セクハラ辞めたらパーティーメンバー全員病んだ。なんで?   作:陽波ゆうい

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第3話 特訓といえば、セクハラだよなぁ!!

 朝食を済ませて、時間になってから俺は外へ出た。

 

 暖かな日差しが降り注ぎ、小鳥のさえずりと木の葉のざわめきが心地よい。

 

 すぐ近くにある森の中を進んでいけば……開けた場所に辿り着く。

 

 ここがいつもの場所だ。

 

 今から何をするかというと……魔法の特訓である。

 

 女神様から授かったチート能力である【無限の魔力】

 

 その能力は、文字通りのもの。

 

 無限に魔力が湧き出る。

 

 逆にいえば、俺の魔力が尽きることはなく、どれだけ魔法を使っても平気。

 まさに無敵の能力だ。

 

 けれど、そもそもの魔法の使い方が分かっていないと、ただの宝の持ち腐れになってしまう。

 

 だから、地道に特訓をするのだ!

 

 この世界の魔法は色んな種類がある。

 

 攻撃魔法、防御魔法、属性魔法、収納魔法、召喚魔法……その中でも、俺が最初に取得するべきと思ったのが――

 

「よし……いくぞ」

 

 深く息を吸って、吐いて……。

 

 それから手を前にかざして、念じる。

 

 伸ばした掌に何か力のようなものが溜まっていく。

 

 これが魔力だ。

 今では、完全に理解している。

 

 湧き上がった魔力を一点に集中させて……。

 

「《ヒール》」

 

 その一言とともに、俺の手から淡い光が放たれた。

 

 目の前にある訓練用ゴーレムの全身が淡い光に包まれる。

 

 次の瞬間には、ゴーレムのひび割れた胴体が綺麗に元通りになった。

 

「っしゃあ! 成功だ!」

 

 俺はガッツポーズ。

 

 この訓練用ゴーレムは特殊なもので、使った魔法の効果がそのまま現れるというもの。

 魔物や人間をわざわざ相手にしなくとも、この訓練用ゴーレムがあれば魔法の効果が可視化できるってことだな。

 

 しかも俺が使うのは、魔法や剣術の練習台になり、ボロボロになったゴーレムたち。

 本来なら、訓練用ゴーレムとは魔法学校などの専門機関で使われることが多い。

 値段もそれなりに高いのだが……使い終わって、ボロボロになった訓練用ゴーレムはかなり安く買える。

 

 俺はそのゴーレムたちを怪我をした人間に見立て、特訓しているのだ。

 

 訓練用ゴーレムの欠損箇所が綺麗に元通りになったということは、俺はちゃんと回復魔法を使えているという証拠。

 

 そう、俺がまず取得したいと思ったのは――『回復魔法』だ。

 

 いくら俺が【無限の魔力】を持っていたとしても、致命傷を負ってしまったらどうしようもない。

 

 そうなる前に、圧倒的な威力の魔法で倒せばいいと思うが……やっぱり、回復魔法が使えていた方が安心感がある。

 

 それに、痛いのは嫌だし、怪我や病気をすぐに治せるっていうのは俺だけではなくて、誰かのためにもなるし。

 

 なので、先に回復魔法を極めているのだ。

 

 ん? 女神様にどんな魔法でも簡単に使いこなせるチート能力もつけて貰えば良かったって?

 

 馬鹿野郎! 

 それじゃあ面白くないだろ!

 

 魔法や剣術っていうのは、自分で仕組みを理解して、その上でコツコツ積み上げて使えるようになる方がもっと楽しいだろうが!!

 

 そんなこんなで、特訓あるのみ!

 

 訓練用ゴーレムを5体連続で完全に修復していた時だった。

 

「ユーくんユーくん♪ すごいすごい〜! 回復魔法を完全に取得したね〜!」

 

 ずっと傍で見守っていた女性が弾んだ声でこちらに近づいてきた。

 

 淡く綺麗な金色ストレートの長髪にエメラルドの大きな瞳。

 白くて柔らかそうな肌に、華奢な身体つきながらも、出るところは出ていて……。

 たわわに実った乳房は動くたびにたぷんと揺れている。

 

 目が離せなくなるような、絶世の美女がそこにはいた。

 

 特訓は1人でしているわけではない。

 俺には魔法を教えてくれる人がいるのだ。

 

「ありがとうございます。これもセフィアさんの教え方が上手いからですよ」

「わたしは一般的な教え方しているだけだよっ。ユーくんは魔力の流れもスムーズだし、覚えるのも早いし〜。やっぱり素質があるよっ」 

 

 その素質っていうのは、女神様から貰った【無限の魔力】が関係しているのだろう。

 女神様のおかげだ。

 女神様って、やっぱり凄い!

 だからまあ、俺は偉そうに誇れないけど。

 

「素質があったのはたまたまですよ。けど、褒めてもらえるのは嬉しいです。ありがとうございます!」

「うんうん。ユーくんのいいところは素直でちゃんと努力してるところだよ〜。ユーくん、えらいえらい♪」

 

 そう言って、セフィアさんは俺の頭をよしよしと撫でてくれる。

 

 優しい手のひらの感触と頭を撫でられていることにむず痒くなりつつも……こうして、誰かに褒められるのはやっぱり嬉しいな。

 

 その後も、回復魔法の特訓をひたすら続けた。

 

 欠損した訓練用ゴーレムに回復魔法を掛けて完全に修復したり。

 

 逆に、自分自身を追い込むようなトレーニングをして、限界まで疲れたタイミングで《ヒール》を使用することで、体力回復魔法がちゃんと使えているか試したりなど。

 

 ひとえに回復魔法と言っても、種類があるのだ。

 

 それを全部繰り返してスムーズにできるように特訓した。

 

「ふぅ……さすがに、汗かいたなぁ……」

 

 体力や疲労感は回復できるけど、運動したことを表す汗までは消せない。

 

 着ているTシャツは汗がベッタリと滲んでいて、背中に貼りつく感覚がちょっと嫌になってきた。

 

 着替えは持ってきているとはいえ……汗だくのまま着ても同じになるだけ。

 

 だから……。

 

「セフィアさん。そろそろいつもの()()、いいですか?」

「っ♡ そうだねっ」

 

 セフィアさんの頬がぽっと赤くなったの尻目に、俺は……Tシャツを脱いだ。

 

 俺は今、セフィアさんの前で半裸になっている。

 

 これだけでは終わらない。

 

 今からセクハラをするのだ!

 

「じゃあセフィアさん。いつも通りお願いしますね」

「う、うん……」

 

 いい感じに輪切りにされた丸太の上に腰を下ろして……セフィアさんに背を向けた。

 

「俺、特訓頑張りましたから。だから汗を綺麗に拭いてくださいね」

 

 そう、これがセフィアさんへのセクハラ。

 

 特訓で汗だくになった上半身をタオルで拭かせるというもの。

 

 これは間違いなく最低なセクハラ行為だよな!

 

 背を向けているのでセフィアさんがどんな表情をしているか分からないが……きっと、張り付いた笑みを浮かべているに違いない。

 

「ユーくんは今日もちゃーんと頑張って偉いね〜」

 

 セフィアさんはそう言いながら、濡らしたタオルで俺の背中を拭き始めた。

 

 ひんやりした感触と、セフィアさんの細くて長い指と……ぽよんぽよんと胸が当たる。

 

 セフィアさんのような美女に汗を拭いてもらうなんて……なんて最低なセクハラ行為なんだ!

 

「ユーくん、また身体が逞しくなったね」

「そうですかね? なら、嬉しいです!」

 

 異世界に来るまでは腹筋なんて割れていなかった。

 

 回復魔法を使用するためにトレーニングをしていたから、その影響だろう。

 

 背中は十分に拭いてもらったので、俺は立ち上がって、くるっと振り返る。

 

「あっ……」

 

 頬を染めたセフィアさんと目が合った。

 

「セフィアさん、次は前をお願いしますね」

「う、うん……♡」

 

 セフィアさんはさっきよりも顔を赤くした。

 

 ふむ……羞恥心ってやつかな?

   

 さっきは背中で俺の顔を見ないで済んだが、前となると俺に見られるもんな。

 

 だが、ここで手を緩めない。

 

「セフィアさんは俺のこの身体どう思いますか?」

「そ、それはそのぉ……か、かっこいいなーって……思うよ?」

 

 セフィアさんは俺の顔から視線を逸らして……言う。

 

 まあ……お世辞だろうな。

 きっと、恥ずかしさを誤魔化すためにそう言ったに違いない。

 

 だけど、褒めてくれたからにはこちらも返さねば。

 

 俺はもちろん、本音だけど!

 

「ありがとうございます。俺もセフィアさんの身体。すっごく魅力的だと思いますよ」

「〜〜っ!」

 

 これこそ、セクハラ発言。

 

 女性の服装を似合っていると褒めるのは定番だが、身体つきを褒めるのはセクハラになるよな!

 

 ふと、セフィアさんの手が止まっていることに気づく。

 

「ちゃんと拭いてくれないと困りますよ、セフィアさん。ほら、もっと強く拭いて」

「〜〜っ!」

 

 タオルを持っているセフィアさんの手を優しく掴んで、胸板へと引き寄せる。

 

 それから汗をしっかり拭いてもらって俺は満足したのだった。

 

「さて……じゃあ戻りますか、セフィアさん」

 

 そう声を掛けて家の方へ足を向けた時だった。

 

「ところで、ユーくん」

「ん?」

 

 ふと、セフィアさんの声がワントーン下がった気がしたような?

 

 振り返れば、セフィアさんの顔は赤く……なっておらず。

 

 表情から、何か冷たさを感じて……。

 

「わたし以外の女の子に……こんなこと、させていないよね……?」

 

 どこかで聞いた質問だ。

 

 そうだ。朝、マルテさんにセクハラした時にもそんな感じで質問された。

 

 だけど、汗を拭いてもらうというセクハラ行為はセフィアさんにしかやっていない。

 

 嘘は言っていない。

 

「こんなことやってくれるのはセフィアさんだけですよ。他のメンバーには絶対頼めません」

「そ、そっか〜! それならいいのっ。うんうんっ♪」

 

 ……ん? いい?

 セフィアさん随分と上機嫌だな?

 

 まあきっと、他のメンバーがセクハラを受けずに済むからいいってことかな。

 

 気になることはあったけど、特訓を終えた俺は部屋に戻る。

 

 さて、先ほどのセフィアさん。

 

 別に俺が雇った回復魔法の先生でもなければ、流浪の魔法使いというわけでもない。

 

 セフィア・ルシータ。

 彼女もまた、パーティーメンバーの1人だ。

 

 そして、()()()()()である。

 

◆◆

 

 ユーガと同じく、自室に戻ったセフィアは……蕩けるような微笑みを浮かべていた。

 

「ユーくんってば……どんどんわたし好みの男の子になっていくよ〜」

 

 思い出すのは、先ほどのユーガの裸体。

 

 服の上からではよく分からないが……脱げば、程よくガシッとしていて、腹筋も割れている。

 

 立派な男の人の身体つき。

 

 身体つきだけではなくて……。

 

「これはもう、絶対にわたしのモノにしないと……気が済まないからね♡」

 

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