STARWARS バクトゥールの地にて   作:バケツ頭 小説もどき家

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新たな敵#2

「待機だって?! 冗談じゃない! 撤退すべきだ!」

 

 バクトゥール星系防衛軍の兵士達は死を恐れないドロイドでも、命令に従うトルーパーでもない。彼等の小隊長は部下達の勇気を信じていたようだが、結果はファマ達の懸念通りになった。警備記録の内容を伝えられたバクトゥール星系防衛軍の兵士達は動揺し、恐怖と怒りを小隊長にぶつけている。警備記録の送信後に司令部との連絡が途絶えたという事実も彼等の焦りに拍車をかけていた。

 

「分隊の配置完了しました」

 

 TK-4773。ストームトルーパー分隊長はファマの隣に立つと、そう報告した。彼のボイスモジュレーターを通した声は低く、冷静だった。敵への恐れや怒りといった感情は全く感じられない。いくつもの激戦を潜り抜けてきた証拠だ。アカデミーの訓練だけではこうはならないだろう。階級はファマより下だったが、その経験の差は歴然だ。

 

「南と西に設置されていたSB-920二基も使用可能な状態にまで修理してあります」

 

「了解、軍曹」

 

 ファマは短く頷いた。第433偵察中隊の下士官の中でTK-4773は最も冷静沈着で冗談が通じない相手である事を彼女は理解していた。彼は下にも上にもプロフェッショナルな受け答えを求める男であり、ファマは敬意をもってそれに応えていた。可能な限り。「これでどんな敵がやってきても安心ね」ついそう軽口を叩いてしまうのが、ナブー生まれコルサント育ちの若き士官――ファマの癖だった。努力やアカデミーの教育ではどうにもならない、生まれ持った性分である。

 

 彼なりに気の利いた返しを考えているのか、それともただ単に雑音として扱ったのか、TK-4773からは何も返ってこなかった。

 

 気まずい沈黙への対処をファマが考え始めた時、スピーダーバイクの轟音が聴こえてきた。

 

 ゲートを猛スピードで通過し、星系防衛軍の兵士達の視線を集める二人のバイカー。偵察任務から戻ってきたセインとリマはスピーダーバイクから降りると、ファマの下に走った。その姿はまるで一位を競い合う子供のようだった。

 

「どきなさい!」

 

 セインを押しのけてファマの前に立ったリマ。彼女は息を切らしながらも、報告した。

 

「敵です! ここから5kmの地点に武装勢力の一団を確認しました。数は少なくとも中隊規模で、こちらに接近中です!」

 

「通信障害にこちらに向かう敵の大部隊……どうやら敵は我々を生きて返すつもりはないようね」ファマはリマとセインに顔を向ける。「あなた達は撤収中、敵に発見された?」

 

「ええ」息も絶え絶えにセインが答えた。「物凄いブラスターの嵐を受けながら逃げ帰りましたよ。奴等の射撃が下手で助かった」

 

「……退却の途中、マインをいくつか設置しましたが、それが足止めになるかどうか……」リマは責めるようにセインを見た。「あなたが止めなかったら私の狙撃で敵を確実に足止めできたんだけどね」

 

「いいや、あそこで撤収しなかったら二人とも殺されて、この基地は静かに包囲されてたぜ」セインが言った。「俺の冷静な判断に感謝してほしいね」

 

「……言ってれば?」セインの軽口に、リマは鼻を鳴らした。

 

「一体何の騒ぎなんです?」バクトゥール星系防衛軍の兵士が近づいてきた。「悪い知らせですか?」

 

 真実を話すべきか、それとも誤魔化すか。ファマは短く葛藤した後、答えを出した。「敵よ、ここから5km先に敵の集団が確認できたわ」どうせ隠したところで直ぐに現実は目の前にやってくる。「最も敵がこの基地を目指しているのかはまだ分からないけど──」

 

「終わりだ!」

 

 ファマが慰めの言葉を言い終える前に兵士は叫んだ。彼は仲間の元に駆けていき、聞いた事実を伝えた。ざわめきが広がり、怒号が飛び交う。死にたくないと訴える兵士と、そんな仲間を臆病者と罵る兵士、そして彼らを抑える下士官達。敵が目の前に現れる前から彼らの士気は崩壊寸前だった。

 

「彼等は戦力として期待できませんね」と、TK-4773。「部下達に襲撃に備えるよう伝えてきます」

 

 ファマは静かに頷いた。

 追撃を承知で退却するか、それともここに留まって援軍を待つか? 

 彼女は決断を迫られていた。

 

 

 

 

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