「おいポルナレフ、宮本武蔵って知ってるか?日本の伝説的な剣豪で俺の憧れの存在でな、DIO様……じゃなくてDIOよりも尊敬しているスゴイ男なんだぜ」
「馬鹿にしてるのか?宮本武蔵なら俺でも知ってるぞ。それがどうした?」
「宮本武蔵は数多くの強敵と戦い勝ってきた。様々な得物を持った達人たちを臨機応変な戦い方で打ち破ったスゲー奴なんだ。俺も宮本武蔵をリスペクトして色々と考えながら工夫して戦う事にしているんだぜ」
「なるほど、それで?」
「つまりお前のシルバーチャリオッツの間合いの外からチクチク攻撃を続ければ必ず勝てるってわけよ!どうだスゲーだろう!」
「ははーん?お前やっぱ馬鹿だな?」
「……みんなそう言うんだよなぁ。俺も頭がよくない自覚はあるけど傷つくぜ」
自信満々な表情で情けない事を言う親衛隊員にポルナレフは思わず呆れてしまう。二人が呑気に会話している間もスタンドで激しい打ち合いを続けているが両者ともに涼しい顔をしており、二人の卓越した技量の高さが伺えた。
「宮本武蔵がそんな小賢しい事するわけないだろうに」
「はぁ?お前巌流島の決闘知らねーのか?宮本武蔵が佐々木小次郎をブチ倒した伝説の戦いを……佐々木小次郎は物干し竿というクソ長い刀を持っていたが、宮本武蔵はそれより長い棒で佐々木小次郎の頭をかち割ってぶっ殺したらしいじゃねーか。つまり間合いの外から攻撃するってのはあの大剣豪も認めた立派な戦術なんだぜッ!」
「いやそれ違うだろ……思考が単純すぎるぞ」
ポルナレフは親衛隊員の思考に呆れつつも難しい顔を浮かべる。
(奴の戯言は聞き流すとして……厄介な野郎だ。奴のスタンドの射程距離はチャリオッツよりも長い。そして絶妙な距離を保ちつつチャリオッツの間合いの外から攻撃を続けてきている。攻撃速度はチャリオッツの方が僅かに上のようだが、奴もそれを理解して間合いを取っているから剣が届かない)
決め手がない事にポルナレフは少し苛立っていた。そして親衛隊員の男もポルナレフの力量が自分より上だと悟り溜息をつく。
「俺馬鹿だけどさぁ、スタンドについては結構自信があったんだぜ?大剣豪になりたくてガキの頃からスタンドの特訓をしてきたし正面からの戦いなら必ず勝てる自信があったんだがなぁ~~~ッ。自信なくしそうだぜ」
「謙遜しなくていい、お前は強い奴だ。承太郎のスタープラチナともやり合えると保証するさ」
「いやスタープラチナって時間を停められるんだろ?真っ向勝負じゃ勝ち目ゼロじゃねーか……………俺思うんだけどさ、時間停止能力ってズルくねぇか?」
「それは俺も同意する。DIOのスタンドも時間停止能力だったが、奴がその気になっていれば俺は簡単に殺されていただろうな」
「だよなぁ!」
どこか気の抜けた会話を続けていた二人であったが、最終的にポルナレフは本気を出して親衛隊員を倒す事を決めた。
「さて、お喋りはここまでだ。お前の強さに敬意を表してチャリオッツの本来のスピードをお見せしよう!」
「ッ」
シルバーチャリオッツが甲冑をキャストオフして身軽になり、さらに攻撃速度を上げる。そしてポルナレフは前進して距離を詰める事にした。親衛隊員は必死に攻撃を捌くが焦りの表情を浮かべる。
(クソッ、捌き切るのに精一杯とは!近づかれたら終わりだ!だが逃げるわけにはいかねーし距離を保ち続けるしかねぇッ!……誰でもいいから早く空条承太郎を始末してくれよォ~~~ッ!)
仲間が空条承太郎を始末して応援に来てくれるだろうと信じて親衛隊員は必死に粘るのであった。
「君はヴィネガー・ドッピオだな?」
「ひ、ひいぃ……」
同じ頃、自分の背後にいる空条承太郎に対してどう切り抜けようか
(し、しまった……!目を離した一瞬の隙に背後に立たれるとはッ!?これが負け犬共が言っていた空条承太郎のスタンドの時間停止能力なのか!なんと理不尽な能力だッ!それに隠れていた私の存在を把握していたとは!)
「ヴィネガー・ドッピオ、パッショーネの連絡係。組織のボス直属の部下として活動しているようだが、組織の連絡係が独りでのこのこ現れるとは不用心じゃないか?」
「あ、あわわ」
「……君の怯えている表情は演技には見えない。だからこそ君がここにいるのは不自然だ。非力な事を自覚しているのなら気配を殺して私に近づく理由はない。捨て駒として前に出たとしてもおかしい。ボス直属の部下である君が命を捨てる必要はないはずだ」
「ッ」
「君は、いや、お前は俺を殺せる手段があるから近づいてきたんだ。「矢」を取り戻す為にな。パッショーネのボスは決して姿を見せず組織の構成員や幹部もボスの正体を知らないという。だが直属の部下であるお前なら何か知っているかもしれないな」
「し、知らないですぅ~~~ッ!ボスの正体は僕も知りませぇん!それに僕はたとえ死んでもボスを裏切らないッ!」
「そうか、知らないのか。大した忠誠心だ……………これは俺の根拠のない推測だが、組織のボスは俺の目の前にいるのかもしれない。お前を無力化し一緒にイタリアを脱出してもいいだろう。話は財団の拠点でゆっくり聞かせてもらおうか」
(マ、マズイ……本当にマズイッ!ドッピオと交代する余裕はない!何か、何か打開策はないのかッ!?何か時間を稼ぐ方法はないのか!)
承太郎の推理を聞いていた
「とりあえず無力化はしておこう。スタープラチナ」
「う、うぎゃああぁ~~~ッ!?」
スタープラチナによって一瞬で両腕を折られた
「スティッキィ・フィンガーズ!」
後方で待機していた新入りの少年……ブチャラティが助けに入ったのだ。だがブチャラティの襲撃を予測していた承太郎は慌てる事なくスタープラチナで迎撃する。あっさりとスティッキィ・フィンガーズの腕を掴んだスタープラチナは油断せずブチャラティを観察する。
「若いな、勇敢だが無謀な真似はやめるべきだ。その若さでギャングになったのは事情があるのだろうが、敵として向かって来るのなら俺も容赦する事は出来ないぞ」
「クッ……」
「ブチャラティ~~~ッ!お前は後ろで待機しろって言っただろうがぁ!ポルナレフはヤベーしもうこれ以上は時間稼ぎできねぇ……うおおおおお死にやがれ承太郎ォッ!」
ブチャラティのピンチを見た親衛隊員は自棄になりつつも承太郎に向かって特攻する。そして相手が凄腕のスタンド使いだと認めた承太郎は全力で迎撃する事にした。
「スタープラチナ・ザ・ワールド……後輩を心配するのはわかるが容赦はしない。再起不能になってもらう」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァーーーッッ!!」
「そして時は動き出す」
時間を停止させスタープラチナのラッシュを叩き込まれた親衛隊員はフルボッコにされて吹き飛ばされたのであった。
「キング・クリムゾン……よくやったぞ二人とも。俺の為に時間を稼いでくれて感謝する。こうしてスタンドを使う隙ができたのだからな。ブチャラティが開けたジッパーから下水道に潜り込んで逃げるとしよう……「矢」を奪われたが死ぬよりはマシだと考えよう。空条承太郎め、この屈辱は絶対に忘れないぞ……!」
「しまった、逃げられたか」
「すまない承太郎、俺のせいでヴィネガー・ドッピオって奴を取り逃がしてしまうなんて」
「謝る必要はない。あの凄腕のスタンド使いと戦って無事でよかった」
承太郎はポルナレフが無事な事に安堵しつつ周囲を見回す。ボコボコにされて瀕死になった親衛隊員の男にブチャラティが駆け寄っていた。
「大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫に見えるのかぁ……?」
親衛隊員は息も絶え絶えな様子であったが意識はあり命に別状はなさそうであった。ブチャラティは親衛隊員を連れてスティッキィ・フィンガーズでジッパーを開けて下水道に逃げ込む事にした。
「やれやれ、スタープラチナのラッシュを受けて意識があるとは頑丈な奴だったな」
「あの少年のスタンドはジッパーを付ける能力なのか。中々便利な能力みたいだ。追わないのか?」
「これ以上はやめておこう。時間を掛けると新手のスタンド使いが来るかもしれない。財団が寄越してくれた船は10分後に到着するそうだから、それに乗って脱出するぞ」
まずは脱出する事を最優先にした承太郎達はスピードワゴン財団の船に乗ってイタリアを脱出する事にした。みるみるうちに遠ざかっていくイタリアを見たポルナレフは一息ついてリラックスする。
「ようやく脱出できたな。まったく濃密なイタリア旅行だったぜ。何はともあれ無事に「矢」を確保できてよかったな」
「ああ、そうだな。「矢」もちゃんとここにある。だが……やられたな」
「えっ?」
そして承太郎はほんの少しだけ先が欠けた「矢」を見て溜息をつくのであった。
「すみません、命令に従わず前に出てしまって……俺は殆ど何もできなかった」
「いや謙遜するなブチャラティ。お前スゲーよ、俺が見込んだだけの事はあるぜ」
「そうだよぉ~~~ッ!君のお陰で欠片とはいえ「矢」を取り戻す事ができたんだ!ボスもブチャラティ君の活躍にはとても満足されているよッ!」
翌日になって病院で治療を受けている親衛隊員とドッピオは明るい表情で雑談していた。ブチャラティが一瞬の隙を突いて「矢」の欠片を回収していたからだ。ブチャラティから「矢」の欠片を受け取った
(「矢」の欠片があるならスタンド使いを生み出す事ができる。運はまだこの帝王に味方している。このブチャラティという小僧は優秀だしとても気が利くようだ。いずれ成長したら幹部にしてもいいだろうな。親衛隊員の男もまだ使えるし治療が完了したら敵対組織の迎撃に向かわせよう)
(しかしたった二人にここまで被害を受けるとは……多くのスタンド使いが再起不能になってしまった。戦力の回復は急務だ。しかしその隙を敵対するギャング達が見逃すはずがない。今後暫くの間は苦しい時期を迎えるだろうな……………そして最大の問題は私の正体を勘づかれた事だ。証拠はないが怪しまれているだろう。ドッピオを気軽に行動させるわけにはいかなくなった)
色々と問題が山積みなのを理解した
<人物紹介>
●親衛隊員
→ポルナレフとの一騎打ちで時間を稼ぐなど健闘していたが、時間停止からのスタープラチナのラッシュをくらって大怪我をする。でも0.9ポルナレフなので非常に頑丈であり一ヶ月程入院したら完全復活した模様。その後はパッショーネと敵対するギャング組織の襲撃を撃退し続けた。ポルナレフの強さを知っていつか勝ってやると特訓に励んでいるようだ。
DIO以上に宮本武蔵をリスペクトしており、宮本武蔵の伝記や五輪の書を読んで自分なりに解釈して幼少期から鍛えてきた。本気になったポルナレフ相手に防戦一方であったが相手が悪かった。
ドッピオの正体についてはどうでもいいし興味もない。頭億泰なので何も疑ってないのだ。
●親衛隊員のスタンド
名前:ドン・キホーテ
タイプ:近距離パワー型
ステータス:【破壊力 - C / スピード - A / 射程距離 - B(半径5メートル) / 持続力 - A / 精密動作性 - B / 成長性 - D】
→中世の騎士が使っていた馬上槍のような長大な槍を持つ騎士のスタンド。槍の貫通力は鋼鉄も容易く貫く事ができる。シンプルな能力だが中々侮れないスタンド。
シルバーチャリオッツやスタープラチナと渡り合える実力があるが、チャリオッツが本気になれば押されるしスタープラチナが時を停めたらどうしようもないのでそこそこ強いどまりのスタンドである。
●ブチャラティ
→今回のMVP。承太郎が親衛隊員に気を取られている隙を突いて「矢」が入った鞄にジッパーを付けて欠片を拝借していた。
●ヴィネガー・ドッピオ(ディアボロ)
→空条承太郎の理不尽な強さを体験し戦慄していた。不意打ちを仕掛けようとしたがピンチに陥り考えが甘かったと痛感する。そして今後は「矢」の欠片については自分が厳重に管理し、財団に睨まれないよう慎重にスタンド使いを増やしつつ麻薬を無暗にバラ撒くのは自重する事にした。
●パッショーネ
→承太郎達が暴れたせいで多くのスタンド使いが再起不能になり、それを好機と見た敵対組織のギャング達が大攻勢に出た。パッショーネは何とか迎撃に成功するも原作よりも支配地域を3割程減らしてしまうのであった。そして麻薬をバラ撒くのを自重したので資金調達も難しく原作よりも少し貧乏になってしまった。
●ポルナレフ
→親衛隊員の強さを認めつつ本気を出して圧倒する。本気になったポルナレフに対して正面から戦って勝てるスタンド使いなど殆どいないのだ。
イタリアを脱出した後は、故郷のフランスで暫く休息する事にしたようだ。いずれ杜王町にまた来るかもしれない。
●空条 承太郎
→ギャングの少年にしてやられた事を理解し苦い顔をしていた。三部承太郎だったら気付いていただろう。とりあえず家に帰って娘に会う事にした。暫くの間は家族とゆっくり過ごすだろう。ジョセフの付き添いで杜王町にまた来るかもしれないが大丈夫だ、問題ない。
趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。