機動戦士ガンダム-ハウンドドック-   作:ナイトメア・ゼロ

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33話 リーファ・メイル

 いつからだろう。私がベルのことを好きになっていたのは。

 

「リーファちゃんってバイオリン上手だね」

 

「そ、そんなことないよ。簡単な曲だし」

 

「それでもすごいよ!僕、リーファちゃんが弾くバイオリンが好きになっちゃったんだもん!」

 

 私がバイオリンを本気で弾くようになったのも思えばこの時がきっかけだったのかもしれない。

 私は、ただ、ベルの拍手と笑顔が欲しくてバイオリンと向き合っていた。

 だけど、私達が中学生に上がり、ある日を境にベルは私達から距離を取るようになった。理由なんて分からなかった。お父さんやお母さんに相談した時も「思春期特有のアレだ」って言ってたけどあの時の私は、ただ恥ずかしがってるだけだと呑気に考えていた。

 私のベルへの想いは、まるで風船のようにどんどん膨れ上がった。

 

「よぉ、リーファ!」

 

「レックス?今日、部活無かったの?」

 

「あぁ、リーファも今帰りか?」

 

 私のもう1人の幼馴染レックスと一緒に帰ってた時だった。

 

「最近、2人になることが多いね」

 

「そうか?あんまり気にしなかったけど」

 

「ねぇ、レックス」

 

「なんだ?」

 

「私ね、ベルに告白しようと思うの」

 

「・・・・・そう・・・・なのか」

 

「うん、やっぱりずっと好きだったから」

 

「・・・・・そうか、頑張れよ。ドーベルならきっと、お前の告白を受けてくれるよリーファ」

 

「うん、ありがとうレックス」

 

 この時までのレックスは、私達3人のリーダーのような存在だった。だから、家族に言えない悩みとかは、レックスに聞いてもらう時があった。

 

「なんだか、レックスに聞いてもらったら勇気が出たわ。もうすぐ卒業だけど大人になってもこの関係はずっと続けられたらいいな。私達3人で」

 

 だから、私は、レックスに対してどれだけ酷いことを言ったのか私は気づいていなかった。

 学校で表彰された時も嬉しかったしベルも嬉しそうな顔で拍手をしてくれた。ベルが自分のことのように喜んでくれて私はすっごく嬉しかった。そんなある日だった。お父さんのコネで私は、大きなコンサートへの出場権を獲得した。音楽学校の偉い人達も来てくれて音楽への道を進む大きなチャンスが生まれた。

 私は両親に感謝したけどそれよりもこれはベルへの告白のチャンスだと思った。私はレックスにも声をかけて私とベルの証人になってもらおうと思った。お父さんとお母さん、レックス、みんなの前で告白するのは勇気がいるけどレックスと相談して今の私は勇気もある。絶対に成功させるつもりだった。

 だけど。

 

「あー、ごめん。無理だわ」

 

「えっ?」

 

 私の誘いは断られてしまった。

 

「この日は、俺、高校受験受ける日なんだよ。試験事態は午前で終わるけどこの日は、無理だな」

 

「わ、私の演奏の時間は午後からなの!高校受験が終わってからでもいいから」

 

 私は嘘をついた。本当は午前からだったけど、私はベルに聞いて欲しくてベルのことが好きだから私はベルのために調整するつもりだった。

 だけど。

 

「無理言うなよ。仮に近場でやってたとしても受験で疲れてるから聴きに行くのは無理だって」

 

 そう言って断られた。

 私は、頭が真っ白になった。なんで、なんでなのベル?私はベルに聞いて欲しかったのに。私はハートの形のネックレスペンダントを開き中にある私とベルのツーショット写真を見て涙を流した。

 そしてコンサートの当日。私は集中ができず結局、結果、最悪の評価だった。そんなの当たり前よ。だって聞いて欲しかった人がいないんだもの。弾けるわけがなかった。

 時間が経ち中学校卒業の日。

 私はレックスと会っていた。

 

「リーファは、音楽の専門学校に行くんだよな?」

 

「うん、ジオンで1番の学校だよ。レックスもフェンシングの推薦でフェンシングが1番強い高校に行くんだよね?」

 

「まーな。お互い忙しくなりそうだな」

 

 他愛のないただの世間話だった。これで3人で一緒にいるのも最後になると思った。だけど、レックスとはなんだかちょいちょいと会うような気がしていた。だけど、ベルは、結局、幼馴染で終わってしまった。私はこんな終わり方、望んでいなかったのに。

 

「俺でよければ胸を貸すぜ」

 

 私はこの時、レックスに甘えてしまった。本当は分かってた。ベルは私のことをラブじゃなくてライクの方で好きだったこともレックスが私のことが好きだったことも本当は分かってた。

 だけど、レックスからの想いを私は受け入れもせずそして拒否もしなかった。だから、私は、罠にかかった。

 

『おめでとうー!!』

 

 教室の中でクラッカーが鳴り響いた。教室にはいきなりクラスメイト達が入って来て私達を盛大に祝っていた。

 

「いやー、フォーラーさんが今日、メイルさんに告白するからって聞いてましたから俺達アンタ達を盛大に祝福するために張ってたんですよ!」

 

「おめでとうございます!メイルさん!お似合いのカップルですよ!」

 

 私は何が起きてるのか理解できなかった。

 

「ち、ちが、私は」

 

 だけど、私は否定する前にレックスが・・・・この男が無理矢理キスをしてきた。気持ち悪かった。泥水でもなんならトイレの水でもいい。なんでもいいからとにかく口を濯ぎたかった。

 そして私は目にした。教室の外でベルが私達を見ていたことに。私は慌ててベルを追いかけたけどベルはもうどこにもいなかった。

 

「リーファ!」

 

 あの男が私を追いかけてきた。あの男が私を後ろから抱きしめてきた。

 

「なんで、なんでこんなことをしたの!離してよ!!」

 

 私は暴れて引き離した。

 

「分かるだろ!もう、俺達とアイツじゃ住む世界が違うんだ!凡人と天才が釣り合うはずがないだろ!いい加減に気付けリーファ!お前は俺と付き合うべきなんだ!!」

 

 私はこの男が何を言ってるのか理解できなかった。だけど、バカな私でもようやく分かった。私はこの男に嵌められたことを。私は、慌ててベルを探しに行った。だけど、その日はどこに行ったのかも分からず見つけることができなかった。だから、私は明日、誤解だったことを伝えようとした。

 だけど、家にベルはいなかった。ううん。ベルだけじゃない。ウィンターズ家自体がジオンから居なくなっていた。

 そして、宇宙世紀0078、私は無理矢理あの男の婚約者にさせられそして国家総動員令によって無理矢理私は軍人にさせられた。だけど、モビルスーツの適正はあったけどGへの耐性がなかった私は無理矢理、強化手術を受けさせられた。

 宇宙世紀0079、戦争が始まって私はたくさんの人をこの手で殺した。もう、私は何も感じなくなった強化手術を受けてからなんでか分からないけど殺した人達の憎しみや恐怖が頭の中に入ってくるけど何も感じなかった。あの男に抱かれても何も感じなかった。

 なんで、なんで、私の隣にはこの男がいるの?なんでベルじゃないの?ベル、どこに行ったの?

 

 ベル・・・ベル・・・ベル・・・ベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベルベル・・・ベル!!

 いつからだろう、いつから私達の運命はすれ違ったのだろう。

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