ラプチャーは残らずぶっ潰す!   作:マカミ

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「状況終了。次の作戦区域に移動します」
 
 


CHAPTER.00-4 再起

 

 ───から───へ

 

 ───ますか───ピ───ス

 

「あ? なんか言ったか?」

 

「いえ、何も……」

 

 声が聞こえた。途切れ途切れで雑音混じりのもの。

 

 先頭にいるマリアンに尋ねたが、違うらしい。

 

(マリアンじゃないなら……)

 

「アークから地上へ! 聞こえますか? ラピ、アニス!」

 

 発生源はラピとアニスが保有している携帯端末だった。

 

 緊迫している様子の少女の声だ。 

 

「通信が……! こちらラピ。シフティー、聞こえる?」

 

「あっ、やっと繋がりましたね! 状況はどうですか?」

 

「新しい指揮官と合流できた。座標も確認して、今作戦遂行中よ」

 

「はあ~よかった! 輸送機との連絡が急に途絶えてしまって、びっくりしました!」

 

「ちょっと、しっかりしてくれる? 敵陣のど真ん中に輸送機を送ってどうするのよ!」

 

「……はい?」

 

「もう鉄くずになったわよ。おかげで完全にしくじるところ───」

 

「該当地域のラプチャーは対空火器を保有していません! それで輸送機を送ったんですが……」

 

「は?」

 

「……シフティー。輸送機のブラックボックスデータを送ってほしいのだけど」

 

「えっと……ただ今、分析中です! 終わり次第すぐに送ります!」

 

「ええ、お願い」

 

「はい、少しだけお待ちください! それでは───不破諫様、初めまして。私はアーク情報部に所属するオペレーター、シフティーと申します。これから作戦をサポートします! よろしくお願いします!」

 

「おう。よろしく頼む」

 

「はい!」

 

 シフティーに導かれ安全な経路で座標に向かっていた不破一行だったが───

 

「前方にハイクラスのエネルギー反応を探知! ロード級と推定されます!」

 

「ええ!? なんでここにあんなのが出てくるの!?」

 

「一時退却を提案します」

 

「でも、行方不明になったニケは?」

 

「まあ、見捨てるしかないよね」

 

「……………………………………………………」

 

 マリアンは俯いた。その表情は悔しそうだ。

 

「地上で行方不明になったニケの回収率は0.2%よ」

 

「捜査作戦なんてただの見せかけ。あなたも知ってると思うけど」

 

「でも、見捨てるわけには……」

 

「ロード級ってのはそんなに危険なのか?」

 

「危険です! 中隊クラスを指揮するだけあって、戦闘力が高めです!」

 

「シミュレーション上での勝率は高めですが、こちらも被害がかなり……24.35%の確率で全滅するかもしれません!」

 

「……指揮官。諦めますか?」

 

 マリアンは不破に尋ねた。最終決定権は指揮官である不破にしかない。交戦か、撤退か。その判断は不破に委ねられた。しかし、不破の答えはすでに決まっていた。

 

「捜索作戦を諦めるつもりはない」

 

「でしたら、ご命令ください。それで十分です。私たちは指揮官の命令に従います」

 

「邪魔する奴はぶっ潰す」

 

「ラジャー」

 

「……指揮官様。死んじゃうかもよ? 私たちは頭さえ温存すればいいけど、人間の指揮官様は違うわ。それでも大丈夫?」

 

「問題ない」

 

「はあ……OK。分かったわ」

 

「指揮官、私の後ろに───いえ、私の隣にいてください。私が必ずお守りします」

 

「世話はいらねえ。自分の身は自分で守る!」

 

 アサルトライフルを構え、ラプチャーに照準を合わせた。

 

 

 /

 

 

「状況終了! 被害報告をお願いします!」

 

「損傷は軽微。残弾数は良好」

 

「以下同文ー」

 

「怪我はない、が。残弾が心許ない」

 

「左側の鎖骨フレーム、破損。右下のプロテクター、大破。右眼レンズ、榴弾により損傷。ターゲット認識には異常なし。破損率17.05%。作戦は続行可能です」

 

 抉れた皮膚の下には機械が見える。彼女がニケと呼ばれるヒューマノイドであることを改めて認識した。

 

「あっ……はい! 分かりました!」

 

 指揮官が撃っていた銃ってニケ専用火器では、と困惑したような声が聞こえたが無視をした。

 

「……ケガがひど過ぎるわ」

 

「……………………………………………………」

 

 不破は知っていた。

 

 マリアンがわざと遮蔽物から姿を見せ、囮役をしていたことを。

 

 ラピやアニスの支援に徹していて、正面が疎かになっていたことを。

 

「大丈夫です。もうすぐ座標位置に到着します。急ぎましょう」

 

「おい。待て」

 

 救急バッグから包帯を取り出し、内部が剥き出しになっている箇所に巻いていく。

 

 ニケだろうが人間であることは変わらない。傷口を覆うように丁寧に、しっかりと。

 

「指揮官……」

 

「あはは。指揮官様、何してるの? ニケにはそんなの意味ない……」

 

「いいえ、あります」

 

「え?」

 

「心が……満たされる感じがしますから」

 

「……………………………………………………」

 

「……………………………………………………」

 

「指揮官。ふふ、ありがとうございます。もう全然痛くありません」

 

「あまり無理をするな。……おかげで助かった」

 

 ぽかんと唖然とするマリアン。

 

 その言葉の意味を理解したのか顔を赤らめてそっぽを向いた。

 

 

 /

 

 

「……指揮官様って何者なの?」

 

「あ?」

 

「あ、じゃなくて。私たちって脳以外はほとんど機械だからかなり重いはずなんだけど」

 

「おう」

 

「マリアンを背負って普通に歩けるのはなんで!? しかもニケ専用火器を二挺持ってるのに平気そうな顔をしてるし!?」

 

「総重量はおよそ───」

 

「うわあ!? 体重を言わないでください!」

 

「うおっ!? 暴れるな! 落とすだろうが!」

 

「……指揮官様って何者なの?」

 




 
 
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