STARWARS バクトゥールの地にて 作:バケツ頭 小説もどき家
基地に向かって向かう二百人の武装集団。彼等はグレバラド氏族の戦闘部隊の一つであり、ジュダバというガイバグに指揮されている。
犠牲者の血がこびりついたナタ、ベルトに吊り下げられた首や頭部が入ったままのヘルメット。ジュダバは冷酷な殺人鬼であり、恐れ知らずの戦士であった。彼は、警戒網が復活する前に撤収した本隊に従わず、新たな血を求めて“獲物”の元に向かっていた。
──敵にメッセージは伝えた。戻れ。
指導者はそう何度も彼を説得したが、ジュダバはコムリンクを潰すことで拒否の姿勢を貫いた。
目の前に戦いの機会が迫っているのに逃げ帰るとは。ジュダバには指導者の考えが理解できなかった。敵の応援部隊を血祭りに上げることで更に名誉を高められる。彼等の首を持って帰れば指導者も黙るだろう。
それが血に狂う戦士の意見だった。
「『アズダルコとサーアレズから応答がありやせん!』」
「『やつらしくじったか……』」部下の報告を聞いたジュダバは細い舌を出し、鱗を舐めた。「『いそぐぞ! 獲物が勢いづく前に仕留めてやる!』」
二本脚や四本脚が現れたら厄介だ。この戦士長は血の気が多いが、帝国軍の兵器には敵わないという分別も持ち合わせていた。
ライフルとナタを持ったガイバグの戦士達はのしのしと大地を走り、基地へと向かう。
戦いの時はすぐそこまで迫っていた。
◇
リマは防壁の上からスコープを覗いていた。降り注ぐ雨、風で揺れる木々、勢いを増す川。彼女の見立てが確かなら、敵は森を抜けて川の岸辺の道を通り、西から基地へと向かってくる。二基のSB-920も遠距離から敵を仕留める為に防壁の西側に配置された。もし、リマの予想が外れ、他の方向から襲撃を受ければ基地はあっという間に制圧されるだろう。
聴こえてくる軽い足音。視線を向けなくても分かる。
ファマだ。
「何か見つけた?」
「いえ、まだ何も」
リマはバイザーを上げ、スコープを覗きながらポーチに入っているレーションバーを取り出す。
「そう」ファマはリマの隣に立ち、バイノキュラーで西側を見渡す。
「“家に帰りたがっているお友達”の様子はどうです?」
「今のところは何とか問題なく配置についているわ」ファマはため息混じりにそう言った。
「今のところはねぇ……」リマはレーションバーを齧った。「そりゃ、何とも頼もしい事で」と、バーを貪りながら口にした。「じゃあ、兵舎に残してきた遺書は不要ですね。長いこと更新してなかったから死んだ叔父へのメッセージも入ったままなんです」
微かなファマの笑い声。
「少尉は遺書の準備はしてるんですか?」
「してる。2パターン用意してるわ。一つは戦死、二つは重傷になった時用。勝手に殆どドロイドみたいな体にされでもしたらやってられないから」
「へぇ、意外な答えだ」リマは肩をすくめた。「少尉は楽観主義者かと思って──」
リマはレーションバーを投げ捨てて叫んだ。「敵です!」
「確認!」
バイノキュラーに映る無数の戦士。ファマはコムリンクを起動する。
「敵が来た。迎撃準備!」
持ち場につく兵士達。E-11の照準器を覗くストームトルーパー。
「狩りの時間よ」ファマはリマの肩を叩いた。
E-11sの光弾が飛んでいった方向に、ストームトルーパーとバクトゥール星系防衛軍の兵士達はライフルを発砲する。
返ってくる青や赤の弾幕。激しい銃撃戦が始まった。
「SB-920。射撃開始。方位276」
『了解』
三人のストームトルーパーと三人のバクトゥール星系防衛軍の兵士で運用された二基のSB-920は閃光を放ちながらレーザーを目標に撃ち込む。
「もう少し右! ──止まって! よし、撃ち込んで!」
「発射!」
ミラ、ダン、フォイ。三人のバクトゥール星系防衛軍の兵士達は激しい閃光をものともせず、レーザーキャノンを操作し、敵に効力射を食らわせる。ストームトルーパーのSB-920チームも同様だ。
蒸発する敵、近くに着弾したレーザーに慌てて射撃位置を変える戦士、木々を薙ぎ倒す砲火。レーザーキャノンの威力とブラスターの弾幕は敵をその場に釘付けにしている。
「その調子、撃ち続けて」
「おやすみ」
頭に光弾を食らい、倒れるガイバグ。「14」リマは次の獲物に照準を合わせる。「さようなら──15」着弾位置が外れ、舌打ちする。「よし、15っ!」パックリ割れたガイバグの鱗を見て狙撃手はヘルメットの下で笑みを浮かべた。