マドラスの奪還に成功して2週間後にジオン軍はジャブロー攻略作戦を開始したが失敗に終わり遂に連邦軍の反撃が始まった。次々とジャブローから宇宙戦艦が打ち上げらる中、ドーベル達は、ジャブローで休息をとっていた。
それぞれが好きなように休暇を楽しんでいるがドーベルだけは死体保管室で棺桶に入っているリーファを見ていた。
「・・・・もし、神様ってのが存在するんだとしたら本当に残酷なことしてくれるよな」
静かに呟きドーベルは涙を流した。そんな姿を部屋の外から見ているのはレベッカだった。
「ドーベル」
レベッカは、静かにその場を立ち去ると視線の先には、ハウンドドック隊とバトルドック隊がいた。
「その・・・・どうなんだ隊長は?」
カイル曹長が訊ねるとレベッカは、首を横に振った。
「今回は相当こたえてるみたいだな」
クロウ中尉がそう言った。
「ハンドラーは、何か言ってましたか?」
レベッカが訊ねると。
「今のところ任務を渡されてないらしい。とりあえず、任務が来るまで待機だ」
と、カイル曹長が答えた。
「それまでに隊長、立ち直ってくれたらいいんですけど」
ジャック曹長もそう言ってその場を後にした。
レベッカは、ジャブローの女性兵舎に帰り娯楽室で新聞を手にした。
「『マドラス奪還に成功。東アジア奪還は、目と鼻の先か』、『マドラス奪還の英雄は、元ジオン人』、『インド地方奪還の英雄部隊『ドッグズ』連邦軍本部ジャブローにて勲章親授式を開催』、『【エース狩りの猟犬】ドーベル・ウィンターズ。ジオン軍エース部隊【黒騎士隊】を殲滅』」
レベッカは、ため息を吐いて新聞をテーブルの上に放り投げた。
「ここまで露骨にドーベルをプロパガンダにするなんて連邦政府も本当にやらしいわね」
そう言って、スマホを取り出してラジオアプリをつけた。
『この放送は、全世界のジオン兵達に届けています!ジオン兵の皆さん!もう知ってる思いますがオデッサの戦いは、連邦軍が勝利しオーストラリアや各エリアに対しても連邦軍は、攻勢に出ています。そして、今回!私がお届けしたい放送はこれ!マドラスの英雄【エース狩りの猟犬】、【ドーベル・ウィンターズ准尉】です!ウィンターズ准尉は、なんと、ジオンの出身でありながら連邦軍への入隊を志願した勇気ある若者なのです!ウィンターズ准尉は、戦争を嫌いジオンからサイド6へ移住をしたのですが元とはいえ故郷であったサイド3が独立戦争を起こし更にコロニー落としという非道な作戦を行いました。それを見たウィンターズ准尉は、ひどく悲しみそしてこれ以上、故郷だったサイド3に罪を増やさせてはいけないと考え親の静止を振り切って連邦軍へ入隊して来ました!そして彼は、インド地方にいた数多のジオン軍エースパイロットを倒しマドラス基地を奪還したのです!ジオン兵の皆さん!今こそ、彼に続くのです!ジオン公国の総帥、ギレン・ザビについて行けばいずれジオンは滅んでしまうでしょう!ジオン兵の皆さん!よーく考えていただきたいのです!本当の敵は誰なのかを!地球連邦軍は、正しい考えを持つジオン兵士をいつでも受け入れる準備ができています!共に戦いましょう!今こそ、団結しジオンではなくギレン・ザビを倒すのです!』
ラジオ放送を聞き終えるとレベッカは、ラジオを消しまたため息を吐いた。
ジオン公国本国では、レックス大尉の軍事裁判が行われていた。
「報告と事実確認のためにイフリートから戦闘ログを回収させてもらったが概ね事実であることが判明した。大尉の部下であるリーファ・メイル中尉は、確かに庇うようなそぶりを見せてはいたが君はエースパイロットだ。あんな風に割り込まれても攻撃を中止することができたのじゃないかね?」
「裁判長!私は、決してリーファ中尉を殺すつもりはなかったんです!俺がドー・・・敵を殺そうとしたらいきなり現れて止めることができなかったんです!」
レックス大尉は、必死に弁明をしているが裁判長は、聞く耳を持たなかった。
「どちらにせよ、リーファ・メイル中尉を裏切りとして見たとしても君が敵前逃亡をしたことは事実だ。しかし、フォーラー議員がまだ、大尉は使い道があると言われた為、とりあえずは、大尉を二階級降格とし1ヶ月の謹慎処分を言い渡す」
「そ、そんな」
「君の父親に感謝しなさい。本来なら大尉いや、これからは少尉か。少尉は、死刑か無期懲役の刑罰を与えなければならないがジオン公国に余裕がないのも事実であるし君の父親がギレン派の政治家だ。これから先のジオン公国とギレン閣下の忠誠心を謹慎が解けた後に見せてほしい」
そう言われてレックス少尉は、謹慎処分を受けた。レックス少尉は絶望した表情で兵舎に向かっていると。
「おい見ろよ。あれ、エースの黒騎士じゃないのか?なんでここにいるんだよ?」
兵士からのヒソヒソ話が聞こえた。
「お前、知らねーのか。あの男、前線で仲間を殺して敵前逃亡したみたいだぜ」
「嘘だろマジで?」
「マジマジ、大マジだ」
「それなら、なんでこんなところを歩いてるんだよ?普通死刑レベルだろ?」
「操縦の腕はいいのと父親がギレン派の政治家だったらしいぜ。運がいいのか父親が仕組んだのか今回の裁判官はギレン派だったらしいし」
「そうなのか」
「後、その殺した仲間なんだけどあの男の婚約者だったらしいぜ」
「ハァ!?自分の女を殺して逃げて来たのか!?とんでもねークズだな」
「まったくだ」
話を聞いて手のひらから血が流れるほど強く握り拳をつくった。降雨タイムになったのか雨が降り始めレックス少尉はあめに濡れているとスマホが鳴った。電話に出てみると。
「レックスか」
相手は父親だった。
「父さん」
「まったく、お前には失望したよ。お前が欲しいって言ったからわざわざあの娘を婚約者にしてやったのに婚約者を殺しただけではなく敵前逃亡までするとは。ファーラー家の名前に泥を塗るつもりなのか?」
「父さん、俺は」
「言い訳など聞きたくない。お前などもう息子でもなんでもない。2度とファーラー家の敷居にも私の前にもその顔を見せるな」
そう言って、一方的に切られた。
レックス少尉はスマホを地面に投げつけた。
「ふざけるなクソ親父が。クソ、クソ、クソ」
レックス少尉は何度も何度もスマホを踏みつけるとそのままスマホを拾わずその場を去った。