「リーファ!!」
ドーベルを庇いコックピットを潰されたリーファのドムは、ドーベルに向かって倒れた。ドーベルは、ドムを受け止めて接触回線で何度も呼びかけた。
「な、なんで、なんでそいつを庇ったんだリーファ?な、なんで、お、俺が殺した?」
レックスは、歯をガチガチと鳴らし恐怖で引き攣った顔をしヒートサーベルとスパイクシールドを地面に落とした。
「お、俺は、・・・・俺は、悪くない!俺のせいじゃない!リーファがいきなり割り込んで来たんだ!俺のせいなんかじゃない!オレノセイジャナイィィィィィィィィィッ!!!」
リーファを殺した現実を受け止められないのかレックスは、発狂しその場から走って逃げ出した。
「ウゥッ」
リーファの状況は最悪だった。レックスのスパイクシールドで左腕と左脇腹を潰され自身の命も残りわずかだと理解した。
「ガフっ!」
リーファは血を吐きヘルメットのシールドを内側から赤く染めた。すると、コックピットのハッチが切断された。
「リーファ!!」
外の光が入ると同時に連邦軍のノーマルスーツを着たドーベルが入ってきた。
「ハウンド3!出力を間違えるなよ!」
「分かってますよ隊長!」
ハウンド3は、ビームサーベルの出力を落としてうまいことコックピットのハッチだけを切断するとドーベルは、ガンダム・ハウンドドックから降りてドムに乗り込んだ。
「リーファ!!」
中には、左腕と左脇腹を潰されたリーファの姿があった。
「リーファ!俺が分かるか!?ドーベルだ!!ドーベル・ウィンターズだ!!」
ドーベルは、ヘルメットを脱いでリーファを抱き抱え何度も呼びかけた。
「ベル?」
リーファもシールドを上げてやっとドーベルの顔を視認した。
「会えた、やっと見つけたよ。ベル」
リーファは、涙を流しながら嬉しそうな顔をした。
「大丈夫だ、ベル!今、衛生兵を呼んだ。もうすぐしたら衛生兵が来る!だから、目を瞑るな!喋らなくてもいい!とにかく体力を温存するんだ!」
ドーベルは、呼びかけ続けるとリーファは右手を前に出しドーベルの左頬に触れた。
「やっと会えて嬉しいわベル」
リーファそう言って吐血をした。ドーベルは、黙るように言うがリーファは、お構いなしにドーベルに話し続けた。
「4年ぶりね。中学校卒業の日からもう4年が経った」
「そうだな。4年ぶりだなリーファ」
「ベル、私ね、卒業式の日、ベルに告白するつもりだったの。私、ベルのことが大好きだったの。ずっと、あなたと一緒にいたかった。あなたと結婚もしたかった」
「!?リーファ、お前」
「フフ、今頃、気づいたのベル。鈍感なんだから・・・・カハッ!」
「なんで、なんで今、そんな告白するんだよ!そんな、最後の別れみたいな告白あるかよ!なんであの時、俺に告白しなかったんだよ!?俺はてっきりお前とレックスが結ばれたとばかり」
「あれはレックスの罠だったの。レックスは、あの場を利用して私と付き合うという既成事実を作ったの。あの時のあの場所では、私の意思はないわ」
「私ね、この4年間、あの男の人形だった。だけど、私の心は常にベルに会いたい気持ちでいっぱいだった。だけど、最後の最後であなたにベルに会えてよかった。ベルに告白できてよかった」
「だったらその想いを叶えろよ!ここで死んだら元も子もないだろ!」
「私ねたぶんだけどニュータイプっていうのに覚醒してるんだと思う。だから分かるの。今のベルには、もう隣に誰かいるみたいね。本当は分かってたの。ベルは、私の事1人の女性としてじゃなくて幼馴染として親友としてそして妹のように思ってことも。ラブじゃなくてライクだったことも」
「そんなことない!そんなことないぞリーファ!」
ベルはもう耐えられなくなり涙を流し始めた。
「嘘が下手ねベル」
リーファがそう言うとドーベルにヘルメットを取って欲しいと頼んだ。頼みを受け入れヘルメットを外すと首にかけているネックレスペンダントをはずしそれをドーベルの手に渡した。
「お願いベル。どんな人があなたの隣にいても構わない。だけど、私と言う女が幼いころからずっと一緒だったことだけは忘れないで」
「縁起悪いこと言うな!絶対に助かるから!そうだ!俺さ、父さんと母さんとサイド6に住んでるんだ!一緒にサイド6に行こう!うまい店とかなんでも奢ってやるし父さんも母さんもきっとリーファと会えたら嬉しがるよ!」
必死に話しかけ続けるがリーファの命の火も残りわずかだった。
「ベル、これは私の遺言だと思って」
「何、言ってんだよ」
「ベル、私の全てをあなたにあげる。私の肉体も心も魂もあなたに全部あげる。だから、お願い。レックスを止めて」
「レックスを止める?」
「レックスを壊したのは私なの。私がちゃんとレックスの想いに向き合っていればもしかしたら私達はこんな狂った戦場で出会うことはなかった。たぶんだけど、レックスは、私の死後、壊れてなりふり構わず暴れるかもしれない。そうなる前にレックスを止めて。これ以上、レックスが苦しまないようにお・・・ね・・が」
そう言うとリーファは、遂に事切れた。
「おい、リーファ?死ぬなリーファ。死ぬな!!死ぬな!!死ぬなぁぁぁぁぁっ!!」
何度も死ぬなと呼びかけてもリーファは反応しなかった。そして、死亡が確認されるとドーベルは、まるで赤子のように大泣きをした。
マドラスはついに陥落しインド洋とヨーロッパを繋ぐ道が完成し中国にいるジオン軍を半包囲状態にすることに成功した。これで中国で戦っていた連邦軍は、かなり優勢となりペキン基地の奪還ももうすぐだろう。マドラス攻略作戦は、無事成功に終わったのだった。