ダンジョンに家族を求めるのは間違っているだろうか   作:アロンソ卿

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なんか……うーん、文が下手

ちょっと話がずれます。ちょっとだけね。それはまあキャラの心情的にね


帰還

「ふうん……色んなことがあったんだねえ」

 

「はい……あの、心配させてすみませんでした」

 

『地下の楽園』にてロキ・ファミリアの遠征隊に合流したのち、彼らの後に続く形でベルのパーティも地上に戻った。そうしてホームに戻ったベルを待っていたのは、ベルに寄せる信頼と帰ってこないかもしれないという不安が入り混じってぐちゃぐちゃになったヘスティア様だった。

 

 宥めるため、あるいはいつもの報告のために、ベルは今回の冒険を話していた。

 

「それで、君はまた明日になったらダンジョンに行くのかい」

 

「いえ、数日は行かないつもりです。少し考えたいこともありますから」

 

 そうか、とまるで神様は神様のような微笑みを浮かべた。そしてツインテールが揺れ、ベルの頭を抱え寄せた。不意のことに、ベルはされるがままヘスティア様の胸にすっぽりと顔が収まった。

 

「ベル君はどうしてオラリオに来たのか覚えてるか?」

 

「……はい」

 

「よかった。ああ、もちろんボクも覚えてるぜ。ベル君は家族を求めてこの街にやってきたんだ。目的は順調に達成できてそうかい」

 

「……わかりません」

 

「少し意地悪な質問だったか? でも大丈夫だ、少しずつ【ヘスティア・ファミリア】のことも知られつつある。いずれファミリアに入団希望をしてくる子もでてくるさ。それに、ボクらはもう家族じゃないか」

 

「……はい」

 

 そしてホームには沈黙が訪れた。ヘスティアは母のようにベルの頭を優しく撫で続け、ベルはしまいにはその胸の中で眠りに落ちてしまった。それでもヘスティアの手が止まることはなく、しばらくして、ようやく終わった。

 

「……君が幸せになれることを、君の祖父と同じように願っているよ」

 

 〇〇〇〇〇〇

 

 それから数日間、ベルは懐かしく思うくらい、作った借りの返済に忙殺されていた。それこそダンジョンに潜る暇もないほどだし、今後について考えることすらできないほどだった。

 

 まずヘファイストス・ファミリアに赴いては神ヘファイストスに対する謝罪兼、先の迷宮探索における様々な擦り合わせを行い、ミアハ・ファミリアに赴いては迷宮探索で消費した止血帯など救急医療品の再発注を行い、ロキ・ファミリアに赴いてはアイズやヒリュテ姉妹に絡まれながら、リヴェリアを中心とする団員に教育するためにオラリオの外に出た。

 

「ええ、ええ、はいそうです。布2枚か3枚をそれくらいの木の枝で、はい、両端を地面に木の枝で刺して小屋を作ります」

 

 ベルの指示でロキ・ファミリアの団員が仮小屋を作成する。リヴェリアとラウルは研修しながら、似たような布で別の団員に作らせていた。

 

「何名か順番に警戒戦闘員を出すことで、ある程度安心感を感じながら休息できます。団員の練度にもよりますが、一週間程度の遠征であればこの仮小屋で問題ないと思います。その辺りの判断は任せます」

 

 ベルは自分で持ってきていた遠征用に仮作成した荷物を仮小屋の奥に詰め、草を地面に敷き詰めると体を潜り込ませ、寝たふりをして見せた。そして立ち上がり、仮小屋をバラした。

 

「では何度か組み立ててみましょう。早ければ早いほど休憩時間も伸びますから」

 

 何度かリヴェリアやラウルの指揮下で組み立てると、次は救急品の講義に移った。

 

「死亡理由として多いのが失血死です。止血帯を予め四肢の根本に巻いておき、腕や脚に大怪我を負って多量出血した際、この巻きをさらに強めて血を止めます。基本的には1人で処置しますが、誰かの止血帯を巻くこともあるので、両方練習しましょう」

 

 そんなことをしつつ、希望してきたラウルやアイズに指揮やリーダーについて教えていた。

 

 〇〇〇〇〇〇

 

「へえ、そんなことがあったんですか。どうりでベルさんの話を聞くことが増えたんですね」

 

 夕食、久しぶりに『豊穣の女主人』を訪ねると、いつものようにシルさんに絡まれた。さすがにずっと隣についているのは、ランクアップしたなどの特別な時でしかダメらしく、横に座っては別のテーブルに料理を運んでを繰り返していた。

 

「ええまあ。嬉しいものやら恥ずかしいものやら……」

 

 実際、今も近くのテーブルから『勇者と戦ったらしい』とかなんとか聞こえてくる。人の口に戸は立てられないもので、色々尾ひれがつきながら、俺がフィンと戦ったことが広まっていた。

 

 中には俺が勝ったらしいというものまであった。それを聞いたティオネを、ティオナと2人がかりで抑えるなど、まああまり広まりすぎるのもよくないなとは思った。

 

「いいじゃないですか。これでファミリアに入団希望をする冒険者も現れるかもしれませんよ」

 

 シルさんは自分のことのように嬉しそうに笑いながらテトテト別のテーブルに料理を運ぶ。しかし俺としてはハハハと苦笑いするしかなかった。だってまともなホームがないんだから、誰が来るというのだろう。

 

 確かにホームは新しく作らねばならない。このままじゃ、家族というのは作りたくても作れなさそうだ。

 

 とすれば金がいる。さて、つまりはダンジョンに潜らないといけないわけだ。家族とは何か考えるより、まずは家を建てるというのは理に適っているかもしれなかった。

 

「家族……たしかにな」

 

「家族がどうしたんですか。もしかしてベルさんの家族のことですか?」

 

 戻ってきたシルさんがぐっと顔を近づけてきた。もしかしなくても聞かれてたらしい。

 

「えっと……俺の家族はもう死んでしまって……今はヘスティア様だけが家族なんですけど……、なんていうか家族っていいなって」

 

 まあまあ酔っている、ということを言い訳にしてそんなことを言ってみた。するとシルさんが何やら神妙な面持ちをしてしまった。ああ、あんまり家族が……ってすぐ言われても困るか。

 

「ああーあの、すみま──」

 

「次のお休みの日、デートしませんか?」

 

「せ──、え?」

 

 えっ、と固まる俺をよそにニコニコと笑っているシルさん。しかし彼女も徐々に恥ずかしくなってきたのか、顔を赤ながら視線が彷徨う。

 

 俺は店の喧騒がずいぶん遠いものに聞こえていた。

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