あの魔女達には、バカしかいない 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
いったい、誰視点なんでしょうね?
私はいつも、彼女に助けられてきた。
私が好きに走って引り回しても、彼女がフォローしてくれたから。彼女と一緒なら、どんな困難だって乗り越えられると思ってた。
不安がないと言えば嘘になるけれど、それでも私は前を向けていた。
彼女の温かい手が、優しく背中を押してくれたから。
気付いた時にはもう手遅れで、そんな兆候すら私は見逃していた。彼女はずっと苦しんで、悩んで、そして考えていた。いつだって気付こうと思えば気付けただろう。その時の私は、彼女の事を見ていなかった。
『さようなら』
最後に見た彼女は泣いていた。
涙を流すことすら出来なくなった彼女は、あの時確かに泣いていた。
それが分かる程度には、彼女を理解していたつもりだった。
それが分かると自惚れる程度には、彼女を想っていたから。
知らない。
知りたくなかったと目を逸した。
知ろうとしなかった私の罪だ。
いつか見たいつかの夢を、私が見る事はもうないだろう。
どれだけ私が助けられてきたのか、
どれだけ私が救われてきたのか、
どれだけ私が頼ってきたのか、
彼女は知らないだろう。
彼女は優しいから、知っていれば私を置いて消えたりはしないから。
私も、彼女がどれだけの不安を抱えてきたのか分からない。ただ、何時までもこのままだと、何も変わることなどないと、無神経に考えていた。
こんなのが奇跡なら、無い方が良かった。
その結果が今なのだとしたら、これは愚か者には相応しい。
誰かの為にと必死になって、大切なモノを見失った私は愚か者。変わらないなんて思っていた私は愚か者。たった一つを手放してしまった私は愚か者。特別に気付けなった私は愚か者。
取り返そうと足掻けば足掻くほど、遠く離れて行った彼女の、苦しみに気付かない私は愚か者。
だから私は目を閉じて、耳を塞いで。
助けて欲しいなんて思った事もあったけど、それは結局私のわがままで。
去って行った彼女を追おうとしたこともあったけど、もう一度拒絶されるのが怖くて足が竦んで諦めた。そんな自分勝手な私が、また会いたいだなんて言えやしないだろう。
だってそれは、ただの自己満足にしかならないのだから。
私が、なんてもう言わない。
私も、なんてもう言えない。
言えた義理はなくなってしまったし、言えた筈の言葉は無くしてしまったから。
無い方が良いと思った奇跡に縋るしかないから。
あるかも知れない奇跡を願うしかないのなら。
私の罪を、彼女に背負わせないで。
彼女をこれ以上、追い詰めないで。
だから、
誰か、
私の全てをあげるから、
どうか彼女を救って下さい。