俺の人生は、他の奴らから見たら恵まれてると思われてるのかもしれない。父親は、ジオン共和国の政治家、母親は、すでに他界していてこの世にはいないがその代わり、母親代わりの使用人がいた。そして、リーファという綺麗な幼馴染とドーベルという心を許せた幼馴染(親友)。
他者から見たら本当に恵まれたガキだったのかもしれない。
だけど、俺から言わせれば俺は全然恵まれてない。むしろ、俺はドーベルが羨ましく妬ましかった。
俺はフェンシングの才能があってフェンシングの天才と呼ばれるようになりガキの頃は一緒だった俺達も徐々に関係が変わっていったが俺の家族が変わることはなかった。
「父さん!俺、フェンシングの大会で優勝したんだ!みんな、俺のことをフェンシングの天才って呼んでくれて」
「だからなんだ?お前は俺の息子だ。優勝できて当たり前だ」
「父さん!テストで90点とったんだ!今回のテストはかなり難しくてこんな高得点をとれたのは俺だけで」
「90点だと?レックス、お前は俺を馬鹿にしてるのか?いいか、お前は俺の息子だ。テストで満点をとるのは当たり前だ。満点以下ならお前は俺の息子として当たり前のことをできなかったということだ。スポーツの大会にしてもだ。この前、優勝して喜んでいたが優勝など俺の息子なら当たり前だ。そんな当たり前でくだらん事を報告するな。これ以上、失望させるな」
父親は、俺を褒めた事は一度もない。俺の息子ならできて当たり前。それが口癖のようだった。だからこそ、俺は2人と一緒にいた頃が居心地が良かった。
そして中学に入る頃には。
「あの、フォーラーさん。フォーラーさんってメイルさんと付き合ってるの?」
こんな噂が広がっていた。
「また、その噂かよ。だから、それはデマだって何度言わせるんだよ」
「えー、でもみんな言ってるよ。すっごく、仲良さそうだし」
「だから、それはただの幼馴染だからだ」
口ではそう言ってるが本当はこの噂が流れてる事に心地よく感じていた。少々、低めの身長だがそんじょそこらの女子と比べたらリーファは、圧倒的にかわいい。そして、化粧とかも覚えたリーファは、どんどん綺麗になり俺がリーファを1人の女性として見るのも仕方のない事だと思う。
そんな時だった。
「すいません。フォーラー君はいますか?」
リーファがクラスに入ってきた。リーファは、俺の前に来ると時間があるかどうか訊ねてきて俺はフェンシングの予定が無くなって時間ができた事を答えた。
「よかった!じゃぁ、放課後ウチに来てくれる?」
「えっ?別にいいけど」
「それじゃまた後でね」
(何だ?わざわざ家に呼ぶなんて。まぁ、久しぶりだから嬉しいけど)
俺がそう考えていたらクラスは盛り上がっていた。「噂はやっぱり本当だったんだ」って、言って色恋沙汰に興奮する奴や悔しがっている奴、祝福してくれている奴がいた。
そして。
「家に誘うなんてやる事は一つだろ」
そう言われた俺は、まさかと思って家に行った時の妄想をしてしまった。正直、ありえなくない話だった。
俺の父親はジオンの政治家で家は金持ちだ。それに、俺自身もフェンシングの天才とも呼ばれていた。何かあっても俺はリーファとドーベルの前に出てリーダーシップをとっていた。俺はリーファのパートナーに相応しい相手だと思った。
だからこそ。リーファの家でリーファが身につけていたロケットペンダントに俺じゃなくてリーファとドーベルが映った写真を見て俺の頭はぐちゃぐちゃになりそうだった。
「私ね小さい頃からベルのことが好きだったの。だから、1番最初にレックスに知って欲しかったの」
そう言われて俺はその後、どうなったか覚えてない。気がついたら俺は家に帰っていてトイレで吐いていた。俺は部屋のソファで横になった。使用人に何か言われたような気がしたけど気にしなかった。
「何やってんだろ俺。バカみてぇだ」
時間が経ち俺は、リーファに相談された。今度やる大きなコンサートでリーファは、ドーベルに告白するつもりだった。俺は口では応援するとか言っておきながら俺はリーファの告白が失敗する事を望んでいた。
本当なら終わりにするべきだったんだ。幼馴染じゃなくて1組のカップルと1人の男。そういう関係になるべきだった。
なのに、ドーベルの奴は来なかった。俺は分かっていた。ドーベルは、リーファの事を女性としてじゃなく友達として妹のような感覚で見ていた事を。だから、リーファのコンサートよりも自分の受験を優先した。
本当なら俺が説得しなきゃならなかったんだ。だけど、俺はリーファへの想いを捨てきれず俺はリーファの想いを伝えずドーベルを責めた。
そして俺達の運命が狂い始める運命の日。卒業式の日に俺は悲しんでいるリーファに胸を貸した。
その時だった。
『おめでとうー!!』
教室の中でクラッカーが鳴り響いた。教室にはいきなりクラスの奴らが入って来て俺達を盛大に祝っていた。
「いやー、フォーラーさんが今日、メイルさんに告白するからって聞いてましたから俺達アンタ達を盛大に祝福するために張ってたんですよ!」
「おめでとうございます!メイルさん!お似合いのカップルですよ!」
俺は何が起きてるのか理解できなかった。俺が告白?どういう事だ?でも、これは俺にとってかなり嬉しい誤算だった。俺はリーファが俺から離れてほしくなかった。ずっと俺だけを見て欲しかった。だから、俺は既成事実を作るようにリーファの唇を奪った。そしてたまたま見えてしまった。ドーベルが俺達を見ていた事に。
リーファは、俺を押して離れるとリーファは、俺を睨みそしてクラスの奴らをかきわけて教室から出た。俺も慌ててリーファを追いかけて俺はリーファを後ろから抱きしめた。
「なんで、なんでこんなことをしたの!離してよ!!」
「分かるだろ!もう、俺達とアイツじゃ住む世界が違うんだ!凡人と天才が釣り合うはずがないだろ!いい加減に気付けリーファ!お前は俺と付き合うべきなんだ!!」
その時、俺は自分が何を言ったのか分からなかった。カッとなっていた俺は一体何を言ったんだ?
結局、リーファは、俺から離れドーベルを探しに行った。俺もドーベルに電話をしようとしたが電話をする気が起きなくて携帯をしまって家に帰った。明日、ドーベルに色々と説明しようと思っていた。だけど、ドーベルは・・・ウィンターズ家がジオンから居なくなっていた。
そして俺は自己嫌悪した。ドーベルがいなくなればリーファは俺の女になるって考えてしまったんだ。
そして宇宙世紀0078、俺は父親の権力と金を全てを利用してリーファを婚約者として手に入れた。いつからかジオンから出て行ったドーベルを裏切り者として憎むようになり醜い黒いドロドロした独占欲のようなものがリーファを支配した。
リーファの両親は俺のことを一生認めないつもりだった。だけど、金と権力、俺の全てを使って俺はリーファを手に入れた。なのに、なんでリーファは、俺を見てくれないんだ?戦争が始まった時も俺は【黒騎士】と呼ばれるくらいには活躍してたくさん連邦兵を殺したんだ。
俺は誇られる英雄になったんだ。なのに、なんでリーファは、俺を見てくれないんだ?そんなにあんな奴の方がいいのか?
もう、俺には分からない。俺はいつから狂ってしまったんだ?