とある霊能力者の元でバイトした話   作:病み澤

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1話

 

 

俺は20代の初めから終わりまでの数年間、とある霊能力者の元でアルバイト…と言うかお手伝いをしていた時期がある。

どこから話せば良いか分からないので件の霊能力者、和美さん(仮名)との出会いから話そうと思う。

 

当時の俺は派遣社員として物流倉庫の夜勤勤務をしていた。

夜勤を選んだのは単純で日勤より夜勤の方が時給が良かったからだ。

家庭の事情で高校を中退し学歴も資格も無い俺は目指す夢もなく日々を生きる為に派遣先とアパートを行き来する毎日を送っていた。

ところで皆さんは派遣社員として働いた経験はあるだろうか?

派遣社員、特に夜勤勤務には様々な人間が集まる。

それなりの大学を卒業しているにも関わらず40を過ぎても定職に就かず派遣会社を転々としている者、一流企業で働いていたが親の介護の為に退職した者、シングルマザー、シングルファーザー、多重債務者、中には何らかの犯罪を犯し最近出所したと言う者もいた。

 

まぁ、そういった人々の中で働くうちに人が入れ替わり俺はその派遣先で一番の古株になりエリアリーダーになっていた。

簡単に説明すると倉庫内が幾つかのエリアに分かれており、担当するエリアで働く派遣社員を束ねる役目だ。(通常の業務もあり手当てが付く)

 

和美さんが俺の担当エリアに配属されたのは勤務し始めて1年が過ぎた6月の終わり頃だった。

 

「山路 和美です。よろしくお願いします。」

 

そう挨拶した和美さんへの第一印象は普通のおばさんだった。

年齢は40代半ばから後半位だろうか、そこら辺にいる普通おばさんだ。

 

「俺です。よろしくお願いします。大方の作業内容は派遣会社の担当さんとここの社員さんから説明があったと思いますが細かい説明と作業手順は自分が教えますんで分からない事があれば聞いてくださいね。」

 

挨拶を終えて作業に必要な機材を渡しエリア内を案内しながら細かい作業内容を説明していく。

とは言え物流倉庫の夜勤業務などそれ程難しい物では無い。

納品された商品を決められた場合に収納していくだけなので大抵の場合2、3日、物覚えの悪い人でも1週間もあればできるようなるのだが驚いた事に和美さんは初日でほぼマスターしてしまったのだ。

 

「今度の新人さん仕事できる人で助かるわぁ」

「山路さんまじ有能」

「この前の新人なんて仕事覚えられなくて1週間でバックれたし」

「出勤初日にバックれた奴もいたしな」

 

同じエリアのメンバーからの評価もよく2週間が経つ頃には職場にもすっかり馴染めている様だった。

 

ただ少しだけ意外だったのは和美さんが喫煙者だった事だ。

初日の休憩の時に喫煙所の場所を聞かれ当然の様に非喫煙者だと思い込んでいた俺は面食らった。

百人近くが働くこの倉庫で喫煙者は俺を含めて僅か数名しか居らずその数名の中からも禁煙しようかなと言う声が聞こえる程だったから。

七階建てのこの倉庫には一階と七階を除く全ての階に休憩室が設置されていて非喫煙者は各階の休憩室で休憩や食事ができるが喫煙所は二階にしかないので数少ない喫煙者は二階で休憩を取るしか無い。

そう言う事情もあって俺と和美さんは必然的に休憩時間を一緒に過ごす様になった。

 

初めの頃は話す事も少なくあったとしても

 

「今日は荷物多くて大変ですねー」とか

「ライター貸してもらえます?忘れちゃって」

 

位だったのが1か月もするとお互いの年齢とかどこに住んでるとかプライベートな事も話す様になっていた。

和美さんは44歳、シングルマザーで10年前に旦那さんを事故で亡くし21歳の娘さんと二人暮らしとの事だった。

言い方は悪いかもしれないが片親の家庭なんて今どき珍しくは無い、実際俺も物心つく前に親が離婚して父子家庭だ。

ただ、俺の幼少期から田舎を出るまでは正直言って悲惨な物だった。

俺の過去については後々語る事にする。

 

和美さんが霊能力者だと教えられたのは夏真っ盛り、8月に入ってすぐの事だった。

その日もいつもの様に喫煙者用の休憩室で食後の一服をしていた。

備え付けの液晶テレビから流れる深夜番組の心霊コーナーを何となく眺めながら

 

「最近、心霊特番とか減りましたよねー、昔は夏の定番って感じでどこの局でもやってたのに」

 

何となしに思った事を言ってみた。

俺が子供の頃は夏になると各局がこぞって心霊特番を放送していた。

視聴者から寄せられた心霊写真を自称霊能力者が鑑定してこれは危ない物だとか先祖からの警告だ!とか言ってみたり、噂の心霊スポットにタレントとこれまた自称霊能力者が行ってスタッフが取り憑かれて緊急浄霊!みたいな流れの番組を怖い物見たさでよく見ていたものだ。

 

「俺さんは霊とか信じる人?」

 

慎重と言うか探る様な声色で和美さんが聞いてくる。

「そうですねー」とかそんな普通の答えが返ってくると思っていた俺は少し不思議に思い見やると和美さんは普段の柔和な顔つきとは違う神妙な表情でこちらを見ていた。

 

内心しまったと思った。

何か和美さんの地雷を踏んだのかと思った。

そして自分自身の地雷を踏んだ事にも思い至り自分の馬鹿さ加減に改めて嫌気が差す。

 

これまで誰にも言った事はない。

 

 

 

俺は……霊が見える……。

 

 




拙い文章で申し訳ないです。
そもそも小説と言う体もなしていないですが取り敢えず何か書きたいと言う思いつきで始めたのでご容赦ください。
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