第4次聖杯戦争になぜかメリュジーヌが召喚された件!?? 作:いちごまんじゅう
時は1980年代、日本の冬木市にて大規模な魔術儀式、聖杯戦争が幕を開けようとしていた。
7人のマスターと、英雄の陰法師、サーヴァントを率いて勝ち残りを賭けて殺し合いを繰り広げる。
そして最後の1組に生き残ることができれば、万物の願望器、聖杯と呼ばれるものが与えられ、願いを叶えられるというシンプルなシステムだ。
そしてそのマスターとは、聖杯作成と聖杯戦争に関わった、遠坂、間桐、アインツベルン、この三家からまず選出され、残りの4枠は魔術適正のあるものであったり、魔術の魔の字も知らない一般人に与えられる。
そしてこれは、運命(fate)が少し捻じ曲がった先にできた物語。本来7つしか存在しないマスター権が、不思議な知識を持っている一般人に渡ってしまってしまい、8人でこの聖杯戦争を戦い抜くことになる、そんなありえざる物語である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「えーっと、なにがどうしてこうなってるんだ?」
ぽつりと、魔術工房の中で男はそんなことを呟く。彼の経歴はかなりユニークなものとなっている。
彼は元々聖杯戦争のことなどつゆ知らず、この冬木に莫大な龍脈があるからという理由だけでこの町に数年滞在していた。そんな彼が開発していた魔術が転生魔法。
そう、愚かなことに彼はそれはもう一種の魔法のような魔術を開発しようとしていた。本来ならば起こり得ない運命。しかし、運命の悪戯か、その魔術はあらぬ方向で完成してしまう。
結論から言うと、彼が転生したのではなく、彼にだれともわからない人物が転生してしまったのである。これによってたった今ここに、魔術の素養、そして魔術回路は持っているが、使い方を全く知らないという異端な存在が生まれてしまったのである。
そして幸か不幸か、彼にさらなる試練が下される。
「あれ、この左手の紋章って、令呪...?」
そう、既にマスター権が聖杯から渡されてしまったのである。
「ちょっ、ちょっと待て。待ってくれ。」
そんな独り言を呟きながら彼は魔術工房から出て街を散策する。するとどうだろう、ゲームで見た覚えのある街並みや風景。
その瞬間彼は、fateの世界へと迷い込んだのだと自覚するのだった....
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ、これからどう行動するのが正解なのだろうか...」
街並みを一通り確認して魔術工房へ引き篭もって彼は考える。幸いにも転生後、魔術知識なども馴染んできた上に、ご丁寧にサーヴァントの召喚サークルまで作成されていた。
「この人、聖杯戦争を勝ち抜いて転生魔術を完成させたかったのかな」
とそんなことを考えるが、すぐに気持ちを切り替えてこれからのことを考える。まず令呪が浮かび上がった以上聖杯戦争から逃げることはできない。
もしかすると、令呪を誰かに売ったり、譲渡したりすることは可能なのかもしれないが、第5次聖杯戦争のメディアの発言と行動を考えると最低でも左腕、それどころか殺される恐れすらある。
そうなると、必然的に選択肢は狭まってくる。俺もサーヴァントを召喚し、聖杯戦争を勝ち抜く。それしかない。俺は他のマスターには間違いなく一歩どころか100歩は劣るだろう。
アドバンテージがあるとすれば、俺はこの聖杯戦争を知っている。このアドバンテージを活かして行くしか生きる可能性はないだろう。
そう考えをまとめ上げた瞬間、彼は召喚に必要な素材をかき集めて行く。
ただ一つ懸念点があるとしたら...
「…召喚した瞬間殺さないサーヴァントでありますように」
そう、そんな可能性も全然あるのが英霊召喚なのだ。強いサーヴァントを引いたら当たりなんて言う奴もいるが、そもそも意思疎通をとる前に殺されるなんて例はいくらでもあるのだ。
そんな一抹の不安を抱きつつも、彼は詠唱を開始する。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝 三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
詠唱し終わる前から召喚陣からは青色の光が放たれる。そして、詠唱が進むにつれ光は強さを増していき、最後の詠唱を終えると、目が開けていられなくなるほどの光と、爆風にも似た風圧が男の体に突き当たる。
そうして目を開けると、煙の先に、薄っすらと人影が浮かんでいる。そしてーー
「サーヴァント、ランサー...って、あれ?裁定者(ルーラー)の霊基?でも姿形はランサーの方だし、変なの。まあいっか!」
「改めて、クラス、ルーラー、真名をランスロット、君が僕のマスターかい?」
そんな、可愛くも凛とした声が、魔術工房に響くのだった...