あの魔女達には、バカしかいない   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 2/3話





傍話2-2

 

 

 

「………」

 

 

 イヤァァーー!キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい!!!!

 

 もうヤダ帰りたい…

 

 そもそも私は虫が嫌いなんだ、特に足の見えないような奴。ウネウネウニョウニョしたやつがな!

 こんなんなら蝶々になってから出て来いよ…蛾でもいいから…蜂とか、最悪ゴキブリとかでもいいから…

 

 視界いっぱいに映るのはピンク色の“怪物”の体液。時々“怪物”。機械鎧に身体を包んでるから我慢出来てるけど、ネトォ…ヌチャァ…と非常に動きにくいし気持ち悪い。

 スライムの中に居るみたいだ。

 

 そうだ、私はスライムの中に居る。決して芋虫の中じゃない。そういう事にしよう。

 

 さっさとこんな場所から逃げ出したいから、今死物狂いで心核(コア)を探してる。実は既に1つ見付けて、目印を立ててある。

 他にも心核ないか、隅から隅まで調べ尽くさないといけない帰りたいもう辞めたい。

 

 と、無心で探索が出来てはいたんだけども、良い加減我慢の限界を迎えるわけですわ。 

 なんたってこんなデカいキモい芋虫の中!自分を誤魔化すのにも限界があるわ!

 さっきから自我が出てきてるもん。

 

 

「…っ!」

 

 

 

 妙案を思い付いた。

 普段なら絶対にしない、最高にハッピーな事だ。

 そして間違いなく、実行すれば皆から怒られるだろう。

 

 それがどうした!

 こちとら精神的にもう限界じゃオラァ!!

 

 それじゃぁ張り切ってイッてみよう!

 

 

 防御姿勢。

 水量確認。蒸気回路確認。

 発熱機関限界駆動開始。熱量上昇確認。

 内部圧力上昇確認。過圧確認。

 回路強化完了。

 新規機関構築完了。回路接続完了。

 圧力上昇確認。超過圧確認。

 全門閉鎖。

 限界圧力突破、回路異常。

 限界温度突破、発熱機関損傷。

 蒸気機関破損……

 

 

          限界突破。

 

 

 

 

 

 

 

 私の装衣には不可視の蒸気回路が張り巡らされている。きっと傍目には、蒸気が私の周りを旋回している様に見えるだろう。

 そして、私の武装。錆びた鉄見たいな色をしていた部分は、過剰に熱されて真っ赤になっている。

 ピンク色の体液と触れている部分からは、焦げ付いた嫌な臭いが漂ってくる。

 

 ハハハッ!

 限りなく自爆に近い、でも自爆じゃない。かと言って自爆以外に例えようもない攻撃!

  

 こんなキモいの、全部吹っ飛んじまえ!

 

 

 背負ったタンクの水を一瞬で全て蒸発させる水蒸気爆発。ついでに、私の蒸発回路に溜まりに溜まった圧力の開放。さらに爆発系の魔法の併用と、各機関の部品は超高温の散弾として弾き飛ばす。

 

 ただの爆発じゃない。

 “魔法少女”の起こす、魔法を併用した大爆発だ。

 

 当然、並の規模では収まらない。

 私はこれでも、並では収まらない程度に強いからね。

 

 当然デメリットも大きいけど、芋虫の中に居続けるよりはよっぽどマシ。

 

   

 

 ピンク一色だった私の視界は、一瞬にして白く覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意識が暗転したかと思ったら、ゼンが私を見下ろしていた。

 

 

「あっ、起きた。お~いみんな!ワンドが起きたよ!」

 

「……どれだけ寝てた?」

 

「5分ぐらい」

 

 

 なるほどなるほど、やらかしたか?

 全く寝た気がしない。

 どうせなら疲れとか取れててほしかった。

 

 気分的にはまだ“怪物”の中に潜ったままなんだけど。

 

 そういえばここ、私の船の上だ。消えなかったんだ、初めて知った。

 

 傷だらけのハイドと、不機嫌そうなメグル。血塗れのカガリと、変身を解いたゼンが見える。後輩組は?

 

 

「あの子達は、溢れた“怪物”の掃討をしてるわよ」

 

 

 えっと、マジでやらかした感じ?

 先に謝っとくか。

 

 

「申し訳御座いませんでした。大変ご迷惑をお掛けしてしまい、心より反省しております。今後このような事が無いよう──」

 

「何か勘違いしてんな、コイツ。ワンドの攻撃で、“怪物”の半身が消滅したぞ。今のこれは、メグルがやらかしたからだ。お前は悪くない」

 

「なんだ、良かったぁ」

 

 

 で、何があったの?

 もっと詳しく。

 

 

「まずはお前が潜った上側だな。多分消滅した。飛び散った体液も直ぐに消えたから、心核も残って無いだろうな」

 

 

 気合い入れて爆発したからね、うむうむ良かった良かった。

 

 ……思い出したら気持ち悪くなってきた、お風呂入りたい。

 

 

「で、お前が爆発する数分前からだな、メグルがやらかした。大量の“怪物”が次から次へと溢れ出てる感じだ。なんか“怪物”の体内で心核を見付けて、中途半端に攻撃して刺激したせいで、今まで以上に“怪物”を生み出すようになっちまった。らしいぜ?」

 

「だからメグル、不機嫌そうなんだ」

 

「いや、お前の爆発に巻き込まれかけて、“怪物”の体液をもろ被りしたからだな。謝っとけよ」

 

「おぉっふ…」

 

 

 メグルがスッゴい怨めしそうにこっち見てる。

 ジト目カワイイ。違う、ゴメン。本当ゴメン。わざとじゃない。

 

 

「はぁ…冗談よ。そこまで気にしてないから、貴女も気にしなくて良いわよ。それより、残った下半身をどうにかしなくちゃ」

 

「ゴメン、もう少し休ませてくんない?オーバーヒートしててこれ以上は戦えない。誰か冷やせる?」

 

「加熱なら出来るぞ」

 

「同じく!火を焚べるよ!」

 

 

 うん知ってた。

 皆冷たい系の魔法とか使えないよね。

 

 だから、全員。

 私を置いて戦いに行った。

 

 待って、話聴いてた?

 私、今、戦えない!

 しかもまぁまぁ目立ってる、全武装を広げて放熱してるからね!めっちゃ場所取るし的にされるよ!?

 

 いいさいいさ武装なんていらないさ!

 放熱終わるまで、自力で凌ぎ切ってやるよチクショー!

 

 

 と、意気込んでは見たけど。

 意外と“怪物”が襲ってこない。

 

 

「あ、ハイドか」

 

「せいかい。休憩がてら隠してるよ〜」

 

「ありがと、助かる」

 

「いやぁ~」

 

 

 便利だよね、その魔法。認識阻害だっけ?

 なんかそんな感じで隠れるやつ。私達人間は勿論、“怪物”からは隠れられるし、カメラとかレーダーとかからも写らなくなる。当然気配も無いから、本当に見つからないんだよね。

 

 ……前より範囲広がってない?

 自分と手の届く範囲だけだったよね?

 

 

「ところでワンちゃん。さっきの爆発、何?」

 

「ほぼ自爆の必殺技かな」

 

「巻き込まれました」

 

「?…え゛っ」

 

「モロ、爆発に巻き込まれてぶっ飛ばされてめっちゃ熱い歯車が飛んできて、ついでに“怪物”もいっぱい飛んできて死ぬかと思った。一言だけ、一言でいいから言ってくれればやり過ごせた」

 

 

 んぐぅ!!

 防御した跡なのか、腕が赤く腫れてる。

 火傷か、何も言えねぇ…

 集中するために無線切ってたし、そもそも近くに誰か居たなんて知らなかったし…

 

 

 

「…ごめんなさい……」

 

「許そー、半分冗談だし。これくらいすぐ治るし」

 

「半分はやらかした訳ね、ホントごめんね」

 

 

 もしかして私の爆発って、思ってたよりもデカかったのかもしれない。後で聞いとこ。

 

 さてと、放熱はぼちぼちって所か。

 もう少ししたら戦闘に戻ろう。

 

 さしあたって…今悩むべきなのは、ハイドの怪我の原因が私かどうか。いやまぁ十中八九は私なんだろうけど、私が飛ばしたパーツで怪我をさせたのか、爆発に気を取られて不意を突かれたのか、それ以外か。

 

 

「ワンちゃん。ほーねつ終わった?」

 

「あ、うん。もう終る」

 

「じゃあ先に行ってるよ〜」

 

 

 聞く前に戦いに行っちゃった。

 後で聞いておこう。

 なんか聞くこと多いな、覚えてられるか?

 無理だな、私の記憶力はクソ雑魚であることに定評がある。しょうがないだろ、覚えてられないんだから。

 

 なんか文句あっか?あ゛ぁ?

 

 ハイドが残していった隠形の魔法も、多分そろそろ効果が切れるだろうし、放熱もだいぶ終わった。戦闘に支障はないだろう。

 

 おっと、通信は忘れない内に繋いでおこう。

 

 

『あーもう面倒くさい!カガリはなんでさっきの連発出来ないのかしら!』

 

『見てたろ!?めっちゃ溜めんだってアレ、こんな乱戦で使えるもんじゃねえんだわ。だいたいメグルのせいでこんななってんだろうがよぉ!』

 

『何よそれ、私だって出来るならワンドみたいにやってたわよ!ごめんなさいね、火力足りなくて!ゼン、声が聞こえないけどそっちは大丈夫なの?』

 

『ん、だいじょばない。スロットに範囲攻撃入れる前に埋まったから、けっこうピンチ』

 

『早く言いなさいよ!』

 

『でもハイド居るから何とかなるよ?』

 

『ごーりゅうしたよ~、もうすぐワンドも来るんじゃない?』

 

『本当!?もう一度爆発してもらいましょ!』

 

 

 取り敢えず言いたい。  

 あの自爆は連発出来ない。

 いやしても威力は出ない。

 

 

「爆発だけなら、威力は下がるけど出来るよ。でもね、弾が足りない。散弾になるパーツの補充が全く足りてない。私の武装は再展開に1ヶ月はかかるんだよ」

 

『じゃいいわ、爆発だけしてちょうだい。あとは私達で何とかするわ。心核が露出すればどうとでも出来るから』

 

 

 私は爆弾扱いか?

 まあそれでも良いよ、はよ帰りたい。

 デカい芋虫の断面図なんて良い加減見たくないんだよ、出てくる“怪物”も鬱陶しいし。

 

 …この“怪物”が弱くて助かってるな、普段戦ってるのと同等レベルならもう全滅してるんじゃないのか。多分。

 

 

『先輩方に提案なんですが…爆発のかわり、私がやりましょうか?』

 

「任せた!」

 

 

 もうね、考えるより先に言葉が出たね。

 もしかしたら勘違いしてるかもしれないよね、自爆ってさ、大変なんだよ。簡単じゃないんだよ。

 

 まずは防御。してても痛いし、衝撃で呼吸なんか出来ない。今回は全身打撲と意識喪失だった。

 

 次に制御。めちゃんこ集中する。

 ただただ暴発させれば良いってものじゃないからね、攻撃として扱うのなら最低限の威力が必要な訳よ。

 その為の準備にかかりきりになるし、さっきの爆発のダメージが回路とか武装に残ってるから、もっと大変になる。

 

 まあ、やる気では居たけど、やったらマジで何ヶ月かは武装と回路が回復しなくて戦えなくなるからね?

 代わってもらえるなら、是非代わって欲しい。

 

 

「コダマちゃんの護衛は私がやるよ、さぁぶっ飛ばそう!」

 

 

 私はブーツの底と武装各所にある放圧口から蒸気と、それを増幅強化する魔法を噴出させて空を飛んでコダマちゃんの元へ。

 “怪物”のほぼ真上、多分1番忙しいポジションだろう。

 

 なお、私はホバリング出来ない。

 正しくは、しない。

 バランスを取りながら出力を調整するのは、難易度が高すぎる。戦闘中なら飛び続けた方が楽。

 

 そう、私は戦闘機。止まるときは落ちる時。

 

 早速コダマちゃんの所へ行って、辺りをグルグル回りながら話を聞こう。

 蒸気放出の音が煩くて、通信機越しじゃないと何も聞こえないけど。

 

 

「それで、コダマちゃん。私は何すれば良い?代わりに雑魚狩りすれば良い?」

 

『そうですね。それと出来れば、その後の心核の破壊をお願いします』

 

 

 

 おーけーおーけー。

 完璧に守ってあげるよ。

 

 固定砲台と呼ばれる私の全力をみせてやろうじゃないか!

 しかも、1回武装を広げれば解除するか壊れるか、込めた魔法力が無くなるまで勝手に動くからね。燃費はよく無いけど。

 さっき弾にしたパーツはあまり使わない物ばかり、いつも通り戦うのならそこまで影響は無いのさ。

 

 ただし、燃費は悪い。

 

 

「それで、どれだけかかりそう?」

 

『2〜3分欲しいです。合図は出します』

 

「了解。皆聞いてたよね、よろしく!」

 

 

 通信機の向こうで返事が聞こえたから、大丈夫だろうね。巻き込まれない事を祈ろう。

 

 溢れる“怪物”の掃討を交代して、時々飛んでくる遠距離攻撃とか飛行する“怪物”を撃ち落とす。

 

 高熱を帯びた弾丸が、雨のように降り注ぐ。 

 あぁ、気持ちいい…

 

 私よりも低い位置に居る“怪物”は、湧き出るそばから溶けていく。

 半分自動みたいな物だから、撃ちっ放しにして次の武装を展開しよう。そろそろ新しく広げるのが辛くなってきたけど、多分気の所為だと思う。

 

 作ったのは大砲と手持ち出来る銃。硬い敵には弾丸じゃ足りないっぽいからね。そして自分でも狙える様に銃。近付けば棍棒で殴れるけど、接近してる時点で護衛は失敗してるようなもんだよ。

 

 …船は回収しといた方が良かったな、うん。

 もうこれ以上武装を広げられない。

 またお祈りか、どうか突破されないように祈ろう。

 

 で〜、コダマちゃんは何やってんのかなぁ?

 

 私よりも上空で、何か準備してるコダマちゃんを見上げてみれば。

 え、ホントに何やってるの?

 

 いや分かるよ、やってる事は分かる。

 コダマちゃんを取り囲む反射膜の球体の中で、武器のハープを弾いてるんだよね?それは分かる。音は聞こえないけど。

 

 なんだろう、青白いスパークかな?

 滅茶苦茶カッコいい、なにそれカッコいい!

 

 知ってるけどね、何してるか知ってるけど。

 ……良いなぁ、カワイイのも良いけど、カッコいいのも良いよね!

 

 ところで、私の武装を見てみよう。

 全体的に黒と白と茶色と金と赤、ぶっちゃけ錆色。ていうか部分的にはもう錆びてる。白いのもただの蒸気だし、何なら見えないまである。

 スチームパンクと言えば聞こえは良いし、好きな人には刺さるんだろうね。

 

 じゃあ代わってくれよ。

 私は変身するまでスチームパンクなんて知らなかったぞ。何でだ、代わってくれよ。趣味じゃない。パンクに寄せるなら近未来だろサイバーパンクにしてくれよ、SFも大好きだ。何でだ。

 

 もう一度コダマちゃんを見てみようね。

 うん。若草色の柔らかいドレス。カワイイね。手に持ってるハープも、武器のはずなのにすごく綺麗。しかもちゃんと演奏出来る。スゴイ!

 

 で、私の武器は……棍棒。

 原始人かよ!ふざけんな!

 確かに?これを展開した武装に接続して色々出来るよ?戦車にして乗り込んだり、回路接続して威力を上げたりさ。

 野蛮人かよ!脳筋かよ!

 

 どうせならファンタジーに寄せてくれよ!

 『魔法』少女だろ私らはよぉ!?

 

 そりゃ魔法は使ってるけどね!

 機構の構築と蒸気回路の作製と弾丸と爆弾で!

 でもさ、パッと見私は蒸気機関を搭載した人型兵器じゃねぇか。世界観間違ってんだよ。クソッ!不公平だ!

 

  

『皆さん。準備できました!何時でも行けます!』

 

『了解したわ。全員退避しなさい』

 

 

 お、準備できた?

 フラストレーションを“怪物”にぶつけてたら少しスッキリしたし、大量の爆弾と弾丸をぶっ放したから気分が良い。

 

 私は引き続き雑魚狩りかな。

 心核が見えたらそっちに加勢するけど。

 

 

『全員退避完了よ。コダマちゃん、お願いするわ』

 

『了解しました。いきます……[大連轟(だいれんごう)]!』

 

 

 う、うわぁー……

 

 いや、引いてない。

 びっくりしただけ。

 

 考えても見てほしい。

 完全に無音で、青白い光の柱が“怪物”に降り注いでる。しかも“怪物”の体は表面からどんどん弾け飛んでいくし、範囲内にいる雑魚も削れる様に上から弾け飛ぶ。

 衝撃も凄いのか、水柱まで立ち昇ってる。

 

 それなのに、限りなく無音!

 光の柱の中の音が、外に全く聞こえてないんだよ。

 余波でたった波音が聞こえる程度かな。

 

 もっかい言おう。無音だよ!?

 音量0でアクション映画を見たことはある?

 派手なのに、衝撃が無い。

 

 

『心核の露出を確認しました!3つあります。確認は出来ますか?』

 

 

 おぉ~見える見える。

 それじゃあれらを私達が壊せばいいんだね。

 了解了解。

 

 

『カガリ、ワンド、2人共1番近いのをやりなさい。1つは私がやるわ』

 

『おう』

 

「了解」

 

『攻撃が終わります。3…2…1…今です!』

 

 

 うわ…エッグゥ…

 15歳以下は観覧禁止のやつじゃん。

 画面じゃなくてリアルだし、18歳かも。

 

 おっとそれどころじゃないや。

 トドメを刺してやろうじゃないか。

 

 このクソ芋虫が!手間かけさせやがって!

 

 

「機構構築完了。回路接続完了。蒸気圧十分。武装展開[破城槌]! さっさと、くたばれぇ!」

 

 

 んんんんッ!? 脆い?

 

 “怪物”の心核って、大きければ大きい程砕きにくいい事が殆ど。むしろそれ以外は知らない。

 それが今回のはなんていうか、スカスカ?中身が無いみたいな?そんな感じ。

 

 他の2人もそんな、不思議そうな顔してる。

 

 

「砕いた」

 

『斬ったぞ』

 

『辺りの“怪物”を倒しつつ本部へ戻るわよ』

 

 

 うい〜

 

 

『…ねぇ貴女達、心核の手応えなのだけど』

 

『変だったな』

 

「脆かったよね」

 

『やっぱりそうよね、これも報告が必要ね』

 

 

 残党狩りは、私達以外の“魔法少女”も居るから直ぐに交代出来る。

 そのあたりは既にレモンとライムの2人がやってくれてるらしいから、私達はもう少しだけ後片付けをしたら帰還するらしい。

 

 そうそう、そのレモンとライムの2人だけど、最初から最後までずっっと戦ってるんだよね。凄い、凄くない?

 このあとも残って残党狩りするみたいだし、スタミナ多いな。燃費が良いのか?羨ましい。

 

 あの子達も私達と同じで、同期の少ない組だけど、そういう代は1人1人が強いって事が多いんだよねぇ。

 一部では、私達は1期とか0期生。コダマちゃん達はたしか3期生だっけ?そんな風に呼ばれてるらしいね、自分達では言わないから詳しくは知らない。

 ただ、[魔法省]のホームページで見れる魔法少女一覧で見れる、所属順で上からだった気がする。

 

 

「あっ、やべ」

 

 

 気を抜いたせいか、貯水タンクが空になってた事に気付かなかった!ヤバイ、落ちる。

 いや別にそんなに高く飛んてなかったから、落ちても痛いで済むから良いけど。いや良くはないけど。痛いもん。

 

 お、近くにハイドいるじゃん。

 

 

「ハイド〜!受け止めて〜!」

 

「ごめんムリ〜」

 

 

 スッ…と目線を外された。知ってた。

 だって私、飛行ユニットと破城槌と雑魚狩りの銃撃機、全部繋がったままだもん。滅茶苦茶重たい。でもこれ、仕舞っても間に合わないんだよなぁ…

 

 そりゃあね、仕舞うけども。

 また壊れたら直るまで時間が掛るから。

 今、仕舞いながら落ちていますけども。

 

 何で私の武装は変身解除しても状態が保存され続けるんだろうね?ブーツの発熱はリセットされるのに、全体のダメージは引き継ぎとか罰ゲームじゃん。

 それでしかも弾丸とか爆弾とか消耗品の精製も、だいたい1〜3日ぐらい掛かるし。まあ、変身してなくても何故か製造され続けるからストックは出来てるけど、何でなん?

 

 多分だけど私、変身しなくてもその内魔法使えるんじゃない?

 確信は無いけど、“魔法少女”を続けてたら出来そうな気がするんだよね。

 

 

「痛い…」

 

 

 水面に叩き付けられた私は、泳いで船の所まで移動した。疲れた。

 

 帰る!

 私もう帰るぞ!

 

 風呂だ!取り敢えず体洗いたい!

 シャワーでも良い!

 あの芋虫の中に居たんだぞ!

 思い出したら気持ち悪くなってきた、ほら見て鳥肌立ってる!

 

 帰る!もう帰る!

 

 

 途中でハイド、カガリ、ゼン、メグルを順番に拾って全力で帰る。

 過去最速だったと思う。

 来たときと違って邪魔も少ないのもいい。

 

 メグルは私と同じ気持ちだろうね。話さなくても分かる。

 だって、腕とかよく見れば鳥肌立ってるもん。気持ち悪かったよね、あの中。

 

 本部に着いてからは早かったよ。

 だって、

 

 

「報告は全部まとめてデータで送ります。私達は一旦帰らせてもらうわね、もう限界なの」

 

 

 出迎えてくれた係の人にメグルが言い放って、そのまま飛んで帰る。当然、私も一緒に。さっき落ちたのは水量不足。そんなのとっくに回収済みだ。

 

 

「〜、〜…ー〜…」

 

 

 ごめん、さっき通信機返したから何も聞こえない。

 取り敢えず、飛んでる間は何も聞こえなくなるぐらいに煩いんだよ。

 

 あっ、メッセージ?

 

 

〘1番近い支部はどこ?〙

 

 

 ああ、メグルはこの辺詳しくないのか。

 

 ボディランゲージで着いてきてってやったけど、伝わったよね?

 ちゃんと後ろに居ることを確認したし、早いとこ支部へ行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 いつもより入念に体を洗って、“怪物”討伐は終了した。

 

 印象に残ったのは、ただただ気持ち悪かった。そんな思い出したくない記憶。

 嫌な思い出ほど良く覚えてるんだよね。いかん、封印だ、記憶封印!

 

 メグルとの心の距離が、少し近づいた気がする。

 怪我の功名だ、そう思ってないと辛い。

 

 そこ、被害者の会とか言うな。

 どちらかと言えば私は加害者…あ、謝っとかねぇといけねぇ…

 

 

 

 





 ウネウネ系の虫が苦手です


 
 何かあればコチラへ、応えなくても怒らないでね
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