吉良親子は静かに暮らしている   作:すも

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息抜きを兼ねて投稿しました。更新は不定期です。


番外編:ジョースター家の杜王町訪問

「遂に来るのね、あの人が!ああっ、またジョセフと会えるだなんて夢みたいッ!ねぇ仗助、私のメイクおかしくないかしら?」

「うん、大丈夫だよ。母さんとても綺麗だと思う。いつもこれくらい頑張ればいいのにさ」

「そ、そう?よかったわぁ~……でも最後の一言は余計よ仗助」

 

1992年の夏、とある週末では杜王町に住む東方家の人達が慌ただしく準備を行っていた。今でも愛している恋人であるジョセフ・ジョースターが東方家を訪問すると聞いた東方朋子は、いつもより気合の入ったメイクをして恋人の到着を待ちわびていた。

 

いつもと違い非常に浮かれた様子の母親を見た仗助は少し困惑しつつも、朋子がとても嬉しそうにしているのを微笑ましく思っていた。

 

「母さんニッコニコだな、いつもこれくらいご機嫌ならいいのに。でも俺の父さんか、どんな人なんだろうなぁ?まあ母さんが認めたのなら悪い人ではないだろうけど。なぁじいちゃん」

「……………おう、そうだな」

 

自分の父親の事が気になった仗助は祖父の良平に話し掛けるが、祖父が笑顔を浮かべつつも内心穏やかではないのを察して思わず怯んでしまう。

 

「ヒエッ……じ、じいちゃん怖いよ」

「ん?あっ!ああすまんすまん!怖がらせてしまって悪かった!お前が悪いわけじゃないから安心しろ仗助」

「う、うん」

 

孫が怖がっているのに気付いた良平は大人げない姿を見せてしまった事を謝っていた。

 

「お前の言う通り朋子が選んだ男なら悪い奴ではないのだろう。私もそれはわかっている、いるんだが既婚者で私と同じくらいの歳の娘さんがいるくせに朋子に手を出したクソジジ、爺さんにちょっと……ちょ~~~っと怒っているだけだから仗助は何も心配しなくていいぞ」

「わ、わかったよじいちゃん」

 

どこがちょっとなのかと思いつつも仗助は空気を読んで沈黙する事にした。そして良平は咳払いして朋子に注意する。

 

「オホンッ、浮かれるのはわかるが少し落ち着け朋子。今回の訪問ではお前の恋人だけじゃなく奥さんも来る事を忘れたのか?」

「あっ、そうだったわね」

 

良平の言葉を聞いた朋子は浮かれた様子を一変させ難しい顔を浮かべる。ジョセフの妻であるスージーQも一緒に来るという事で一波乱があるのを予想し朋子は溜息をつくのであった。

 

「ねぇお父さん。ジョセフの奥さん怒ってると思う?」

「そりゃ怒っているだろうな。向こうの話では気にしなくていいと言っておったが、旦那が不倫して怒らない妻などいるわけないだろうに」

「そうよねぇ……ちょっと憂鬱だわ」

 

 

 

「……………はぁ~~~ッ、ついに来てしまったのぅ」

 

杜王町に到着したジョセフ・ジョースターは盛大に溜息をついていた。ジョセフは70歳を過ぎていても未だに若々しい様子であり立ち振る舞いもしっかりしている老紳士であったが、隠し子が判明した今は立つ瀬がない状態であった。アメリカから船で出発し杜王町に到着したジョセフ達を孫の承太郎が出迎える。

 

「やっと来たかクソジジイ」

「うむ、出迎えすまんな。でもクソジジイ呼びはやめてほしいんだがのォ」

「じゃあ色ボケジジイと呼んでやろうか?60歳を過ぎて隠し子を作っていたクソジジイめ」

「……すみませんでした」

 

冷たい眼差しで睨んでくる孫に傷つきつつも、自分が悪い事を理解しているジョセフは反論せず小さくなって謝罪する。

 

「承太郎、出迎えありがとう。この人の尻拭いに付き合わせてしまってごめんなさい」

「おばあちゃんが謝る必要はない。全てはこのクソジジイのせいだ」

「それでも謝らせてちょうだい。ジョセフのせいで生まれたばかりの徐倫ちゃんと引き離してしまうなんて本当に申し訳ない事をしたわ」

「……本当にすみませんでしたッ」

 

自分の代わりに謝罪するスージーQを見て周囲に迷惑をかけている事に自責の念を抱いたジョセフは深く謝罪するのであった。

 

「さて、では行きましょうジョセフ。貴方が気に入った子だし東方朋子さんはきっと素晴らしい女性なのでしょうけど、私の目で実際に見て確かめる事にするわ」

「ほら、さっさと行くぞクソジジイ」

「気が重いのぅ……」

 

 

 

「ジョセフゥ~~~ッ!本当に来てくれたのね!待ってたのよッ!ずーーーっとッ!ジョセフッ!また会えて本当に嬉しいッ!年老いてもダンディでカッコイイままねッ!」

「う、うむ。儂も久しぶりに再会できて嬉しいよ朋子。相変わらず綺麗じゃのぅ」

「ああんッ、ジョセフに褒められて嬉しいわッ!」

 

ジョセフ達が東方家を訪問した直後、家から飛び出して満面の笑顔で抱き着いた朋子に対してジョセフは思わず顔を引き攣らせていた。

 

「すっごい嬉しそうだな。あんなにウキウキとした母さんは初めて見たぜ」

「……………」

「……笑顔でこんなに怒ってるじいちゃんも初めて見たなあ」

 

「なるほど、あの子が朋子さんなのね。とても綺麗な女性だし、ジョセフの事を心から愛しているのがわかるわ。これはジョセフもつい魔が差してしまうのは無理もないわね……私が納得できるかは別だけど」

「やれやれ、おばあちゃんが笑顔で怒ってるが向こうの父親も相当お冠なようだ。一発くらいぶん殴られるかもしれないがクソジジイの自業自得だな」

 

感動の再会を果たした二人を見て周囲の人達は二人の好きなようにさせていた。そして少し時間が経過した後良平が話し掛ける。

 

「よし、もういいだろ朋子。こんな暑い野外でずっと抱き合ったままじゃ熱中症で倒れるわい。ようこそ東方家へ。私は家主の東方良平です。この度は遠路はるばる杜王町までお越しいただきありがとうございます。娘のせいで貴方達に大変ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」

「いいえ、謝らないでください。朋子さんは悪くありません。悪いのは既婚者なのに朋子さんに手を出した主人ですから」

「そうですか。ではご婦人、どうぞ家にお上がりください。そこのクソジ、貴方もどうぞ中へ入ってください」

「……ハイ」

 

良平が笑顔を浮かべつつも怒っている事を察したジョセフは重い足取りで東方家に入るのであった。

 

 

 

「というわけで仗助君にはいずれクソジジイの財産の二割が相続される事になります」

「うーむ、別に財産は要らないのですがな。朋子は真剣に恋をして仗助を産んでいたし私もそれで納得しています。私達に気を遣わなくてもよろしいのに」

「そういうわけにもいきません。仗助君には相続権がありますので」

 

家に上がった承太郎は良平と仗助の相続権について話し合っていた。良平もクソジジイもといジョセフはともかく、一緒に来たスージーQや承太郎に怒る理由はなかったので穏やかな雰囲気で会話が続いていた。

 

「……そういうわけで儂は機転を利かせてサンタナを罠に嵌め、柱の男との最初の戦いを制したわけじゃ!そしてこれが儂と柱の男達との激闘の始まりだったのじゃッ!」

「グ、グレート……!グレートだぜ爺さん!若い頃は本当にグレートだったんだな!」

「ハッハッハ、もっと褒めていいんじゃぞ!でも爺さんではなくパパと呼んでほしいのじゃが」

「え、うーーーん。でも爺さんはじいちゃんよりずっと年上だしパパと呼ぶのはなんか抵抗あるなぁ~ッ」

「う、うーむ。確かにパパ呼びはキツイかのぉ」

 

「ジョセフったら若い頃からスゴかったのね!素敵ッ!」

「あら、朋子さんはジョセフのホラ話を信じるのかしら?」

「ええ!ジョセフがつまらない嘘をつくわけがないです!だって私が惚れた人ですから!」

「あらあら、ウフフ。迷いのない目で断言するわねぇ~……気に入ったわ。特別に若い頃のジョセフの写真を見せてあげましょう」

「まあッ、ありがとうございます!」

 

承太郎達が真面目な話をしている間ジョセフ達は呑気な様子で雑談をしていた。自分の武勇伝を目を輝かせて聞き入る仗助に満足しつつジョセフは話を続ける。そしてスージーQはジョセフの若い頃の写真を見せつつ当時の話をしており、それを目を輝かせて聞く朋子がいたのであった。

 

「あっという間に打ち解けましたな。仗助はともかく朋子が御夫人と楽しそうに会話しているのは驚きました」

「ええ、私も予想外です。でもギスギスしているよりは遥かにいいと思います」

「そうですな。まあ、うん、本人達が納得しているのなら私としても構いませんが、あの調子に乗ってる男を一発だけ殴ってもよろしいでしょうか?」

「……一発といわず好きなだけ殴ってください。クソジジイにはいい薬になるでしょう」

 

 

 

その後も話し合った承太郎達は今日はここまでにしておこうと話を終える事にした。

 

「ではまた後日お会いしましょう。私達は暫く杜王町に滞在しますのでよろしくお願いします」

「いつでも歓迎しますよ。今度は貴方のお母様が来るという事ですが」

「ええ、母が年の離れた弟に会いたがっていまして……ご迷惑をおかけします」

 

後日空条ホリィを連れて来訪する事を伝えた承太郎は溜息をつきつつジョセフ達を連れて暫く滞在する事になる杜王グランドホテルに向かう事にした。

 

「いい人達だったわね~、朋子さんも素敵な女性だったし気に入ったわ。仗助君はとてもいい子だしホリィも気に入るでしょうね」

「イテテ、腰の入ったいいパンチじゃったわい。これは当分腫れ上がりそうじゃなぁ」

「それは自業自得よジョセフ。一発だけですんでよかったと思いなさい」

「承太郎、スージーが冷たいんじゃが」

「自業自得だクソジジイ」

 

承太郎達は車でホテルに向かいつつ今後の事について話していた。

 

「ホリィは3日後に杜王町に来るそうね。あの子が到着したらまた東方家を訪れましょう」

「うむ、儂も仗助君に武勇伝の続きを話したいしのぅ!エシディシやワムウとの激戦は仗助君も興奮するはずじゃ」

「やれやれ、呑気だな二人とも」

 

東方家の人達をすっかり気に入ったジョセフ達を見た承太郎は思わず苦笑するのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●東方 朋子

→恋人と再会できてハッピーハッピーな様子を見せる。昔より年老いたジョセフもダンディで素敵だと見惚れていた。ジョセフの妻であるスージーQとは年の離れた友人関係となったようだ。

 

 

 

●東方 仗助

→ウキウキな母親を見てよかったねと思う息子の鑑。ジョセフのグレートな武勇伝を聞いて興奮していた。ジョセフの事は父親だと認めたが、パパ呼びは抵抗がある模様。祖父の良平よりずっと年上だし仕方ないね。

 

 その後年の離れた姉と出会いとても可愛がられていたようだ。

 

 

 

●東方 良平

→ジョセフの事は一発殴って許す事にした。スージーQを見て素晴らしい御夫人だと感心しつつも、こんな素晴らしい人がいるのになんで不倫したんだあのクソジジイと呆れていた。

 

 承太郎が生まれたばかりの娘と引き離されてジョセフの尻拭いの為に杜王町に来たと聞いて深く同情していた。

 

 

 

●ジョセフ・ジョースター

→原作四部よりも若々しく元気一杯な爺さん。自分のせいで周囲に迷惑をかけて申し訳なく思っている。仗助の事は可愛くて仕方ない模様。

 

 朋子とスージーQが上手くやっているのを見てホッとしつつ、良平のパンチを黙って受け入れていた。

 

 

 

●スージーQ

→旦那の不倫相手である朋子を見定める為に杜王町に来たが、朋子がジョセフの事を心から愛しているのがわかり許す事にした。そして年の離れた友人関係となり仲良くなった人間の鑑である。悪いのは既婚者なのに若い女性に手を出して避妊もしなかったジョセフであると思っているようだ。

 

 

 

●承太郎

→朋子とスージーQが上手くやっているのを見てホッとするが、仗助に武勇伝を聞かせて少し調子に乗っているクソジジイを見てイラっとしていた。ちなみに杜王町に暫く滞在した後「矢」の捜索の為にポルナレフと一緒にイタリアに向かう事になった。




趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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