「ちゃんと起きれてるわね……」
ラッパの音が鳴り終わる頃には布団が完璧に整頓されており、その規律の高さがうかがえる。
「自然に目が覚めちゃって……」
対して自分はラッパの音で目が覚めたものの、完全には覚醒しておらず、机に座ったままだ。
「起きられるのなら良いけど、ちゃんと綺麗にしないとね」
そう言って山城はまだ寝起きの跡が残っている自分の寝床を綺麗に整頓してから、洗面所で身支度を始める。
「……ほら、姉様も」
「あ、ハイ」
つい先日まで前世からずっと男だったので、朝の身支度は適当に服を着るだけだったので、完全に考えから抜けていた。
「軍属になったのだから身だしなみはキチンとしなさい……、その様子だとやり方が一切分からないだろうから1から全部教えるからしっかり覚えなさいよ」
「助かります」
「全く……」
それから山城に教わりながらしっかりと整えていく、推しである扶桑さんには綺麗でいて欲しいと思うしやる気が出る、鏡に写る自分もとい扶桑さんが綺麗になっているの見てて楽しかった。
「それじゃあ訓練に行くわよ」
「はい」
山城が時計を見て少し顔を歪めていた事から、想定より随分時間がかかったのだろう。自分としては女性の準備にしてはす早く終わった方だと思っていたのだが、どうやらそうでも無いようだ。
「まずはココで体を慣らしていくわよ」
案内されて到着したのは、寮の共有スペース横にある部屋で、壁の1面がガラスになっており、ダンス教室にも見える、端にはトレーニング機材が並んでおり、筋トレ等もココで出来そうだ。
「まずは準備運動からね」
「あの、この服のままするんですか?」
山城が始めようとしているが、2人とも服装は体操服等ではなく、扶桑型と言えばの巫女服の状態だ。
「そうね、その姿で戦闘もするし日常行動もするのだから、その体に慣れるって意味ではそのままで行うわよ」
「なるほど?」
それから山城と教本を見ながら一緒に準備運動をしてから、トレーニング機材を駆使して体の動かし方を慣らしていく、それと同時に女性らしい歩き方等も体に叩き込んでいった。不思議な事に今は女性の体の為かかなり早い段階で歩き方は出来るようになり、そこから今の体の動かし方を覚えていった。おかげで大きな胸に振り回される事は少なくなっただろう。
それからお昼休憩を挟んだ後に午後からはトレーニング器具を使用して少し激しめの訓練を行った、数日前であればすぐに悲鳴を上げるような運動だったが、艦娘になった事で体がとても丈夫になって苦も無く続けられている。それに体を鍛えると言うよりも体の動かし方を叩き込んでいるといった方がしっくりくる。
「十分慣れたみたいだし終わりましょうか」
「はい、ありがとうございました」
訓練が終わり、まだ若干息が上がっていたが、大量に出ていたハズの汗が無くなっていた。不思議に思っていると山城に気付かれたようで。
「ね、体操服とかよりもこっちの方が良いでしょう?」
「確かにそうですね」
「でも汗で体が汚れている事にはかわりないからさっさとお風呂に行ってさっぱりしましょう」
「はい!」
前世から特に運動をしていなかったのもあって、運動後のお風呂がこんなにも気持ちいいとは思わなかった。思わず気の抜けた声が出てしまい山城におっさんみたいだと笑われてしまった。
それから晩御飯を食べた後に疲れから、布団をかぶるなりすぐに眠ってしまった。