先生「さて、残業ももう1時間だし、そろそろ帰るか。」
先輩「よう〇〇!このあと飲みにいかねぇ?今日は比較的に早めに仕事終わったしよ。」
先輩が肩を組んできた。
先生「すみません。今日は早めに帰らないといけない用事があって…」
先輩「えぇ!?もしかして彼女!?同棲してるのか〇〇!」
とんでもない勘違いだ。早く帰らないといけないの一番最初に出てくる理由がそれとは…。
先生「違いますよ。俺彼女いたことないですし、」
先輩「なんだよつまんねぇなぁ。〇〇そろそろ28だろ?結婚とかの以前に彼女いないて、流石にまずいぞ?」
とんだおせっかいだ。彼女を作ったらその彼女を一人にし続けてしまいそうで嫌だから作りたくないのに…。
先生「それもそうですね、マチアプでも使って探してみますか。」
先輩「合コンとか企画されたら誘うからよ、予定空いてたら行こうぜ。」
先生「先輩は彼女いるでしょう。」
先輩「冗談だって(笑)」
そう言って笑い合う。この先輩は悪い人ではないが、ただ少しヤンチャというか、遊び気があるというか、まぁそんな感じだ。俺はこんな日々をずっと過ごしていくんだろうな。
その6 しつこい花が二輪
今日は早く仕事が終わった。こういう日はいつものんびりできない分早く帰ってベットで寝よう。ただでさえ睡眠不足なのだ。ここで休めずにどこで休めるんだ?
先生は、電車に乗り帰宅した。家に着く前にコンビニで買い物をする。今日の晩御飯と缶ビールを買った。疲れていて体がまともに動かない。塾講師になってからというもの、料理なんて滅多にしない。
そんな時間あるわけがない。生徒達のために睡眠時間を割き、働く仕事だ。楽なはずがない。それでもこの仕事に就いたのには理由があった。子供の頃に見た、学園もののアニメ。
そこに出てくる先生はいつも生徒達の相談に乗り、優しく接していた。時に生徒達に降りかかってくるトラブルを颯爽と現れた先生が解決していくのだ。その姿にただ憧れた。
先生「俺、本当に何やってるんだろうな。」
しかし現実は違っていた。生徒達には頼られても、あのアニメのようなかっこいいヒーローみたいな先生にはなれない。そもそもこんな平和な日本でそんな大層な事件が起こるはずもない。
先生「いや、後悔するな。この道を選んだことを。その先に何かあるって絶対に信じているから、今こうやって生徒に慕われているんだ。このままでいい。」
言い聞かせるようにそう言った。その日は家で一人で寝てしまった。
翌日、今日は今週最後の授業。なんて言ったって、今日は金曜日だ。塾講師にしては珍しい週休2日だ、存分に楽しまなくては。そう思いながら先生はウッキウキで塾へ向かう。
塾につくと先輩が先に来ていた。
先輩「おぉ!〇〇明日から休みだぞ!気が楽だよなぁ。」
先生「ですね、でも先輩今日授業あるのに昨日飲もうとしてたんですか?」
先輩「・・・てへぺろ☆」
先生「かわいこぶっても無駄ですよ・・・(汗)」
少々呆れた。二日酔いでもしたらどうするつもりだったんだろうか。とりあえず今日頑張ればあとは楽だ。先生は今日の授業を始めるのだった。午前の授業が終わり昼飯時になっていた。
先生は肩を回しながら昼食を食べに外に出て、近くのうどん屋で昼食を済ませる。異様に今日は日差しが強い。ここのところ最近は曇りが多かった。久しぶりに太陽が極端に眩しいと感じた。
鬱陶しく思えて、そこし空を見てみる。
先生「・・・なんだあれ」
そこには太陽があると思っていた。いや太陽は確かにあった。だがそれよりもこちら側に、空間が切り裂かれたかのような”裂け目”?のようなものがあった。非現実的だ。
先生「・・・!」
その裂け目の中から人が出てきた。それも二人。空の裂け目から女の子が二人落ちてきたのだ。
???「うわああぁぁ!」
??「ホシノちゃん!捕まって!!」
一人の女の子が腰についている翼を展開して上空にとどまる。翼だと?なぜそんなものがついている?コスプレか?いや、コスプレの羽根だったら飛ぶことなんてできなかろうが。先生は猛烈に混乱している。
ミカ「ふぅ、危なかった・・・」
ホシノ「うへ〜ありがとうミカちゃん」
二人の女の子は上空に浮かんだまま喋っていた。かなり目立っていたため、周囲の民間人からも注目されていた。その二人はようやく状況を理解したのか周りを見回した。
ミカ「うーん・・・!」
翼の生えた女の子と目が合った。その女の子はこちらを見た後に笑顔になった。二人はゆっくりとこちらに降りてくる。・・・え?こっちにくる?なんで?
ホシノ「あれ?あれって・・・!」
翼が生えてない女の子も私の方に気がついたようだ。なんなんだ?一体。二人は私の目の前でふわりと着地した。羽が生えてる人間なんて見たことがない。
それはまるでおとぎ話の中の天使のようなものだった。もう一人の方は見てわかる学生服を着ていた。その二人の女の子は私を見るとなんとも懐かしいものを見るような優しい目になった。
翼の生えた女の子の方が先に口を開いた。
ミカ「あはっ⭐︎久しぶり!先生」
ホシノ「うへ〜久しぶり、先生」
先生「・・・・・・え?」
二人は間違いなく俺に向かって俺のことを”先生”と呼んだ。俺の記憶にこの二人を育てた覚えはないのだが、というか天使を育てた人間なんて一人もいないだろう。動揺を隠せない。
ミカ「迎えにきたよ、先生?」
なんなんだこの状況、意味がわからない。その女の子達は私に向かって手を差し出してきた。何が起きているのだろう。理解しようとしてもどうにも処理ができなかった。頭が痛い。
先生「…なんなんだ、お前達は?」
ただでさえ状況に混乱している頭で考えても意味がなかった。痛みに耐えながら発したからだろうか、少し語気が強まった。
ミカ「あ、ご、ごめんなさい先生。」
ホシノ「…やっぱりみんなの予想通りだね、私たちの”先生”とは違うんだと思う。」
何を言っているのだろうか、さっぱりわからない。二人の女の子は目に見えてショックを受けていた。もう一度記憶を辿ってみる。頭が痛い、だけどもしこの子たちを私が育てたのなら、
生徒のことを二人も忘れていることになる。そうすれば教師失格だ。
先生「・・・」
やっぱり記憶にない。翼が生えた少女なんて育てたことがない。翼が生えてなくてもこんなかわいいお姫様みたいな二人の女の子を育てた記憶すらない。
ホシノ「先生〜、今日これからどこいくの?」
先生「どこって、仕事だよ。近くの塾の先生をしているんだけど、だから行かないといけないから離してくれる?」
その瞬間その二人は驚いたように顔を見合わせた。
ミカ「やっぱ、先生は先生なんだね。」
先生「本当に、昼休憩も終わるから早く戻らないといけないんだ。マジで離してくれ」
そういうと二人は慌てて手を離して「あはは」と誤魔化した。なんなんだこの子達は。初対面にしてはかなり馴れ馴れしいぞ。俺は、二人を一瞥し、
先生「じゃ、」
一言だけ言って、塾に戻ろうとした。そしたら後ろから同じ声で話しかけられた。
ミカ「ねぇ、先生?塾ってお試し見たいのあるでしょ?先生の授業受けに行っていい?」
先生「は?」
心の底から驚いた結果、出た最初の言葉がこれだった。女の子を怖がらせるのは不本意なのだが、自然な反応だろう。
先生「予約をしてないんだろ?ダメにきまっt」
〜塾〜
先生「はぁ・・・」
戻ろうとしたら、二人が勝手についてきやがった。予約とか諸々を済ませた後に日にちを決めて体験授業をするのだが、この子達は今すぐに授業を受けるつもりだ。・・・嘘でしょ?
その7 存在しない記憶
先生「じゃあこの教室で待ってろ!」
そう言って先生は二人を今の時間で使わない教室へと案内した。二人を待たせている間に職員スペースにいる先輩に相談しに行く。
先生「先輩!すいません今日ってもう授業ないっすよね?」
先輩「ん?ないぞ!どした?」
先生「すんません、急遽体験学習をしたいって子が二人きまして、その子達のために話をしようと思うんですけど、その間の俺の授業変われたりしますか?」
先輩「まじ!?急遽体験学生?いやぁうちも有名になったもんだねぇ。」
そういうわけじゃないんだが、まぁ面倒くさいしそういうことにしておこう。
先輩「いいぞ!だけど今度どっかの居酒屋に強制連行させてもらうからな!」
先生「まぁ、その後に予定がない日にお願いしますね。本当にありがとうございます!」
先輩「おう!お前も頑張れよー!」
なんとかなった。先輩は本当に器が広い、この塾の中でもかなりエリートな方だ。本当にいつまでも頼れる先輩だ。さて、次は、
先生「お待たせ、それで、なんなんだお前らは」
そう言って先生は、二人と向かい合うような形で目の前に座る。
ミカ「先生は、私たちのことを覚えてないの?」
先生「は?」
やっぱり以前育てた生徒だろうか。でも全くもって身に覚えがない。さっきからずっと記憶を辿っているが、全く見つからないのに何度も同じようなことを聞かれ少しイライラしてきた。
俺は「全く記憶にない」と返そうとした。
先生「全く記憶、に・・・・・・・・!」
その瞬間、頭に何かが流れ込んできた。
先生「ぐ、あ・・・!」
ホシノ&ミカ「「先生!」」
頭がガンガンする。なんだ?視界に見たことのない景色が浮かんできた。いや、頭の中に流れ込んできた何かが俺にそれを見せているのだろうか。こことは違う場所で、銃撃戦をする風景、
生徒達を指揮する風景、そして、目の前にいる二人の顔と名前が浮かんできた。
先生「ミカ・・・ホシノ?」
その言葉だけが口から出た。それを聞いた二人は驚いた顔で身を見開いた。
ミカ「先生、今、私たちの名前を・・・」
ホシノ「言ってくれた…よね?」
先生の頭痛が少し引いた。口に出したからだろうか。これは二人の名前か?だがなんでそんなのを知っているのだろうか。
ミカ「せん、せ・・・うわあぁぁん!」
ホシノ「せ、んせ・・・うへ、ひぐっ、」
二人が急に泣き出した。さっきまで二人が俺の背中をさする形だったのに、一瞬にして立場が逆転した。かなりカオスだ。俺は二人の背中をさする。
ミカ「ぐすっぐすん…」
ホシノ「ぐすっ、うへぇ」
二人はようやく泣き止んだ。正直もう何が何だかわからない。脳の中に流れ込んできたものについても、俺が二人の名前が浮かんだのも、訳がわからない。
先生「正直、驚いたよ。俺が君ら二人の名前を言い当てたのも、君ら二人が急に泣き出したのも、」
ミカ「えへへ、」
ホシノ「うへ〜、ごめんね先生」
二人の瞼に若干涙の跡がついている。
先生「だが、やっぱり名前を言い当てただけで、君たちとの記憶がある訳じゃない。」
ホシノ「うへーやっぱりそうだよねぇ。」
あくまで二人の名前が勝手に脳に浮かんできただけだ。それが何よりもおかしい。
先生「その感じからして、二人はやっぱり俺のことを知っているのか?」
ミカ「知ってるっていうか・・・」
ホシノ「これを説明するにはかなり長い話になるけど、聞く?」
正直すごく面倒くさい。ただでさえあれだけ頭痛に悩まされたのにまた頭痛を感じることになるのか…。正直すごくやだ。だが、聞かないことには話は進まない。
先生「仕方ない、聞こう。」
ミカ「OK〜⭐︎ホシノちゃんよろしく!」
ホシノ「うへ!?おじさんに全振り!?しょうがないなぁ」
そう言ってホシノという少女が話し始めた。二人が別の世界から来たこと、俺がキヴォトスという場所で生徒達の危機を先生として仮面ライダービルドとしてみんなの救ったということ、
先生は生徒達のために戦って死んだこと、俺がその”先生”と同一人物で、”先生”の記憶を呼び起こせる可能性があるということ。まるでアニメや漫画の中のお話だった。
だがそれらを、さっきの頭痛が本当だと訴えかけている。
先生「なるほどな。なんとなく理解した。」
ミカ「先生、信じてくれるの?」
先生「いや、信じた訳じゃない。」
ミカ「うあああぁぁなんでぇぇ!」
ミカがコユキ化した。先生からしたらどこかで聞いた、ような懐かしいような、そんな感じがした。
先生「ただ、」
ホシノ「ただ?」
先生「俺が君たちの言う”先生”だったとしたら、俺はみんなのヒーローみたいな存在なのか?」
ミカ「先生は先生だけど、確かにヒーローとか英雄に見えるよね⭐︎」
子供の頃を思い出す。あれだけヒーローに憧れた時のことを。今も憧れている、命をかけて大切なものを守ろうとするヒーローに、、、
先生「俺が本当にその”先生”なら、どれだけ良かったかな…。君が持っているそのライダーシステムを使って戦っていたなんて、ちょっとロマンを感じるね。(目がキラーン)」
ホシノ「・・・?先生?」
先生「いや、独り言だ。気にするな」
この子達が言っているその話が、本当だったら、俺は・・・。
その8 絶対に助ける
二人から話を聞き、頭を整理し、信じるか信じないか考えていたその時だった。
[ドカーン!!!]
外から爆音が響いた。大地震が起きたかのような振動に三人は驚いていた。
先生「な、なんだったんだ今の。」
ホシノ「まさか!」
ミカ「ホシノちゃん!」
ホシノとミカが急に立ち上がって武器を取り出す。
ホシノ「先生きて!」
先生「え、ちょっ!」
手を掴まれそのまま外に連れて行かれた。手を引かれたまま近くの交差点のところまできた。その交差点の中心は土煙に包めれ、その周りには人だかりがいた。
先生「一体何が、、、」
ミカ「あれって確か、」
ホシノ「うん、間違いない。先生を殺した、あいつだ。」
二人にはわかるようだ。あの土煙の中にいる一人の人間について。
???「・・・」
土煙が晴れた。そいつは赤黒い何かに包まれていた。詳しくはわからないが、とても悍ましいなにかを感じた。
???「殲滅対象発見。処刑します。」
そいつはこっちを向き指を指してきた。その指に悍ましいエネルギーが集まり、一つの玉となった。
先生「まずい・・・」
直感でわかる。あれの危険性を。”先生”は前に一度あれを食らっているのだろうか、あれの痛みを思い出してすごく怖い。
[バン!]
その玉が放たれた。無理だ、避けれない。
ミカ「先生!」
ミカが俺の襟を掴んで避けてくれた。
先生「た、助かった、ありがとう」
ミカ「大丈夫?先生は、後ろに下がってて、あれは私たちでやるから」
ホシノ「あいつの攻撃は前に何度も見た。多分大丈夫。」
二人は銃を構える。周りにいた人たちはいつの間にか避難していた。まだスマホをかざし撮影しようとするバカもいるが・・・。
二人は戦闘を開始した。ミカは器用に攻撃を避けながら奴の注意を引いている。ホシノは盾をうまく使い奴に接近する。
ホシノ「今!ミカちゃん!」
ミカが乱射し始めた。あいつはミカの乱射絡みを守るために、悍ましいエネルギーを集中させて構築した盾に隠れる。
ミカ「ホシノちゃん!!」
あいつは今盾を生成するのに両手を使っている。私の攻撃を防ぐことはできない。
ホシノ「取った・・・」
ホシノはショットガンを乱射する。
ホシノ「は?」
ショットガンの弾丸があいつに届く前に途中で止まった。あいつの中に悍ましいエネルギーが集まっている。
先生「・・・!危ない!離れろ!」
その瞬間、あいつに集まったエネルギーが周囲一体を爆発した。
ホシノ「ぐっ!!」
ミカ「きゃあぁ!」
二人は俺の方へ吹っ飛ばされてきた。思わず駆け寄る。
先生「大丈夫か!?」
ホシノ「私はなんとか盾で守れたよ。」
ミカ「いててて、えへへ…」
ホシノはかすり傷で済んだが、ミカの方は思いっきり近くで喰らっていた。ミカの額から血が出ている。制服もボロボロだ。たった一撃でこの有様になるとは。それでも二人は立ち上がった。
先生「無茶だ!あんな奴に勝てるはずがない!弾丸だって通らなかったろ!?」
ホシノ「うん、だけど、だけどね」
ミカ「そう、私たちは、」
ホシノ&ミカ「心火を燃やさないといけないの(んだよ)!!」
なんだ、この感覚。今絶対に思い出さないといけないようなことがある気がする。あの二人はなんであんなにボロボロになっても戦うのか?勝てる気なんてさらさらないとわかっているはずなのに。
ミカ「はああぁぁぁ!」
さっきみたいに避けながら乱射する。
ホシノ「ミカちゃん打つのをやめないで!こいつにだって色々限界があるはずだよ!それまで耐えよう!」
持久戦に持ち込むつもりだ。でもそれはそれでかなり不利だ。あいつはさっきっから一歩も動いていない。一歩も動いていないのにあの強さ、持久戦に持ち込んでも不利なのは変わらない。
ミカ「ひゃあぁぁ!」
ホシノ「ミk、あああぁぁぁ!」
だめだ。勝てない。もうすでに二人はボロボロだ。
先生「くっそ、”先生”!!俺の中にいるのか!?いるなら出てきてくれ!あの子達を助けろよ!先生なんだろ!仮面ライダーなんだろ!なら俺に、力をくれよおおおぉぉ!!」
あいつが動いた。横たわっているホシノに対してあいつはエネルギー玉を構える。
先生「やめろおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
死なせたくない。目の前で、死んでほしくない。これ以上傷ついてほしくない。助けたい。俺はホシノに手を伸ばす。この距離を一瞬で移動できるほど強くはない。間に合わ・・・
その9 正義のヒーローの復活
確かに俺はあの距離を一息で潰すことはできない。あいつを止められない。その時だった。
[デュラララララ!]
誰もいなかった方向から弾丸が飛んできた。その弾丸によって、ホシノの息の根を止めようとしたあいつを阻止することができた。先生は弾丸が飛んできた方向を見る。
ヒナ「久しぶりね、先生」
そこには大きなLMGを持った黒制服に身を包んだ少女が立っていた。いや、それだけじゃない。その後ろから何人も銃を抱えた女の子たちが現れた。
先生「君たちは・・・。」
ヒナ「うん、知ってる。私たちのことを覚えてないんでしょう?」
そこまで知っているとは・・・。
ホシノとミカの援軍に来たのは、ヒナ、アコ、ユウカ、アリスだった。
アコ「全く先生には手間ばかりかけさせられますね。」
ヒナ「アコうるさい。」
ユウカ「先生は隠れていてください。危険ですから!」
アリス「アリス、頑張ります!」
そう言って五人はあいつの方へと歩いて行った。
先生「(無理だ。あいつには勝てない。・・・またあの二人みたいにみんなが傷ついてしまう!なんとかしないと・・・!大人である俺が、みんなを守れよ!)」
それでも先生に戦う手段はなかった。否、思いつかなかった。
先生「(考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ!!)」
二人の話を思い出す。そういえばあの二人は”先生”は仮面ライダービルドに変身して戦っていると言っていた。
先生「・・・!」
ホシノが持ってきていた、”先生”が使っていたもの。ホシノの置いてあるカバンからはみ出していた。その中に一枚のカードがあった。ホシノ曰く、奇跡を起こすことができるカードらしい。
先生「もし、本当にこれが奇跡を起こせるのであれば・・・。」
そう言ってその大人のカードを掲げる。
先生「頼む、答えてくれ”先生”!!」
そうすると大人のカードから眩しい光が出てきた。思わず俺は、目を瞑る。
〜意識上の世界〜
先生「・・・!」
目を開くとそこには白い空間が広がっていた。そしてその空間に一人、見覚えがある人物がいた。間違いない、その人は俺自身だった。だが俺には、それが”先生”だとわかった。
先生「あんたがキヴォトスを救って英雄になった”シャーレの先生”か?」
”先生”「大袈裟だなぁ。確かにあの子たちは救ったけど、当たり前のことをしただけだよ。だって私は先生だからね。」
一人称が俺ではなく私だった。俺とは似ても少し違うのだろう。
先生「あんたは、信じられるのか?その先にある未来が絶対に生徒たちの笑顔を作ることができる世界だと、」
”先生”「信じてるよ。生徒を信じない先生なんて、そんなの先生じゃないよ。」
”先生”はそう言ってのけた。こんなに”先生”はすごいのか。
先生「そうか、なら、俺の体をあんたに託す。そして、俺に見せてくれ。その先の未来で生徒たちと笑って暮らせる世界を作れると。」
俺にはできそうにない。生徒を少しでも疑ってしまった俺には。でもキヴォトスを救った”シャーレの先生”なら、あの子達を救える。だからこの体を託す。
先生は手をかざした。”先生”はそれに答えるようにその手に自分の手を重ねる。その瞬間その空間が光に包まれた。
〜現実〜
ヒナ「うっ…強い。」
アコ「ヒナ委員長!大丈夫ですか!?」
ヒナ「えぇなんとか。」
あいつに立ち向かった五人とホシノとミカはかなりボロボロだ。
ホシノ「うへ、近距離で乱射しても当たらないし、傷一つつけられないなんて…」
ミカ「どうすれば・・・」
正直もうお手上げだった。こんなやつと今まで戦ったことがない。あいつは両手をあげ、その上に巨大な悪意に満ちた巨大エネルギー爆弾を作り出した。
ユウカ「…!まずい!」
アリス「アリス、もう限界です。」
アリスがへたり込む。全員、体力の限界だった。
ホシノ「もう、無理・・・」
そう言って目を閉じようとした瞬間だった。
『バキバキバキバキバッキーン!!』
聞き覚えのある音声と共にあいつが氷結で凍らされていた。あいつが作り出した巨大エネルギー玉はあいつが凍ったことにより消失した。
ミカ「これって、氷?」
だけどなんで急にあいつが凍ったのだろう。一体何が起きた?その時、後ろから足音が聞こえた。後ろを振り返るとそこには”先生”がいた。
先生「大丈夫かい?みんな」
先生だ。あのシャーレの先生が帰ってきた。
先生「私がいなくて寂しかったかい?」
ホシノ「せ、んせ、い?」
先生がみんなを一瞥する。
先生「自意識過剰な正義のヒーローの復活だ!」
そういう先生の手には未完成だったはずのボトルが握られていた。だが、色が何もなかったはずのそのボトルには色がつき、ジーニアスボトルと変化していた。
ユウカ「先生・・・!」
ヒナ「記憶が戻ったのね。」
みんなが安堵した顔になった。
ミカ「本当に、もう、遅いよ先生!」
そういうミカの目には涙が滲んでいた。
先生「さて、実験を始めようか」
そう言って、先生はジーニアスボトルのボタンを押す。
『グレート!オールイェイ!』
先生はジーニアスボトルをビルドドライバーに装填し、取っ手を回す。
『ジーニアス!イェイ!イーイ!イェイ!イーイ』
先生の周りにライダースーツが構築されていく。
『Are You Ready?』
先生「変身!」
『完全無欠のボトルヤロー!ビルド、ジーニアス!スゲーイ!モノスゲーイ!」
仮面ライダービルド、ジーニアスフォームに変身完了。
先生「心火を燃やしてぶっ潰す!」
その10 ジーニアス
先生の新しい姿だ。全身が基本的に白のアーマーで覆われていて、各部位に先生が今まで作ってきたボトルがついていた。これが完全無欠のボトルヤローだ。
[ピシッピシッ!]
あいつを凍らせていた氷にヒビが入って割れた。
[バッキーン!!]
そこから出てきたあいつはさっきよりも悪意のオーラが増していた。でもなんだろう、負ける気がしない。
先生「お前が傷つけてきたのは、未来を背負った私の生徒たちだ。その罪を認めて・・・覚悟決めろよ?」
先生のアーマーについていたボトルのたちが、アーマーから外れ、先生を囲むように宙に浮く。
???「・・・!」
あいつが動き出した。あいつの中に溜められた悪意のエネルギーが体からいくつかの球になって出てきた。あいつが先生に指を刺した瞬間、その球が先生に向かって放たれた。
先生「わかってんだよ、お前の動きは全部な!!」
先生を囲んでいたボトルからビームが乱射され、あいつが放った悪意の弾丸の全てが相殺された。
ミカ「あの攻撃を、」
ヒナ「全部、」
ホシノ「相殺した!?」
ミカ「うそ!?」
アリス「先生…強いです。」
あまりの強さにみんなもこの反応である。攻撃を相殺したボトルたちが先生のアーマーに戻って行く。先生はあいつを見る。その瞬間
[フッ]
???「・・・!」
[ドン!]
先生は一瞬にしてあいつとの距離を詰め、拳を叩きつけた。あいつが数メートル後方に吹っ飛ばされるが、なんとか耐えて建物に叩きつけられずに済んだ。
アコ「はやっ!」
人間には到底不可能なスピードだった。ほんの一瞬の隙にあの15メートルほどを詰めてしまう先生に驚愕してしまう。早すぎる。
先生「遅え。」
今度はあいつの背後に目に見えないスピードで回り込んでいた。先生は、あいつを蹴り飛ばす。
???「!!」
あいつもギリギリ反応して防いだが、衝撃は殺しきれず後方に少し下がった。
先生「強いだろ?これは私だけの力じゃない。みんながいたから叶えられた力だ!みんなを信じたから、イメージしたものを実現させる力を手に入れることができた!全部、私だけじゃ作り得なかった力だ!!」
先生は両手を広げ、アーマーについていたボトル達がアーマーから離れ、宙を舞う。
先生「いくぞ?」
そういうと先生はさっきと同じスピードであいつとの距離を詰めた。宙を舞っていたボトル達もそれについていき、あいつに向かって総攻撃を仕掛けた。
先生「はっ!おら!」
先生は肉弾戦で奴の動きを制限し、ボトルから放たれるビームが奴の動きの隙を見切って確実に当たる。
???「近距離戦では、不利。一度距離を・・・」
奴は後方へと飛び退く。が、
先生「取らせねぇよ。」
奴が飛び退いた瞬間に反応して詰める。
???「スピードが異常。人体の理の範疇を超えている。対象、先生は何かを使ったと予想。」
先生「そう、俺はイメージしたんだ。誰よりも強くなった、自分を!!」
ジーニアスボトルは、先生の記憶と、先生が大人のカードを使ったことにより生み出された奇跡のボトル。大人のカードは、”願ったことが叶えられる”くらい強力だ。
そんな大人のカードの影響を受けたジーニアスボトルで、変身したジーニアスフォームには”願ったことが叶えられる力”、”イメージを実現させる力”が宿っている。
このスピードを実現させたのは、先生が[体にある一つ一つの細胞に”加速”を適用させる]ことをイメージしたからだった。
先生「誰かのためになりたい、誰かを守りたい。その想いが、私を…俺を強くさせた!!」
あいつは距離を取った。体内から悪意のエネルギーを抽出し、巨大なエネルギー玉を作った。
アリス「あの球体から高エネルギー反応です!」
先生「(このまま避けたら後ろにいるみんなに当たるな。でもそれは、避ければの話・・・)」
あいつが作ったエネルギー玉を先生に投げつける、途端にそれは大爆発を起こした。
???「・・・」
爆炎が広がる中、あいつはその爆煙を見つめる。
???「・・・!」
煙が晴れた。そこには無傷の先生と生徒達がいた。先生は、ビルドドライバーの取っ手を一周だけ回す。
先生「愛と平和を胸に生きている俺は、絶対に負けねぇ!!」
『ワンサイド!Ready GO!』
先生が拳を後ろに引くと同時に、有機物のボトルからエネルギーが集まり、先生の後ろに不死鳥の形を作り出した。
『ジーニアスアタック!!』
先生が拳を突き出すとともに後ろにいた不死鳥が奴に噛みつき、炎を飛び散らせながら上空へと持っていく。
???「回避不能」
先生がビルドドライバーの取っ手を2周だけ回す。
『ワンサイド!逆サイド!Ready GO!』
今度は無機物のボトルのエネルギーを足に溜める。上から落ちてきた奴に蹴りを喰らわせる。奴はギリギリ腕でガードをした。
『ジーニアスブレイク!!』
???「衝撃、吸収不可能。ダメージ、甚大。」
奴はガードをしたがまともに喰らって、吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
『ボトルキーン!グレイシャルナックル!!』
先生が持っていたのはブリザードナックルだった。さっきやつを凍結させたのもこれのおかげだ。先生がブリザードナックルを地面に叩きつける。すると地面を氷結が伝い、奴を拘束する。
???「先ほどの氷による拘束。脱出難航。」
先生はビルドドライバーを3周以上回す。
『ワンサイド!逆サイド!オールサイド!!Ready GO!』
先生のアーマーの背中部分から白いドラゴンの翼が生えた。その翼で羽ばたき、少し上空まで上がる。
『ジーニアス、フィニッシュ!!!』
先生「これが仮面ライダービルドとみんなの力だ!はああぁぁぁぁ!!!」
その上空から奴に向かって必殺のキックを喰らわせる。
???「行動不能、回避不能」
[ドゴーン]
奴は爆発と共に散っていった。先生の勝利、そして完全復活だ。
その11 いつもの先生
あいつに勝った。そして記憶も取り戻した。いや厳密に言えば別世界にいる自分と同じ体に、記憶を埋め込んだと言った方が正しい。どのみち先生は勝って、生徒達もみんな守り切ることができた。
先生「ふぅ・・・」
一息つく。ジーニアスのおかげで体への負荷もあまりない。とはいえ激しい一戦をしたのには変わりない。
先生「流石に、疲れたなぁ。こんな未来になることは予想外だったし。」
それはそうだろう。死んだはずの自分が、生徒達により蘇るなど予想できるはずがない。だがまぁ、この未来はこれでアリかもしれない。
ミカ「せん、せい?」
後ろからミカが話しかけてきた。展開していた白い翼を納め、ジーニアスボトルを抜き取り、変身を解除する。
先生「お疲れ様、みんな。戦闘に入るのが遅れちゃってごめんね?私のせいで結構怪我させちゃったよね。」
あの先生だ。生徒のことを何よりも優先してしまうような、あのいつもの先生がそこにはいた。
ホシノ「せんせ、」
ミカ「先生…うわーん!」
先生「ふぐっ!!」
ホシノとミカが先生の腹にダイブした。先生はよろめいたが、ここで倒れてしまうと締まらないだろうと踏ん張った。
ミカ「良かった!本当に良かったよぉ先生!」
ホシノ「寂しかったんだよ先生!」
先生「あはは…よしよし」
二人の頭を優しく撫でる。そうしていたらヒナが近づいてきた。
ヒナ「私も…撫でてほしい…」
アコ「ヒナ委員長!?せ、先生なんかより、わ、私が撫でましょうか!?」
ヒナ「アコうるさい」
毎回思うんだがアコの扱いが雑じゃないだろうか。そう思いながらも、ヒナの頭に手を乗せて撫でる。
ヒナ「んっ…」
ヒナが優しい顔になった。アリスがユウカの手を取りながら駆け寄ってきた。
アリス「先生!アリスとユウカのことも撫でてください!」
ユウカ「アリス!?わ、私は別に…い、いえ!ご褒美ですからね?ありがたく…いただきます…」
ユウカは若干抵抗があったが、そんな二人も優しく撫でる。そうしたらアコがズカズカと割り込んできた。
アコ「なんですかなんですか!私だけ除け者ですか!?なら、私の頭も撫でてください!これはあくまで、除け者にならないためです!決してやましいことを考えてるわけではありませんからね!」
そこまで言われると逆に怪しくなってしまうのが人間だ。アコの頭に手を乗せ、アコだけわしゃわしゃと激しく撫でる。
アコ「ちょ、激しいですよ!私は犬ではないのですよ!?」
私に首輪をつけさせてお散歩プレイを強制させたのは紛れもないアコだったはずだが・・・。
先生「ははは、えーとそろそろ二人とも離れてくれないかな?」
ミカとホシノはくっついたまま離れない。声をかけても無反応。ただ顔を先生の胸に擦り付けている。
アリス「アリス、知ってます!これは動物の犬や猫における自分の匂いをつけるためのマーキングというんですよね!」
先生「なんとなく違う気がするけど・・・」
ユウカ「なんとなくどころじゃないですよね!?」
みんなで笑った。こんなのいつぶりだろう。すごく懐かしい感じがする。少ししたらホシノとミカが離れてくれた。
ミカ「ぐすっ、先生、無事で良かった!」
ホシノ「うへ〜やっぱり先生にくっつくのは落ち着くね〜。無事で良かったよぉ。」
言っておくが、二人もかなりの重症だ。体のあっちこっちで怪我がある。その状態でかなり元気そうに抱きついてきたことに驚きすらある。
先生「ミカとホシノも、私が戻るまでよく耐えてくれたね。ありがとう。」
ミカ「えへへ⭐︎」
ホシノ「うへ〜。」
そうしてその場では少し和やかな空気が漂っていた。
ヒナ「さて、感傷に浸るのもほどほどにしないと・・・」
ユウカ「先生も復活したことですし、帰りますか。」
先生「あ、ごめんそのことなんだけど・・・」
生徒全員「「「?」」」
先生が申し訳なさそうに話し出す。
先生「私、ここでは塾の先生をしてるんだけど、今日授業が夕方まであるからそれだけ終わらせて帰りたいんだけど…一応他の先生や生徒達に迷惑かけるわけにもいかないし、」
ミカ「あ、そうだった⭐︎」
先生「今日の授業が終わればちょうど明日から休暇だったから、このタイミングなら辞職届を出しても受理されると思う。」
アリス「アリス、先生の授業受けたいです!!」
アリスが勢いよく手をあげる。それに反応した他のみんなも授業に出ようとする
ユウカ「確かに、先生の授業ってあまりないですからね。気になります!」
ヒナ「仕方ないわね。」
ホシノ「うへ〜先生の授業ってどんなのだろうね。」
アコ「し、仕方ありませんね!出てやりますよ先生の授業!」
結局こうなるのか・・・。先生は少し考えてから答えを出す。
先生「まぁ、今日だけだし、体験授業希望者が複数名っていうことにしておけばなんとかなるかな?」
普通はなんとかならないだろう。しかしうちの先輩はなかなかに寛容な人だ。急遽体験希望者が来てもポジティブな反応だったのだから、まぁなんとかなるだろう。
そうして先生と生徒一同は塾に向かうのだった。その背後には、先生とあいつが暴れた残骸があり、あいつが倒れたところには赤黒い池のようなものがあった。
それは、先生がキヴォトスで消滅した時の戦いに似ていた。その池の正体がなんなのか、まだ知らない。
その12 先生は腐っても先生
先生「あのーすみません先輩、急遽体験授業希望者が複数名来てます。」
先輩「な、な、な、なんだってぇぇぇ!!」
某自称アウトローのセリフのようだった。先輩もこんな反応をすることがあるのか。
先輩「それも全員女子じゃねぇか!!お前そんなに女子のモテるのか!?くあぁぁぁ!羨ましい!!」
先生「先輩には彼女がいるじゃないですか、浮気になりますよ。」
先輩「冗談だってw」
先輩はバシバシと先生の方を叩いた。
先輩「まぁここからの時間広い教室が空いてるから、その体験授業の子達と元から授業があった子達を連れて広い教室を使うといいぞ!」
先輩の気遣いには本当に助かる。
先輩「じゃ、あとはよろしく!!」
先生「はい、こっちは任されました。あと、これ」
そうして先生は懐から辞職届を出した。
先生「今日を持ってこの塾の先生を辞職します」
先輩「な、な、な、なんだってぇぇぇぇ!!!」
某自称アウトローのセリフがまた出てきてしまった。
先輩「な、何かこの職場に不満でもあったのか!?あったなら直す!直すから待ってくれぇぇぇ!」
先輩が泣きついてきた。この人はこういう人だ。
先生「いや、不満があるわけじゃないんですよ。ただ、辞めないといけなくなってしまって、」
そう言いながら、みんなの方を見た。
先輩「そ、そうか・・・。まぁ、仕方ないか。」
そういうと先輩はみんなの前でこう言った。
先輩「せ、節度は保つんだぞ?」
先生「何を勘違いしてるんです?」
何かとんでもない勘違いをされている気がするが、まぁ気にしたら負けだ。みんなの方を振り返ってみると、アリス以外全員が顔を真っ赤にしながら顔を背けている。何かあったのだろうか。
アリス「ここが塾というものですか。アリス、先生の授業楽しみです!!」
唯一何も理解していなさそうなアリスが元気そうに喋った。
先輩「そうかそうか、先生はねなかなか教え方が上手いと好評なんだよ!この前だってランキングに上位で入ってたからな!」
そういえばそういうのがあったな。あまり気にしていなかったが、そこまで好評だったのか。
そうして、元から授業を受けることになっていた生徒とキヴォトスの生徒複数名を連れて広い教室で授業を行った。授業中、元から塾にいた生徒達がキヴォトスのみんなの方をチラチラと見ていた。
それもそうだろう。キヴォトス生徒にはツノや翼があり、制服はかなり派手だ。目を引くのも納得だ。
[キーンコーンカーンコーン]
先生「今日の授業はここまで!みんな時間がある時に復習するように!」
全員「はーい」
授業が終わり、教材を片付ける。その間、キヴォトスのみんなは他の生徒達に質問攻めに会っていた。
モブA「ねぇねぇその翼何?すごく可愛いんだけど!!」
ミカ「あはは⭐︎ありがとう!」
モブB「ねぇ服装がなんか…すごく破廉恥なんだけど」
アコ「な、この服装の良さがわからないとは、まだまだですね!」
モブC「へぇ!風紀委員長だったんだ!制服カッコ良すぎる!!」
ヒナ「そ、そう?あ、ありがとう・・・」
モブD「アリスちゃん!少しお話ししよ!!」
アリス「はい!どんなトークをしましょう!」
モブE「一人称おじさんってなんかいいね!」
ホシノ「うへー、そう言ってくれて良かったよぉ」
モブF「ねぇユウカさん、この数式ってどうやって考えれば楽かなぁ」
ユウカ「ここはこの形に変えると簡易になってわかりやすいと思いますよ。」
すごい光景だ。普段ここまで賑わったりはしない。先生は片付けた教材を持って職員スペースに戻ろうとすると、ミカが裾を掴んで止めてきた。
ミカ「あ、先生!」
先生「ん?どうしたのミkぐわぁ!」
ミカが腹にダイブしてきた。咄嗟のことだったので身構えることができず倒れてしまった。
ミカ「えへへ、ごめんね先生⭐︎」
先生「いててて、ちょ、離れてくれるかなミカ?」
ミカ「え〜?どうしよっかなぁ」
周りの視線が痛い。普通教師と生徒の距離感はこんなに近くはない。
モブA「ミカちゃんって積極的だねぇ。ミカちゃんも先生のことが好きなの?」
唐突な質問に驚いた。本人がいる時のその質問をしてくるとはこのモブAもかなりの猛者だ。
ミカ「あはっ⭐︎わかっちゃった?ん?今”も”って言った?君も先生のことが好きなの?」
モブA「あ、あははは・・・」
なんだこの修羅場は。他の生徒達からはドン引きの眼差しを向けられている。
アリス「アリスも先生が好きです!!」
二人のは多分そっちの好きじゃないと思うぞアリス。まぁアリスが純粋で良かった。
ホシノ「うへ〜だめだよミカちゃん抜け駆けしちゃ」
そういうとホシノは倒れている先生に馬乗りになる。今先生の上には抱きつくミカと先生の上に馬乗りになるホシノがいた。とんだカオスの状態だ。
先輩「おう!授業おわっt・・・」
先輩が見にきてくれた。ちょうどいい、助けてもらおう。
先生「先輩!!生徒達が暴走してるんですけど!!見てないで助けてくださいよ!!」
先輩「・・・節度は、保つんだぞ!!・・」
先生「先輩!?」
先輩はそそくさと職員スペースへと帰っていった。その教室に残されたのは、先生と先生のことを好きな生徒だけだった。
ホシノ「じゃ、先生。おじさんも甘やかしてもらうよ〜。」
ヒナ「小鳥遊ホシノ、そこまでよ。流石にここでハメを外すのはよくないわ。私も甘やかされたいけど、またあとでね。」
ホシノ「うへ〜わかったよ。ヒナちゃん」
良かった助かった。みんなが私の上から離れていく。これが生徒に未来を指し示す先生の姿だろうか?
その13 おかえり
なんとかその場を収めてくれたヒナに感謝をしつつ職員スペースで残りの仕事を片した。仕事が終わり、帰る準備をする。
先輩「仕事終わったか?」
先生「あ、はい終わりましたよ。」
先輩「そうか、まぁこの塾は残りの教員達でなんとかやってくから、安心して行ってくれ!くれぐれも生徒との距離感には注視しろよ?」
先生「・・・善処します。」
何も起きないとは言い切れない。ただ最善は尽くす。あの子達の未来を守るために。
ヒナ「お仕事お疲れ様。みんな待ってるわよ。」
先生「うん、行こうか」
そう言って荷物を取り、先輩の方へ体を向ける。
先生「先輩、しばらくの間、お世話になりました!」
そう言ってお辞儀をする。
先輩「おう、行ってこい!」
さようなら、もう会えることはないだろうが、この経験は忘れずに心に留めておく。ヒナと建物の外に出ると夕暮れの下でみんなが待っていた。
先生「ごめん、遅くなっちゃった」
ホシノ「うへ〜お疲れ様先生。」
アコ「遅いじゃないですか!いくら私たちを待たせるつもりですか!?」
ユウカ「10分遅刻です!せーんーせーい?あなたは先生なんですよ?自覚してくださいね?」
ごめんごめんと謝りながらふと気づく。
先生「そういえば、みんなはどうやってここにきたんだっけ?」
ホシノ「うへーそれはね・・・」
ホシノが先生が研究していた装置を使ったことを話した。
先生「あれを使ったんだ?」
ミカ「そうなんだけど、帰り方まではわからない・・・」
ミカがそう呟くと全員「あっ」という顔をした。みんな盲点だったらしい。
先生「まぁなんとかなるか。」
先生はそう言ってビルドドライバーを装着し、ジーニアスボトルを装填する。ビルドドライバーの取っ手を回し変身する。
『ビルドジーニアス!スゲーイ!モノスゲーイ!』
ジーニアスに変身した先生は空中に手をかざす。するとその先に裂け目のようなものが出た。
先生「やっぱりできた。」
ユウカ「なんですかこれは?」
先生「みんながこっちにくる時は装置を使って裂け目を作った。だけどジーニアスの中に私の記憶と共に、その装置の構造や原理が記録されている。そしてジーニアスの中には常に莫大なエネルギーがある。つまり、このジーニアスだけであのでかい装置の機能を丸々使えるようになったってこと。」
できるだけ簡単に説明した。
ホシノ「うへ〜おじさんにはよくわかんないよぉ」
アリス「アリス、わかります!先生は自分の記憶とエネルギーを頼りに、あの別世界に移動するための裂け目を作り出す機能をいつでも使えるようになったってことですね!先生すごいです!」
アリスにはわかったようだ。ユウカもなんとなく理解しているらしい。
先生「じゃ、帰ろうか。キヴォトスに。」
そう言って、先生はみんなに先にどうぞと裂け目へ案内する。アリスは「らんらん♪」と楽しそうに裂け目へとは入っていく。他のみんなも続々と入っていった。最後は先生が入り、その裂け目は閉じた。
これで、この世界とは別れることになるだろう。それでも先生は振り返らなかった。
〜キヴォトスのDU地区広場〜
そこには、先生が作った装置を中心にたくさんの生徒達で埋め尽くされていた。生徒達はみんな今か今かと先生の帰りを待っていた。
リン「・・・遅いですね」
リンは腕時計を見ながらそう言う。
ウタハ「ここと別世界とで時間の流れが違くてもおかしくはないからね。いつ帰ってくるかと聞かれてもなんともいえないよ。」
ミカとホシノの増援にヒナ達を送り込んだが、数時間経ってもまだ帰ってこない。痺れを切らしたリンが次の増援を送ろうとしたその時だった。その場にいた生徒の一人が声を上げる。
セイア「あれは、なんだろう・・・」
ナギサ「セイアさん?」
セイアが指した先、装置の台の空間に小さな亀裂が入っているような光景だった。それを見つけて、その場にいた生徒達がざわついた。
シロコ「先生、みんな・・・帰ってきて!」
シロコはそう願った。小さな亀裂がどんどんと広がってヒビが入っていく。
[バッリーーン!!!]
空間が割れて裂け目が現れた。そこから出てきたのは、増援に向かったヒナ達、そしてミカとホシノだった。その場にいた生徒達は歓喜の声を上げた。
アヤネ「よ、良かった。ホシノ先輩帰ってきました!」
チナツ「ヒナ委員長!!ご無事で何よりです!」
セイア「ミカ、大丈夫なようだね。良かった・・・」
ノア「ユウカちゃん!アリスちゃん!お帰りなさい!!」
シロコ「・・・」
シロコは黙ったまま見つめていた。
ノノミ「シロコちゃん?どうしたのですか?」
シロコ「先生がまだいない。」
そういえばそうだ。その裂け目から出てきたのは先生を助けにいった生徒達だけだった。先生の姿が見当たらない。最悪な想像をしてしまう。その瞬間だった。
[ピシシッ!]
生徒達が出てきた裂け目の少し上にもう一つ裂け目が出来ようとしていた。
[ジーニアス、フィニッシュ!!]
その音声が聞こえると同時に、裂け目が現れ、何かが飛び出してきた。
シロコ「あれは・・・!」
間違いない先生だ。あの見慣れたビルドドライバー、白いアーマーに各部位にボトルを装着し、背中から白いドラゴンの翼を生やした、仮面ライダービルドが出てきた。
リン「もしかして・・・あれは、先生!?」
驚くのも無理はない。今まで見たことのない姿でそれもドラゴンの翼を生やして飛んで帰ってきたのだから。先生が上空から翼をうまく使い降りてきた。
先生がビルドドライバーからジーニアスボトルを抜き取り、変身解除する。
先生「ふぅ、翼の扱いがまだ難しいな。そうだ!今度ミカとかナギサとかハスミとかにコツを教えてもらおうかな♪」
そんな呑気なことを言いながら先生が姿を現した。その瞬間生徒達の歓喜の声が高まった。
先生「えーと、どういう状況?」
リン「先生が帰ってくるかもしれないと公表したらこんな大所帯になったんですよ。」
そう言いながらリンが寄ってきた。
先生「おっ!リンちゃん!久しぶり!!」
リン「誰がリンちゃんですか、まぁその呼び方をされるのも悪くはないですね。そう呼んでいただいて構いません。」
そう言って、リンが一息をつく。
リン「お帰りなさい。先生」
生徒全員「「「「「「「「「「「おかえり!先生!!!!!」」」」」」」」」」」
先生「は、はは…」
今度は私がこれをいうことになるとは、このシチュエーションはアビドス以来だったような。
先生「ただいま、みんな」
先生は帰りを迎えにきてくれた生徒達に向かって手を振る。あぁ、無事に帰って来れたんだな。先生は内心そう思いながら、シャーレへと帰宅した。
その14 余韻と跡
その後、しばらくシャーレにくる生徒が絶えることがなかった。生徒達は皆、こぞって先生に会いたがる。それもそうだろう、死んだはずの大切な人が帰ってきたのだ。会いたくないはずがない。
先生の懐にダイブし、顔を擦り付け先生に匂いを擦り付ける者。先生から離れようとしない者。先生を取り合う者。尻尾や翼を先生の体に巻き付ける者。さまざまだった。
だがあっという間に時間が過ぎていき、今日はシャーレの休暇。先生はとある調査をしていた。
先生「う〜んやっぱりなんのデータも取れないか…あれだけ危険そうな雰囲気出してるのに…」
先生はあのキヴォトスでの全面戦争の時、ブラッドとかいう仮面ライダービルドを兵器化したような奴と戦い、勝った。しかし先生はそこでブリザードナックルをしようし消滅した。
だが先生は今復活し、自由に動けるようになった。先生は、ブラッドと戦ったあの場所で研究をしている。
先生「何かあると思ったけど何もなし!なんなんだこの赤黒い水たまりは・・・」
ブラッドが先生に倒された時、その場にブラッドの死体はなく、赤黒い液体の水たまりがそこにはあった。ブラッドだけじゃない。
別世界にホシノとミカ達がきてくれた時も、奴を倒したその場所には赤黒い液体の水たまりがあった。これは何か、早急に対処しないと嫌な予感がする。
先生「あいつら(ブラッドと別世界にきた奴)が使っていた技のほとんどが、あの悍ましいエネルギーを纏ったものだった。つまり、あいつらの原動力は”あの悍ましいエネルギー”ということ。あのエネルギーが人間の”悪意”そのものだったら・・・、まだ何かが隠れてるな。」
詳しいことはわからないが、こうやって刺客を二人送ってきたということは、私の実力を試されていたのかもしれない。確証はないが、これまでよりもっと激しい戦いが後に控えてる予感がする。
先生「まぁいい、あとは黒服とかそこらに手伝ってもらおうかな。」
黒服もなかなかよくわからない奴だが、今は信用してもいいだろう。
先生「それと、ワカモ?なんでさっきからずっと引っ付いてるのカナ?」
ワカモ「あぁ、あなた様にもう会えないと思ってしまうとすごく辛かったですわ…。でもこうやって戻ってきていただいて…このワカモ、もう一生離れませんわ///」
先生「うん、流石にやめてね?動けなくなるし、」
まぁこうなるのも仕方がない。一度追った心の傷は、癒すまでに少し時間がかかるものだ。
先生「はぁ、まぁしょうがないか。しばらくはこうしておくから、しばらくしたら帰ってね?」
ワカモ「はい///あなた様。こうして少なくとも会える時間を、このワカモは大切に噛み締めますわ///」
久しぶりのこの感覚、懐かしい感じがする。ワカモに抱きつかれて尻尾を背中に回され、もう身動きが取れない。
先生「(あっ、これ一生動けないやつじゃん。詰んだ・・・)」
先生は内心そう思いながらもワカモを撫でて落ち着かせた。なんとか落ち着いたワカモはしばらくしたら帰ってくれた。
先生「ダメだ、解析もできないし、正体不明のこの赤黒い液体に関してはもうわからないな。あとは黒服に丸投げしちゃお⭐︎あとよろしく黒服」
若干黒服の扱いが酷いがまぁいいだろう。作業は終わったから先生はシャーレへと帰宅する。
〜シャーレ執務室前〜
先生「今日もいろんなところを回って、あの液体も解析して、仕事も終わらせた。もうやることもないし、ジーニアスの機能に慣れるよう練習でもしようかな・・・。」
そんなことを呟きながら、先生はシャーレ執務室の扉を開ける。
[パーン!!]
執務室からはたくさんの生徒達がクラッカーを先生に向かって放った。
全員「「「「「「「先生、お誕生日おめでとうございます!!!!!」」」」」」」
先生はポカーンとしながらこの状況を把握しようと努める。今日は×月◯日、先生の誕生日だった。ここのところ最近色々あってすっかり忘れていた。
ホシノ「うへ〜先生もこっちで祝おうよ。みんなで準備したんだよ。」
そうか、だから昼頃からシャーレ執務室を追い出されたのか。ようやく納得した。
カズサ「せーんせ!今日もお疲れ様…です♪」
キキョウ「なかなか帰りが遅かったじゃない。私たち生徒達をほったらかしにして、反吐がでる。」
ヒフミ「まぁまぁ落ち着きましょうよ、先生だって仕事帰りなんですよ?お疲れじゃないですか?」
そう言ってヒフミが先生の手を引っ張る。
先生「え?ちょ、」
その日はたくさんの生徒達に囲まれて、明るい誕生日を祝った。正直、この後に控えている戦いに少し心配はある。だが、こういう時くらい、心を休めてもいいかもしれない。
先生「ただいま、それとありがとうね、みんな」
みんなが微笑む。赤黒い水たまりの跡のことを気にしつつも、今はこうして生徒達からの幸せを受け取り、生徒達へ幸せを届ける。こういう日常が何よりも幸せなんだ。そう思える。
次が多分(?)終わりです。