「ピンクダークの少年?」
「そうだど!ジャンプで新しく連載開始された漫画なんだど!」
1995年、岸辺露伴が漫画家としてデビューし週刊少年ジャンプにて新連載が始まった。重ちーこと矢安宮重清は連載が始まった漫画「ピンクダークの少年」の素晴らしさを仲の良い友人である吉良吉美へ熱心に説明していた。
「へぇ、綺麗な絵だわ。それにお話の構成も上手だし面白いわね」
「そうなんだど!連載は始まったばかりだけどオラはこの漫画のファンになっちゃったど。ピンクダークの少年はジャンプの看板作品になるとオラは確信しているんだど!」
「フフッ、確かにそうかもね」
新連載の漫画について熱心に話す重ちーを吉美は微笑ましくみており、傍から見れば二人はとても仲の良いカップルであった。
「おい、またあの二人いちゃついているぜ」
「いいなぁ、あんなかわいい子が彼女だなんて重ちーが羨ましいよ」
「重ちーに彼女がいて、俺にはいないだなんて世の中理不尽だよなぁ……」
「あの二人ったら相変わらず仲良しね」
「本当仲が良いわよね〜。幼馴染とはいえあの仲の良さはどう考えても付き合っているでしょ」
「あーあ、私も仲の良い彼氏が欲しいわぁ。顔が良くて性格のいい男の子が何処かにいないかしら?」
二人の様子を見ていたクラスメイト達が好き勝手に話していた。正統派美少女の吉美とユニークな容姿をした重ちーの個性的な組み合わせは学校でも目立っており、周囲は二人の事をカップルだと判断していたのだ。
「吉美は重ちーの何処がいいのかしら?」
「うーん、わからないわね。本人に聞いてみる?」
「あ、それいいかも。お昼休みの時に聞いてみましょ」
二人の事が気になったクラスメイトの女子達は、吉美は重ちーの何が気に入ったのか興味を持ち本人に聞いてみる事にしたのであった。
「重ちー君の何処がいいかって?うーーーん、そうね……かわいい所かしら?」
「「「えぇ……?」」」
そして昼休みで吉美に重ちーの良さを尋ねた女子達は、吉美の変わった感性を把握し少しだけ困惑していた。
「かわ……いい……?」
「前から思ってたけど吉美って、うん、ちょっと変わってるよね」
「いや、ちょっとなのかしらこれ……」
「みんな酷いわ」
女子達から「お前マジかよ」という目で見られた吉美は少しムッとした顔をする。
「あ、ごめん吉美。馬鹿にするつもりはなかったの」
「でも、うん、重ちーをかわいいと思うのはちょっと」
「客観的に見て変わってるわよ……」
「そ、そうかしら?」
自分の感性がちょっと変わっていると女子達から指摘された吉美は困惑しつつも重ちーの良さを説明する事にした。
「重ちー君はちょっと変わっているけど、とても素直で優しい人よ?」
「ちょっと……?」
「いや、ちょっとどころではないでしょ」
「このぶどうヶ丘小学校でも有数の変わり者だと思うわ」
「た、確かにそうかもしれないけど。お金にガメつい所があるけど、カッコいい所はちゃんとあるわ」
「カッコいい……?何処が?」
「見てて面白いってのはわかるけど、重ちーがカッコいいというのはわからないわよ」
「痘痕も笑窪ってやつなのかしら?」
「重ちー君はやる時はちゃんとやれる人よ。小学二年生の時だって私を庇ってくれたし、それに三年生の時虫採りに行った時も……」
「なんで私達惚気話を聞かされてるのかしら」
「重ちーの良さを尋ねたせいでしょ」
「ああ、自業自得かぁ……………まあ、吉美が重ちーの事を本気で気に入っているのはわかったわ」
「みんな酷いわ。最終的に生暖かい目で見てくるなんて。「お幸せに」って何よ。私と重ちー君はそういう関係じゃないのに」
昼休みが終わり女子達から解放された吉美は少しムカついていた。
(でもそうね……客観的に見れば私達付き合っているように見えるのね)
吉美は重ちーとのこれまでの出来事を思い返す。最初はクラスの隣の席で面白い子がいると気に入って友人になったが、今では重ちーは個性的ながらもカッコいい部分がある事を理解していた。そして吉美は重ちーを彼氏とする事に満更でもない様子を見せる。
(ああそうか、私ったら重ちー君の事を好いているのね……いっそ本当に付き合ってみようかしら?今日の帰りに聞いてみましょうか)
自分の想いを自覚した吉美はものは試しとしてカップルとして付き合ってみようと決意するのであった。
「ねえ重ちー君。大事なお話があるんだけどいいかしら?ええとね、その……私達小学一年生の頃から仲良くしてるけど、いっその事付き合ってみない?」
「……うん、ありがとう。これからもよろしくね。フフッ、鼻水が垂れてるわよ。嬉しいのはわかるし私も満更じゃないけど落ち着いて」
「じゃあまた明日ね重ちー君。貸してもらったジャンプ読んでみる事にするわ」
「というわけで吉美ちゃんは重ちー君と付き合う事にしたようじゃな」
「スタンド攻撃か?誰の仕業か知らないが私の娘に干渉するとは後悔させてやるぞ」
「お、落ち着け吉影。スタンド攻撃ではないぞい」
その後二人の様子を見守っていた吉廣から報告を聞いた吉影は絶句しつつスタンド攻撃を受けているのかと困惑する。
「じゃあ風邪で体調を崩しているのか?大変だ、明日の学校は休ませてゆっくり養生させないと」
「落ち着いてくれ、吉美ちゃんは健康そのものじゃよ。それに吉影の生活習慣を真似しているあの子が風邪を引くわけないじゃろ」
「いやだっておかしいだろう。吉美があの珍獣と付き合うだなんて!」
「気持ちはスゴくわかるが落ち着け吉影!吉美ちゃんも満更ではなさそうだしそっと見守るべきじゃ」
「だが親父……到底納得できないぞ」
吉影は重ちーが愛娘の彼氏となる事に何とも言えない表情を浮かべていた。
「いや、私も重清君の事はよく知っているよ?矢安宮家の人達とは家族ぐるみの付き合いだし、重清君の両親はとてもまともで良識のある人達だ。それに重清君はかなり変わっているがやる時はやれる男だという事も知っている」
「うむ」
「でも、そうだな、うん……………娘の彼氏にしたいかというと、その、なあ?」
「まあそうじゃな」
吉影の言葉に吉廣は頷いて同意する。娘の彼氏と認めたくない吉影の気持ちはとても理解できたからだ。
「いやね?重清君が悪い子だと言っているわけじゃないが、吉美には、もっと、こう、いい人がいるんじゃないかなと私は思うんだよ」
「わかる、よくわかるぞ吉影。まあ吉美ちゃんもお試しで付き合う事にしたようだし、そこまで心配しなくてもよいじゃろ。儂等はとりあえず見守っていようじゃないか」
吉影の愚痴に同意しつつ吉廣は苦笑して息子を宥める事にしたのであった。
「いっそあの珍獣を始末して……」
「落ち着くんじゃ吉影。スピードワゴン財団にマークされているのを忘れたのか?重清君を始末したら財団が確実に疑ってくるだろう。お前の平穏な生活が終わるのじゃぞ?」
「ぬっ、ぬうぅ」
<人物紹介>
●吉良 吉美
→親譲りの整った顔立ちをした三つ編みヘアーの美少女に成長している。クラスメイト女子達との会話で重ちーへの好意を自覚し「じゃあ一度付き合ってみようかな」と決断した行動力の化身。
周囲からはかわいいけどちょっと変わっている子だと思われている。まあ殺人が趣味のブタ野郎な父親に比べればまともで良識のあるいい子だから大丈夫だ、問題ない。
ちなみに学校の成績は一年生の時からずっとトップクラスである。頭の良さは父親譲りなのだ。
●重ちー(矢安宮重清)
→時折発揮する黄金の精神で好感度を稼いでいた。吉美からの提案に二つ返事で答えてカップルとなる。その後ウキウキでパパとママに報告したらとても喜ばれた模様。
ジャンプで連載開始した「ピンクダークの少年」のファンになる。吉美と一緒に読んで時々ファンレターを送っているようだ。
成績については吉美に勉強を教えてもらったり本人が頑張った結果、中の上レベルで安定している。
●クラスメイト達
→吉美と重ちーがカップルになったのを知り祝福しつつも、「やっぱ吉美って変わってるなあ」と思ったとか。
●吉良 吉影
→愛娘が珍獣と付き合う事になったと聞いて、娘が風邪を引いたかスタンド攻撃を受けていると疑っていた。まあ重ちーが娘の彼氏になるのは殺人鬼じゃなくても困惑するだろうから仕方ないね。
一時は重ちーを始末しようかと思っていたが、吉廣の説得と自分がスピードワゴン財団にマークされているのを思い出し落ち着いた。そして最終的にとても渋い顔しつつ吉美達を見守る事にしたのであった。
ちなみに
●吉良 吉廣
→孫娘の成長を喜びつつ重ちーとの付き合いを認め見守る事にした祖父の鑑。「麻疹みたいなものじゃし、吉美ちゃんもそのうち重清君に幻滅して別れるじゃろ」と呑気に考えている。
趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。