ソードチート・オンライン-開発者の1人ですが、デスゲ止めるために頑張ります- 作:朱色の空☁️
デスゲ開始から3週間
第1層はアインクラッドの総面積の2割になるくらいにデカい。
因みに直径10㎞、だから、地形やモンスターの出現バリエも結構ある。
僕は、この貴重な1か月を使って結構な準備をしてきた。
第1、ソードスキルの熟練。
ソードスキルという物は熟練度が関係していて、最初から何連撃も出来る技を使えるわけじゃない。
最初のうちはスラントとかホリゾンタルといった単発技しか使えないけど、熟練度を上げていけばホリゾンタル・スクエアとかヴォーパル・ストライクといった連撃技や重攻撃が使えるようになる。
だから、練習あるのみなんだ。
取り敢えず習熟度は100まで上げたから、シャープネイルという3連撃技まで使える。
お陰でリポップするのを待たずにはじまりの街をグルグル回ってモンスター狩りまくったけどな。
第2に、レベル上げ。
これはソードスキル上げと並行してやってた。
はじまりの街を周回してイノシシ狩りとかネペント狩りしてたら経験値が溜まって行って、安全マージン意識でレベル12まで行った。
実はそれ以上に上げようと思ったけど、どうにもここにいるモンスターでは効率が悪くなってしまったから、ここで上げられるのはここまでって事だろう。
第3、この世界での体の動かし方。
五感完全再現、おまけに肉体の基本原則は現実世界と変わらないから、現実ではなかなかやらなかった運動をとにかく頑張った。
息切れの概念もあるからビックリしたけど体はまぁ、スタミナとかは頑丈になったと思う。
そして第4、エンハンスアーマメントの新規開発。
for文で複製した剣のやつは確かに使えるけど、フロアボスを倒すにはそれだけでは足りないと思って幾つか作っておいた。
中身はまぁ内緒だ、テストをしたときに一応効果は見たけど凄かったなぁ。
フロアボスを倒す時に使ってみる。
で、その新しく作ったやつを効果的に使うなら、初期装備の剣はいまいち使いづらい。
だから、クエストを受けに行ってみようと思う。
「……行ってきます」
生命の碑の取り消し線がまた増えていた。
1日1回はスタディオコードで確認しているけど、どんどん増えていっている。
多分、欲に目が眩んで……というやつだ。
そして新しく作った機能をスタディオコードに付けておいた。
同じ層にいるプレイヤーの位置情報を平面上で表示できるようにする機能だ。
ざっくりというと、層全体にスキャンをかけてプレイヤーIDを拾って表示しているだけだ。
見ると、はじまりの街の主街区にプレイヤーが集まっていたりする。
この位置は……教会?
……通り道だ、見るだけ見に行ってみるか。
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はじまりの街に教会は1つしかない。
だからプレイヤーの光点はその境界に集中していた。
数は20、くらいだな。
「サーシャ先生、お勉強教えて!」
「そうだね~今日は何にしようか」
サーシャ先生?
後子供の声もしたけど、もしかしたら……
「あの、ここに結構な人数の子供プレイヤーが保護されていると聞いたのですが」
「ええ、そうですが……」
ビンゴ、この人だ。
話してみるとその人となりが分かってきた。
プレイヤーネーム、サーシャは元々攻略目的としてたが、デスゲと化したSAOでパニックとなってしまった子供達や、そもそもゲーム自体に適応できない子供たちをこの街で保護しているらしい。
……聞いて驚いたんだけど、保護されてる子の大体が10から12歳くらいだ。
一応説明しておくけど、CEROレーディングBだよのこのゲーム。
……デスゲになったからZぶっちぎりで測定不能だけど。
「対象年齢に満たなかった子達の保護施設、という事ですか」
「はい。街の中にいれば殺される事はありませんので、子供達には街から出ない様に教えてあります」
「普段の食事等は、買い出しとかになりますか」
「幸い料理スキルがありましたので、ここの子達の料理はすべて私が」
……本当にごめんなさい。
茅場さんの暴走が無かったらこうなってないよな。
「サーシャさん、今後に関するお話があります」
「え?」
「私は、SAOのコーディングしていた者です。アーガス社を代表して、深くお詫び申し上げます」
サーシャさんが固まってる。
目の前に元凶の一部がいるもんな、でも責任の取り方とか心得て入る積もりだ。
怒りとか恨みとかがサーシャさんの目に溜まってるけど、今は押し留めて欲しい。
叩かれてもアーガス社と僕らは文句言えないから、終わった後にさんざん言えばいい。
でも命がかかっているから1秒たりとも無駄に出来ない、だから今後の話をしたいんだ。
「……何でこんな所にいるんですか。開発者がこんな世界に片道切符で飛び込んできて」
「止めるためです。少なくとも開発目線でこの世界を見て弄れば、裏技を使ってデスゲームからログアウトさせる事が出来るかもしれません。方法はまだ手探りですが、SAO開発中に使っていた改造キットをゲームに持ち込めた以上、方法が無い訳ではありません」
「方法が無いままなんて……そんな信用なんて、まだ……」
「作った側の人が飛び込んできている。それが証明とさせてください」
僕はメインメニューを出してログアウトボタンがあるはずの画面をサーシャさんに見せた。
当然、僕もプレイヤー枠として入っているからログアウトボタンは無い。
我ながらバカな事をしたなぁって思ったりもしたけど、どうしても中から挑戦する人が必要だったんだ。
それに、現実世界側では他のメンバーがあーだこーだして動いてくれている。
僕が地獄行き切符を使う前にお願いした事は3つ。
1つ目、SAOのアルファ版、ベータ版の全コードを警察機関や他のゲーム企業に開示して、解決策を見つけてもらう事。
2つ目、新しいツールをアルファ版環境で作って、管制したらその都度僕の改造ギアに突っ込んでもらう事。
そして3つ目、これだ。
『巧三さん、聞こえますか? ……と言っても一方通行なんですけどね。ひとまず、ナーヴギア被害者はネット環境を用意した高度医療機関に搬送されています。ネットの一時切断によってアバターが失神する可能性がありますが、システム上はゲームオーバーにはなりません。また進展在りましたら連絡します』
一方通行ではあるけど、外部の動きが知れるようになったんだ。
この一方通行の通信、カーディナルを誤魔化しながらの神業を3週間くらいで用意してくれたスタッフには頭が上がらない、というか地面にめり込みそう。
「外の状況も何とか確認できます。アーガス社も救出に全てを尽くします。サーシャさん、子供のメンタルケアと保護を以降も一社員としてお願いします。それと、今後同じような子供を見かけたらこちらに連れて来てもよろしいでしょうか?」
「それは、勿論ですが……」
「では保護の方、よろしくお願いします。ちょくちょくきて報告はしますので」
なんか子供たちが寄ってきたからそそくさと退散する。
別に子供が嫌いだからって訳じゃないけど、保護するとは言っても関係者がここにいていい物なのかと疑問に思ったからだ。
僕の事は、ただの人道おじさんと思っててほしいな。
さて、このまま主街区を出てホルンカの村に向かう。
北西ゲートから街を出て、森の先にある農業の村だ。
アルファ版でやってみたやつだけど、クエスト名は「森の秘薬」だったはず。
あらすじとかは覚えていないけど、そこでのクエスト報酬が確か「アニールブレード」だ。
僕が作ったヤツだから性能は分かっている。
我ながら見た目は初期装備感あってイマイチだけど、ちゃんと強化すれば3層までは余裕で使える。
強化試行上限数は8回まであるから、割とカスタムが効く。
でも……これ誰かが先にクエストやっちゃってたら24時間経たないと受けられないんだよな。
とにかく急ごう。
___________
ソードスキルの熟練度も道中で上げていこう。
上げて困る事なんでこれっぽっちもないし、モンスターが来たら「お、練習台だ」とでも思っておこう。
経験値&熟練度&お金も入るから、悪い事は無い。
強いて言えば、武器の耐久値が減ってくこと位かな。
3週間剣振ってたから、初期剣が1本ダメになってしまったんだ。
という事で今持っているのは2本目の初期剣だ。3本目の予備も一応はある。
目の前の敵がまた向かってくるから、今度はソードスキル抜きで攻撃をしてみる。
一応言っておくけど、別にソードスキル無しでも攻撃できるしちゃんと威力もある。
僕は武器関係しかやってないからボンヤリとしか説明できないけど、プレイヤーの成長に伴ってパラメータに触れる経験値が貰える。
それをどう振り分けるかによってプレイヤーごとに個性が出てくる。
例えば、str___筋力上げたら攻撃力特化でAGI上げたらすばしっこくなる。
で、これに追加して自分のプレイヤーデータ上では「存在しない扱いのデータ」としてこれを付け加えておいた。
エンハンスアーマメントスロット、だ。
本来、武器に付与できるエンハンスアーマメントは1つまでで、付け直すには再構築が必要で、手間がかかる。
だから僕は、エンハンスアーマメントのファイルをちょっと弄った。
「クラス変数」をひとつ切り替えるだけで、エンハンスアーマメントを即座に差し替えできるようにしてある。
今は、《for文複製剣》と《動きを止めるやつ》、この2種類を用意している。
それらは“同じ親クラス”を持っている。
つまり、構造上は血縁関係。
「エンハンスアーマメント」という親クラスから派生した、“子”の二つ。
親の苗字を名乗ってるから、めっちゃわかりやすく言うと手続きをかなり省略できるってわけだ。
——開発者にしか使えないチートじみた仕組み。
だけど、この命懸けの世界じゃ、これくらいのインチキは必要だよね。
一閃、筋力とメインで上げておいたから一撃の重さが増えた。
でもそのうち筋力だけではどうにもならない時が来ると思うから、dex__器用さやvit__生命力も上げていこう。
あとメチャクチャ当たり前の事を言うけど、この世界にはペインアブソーバーが効いている。
だから、飽きるほど斬っていった青イノシシに突進されると、軽く腹パンされたような痛みが走る。
これでも軽減してるって言うんだから驚きだ。
ちなみに、アルファ版でアブソーバーをレベル0にしたバカがいたんだけど、青イノシシの突進であばらを折ったくらいの痛みが出たらしい。
内臓は……知らん。
多分現実の身体もダメージ受けたと錯覚するんだろ、知らんけど。
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ラッキーなことに、クエストは受けられた。
どうやら前に誰かがクリアしてから24時間は経過したらしい。よかったよかった。
内容は、リトル・ネペントっていう植物系モンスターを倒して、
《胚珠》をドロップさせるっていうよくある収集系クエスト。
ただし、問題はその胚珠を持ってるのが“当たり個体”であるフラワーネペントしかいないって事。
おまけに普通の花じゃなくて実が付いてるやつ「フルーツネペント」がもっと厄介で、この身を傷付けてしまうと一気にはじけて増援が来る。
蜂とかがフェロモン使って増援呼ぶみたいな感じのやつね。
しかも、どんどん来る。
倒しても倒しても、延々と湧いて出てくる。
で、これを面白がって「無限ネペントできるやん!」とか言いながら狩り続けてたバカが、うちの社員の中にいました。
……いや、ホントにいたんだよ?
社内テストの時、処理が遅延するまで湧かせてゲラゲラ笑ってたからな。
一先ホルンカの村のクエストが受けれる家に行って、NPCに話しかけてるとクエストを受注できたから、このまま森に入る。
今思ったんだけど、スタディオコードにモンスターの位置表示機能つけておけばよかったな。
NPCのおばあさんが言うには、ホルンカの森やネペントの森にいるらしい。
修正というか特性は、やっぱり植物系モンスターだから火に弱いし、目は良くない。
その代わり臭いを辿って来るので、追跡してもほぼ確実に気づかれる。
火か……ちょっと試してみるか。
コードぱちぱちーっと。
よし出来た、エンハンスアーマメントみたいに大規模な物じゃないから割とマッハで出来たわ。
試しに初期剣を振ってみると……
ボボボゥッ!!!
男の子なら一回は想像した事あると思うけど、燃える剣だ。
……夢叶ったわ。
アニメとかでやってるじゃん、鬼斬るアニメ。
アレの剣が燃えるやつとか、大人ですがすっげぇって思ってしまったんだよね。
でもここで振りまくると家に燃え移りそうだからネペント相手にやりましょう。
__________
斬って、斬って、斬って、斬って斬って斬って斬って斬って——
出ない!!
本っ当に出ないんだよ、花付きのやつ!!
実付き(フルーツネペント)ならもう五匹は見かけた。
でもあいつらは倒すと“増援フェス(2次会もあるよ)”が始まるから、さっさと「とある方法」で黙らせた。
……今、その辺でキレイに固まってます。
それにしても出ない。
こういうゲームあるあるだけど、物欲センサーって本当にあるんじゃないか?
狙えば狙うほど出ない。
いや、まさか……SAOにそんな隠しパラメータ、仕込んでないよな?
(沈黙)
……まさかね。
でも、草の揺れが違う。
風じゃない。根が動いてる。
いた。——花付きだ!!
「胚珠置いてけゴルァアアアアア!!!」
妖怪「胚珠おいてけ」になって咆哮と同時に、炎を纏った剣を構えて飛びかかる。
燃える刃の光に照らされて、花付きネペントが──後ずさった。
……は?
いやいやいや。モンスターのAIに“怯え”なんて実装してない。
そもそも恐怖パラメータなんて存在しない。
それでも動かない。
花弁が、かすかに震えていた。
……何だこれ。バグか? それとも──カーディナルの自己学習?
まぁいいか、兎に角さぁ……
胚 珠 お い て け。
初期剣を刀みたいに構えて飛び掛かり、赤紫色の炎の刃が獲物の首を捉えて焼き切った。
よし、これが胚珠だ。
思ったよりもデカいな、まぁモンスターだからデカいのも納得か。
これが1個あればクエストは完了らしい。
アニールブレードゲットはほぼ確実だ、帰るまでがクエストなので帰りましょう。
さて道の方はっと……何コレ。
ここから少し開けたところの広場に、プレイヤー反応か。
多分クエスト絡みじゃなくて、普通に戦ってた人のやつだ。
ちょっと、ヤバいかもな……
_________________
side:キリト
これだけの数がわいてくるなんてベータではありえなかったぞ!?
あの時はせいぜい5か7だったけど、確実に10以上は湧いている!!
「動けるなら剣を取って戦ってくれ!!」
この子──アスナという同い年くらいのをギリギリ助けれたのはいいけど、
増援が増援を呼びまくっていて、キリがない!
切っても切っても、枝が蠢く。
空気がねばつくような植物の青臭い匂い。
もう、限界が近い──そう思った瞬間。
「そこの二人組!! ちょっと冷えるぞォォォ!!」
耳を裂くような声が響いた。
その声は、まるでこの世界のシステムそのものに命令を叩き込むような──
“異物の響き”だった。
キリトがそちらを振り向いた瞬間、視界の端に円環が浮かぶ。
金属のような音を立てて、無数の円形のウィンドウが一瞬で開閉した。
空間がビリビリと震える。
「エンハンスアーマメント!!」
叫びと同時に、空気が凍てついた。
風が止み、凍気が奔流となって放たれ、地面を這うように氷が押し寄せてきた。
でも俺達を凍らせずに
一面、青白い氷の海になり、その氷に絡みつく世に棘の付いたツタが絡まり、何かを吸収している。
「これ、薔薇だ。氷で出来てるけど」
氷の波が地を這い、木々の幹も、モンスターの群れも、瞬時に“時間”を失った。
パキィィィンッ!!
ほぼ全てのネペントが凍ったまま粉々になり、森全体に霜が降りた。
砕片が陽光を反射して、まるで氷の雨のように降り注ぐ。
一呼吸の間に、戦場は“静寂”へと変わった。
ネペントたちは一体残らず粉砕され、霜の降りた森は
キリトは息を飲んだ。
何が起きたのか理解できない。
ただ分かるのは──
この力は、“ソードスキル”じゃない。
視線の先。
そこに立っていたのは、黒いコートを翻す一人の男。
青い霧の中で、その瞳だけが研ぎ澄まされたように光っていた。
「アレは誰なんだ……」
凍った森が、ダイヤモンドダストを反射させて光っている。
誰かがいて、誰かがこんなとんでもない事をした。
「誰なの、アレは」
「俺にも分からない。でもあれはソードスキルでは出来ない。それこそ、チートコードの類だ」
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2本目がパリンしたけど予備の3本目があってよかったぁ……
あと間に合ってよかったぁ……あの量は流石に死ぬかもしれないから通常出力で広範囲に凍らせました。
今使ったのは新しく作ったやつ、広範囲凍結&撃破を目的としたエンハンスアーマメント「蒼氷の剣」だ。
地面に接してるやつは大抵凍らせられるけど、氷にも耐久値が設定してあるのでフロアボスの拘束とかはちょっと厳しいかも。
何故耐久値があるのかって?
絶対無敵の氷とかカーディナルがバグ判定するからだろうが。
それにしてもこの森、どこまで凍ったんだ?
蒼氷の剣の有効半径が半径25mだけど指向性を前だけに絞って一気に解放したからこの辺りカチコチだな……
まぁそのうち解けるだろ、村に戻ろう。
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帰り道に寒さで動きが鈍くなった花付きがいたからもう一回胚珠おいてけをして2個目をゲットした。
多少のダメージは受けてしまったけどまだまだ元気だ。
そして、見た目イマイチ性能中々なアニールブレードをゲットだ。
何度も焼き直すことで耐久性を上げた剣って設定だから、ちゃんと耐久力は高い。
こうして持ってみると長いなこの剣、筋力メインで上げて良かったかも。
耐久値も今は満足いくくらいだから、エンハンスアーマメントは10回くらいはいけるかも。
ああ、使えば使う程耐久値削れる仕様にしてある、耐久無視で使える必殺技なんてバグ過ぎるだろ?
だから、初期剣2本目が蒼氷使った時にお陀仏したんだ。
……この剣、テクスチャ変えれるよな。
よっし、やってみるか。
という事で、氷のように透き通った水色で彩ってみた。
san値が削れるデスゲにも癒しはやっぱり必要だ。
僕の場合は、こういうひと手間とか無駄に見える様な凝り性発揮でオリジナリティを出す事かな。
あ、剣のガードの部分にバラでもつけておくか、テクスチャ設定、氷っぽく作って保存っと。
おおお……なかなか様になるな……
名前はそうだな、青薔薇の剣にしておくか。
短い付き合いかもしれないけど、頼むよ。