白兎の師匠はろくでなし魔術講師   作:LIFEサガ

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はい、9話目です。
いや〜〜、やっとプロローグが終わろうとしていますね。ほんとに長かった・・・。でも、まだ原作にはほど遠い・・・。まぁ気長に待ってもらえると幸いです。それでは最後のプロローグ、いってみよう!


プロローグ9〜それでも僕は

side ベル

 

明確な拒絶だった。僕はしゅんとなりながらグレンお兄さんの方を見た。グレンお兄さんは申し訳無さそうにしながらも決意のこもった目で僕のことを見つめている。今のままでは、僕は何も言うことができない。

ふと、グレンお兄さんが部屋を出ようしていた。そうなる前に僕は体を使って行く手を阻む。

 

「待ってっ、グレンさんっ!!!!!」

 

そういうとグレンさんは振り向き、

 

「すまんが話はこれで終わりだろ。俺はちょっと気分転換に外に行きたいと思って・・・・」

 

「僕は、何ひとつ夢に向かって踏み出せてないんだっ!!」

 

そう、僕が叫ぶ。グレンはベルの言っていた言葉の意味がわからないため、僕に向き直り、屈んでどういうことなのかを聞こうとする。そして僕は自分が思っていることをがむしゃらに答える。

 

「僕はいつか英雄譚に描かれた英雄のように、みんなの命を守りたい!この手でみんなの命を救いたい。・・・おじいちゃんに言われたわけじゃないんです。誰かの悲しみを拭い、笑顔をもたらさられるような人になりたいんです」

 

それは普通の人が聞けばいい夢なのだろう。だがグレンの答えは変わりそうにない。

 

「ベル。それだったら俺じゃなくても・・・・今のお前にだっていろんな方法で人を笑顔にすること出来る。こんな危ない力なんて無くたってな。だからそれは理由にはならないんじゃないか?」

 

「・・・えっ。僕が皆を・・・笑顔に・・・・そうですかね?」

 

「ああ、そうだぜ、ベル」

 

そうグレンさんに言われても僕はどかない。やがてグレンさんはため息をはきながらも

 

「何だ、ベル。他に何か理由があるのか?」

 

と聞いてきた。

 

「えっ!!?えっと、それは・・・・」

 

僕はしばらくモジモジしながらどうしようかと考える。本当の理由を教えるのは別にいいのだがこの事を言えばベルは魔術を教えてもらうにしても教えてもらえないとしても絶対に恥ずかしくなると思った。しかし意を決して本当の理由を言ってみようと思った。

 

「お、お兄さんが・・」

 

「おう。」

 

「お兄さんが戦ってる姿が僕にとって最高にかっこいい英雄の形になったからっ。だからっお兄さんと一緒の力を使って英雄になりたいって思っちゃったから!」

 

「・・・・」

 

「えっと・・・。・・・だから・・・」

 

「・・・・・」

 

かぁあああああーーっ!!

(わーーーっ!!!なんか変なことを言っちゃったかもしれないなぁ!もっと良い言葉は無かったのか!!でもこれでグレンさんが断るって言うのなら、もう諦めるしか・・・・・)

 

そんなベルの挙動を気にせずにグレンはさっき言ったベルの一言に過去の自分のことを思い出す。

幼い頃、セリカの魔術であの暗い外道魔術師を倒し、自分を助けてもらったグレンはセリカに憧れを抱いていた。そしてセリカ「メルガリウスの魔法使い」の読み聞かせを聞いてグレンもセリカやこの物語の主人公の「正義の魔法使い」の様な魔法使いになるべく11歳の幼さでアルザーノ帝国魔術学院へと入学した。しかし、現実は残酷だった。

グレンの魔術特性は【変化の停止、停滞】。変化を世界へと書き換える現代魔術とは致命的に噛み合わないためである。この魔術特性は、変えることがほぼ不可能なためグレンは魔術士としてはどう頑張っても凡人の域を出ることが出来ないのである。それでもグレンは卓越した格闘術と他とは比べ物にならない魔術知識を誇り、そして魔導士時代の魔術を戦闘の一つの手段として使う。魔術士としての腕は低いが置かれた状況と持ちえる手札を冷静に分析して絶体絶命な状況であったとしても「勝たなくても負けない」というような持ち回りをして立ち回り生き残る粘り強さもグレンの帝国軍人としての任務を何度も成功させてきたのだ。

だが、ベルはそもそも戦う才能には恵まれていないとグレンは思った。先のゴブリンとの戦いの中でも、かなり逃げ腰になってしまっていた。そしてその優しすぎる性分から見ても戦いの才があるとは思えない。グレンはこの事からベルがこの村で一生農民として暮らすと思ったためこれは驚いた。

此処は断った方がいいだろう。グレンはそう思っていた。だがその一方で、この子を放っておいてもいいのだろうかとも思う。ベルはここでグレンに断られたとしても夢にがむしゃらに進もうとするだろう。かつて魔術で人を助けたいと思い特務分室に入ったグレンと同じように。そして、ある事で折れてしまったグレンはベルも自分と同じように取り返しのつかない失敗をして塞ぎ込んでしまうのかもしれないと思った。そう考えるといざとなったら自分や仲間を守る力はある方がいい。簡単な魔術であれば教えてあげてもいいのかもしれない。そう思うが、それでベルに迷惑が掛かれば・・・と堂々めぐりとなり、

 

「すまんな、ベル。この返答はまた今度でも良いか?」

 

結局日和った回答をすることだった。

 

「えっ・・・・」

 

「必ず近いうちに自分で考えて答えを出す。それまではお前のことを色々と教えてくれ。」

 

そう言いベルの頭を撫でるグレンをぽかんと見つめるベル。やがてグレンが言った言葉の意味を理解すると

 

「はい!!分かりました、グレンさんっ!!!」

 

そう言って笑顔を浮かべる。その笑顔を見ていたたまれなさを感じグレンは謝ろうとしたが

 

「すまんな、ベル。俺が優柔不断なばかりに「大丈夫ですっ!!」!」

 

「僕は大丈夫ですよ、グレンさん。・・・むしろチャンスを頂けて嬉しいですよ。この機会を必ず経験として積んでいきます。それじゃあ、僕はもう寝なきゃ行けないので寝ます。おやすみなさい、グレンさん。また明日から色々教えて下さい」

 

そう言いベルはあくびをしながら部屋を出ていく。それを見送ったグレンは

 

(はぁ・・・。さて、どうしたもんかなぁ)

 

とそう考えながら窓から見える星空を眺める。レウスの手によってかなり綺麗になった部屋の中で寝るまでベルの弟子入りについてを考えながらグレンは長かった1日を終わらせた。

 

 

 




はい。プロローグはこれで終わりです。
一応、この次は幕間の物語ーーーグレンが元いた世界でシスティーナ達がどう行動するのかを書いていきたいと思います。できればお気に入りに登録や評価をしていただけると励みになりますのでぜひよろしくお願いします。
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