ダンジョンに家族を求めるのは間違っているだろうか   作:アロンソ卿

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ちょっとだけスキル修正 分かりやすく、より正確にした感じ 内容は変化なし


パーティ行動

 ベル・クラネル

 L v.1

 力 :H 111→G 203

 耐久:I 33→H 153

 器用:H 155→180

 敏捷:H 151→193

 魔力:I 0

《魔法》

【】

《スキル》

【虚栄虚飾】

 ・戦闘時における全能力の補正

 ・精神錯乱に対する超高抵抗

 ・パーティメンバーに比例して効果上昇

 

 

 

「まあこんなものでしょうね」

 

「うん、こんなものだろうね」

 

 俺は更新されたステイタスを見ながら神様と話し合う。耐久が大幅に上昇してくれたのはありがたかったが、しかし3夜4日程度ではこれが限界というような上昇幅だろう。日々の積み重ねが大切なのだと、俺も神様も同意見に落ち着いた。

 

「いいかいベルくん、このステイタスだと7階層とかに行くのは危険だと思う。その辺りはよくよくアドバイザーくんと話し合うことだ。ま、君はステイタス以外の部分があるから、安心はしている。それに君自身も気づいているだろうけど、君は危険を冒さないからね」

 

「……そうですね、それにこの神様の武器(ヘスティア・アームズ)もありますから」

 

 冒険をしないという神様の言葉に、少し心が澱む。けれどそれを振り払うようにすぐに手にある武器を意識する。と、神様がふわりと抱きしめてくれた。

 

「大丈夫、冒険者の在り方は人それぞれだ。冒険ができないからって気にすることはない。それに僕は、君が冒険をしなきゃいけないときを見分けることができないとは思っていない。だから大丈夫だ」

 

「はい。それじゃそろそろダンジョンに行ってきます」

 

「うん、いってらっしゃい」

 

 やっぱりどんな見た目をしていても神様は神様だなぁと、そう思いながらダンジョンに向かうのだった。

 

 〇〇〇〇〇〇

 

「冒険者ベル・クラネル以下2名は、この計画に従い迷宮探索を行います」

 

「はい、了承します。それでサポーターは見つかったんだ。じゃあ今日は初めてのパーティ行動だから、それを注意してね」

 

「はい」

 

 いつものように、エイナさんに行動計画を提出してから探索に向かう。他の冒険者がしないであろう行動に、リリが目をぱちくりさせていたけれど、何事もなく行われるその一連の行為に、疑問を挟む間もなくダンジョンに向かったベルに追従した。

 

「ベル様、今のは一体なんですか」

 

 ダンジョンの入り口手前で止まった2人だったが、まずはリリが口を開いた。

 

「探索計画の報告だよ。ダンジョンは危険だから、ああいう形でもやっているとギルドも安心するだろうし、何かあった時に対応してくれるかもしれないから。じゃあリリルカさん、今回の探索計画について話すよ」

 

 そういうと同時に通路の端に寄り、リリとの間に手書きの地図を広げて屈む。さて、こういうのも久しぶりだから気合いを入れないと。

 

 リリも俺に倣って屈むと、俺はじゃあ始めるよと言って計画を話し始める。

 

「今から今探索における計画を話す。これはダンジョン各階層の必要な部分を描いた地図に、今回の経路を描いたものだ。我々はこれから現在地を出発して迷宮探索を行う。初めは邪魔なモンスターだけを倒しながら7階層に向かいつつ、装備の性能を確かめる。そのあと順次、下層に進んでモンスターを狩る」

 

 そのまま注意事項とか、モンスターに囲まれたとき、撤退の要件など2人の認識を揃える。そうして俺たちはダンジョンに潜った。

 

 〇〇〇〇〇〇

 

「じゃあリリはいま宿に泊まっているのか」

 

 いつもの迷宮探索と同じく、適時のタイミングで休息を取る。何回か休息して話しているうちに、自然と俺の口調はいつものように戻った。

 

 役立たず故に同じファミリアのメンバーから爪弾きにされている、と。1つ1つリリの情報をまとめていく。こういったメンバーの状況を把握することは、これからの円滑なパーティ行動に必要不可欠なことだった。

 

「ええ、だから今のリリにはお金が必要なんです」

 

「そうか分かった……よしじゃあそろそろ出発するぞ」

 

 そうして武器をわざとらしく手に持った。その武器に視線が向かうのを、俺はしっかりと確認する。

 

 ピキッと、立ち上がるや否やダンジョンの壁にヒビが入る。モンスターが現れる前兆だ。

 

「ベル様! 来ます!」

 

「よし」

 

 壁から生まれた第一陣のモンスターを確認する。キラーアント3ニードルラビット4パープル・モス2。まず増援を呼ぶ可能性があるキラーアントを目標に定め、俺は駆け出した。

 

『ギシャアッ!』

 

 これまでの経験から、モンスターをモンスターとして捉えながら戦闘することは困難だった。だって前世で戦う相手といえば人であって、決してこんなモンスターではなかったのだ。

 

「1つ」

 

『ガッ?!』

 

 だからキラーアントは短剣を持つ甲冑を付けた人の腕、ニードルラビットは小さなレスラーを想像すると対処しやすかった。そのままニードルラビットの突進を避けてから蹴り上げつつ、キラーアントの節にナイフを滑らせる。

 

(にしても流石に支給品とは違うな)

 

 新しい武器は満足のいくものだった。ただ、俺の成長に合わせて成長していくという、なんとも装備開発者、ここでは鍛治師か、泣かせな武器に、一言謝罪をしたいという思いも湧く。

 

 ニードルラビットの突進を躱し、逆手に持ち替えたナイフでその背後を突き刺す。そのまま棒の先端にナイフを取り付け、パープル・モスの腹に突き立てた。

 

『ビュギ!?』

 

 刺突。非常に滑らかな動作で繰り出されたそれは、パープル・モスの腹を破壊しながら吹き飛ばした。そのまま返す刀で槍となったヘスティア・アームズを薙ぎ払い、残る一体のパープル・モスも切り払った。

 

「ベル様お強い〜!」

 

「無駄なことを言うな。次が来るぞ」

 

 注意し終わると同時に、さらに壁にヒビが走ってモンスターが生まれる。俺は槍をナイフと棒とに分けて、再びモンスターに相対する。

 

 敵を知り己を知れば百戦危うからず。というが、まず俺は死んではならないということを念頭に置き、敵が何で我がどのような状況で、どのような対処要領があるか、その思考サイクルを常に回し続けた。

 

 そうして、俺とリリのパーティは滞りなく階層を進めていった。

 

 〇〇〇〇〇〇

 

「よし、休憩ー!」

 

 そそくさと倒したモンスターから魔石を集め、休息に入る。リリはサポーターだけあって、俺よりも格段にモンスターから魔石を取り出すのが上手かった。おかげで先頭から魔石回収、休息までがスムーズに進み、そのような意味でもサポーターは非常にありがたいものだった。

 

 おかげで予想した結果より多くの魔石をより楽に集めることができていた。

 

「ありがとう、リリ。おかげで想定より多く稼げている」

 

「いえいえ、これもベル様がお強いからです」

 

 そのベル様という言葉に、そういえばと戦闘中などに特に気になったことを口にする。

 

「あー、戦闘中はそのベル様というのをやめてほしい」

 

「すみません、そういうわけにもいかないんです。上下の関係ははっきりつけなければいけません。冒険者様にはサポーターはへりくだらないといけないんです」

 

「ああいや、そういう事じゃない」

 

 パーティに上下の関係は、まあ必要だ。それは指揮の観点から必要な事項である。そうしないと、誰の言うことを聞けばいいか判断できず、パーティが混乱してしまう。しかしながら上下は意識するだけでいいのだ。

 

 リリは理解できずに頭にハテナを浮かべている。

 

「俺がリリルカ・アーデのことをリリというのは、その方が簡潔で分かりやすく情報伝達が早いからだ。その観点でいうと、ベル様というのは無駄がある。『様』を付ける余裕と時間があるなら少しでも戦闘に資する情報を言ってほしい」

 

「……分かりました」

 

 パーティとして長を持ち上げるよりも、情報提供の方が重要だということを理解していたリリは、とりあえず頷いた。しかしどこかまだ納得できていないような様子に、不信感を抱く。

 

「……戦闘中以外は好きに呼んでいい。ただ戦闘中はやめてほしいというだけだ」

 

「はい! では今はベル様と呼ばせていただきます!」

 

 ぴょんと跳ねるように喜ぶ彼女だったが、しかしその目は俺の武器を見ていた。

 

「それにしても、ベル様は本当に駆け出しの冒険者なのですか? このように合間にしっかりと休憩を取るなど、駆け出しにしては戦闘慣れしているように思うのですが」

 

「……まあ強さはこの武器のおかげだろうな」

 

 あまり突っ込まれたくない部分に触れられたので、リリの食いつきそうな話題にすりかえる。武器をチラつかせれば、そちらに僅かながら視線が移った。

 

「確かにそれも大きいと思います。ところでその武器はどこで手に入れられたのですか」

 

「ああこれは、神様がヘファイストス・ファミリアに依頼して作ってもらった武器だ」

 

「そうですか……」

 

 やはりヘファイストス・ファミリアの名前を出すと違うなあと、彼女の反応を見てそう思うのだった。

 

 〇〇〇〇〇〇

 

「よし、これで今日は終わる。じゃあ、これから街に戻ろうか」

 

 そう言われて冒険が終わる。冒険に対してなのだろうが、ずっとあったために行動できなかった警戒心が、ようやく解かれた。

 

 今日一日一緒に行動して分かったが、ベル様は手強い人だ。モンスターに対する隙もなければ、ナイフを盗む隙もなかった。

 

 しかし今はその警戒心が解かれている。ここを除いてチャンスはないと確信できた。それにベル様はあろうことか向こうを向きながら背伸びしている。腰部は全くの無防備だった。

 

 駆け出し冒険者ならこういうことにも疎いだろう。腰部にあるヘスティア・アームズという武器のナイフだけに手を伸ばす。

 

「──ッ?!」

 

 と、その時だった。首に一筋の熱い線が走る。体はその時点で停止した。

 

「次はやるなよ。俺もあんまり殺人はしたくない」

 

 なんて、そんなことを一つも思っていないような声が聞こえる。同時に身が凍るような思いがした。これまで色々な感情をぶつけられてきたが、ここまで行動と感情とが乖離しているのは初めてだった。

 

 ベル様に殺意はない。殺気を隠しているにしても、リリの首にナイフを当てる動作はあまりにも自然すぎるのだ。例えば、使い古したコップを捨てるために割るとか、そんな生活の一部として、この首を切り落とすだろう。それがひどく恐ろしかった。

 

 モンスターと戦うよりも冷えたベル様の心に、リリを処分することはモンスターを倒すことよりも下なのだと意識せざるを得なかった。

 

「帰るぞ」

 

 そう言って歩き出すベル様の後ろを、リリはついて行くことしかできなかった。ナイフを盗もうとしたことを咎められたために分け前を5:5から減らされたにも関わらず、リリが掠め取っていた魔石の分と合わせるとちょうど5分になることに気が付き、さらに衝撃を受けた。

 

 痛いとか恐怖とか、そういうのを通り越した死の予感に、脳はいまだに正常な状態を取り戻せず、ベル様と別れた後も夕暮れの街をふらっと歩いていた。

 

 そんな時だった。

 

「見つけたぞ、この糞パルゥムがっ!」

 

 そんな、嫌な声を聞いたのは。




冒険中のベル君、オンとオフの差が激しい。あと他人からの見た目もちょっと怖い感じだ
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