人形異世界救出記〜失われしメイデンの救済〜 作:Uさんの部屋
第1話 再来するメイデンの戦い
今から数ヶ月前に起こった、メルヘン総帥の創造した人造人間メイデン達7人のバトルロワイヤルメイデンゲーム。この事件はメルヘン総帥がゴシック=メイデンを勝者とすべく暗躍していた事件であり、モンスターウォーリアーの名を持つ戦士、ミリィとリヴィス、そしてUとその仲間達『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』がメルヘン総帥と激突する形で対立。結果としてメルヘン総帥の野望を打ち砕く事には成功したものの、この事件ではメイデン全7人が死亡。メルヘン総帥自身も生命を落とす結果となった。ミリィとリヴィスの2人はUの計らいで平和な日々を過ごすべく戦線を離脱。Uは『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』の面々と共に、メルヘン総帥から奪っていたメイデンに関するデータの解析を行う日々に追われていたのだった………
………そして現在はメイデンシリーズにまつわる情報をほぼ閲覧し終えた頃であり、Uはメイデンの死体と彼女が使っていたメルヘンドライバーを手にその様子を見ていた。
「………Uくんってば、まだメイデンちゃんの事見てる………」
彼の様子を近くで見ていた『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』のメンバーの1人、ピンクボンバーは呆れた様子でそう呟いた。
「………いいだろ別に。それにメイデンは蘇らないんだろ? なら別に物思いにふけるくらい勝手にやらせてくれ………」
Uはそう呟きながら、右手の指でメルヘンドライバーを撫でていた。
「………やっぱり相当思う所があったんだ」
ピンクはそう言って、Uの内心を突く言葉をかけた。Uは否定出来ない様子で長らく黙っていたが………
「………時に思うんだよ。メイデンが生き返ってくれたら………そんな非現実に囚われる。情けないとは分かっているけどな」
しばらくしてUは自身の心情を吐露した。それを聞いたピンクはUの言葉に悲しげな表情を浮かべていた。
「………らしくない話だったな。すまない」
少しして我に返るようにそう呟くU。だがその直後、Uの持つメルヘンドライバーが突如として輝き出し、その姿を変えた。
『メルヘンソードマンドライバー!!』
そのベルトは以前Uが使っていたインベーダードライバーの意匠を混ぜ合わせたものであり、自動的にUの腰へ装着された。
「なんだ………!?」
目の前の光景に動揺する声を漏らすU。するとその直後、Uの身体が光出し、Uの意識は光の中へ消えていくのだった………
「………ううっ………」
その直後、Uは森の生い茂る空間で目を覚ました。
「ここは………?」
Uは困惑する様子を見せながら身体を起こす。するとその直後、近くで何かの音が響いた。
「武器のぶつかる音………?」
Uが近くから聞こえた音を頼りに歩いていると………
「っ………! 怪人と………メイデン!?」
Uは近くでモンスターウォーリアーとしての姿で怪人と戦うメイデンの姿を目撃する。
「どうなっている………?」
Uは動揺を隠せない様子を見せる中、メイデンは冷静な様子でベルトのゼンマイを回す。
『アリスメルヘンエンド!!』
メイデンは大きく跳躍すると、必殺のキックを怪人に向けて叩き込んだ。これが直撃し、怪人は大きく爆散した。
「ふうっ………」
メイデンは安堵するように息を漏らす。だがUは目の前の光景に驚く事しか出来なかった。そんな中、メイデンは近くで呆然としているUを見つける。
「U………!?」
メイデンはUの顔を目にし、驚きを隠せない様子だった。メイデンは変身を解除すると、Uの前へと近付き………
「貴方………Uなのよね?」
メイデンは首を傾げながらUへそう問いかける。それを聞いたUは思わず目に涙を浮かべると、そのままメイデンへ抱き着き………
「メイデン………!! 会いたかった………!!」
メイデンに対して心の底から願っていた言葉をかけた。メイデンは困惑こそしたものの、少しして小さな笑みを見せた後………
「………そうね、会いたかったわ、私も………」
そう言って、Uの事を受け入れる様子を見せた。だがその際、Uは1つ違和感を覚えた。
「………ちょっと待て。なんで君がそんな事を言うんだ………?」
それは、以前死んでいければ出てくるはずもない言葉であったからだ。Uの疑問を聞いたメイデンは………
「………そうね、それは私にもよく分からないわ。でも私は貴方にあの時殺されたはず………その記憶はハッキリと覚えているもの」
Uの疑問に対し、自身が死んだ記憶の話をした。それを聞いたUは………
「………そうか」
メイデンに向けた違和感に対しそう呟いて納得する様子を見せたのだった………
それからしばらくして、Uとメイデンの2人は話し合い始めた。メルヘン総帥の野望を打ち砕いた事やこの数ヶ月間のUの行動。そして………
「………君が死んだ際に遺したこのベルトが再び君と顔を合わせるきっかけになった………と考えていいのだろうか」
Uはメイデンと再会するきっかけとなったメルヘンソードマンドライバーの話をする。
「そうね………しかし、この世界は私にとっても不可解なのよ。私自身がかつて死んだ自覚をしているから尚更………この世界の歪さに疑問を覚えているのよ」
それを聞いたメイデンの方は、自身のいるこの世界に疑問を感じていた。
「本当にな………果たして何がこの世界を生み出しているのだろうか………」
Uはこの歪な世界に疑問を覚えながらそう呟く。そんな中、突如としてU達のいる場所で地震が発生する。
「………! 地震!?」
U達は困惑する様子を見せる。するとその直後、U達の前に巨大な化け物が出現する。
「怪物………!?」
Uは突然の事態に困惑する様子を見せた。そして咄嗟に以前まで使っていたインベーダードライバーを取り出そうとするが………
「………!? あれ、ベルトが無い!?」
Uはベルトが無い事に気付き、動揺の声を漏らす。
「ぐっ………! 変身!!」
Uの様子を見たメイデンは咄嗟にメルヘンドライバーにゼンマイをセットし、これを回した。
『ドリームレジェンド! アリスヒストリー!!』
メイデンはメルヘンの姿に変身。右手に弓矢型の武器、メルヘンボウを装備し攻撃を仕掛けるものの、怪物が巨大故に全然ダメージを与えられなかった。
「なっ!?」
メイデンは動揺の声を漏らす。直後に怪物が反撃のタックルを仕掛け、メイデンを吹き飛ばす。
「うあああああっ!!」
メイデンは大きく吹き飛ばされ、近くの木に激突する。
「メイデン!!」
Uは慌ててメイデンの傍に駆け寄る。
「あんな化け物は見た事が無い………一体どういうことなの………?」
メイデンは目の前の化け物に向けて疑問を覚えていた。その直後、怪物がU達に向かって迫ってくるが、メイデンは咄嗟にメルヘンドライバーからゼンマイを取り外し、メルヘンボウへセットし、弦を引く。そして怪物と激突するギリギリで弦を手放し………
『アリスメルヘンシュート!!』
光の矢による一撃を叩き込み、怪物を怯ませた。しかし、それでも怯ませるのが精一杯であり、メイデンはUを連れて一旦怪物から離れた。
「………恐らく、私の力はアイツを倒すのには足りない………」
メイデンは自身の力と怪物の力を比較し、自身の力では倒す力が足りない事を語る。
「ならどうするんだ?」
Uはメイデンに向けて打開する術を問いかける。メイデンはUの懐からメルヘンソードマンドライバーを取り出すと、彼の腰に無理矢理当てて装着させる。
「なっ!? メイデン………!?」
Uもメイデンのこの行動に困惑する様子を見せていたが………
「この状況を打開するのは、間違いなくそのドライバーよ」
メイデンはUの持つメルヘンソードマンドライバー
ならこの状況を打開出来ると読んでいた。
「しかし、僕には変身用のアイテムなんて無い………」
Uは落胆するようにそう呟く。だが次の瞬間、メイデンは自身のベルトに装着されたゼンマイを取り外し、変身を解除すると………
「ゼンマイならあるわ。そのドライバー、死んだ私の遺したベルトから変化したんでしょう? なら互換性はあるはず………」
そう言って、Uに自身の使うゼンマイを譲渡しようとしていた。
「………僕にそのゼンマイが使えるのか?」
Uは困惑する様子を浮かべながらメイデンへそう問いかける。それを聞いたメイデンは………
「………それは分からない。けれど………私を信じなさい!!」
根拠は持たないものの、自身を信じるよう口にした。Uは少し考える様子を見せると………
「………分かった。君を信じてみよう………!!」
そう言ってメイデンの言葉を信じるように彼女の差し出したゼンマイを手に取る。すると次の瞬間、ゼンマイが光を放ち、ゼンマイの意匠が変化した。
「これは………!?」
Uはこの事態に首を傾げるが、直後にフッと笑いを零すと、ゼンマイをベルト左部にセットする。
『アリス!』
Uはゼンマイをゆっくりと回す。Uは右手を銃のようなハンドサインにする事により、人差し指を怪物に向けると………
「………変身!」
Uは力強くそう言い放つ。するとUの腰に装着したベルトを中心に身体へ鎧が装着される。そしてその直後、メイデンの身体は光となり、Uの身体へ取り込まれた。
『カスタムウォーリアー! メルヘンソードマン!! ………アリス!!』
これにより、Uは先程までメイデンが変身したアリスカスタムをイメージした鎧を纏った戦士へと変身した。
「………変身出来たみたいだな」
Uは怪物に視線を向けながらそう呟いた。
「そのようね」
だがその直後、メイデンの声が聞こえた。
「………え?」
だがそれはUにとって困惑の声を漏らすきっかけともなった。
「メイデン………? そういえば姿が見えないけど何処へ………?」
Uは首を傾げながらメイデンへそう問いかける。
「何処って………私は貴方の隣に………え?」
メイデンは最初こそUの言葉に首を傾げるが、少ししてUの感じる違和感の正体に気付いた。
「………U、ハッキリと言うわ。今の私と貴方の視界や感覚は………同じ状態よ」
メイデンは自身とUの視界や感覚はまるで同じだと呟いた。
「………そんな馬鹿な。まさか僕達合体したなんて言うんじゃないだろうな?」
Uは困惑混じりにそう呟く。それを聞いたメイデンは………
「そのまさかが起きてるのよ、今ここで」
そう言って、現状起きている事について語った。それを聞いたUは言葉に出来ない感情を抱いており………
「………参ったものだ」
苦し紛れにそのような言葉が出てきたのだった。その直後、U達の前に立つ怪物の雄叫びが響くと………
「………まあその話は後でいい………後でゆっくり話そうか………!!」
Uはそう言って、素早い動きで怪物に接近する。怪物は体当たりを仕掛けてくるが、Uは右手のパンチでこれを軽く受け止めると、そのまま押し返してしまった。
「………流石ね」
メイデンはUの実力の高さを賞賛する言葉をかける。直後に怪物が体勢を立て直し、今度はUに向けてパンチを放つ。
「………させないわ!」
それを見たメイデンはそう呟く。その直後、U達の右手にビームソード型の武器が生成され、怪物のパンチを受け止める。
『メルヘンセイバー!!』
その新たな武器の登場にU達は驚きつつも、すぐにメルヘンセイバーを振るい、怪物の左腕を切断する。怪物はそれに対する悲鳴をあげる。
「まだまだ! 着いてこれるな、メイデン!」
Uはメイデンと合体しているこの状況を半ば受け入れており、メイデンの手を借りる言葉をかける。
「勿論よ!」
Uの言葉にメイデンはそう返す。その直後、U達が変身するメルヘンソードマンの動きはキレのあるものとなり、怪物の右腕を絶妙な呼吸で一刀両断する。怪物が両腕をもがれた事による悲鳴をあげる中、U達はベルトのゼンマイを回し始める。
「行くぞ………!」
Uがそう呟きながら右足にエネルギーを集束させるメルヘンソードマン。そしてエネルギーがチャージしきったタイミングで地面を大きく跳躍し、そのまま必殺のキックを放つ。
『アリスメルヘンフィニッシュ!!』
メルヘンソードマンによる必殺のキックが怪物の身体を大きく貫通する。そしてその直後、怪物の身体は内側から吹き飛び、それによって絶大な爆発が起きた。
「うあっ………!?」
U達はその爆発から身を隠すように右腕を上げ、視界を逸らすのだった………
そしてその直後、彼の意識が再び光の中へ消えた後、Uは目を開いた。
「………ここは」
Uがそう呟くと共に周囲へ視界を向ける。そこは紛れもなく『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』のアジトの中だった。その直後にピンクがUの顔を覗き込むと………
「っ………! ビックリした………!! Uくん、さっきベルトから凄い光が放たれたと共に急に倒れちゃうから心配したよ………!!」
そう言って、ピンクの視点で起きた事を慌てた様子で説明する。
「………そうか。つまりあれは夢だったのか………」
Uはそう呟きながら、無意識に目から涙を零していた。その直後、左腕で目線を擦ろうとした直後、Uは握り拳状態となっていた左手に違和感を感じていた。彼が左手を開くと、その中には先程の世界でメイデンから託され、意匠が変化したゼンマイだった。
「このゼンマイ………何故現実に………?」
Uが事態を理解出来ない中、突如として近くから物音が聞こえた。Uとピンクは物音に対して身構えるが、そんな2人の視界に映ったのは、死体となっていたはずのメイデンが起き上がる姿だった。先の戦いで貫かれていた傷も何事も無かったかのように治っており………
「メイデン………!?」
Uは動揺の声を漏らした。そしてそれはメイデン側も同じであり………
「Uに………ピンク? どうして私が貴方達2人を………というか、何故また私は目を覚ましたの………?」
自身の身に起きている事が理解出来ない様子を見せた。だが、それ以上にUにはメイデンが蘇った事実に対する感動の方が勝り………
「………メイデン!!」
嬉しさのあまり涙を流しながらメイデンへと抱き着くのであった………
この時に起こった不思議な事から再び始まったメイデン達との物語。そしてこれはその始まりに過ぎなかった事を、この時のU達はまだ知らなかった………
To Be Continued………
次回予告
メイデンの復活というありえない事象に困惑しながらも会話をするU達。その会話の中で、Uの持つメルヘンソードマンドライバーがまたしても光出し、U達を新たな世界へ誘う。この出来事から、Uはこの事態についてある程度察する様子を見せるのであった………
次回「メイデン復活の謎」