人形異世界救出記〜失われしメイデンの救済〜 作:Uさんの部屋
犯人が分からず緊張状態の中でスズのお茶が振る舞われると共に、Uも一時的に休息を促す言葉をかける。だがそれと同時にUは密かに犯人を炙り出す事を考えていたのだった………
それから時間が経ち、夜中の時間帯。宿泊者が泊まる部屋の廊下には人の影があり、その人物はリギの部屋の前へ立っていた。そしてその人物が部屋の扉を叩こうとしたその瞬間、突如としてその人物に向けて懐中電灯の光が直撃する。
「っ………!?」
その人物は女性のような声を漏らしながら動揺する。そしてその人物の前に姿を見せる白髪の男………Uの姿が現れると………
「………やっぱりアンタが犯人か………スズさん」
Uが犯人と予想していたその人物の名を口にする。
「探偵さん………!?」
それを聞いたスズは動揺する声を漏らした。そしてその直後、Uの後ろからミューチュが顔を覗かせると………
「スズお姉ちゃんが犯人………!?」
そう言って、スズが犯人である事を信じられない様子を見せた。
「………探偵さん、何を言っているんですか………? 私が犯人だなんて………どうしてそんな事を?」
スズはUの言葉に動揺するようにそう問いかける。
「………さっきアンタが淹れてくれたお茶………あれは睡眠剤入りだった。こう見えて昔から荒事に身を置いているものでな、すぐ分かったよ」
Uは先程スズが淹れたお茶に睡眠剤が混入されていたと突き付ける。
「睡眠剤って………私は犯人候補なんですよね? そんなものを入れるなんて私への疑いを強めるだけで………!」
スズはそんな事をするメリットが無いと言い返そうとする。
「でもやれると信じてた。犯人候補の中で自分が白と証明された連中の中で1番に信用されている………それを知っていたからこんな真似があっさり出来た。リギって馬鹿があっさり乗ってくれたのがその証拠だ。まあこれには僕も一芝居噛んでやったってのはあるけどな」
しかし、Uはスズは自他共に信用されている点を指摘。これこそが疑いなく動けていた根拠であると突きつけた。
「一芝居………?」
そして、Uの言葉に出てきた一芝居というワードにミューチュは首を傾げる。
「睡眠剤入りだと気付いても声を上げず寧ろ皆に休むよう言ったのは………アンタを白だと誘導しない為だ。アンタが白となってはアンタを追い詰められなくなる………だから敢えて黙ってたのさ、アンタが僕に犯人だとバレていない………そう思い込ませる為に」
Uはあの場で休息を促した事と、睡眠剤入りのお茶が出されていた事を隠していたのには、スズの思考を誘導する為であったと語る。
「結局アンタはまんまと僕の思惑に乗ってくれた………お陰でこの場面を生み出せたからな………」
Uは結果として自身の思惑通りに事が進んだ事をほくそ笑んだ。だがスズは………
「仮にそうだったとして………私がどうやって殺人を起こせたと言うんですか? ………ほら、私は凶器1つ持っていません」
そう言って、自身は凶器を持っていない事を語る。だがUはスズに近付くと………
「それと………これは黙っていた事だったが、犯人だと証明する根拠は1つだけ残されている」
そう言って彼女の右腕を掴み、服の袖を捲る。そこには包帯らしきものがあり、Uはこれを力づくで外すと………そこには鞭で裂かれた事により出来た傷が隠れていた。
「………これはさっき、怪人に付けた深い傷だ………たった数時間ででこれを治すなんて流石の怪人でも厳しいだろうし………管理人にも聞いたがここには鞭なんて無い………そして怪人に付いたはずの傷が何故かアンタの右腕にある………それも正確な位置だ………それが指し示す答えはつまり………アンタを犯人だと証明する決定的な証拠だ」
Uはそう言ってスズが犯人である決定的な証拠を突き付ける。それを聞いたスズは突如としてUを突き飛ばすと………
「………そうですよ、あの2人を殺したのは私です。そして、彼を殺そうとしたのも………また私です」
そう言って、自身が犯人である事を自白するのだった………
Uの予想が的中した事で殺人事件の犯人にして、怪人の正体はスズであった事が明らかとなった。果たして、スズが殺人に手を染めた理由は如何なるものであろうか………?
To Be Continued………
次回予告
スズが殺人に手を染めたのには、彼女の中に隠れていた負の感情が関係していた。これ以上の殺人に意味は無い事を突き付けるUだったが、突如としてスズは怪人となって暴走してしまうのだった………
次回「殺人の動機」