あの魔女達には、バカしかいない   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 いったい、誰視点なんでしょうね?


傍話、5

 

 

 

 私はいつも、彼女に助けられてきた。

 私が好きに走って引り回しても、彼女がフォローしてくれたから。彼女と一緒なら、どんな困難だって乗り越えられると思ってた。 

 

 不安がないと言えば嘘になるけれど、それでも私は前を向けていた。

 彼女の温かい手が、優しく背中を押してくれたから。

 

 

 気付いた時にはもう手遅れで、そんな兆候すら私は見逃していた。彼女はずっと苦しんで、悩んで、そして考えていた。いつだって気付こうと思えば気付けただろう。その時の私は、彼女の事を見ていなかった。

 

 

『さようなら』

 

 

 最後に見た彼女は泣いていた。

 涙を流すことすら出来なくなった彼女は、あの時確かに泣いていた。

 

 それが分かる程度には、彼女を理解していたつもりだった。

 

 それが分かると自惚れる程度には、彼女を想っていたから。

 

 

 知らない。

 知りたくなかったと目を逸した。

 知ろうとしなかった私の罪だ。

 

 いつか見たいつかの夢を、私が見る事はもうないだろう。

 

 どれだけ私が助けられてきたのか、

 どれだけ私が救われてきたのか、

 どれだけ私が頼ってきたのか、

 彼女は知らないだろう。

 

 彼女は優しいから、知っていれば私を置いて消えたりはしないから。

 

 私も、彼女がどれだけの不安を抱えてきたのか分からない。ただ、何時までもこのままだと、何も変わることなどないと、無神経に考えていた。

 

 こんなのが奇跡なら、無い方が良かった。

 

 その結果が今なのだとしたら、これは愚か者には相応しい。

 誰かの為にと必死になって、大切なモノを見失った私は愚か者。変わらないなんて思っていた私は愚か者。たった一つを手放してしまった私は愚か者。特別に気付けなった私は愚か者。

 取り返そうと足掻けば足掻くほど、遠く離れて行った彼女の、苦しみに気付かない私は愚か者。

 

 だから私は目を閉じて、耳を塞いで。

 助けて欲しいなんて思った事もあったけど、それは結局私のわがままで。

 

 去って行った彼女を追おうとしたこともあったけど、もう一度拒絶されるのが怖くて足が竦んで諦めた。そんな自分勝手な私が、また会いたいだなんて言えやしないだろう。

 だってそれは、ただの自己満足にしかならないのだから。

 

 私が、なんてもう言わない。

 私も、なんてもう言えない。

 

 言えた義理はなくなってしまったし、言えた筈の言葉は無くしてしまったから。

 無い方が良いと思った奇跡に縋るしかないから。

 あるかも知れない奇跡を願うしかないのなら。

 

 私の罪を、彼女に背負わせないで。

 彼女をこれ以上、追い詰めないで。

 

 

 だから、

 

 誰か、

 

 私の全てをあげるから、

 

 

 どうか彼女を救って下さい。

 

 

 

 

 

 

 





 本編には出ていない子視点でした。
 作者しか知らない子です。


 
 何かあればコチラへ、応えなくても怒らないでね
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