人形異世界救出記〜失われしメイデンの救済〜 作:Uさんの部屋
ロンドは自分にすら理解が及ばない負の感情に苦しめられ始めていた。そんな彼女の気配を、メイデンはUへ密かに共有するのであった………
それから少し経ち、Uが近くから食料を調達し、メイデン達と共に朝食を取っていた。
「………あんまり美味しくない」
とはいえ、メイデンの名を持つ少女達の半数は食料の味に不満を漏らしていた。
「仕方ないだろうに。現地調達で文句を言える程余裕は無いさ」
Uはそう言って、黙々と食料を口に入れていた。そんな中、ロンドがUの側へ駆け寄ってきた。
「突然すまないね………君に渡したい物があるんだ」
ロンドはそう言うと同時に、Uへゼンマイを差し出してきた。
「………これは君のゼンマイじゃないか」
Uは首を傾げながら彼女の行動に首を傾げる様子を見せる。
「メイデンシリーズすら信用させる君のカリスマ性と人間性を評価しての行動だよ。僕のゼンマイも君に渡して悪用されるリスクは薄いと判断したんだ」
ロンドはそういうと共に、彼の手へ自身のゼンマイを置く形で渡した。
「………メルヘンに変身出来なくなるぞ」
Uはロンドが渡したゼンマイが、彼女がメルヘンの姿になる為の必須アイテムである事を理解しているが故に思わずそう問いかけた。
「あくまで保険だよ。別に君達と敵対したい訳でもないからね」
ロンドはそういうと共に、Uへ背を向け距離を作る。
「………万が一の際は君が僕を殺せるように………ね」
その際にロンドは独り言のように小さくそう呟いた。ロンド本人は聞かれてないものだと思い、フッと小さな笑いを零していたが、Uの耳には届いているようで………
「(メイデンの睨み通りだな………この子、常人が抱えている闇の域を逸脱した何かを持っている………これを渡してきたのも何か本能的な読みなのかな………)」
Uはロンドがどこか追い詰められている事を予感するように様子を見ていた。そしてその直後、Uは右手に置かれていたゼンマイを手の中に握り拳を作ると………
「(嫌な予感がするな、メイデンがさっき指摘していた怪物が全く現れていない現状が特にそれを物語っている………)」
Uはまだこの世界で怪物を目にしていない現状からも嫌な予感を感じていた。これまでの世界では例外なく怪物が現れている事態からもこの状況の不穏さが現れていた。そしてUは1つの可能性が頭の中を過ぎっていたが………
「(………考えたくないなぁ)」
Uはその可能性を否定したいかのような様子を見せていたのだった………
ロンドはUへ保険をかける形で自身のゼンマイを譲渡してきた。それと同時に感じ始めるロンドに対する嫌な予感。外れて欲しいと思える彼の嫌な予感は果たして的中してしまっているのか………?
To Be Continued………
次回予告
ロンドへの嫌な予感を感じたUは、ロンドの内面に探りを入れ始める。それに対してロンドは自分の中にある闇をいよいよ押されきれなくなり始めている事を白状するのだった………
次回「抵抗の限界」