吉良親子は静かに暮らしている   作:すも

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息抜きを兼ねて投稿しました。更新は不定期です。


杜王町の猫達を調査しよう②

「なるほど、地元住民も少しおかしいと感じているのか」

「そうっスね、数年前に比べて猫の数が随分増えたっスよ。じいちゃんも町の見回りでよく見かけるようになったとぼやいてたし」

 

杜王町で増えている猫達の調査を始めた承太郎は、地元に住む仗助の言葉を聞いて考え込む。地元住民から見ても猫達の数が増えているという事実に承太郎は苦い顔を浮かべる。

 

「数年前か、件の黒猫は1991年から吉良吉影の家で飼われている。そしてその後「矢」によってスタンド使いに覚醒した時期とほぼ一致するな……これは本当にマズイかもしれない」

「やはり承太郎も件の黒猫がこの町のボス猫だと思っておるのか?」

「ああ、スタンド使いに他の普通の猫達が対抗できるわけがない。イギーのように杜王町に住む猫達の王として君臨しているだろうな」

 

ジョセフの言葉に承太郎は同意し、件の黒猫……クロミが杜王町の猫達のボスだと確信する。

 

「あの、イギーって誰の事なんスか?」

「ん?ああ!仗助君は知らないのも当然じゃな。イギーは儂等と共にエジプトを旅した仲間で、犬のスタンド使いだったのじゃ」

「へぇ~ッ、犬のスタンド使いかぁ。猫がスタンド使いになれるんだから犬がスタンド使いに覚醒してもおかしくはないのか」

「犬や猫だけじゃない。オランウータンのスタンド使いもいたぞ……オランウータンの癖に人間のグラビア写真を見ていたエロ猿だったがな」

「おおっ、そういえばおったのおそんな奴」

 

イギーの事を知らない仗助の質問にジョセフと承太郎は過去の出来事を振り返りつつ答える事にした。

 

「イギーはのぉ、生意気で性質の悪い奴じゃったよ。承太郎のような例外を除いて人間の事を舐め腐っていたし人の髪の毛を毟りながら屁をする癖があったのじゃ」

「えっ」

「まあふてぶてしい奴だったな。コーヒーガムが好物でアヴドゥルから強奪して貪っていたのを覚えている」

「その、随分と個性的な犬っスね」

 

話を聞いた仗助は若干引きつつ感想を言う……まあ客観的に見てイギーは生意気でふてぶてしくて厄介な犬だったというのは事実であり、仗助が引くのも無理はないだろう。

 

「ああいや、悪い所ばかりではないぞ。イギーは最初無理矢理連れてこられて嫌々ながらも同行していたが、最終的に儂等の仲間として命を懸けて戦ってくれたのじゃ」

「ああ、捻くれていたが誇り高く立派な奴だった」

「ふーん、爺さん達の仲間だけあってグレートな犬だったんスねぇ~」

 

だが承太郎達が懐かしみつつイギーの素晴らしさを語るのを見て、仗助はイギーの事をグレートな犬だと認識を改める。そして過去話を終えた承太郎達は調査を再開するのであった。

 

「さて、過去話もここまでにして調査を再開しよう」

「うむ、そうじゃな。イギーの事はまた後で話すとしようかの」

「そうっスね。この町にいる猫達を調査しないと」

 

 

 

 

 

「じゃあ行ってきます、はぁ~~~ッ……なにがちょっとした買い物なんだ。トイレットペーパーにゴミ袋に化粧品まで……母さんも姉さんも図々しいよ。なんだよこのながぁ~~い買い物リストは」

「ニャッ、ニャ」

「ありがとうエリザベス、慰めてくれるなんて君は優しいなぁ。じゃあママチャリを借りて買い出しに行こうか」

「ニャ」

「え、自転車の籠に入ってきたけど、もしかしてついて来るつもりなの?まあいいけど、危ないからジッとしててね」

「ニャッ!」

 

 

 

 

 

「でも吉良さん家のクロミがスタンド使いらしいですけど、クロミの子供達がスタンド使いになる可能性はどれくらいありそうなんスか?」

「そうじゃな、スピードワゴン財団の調査ではスタンド使いの人間の子供でも、生まれながらのスタンド使いとなる確率は低いようじゃ。人間がそうなら猫にも適応されるじゃろ」

「覚醒していなくても素質があって「矢」を使えばスタンド使いになれる個体も多いだろう。だがこの杜王町の「矢」は既に回収しているからその心配をする必要がないのは幸いだったな」

 

その後承太郎達は杜王町を歩きながら調査を続けていたが、呑気な様子の仗助とは対照的に承太郎とジョセフは渋い顔で考え込んでいた。

 

「じゃが承太郎、そのクロミという奴がどれだけ子供を作っているか不明じゃ。いかに確率が低いといっても試行回数が多ければ」

「わかっている。楽観的な考えはできないな」

 

承太郎達の表情を見た仗助は、事態は自分が考えていたより悪いのかもしれないと不安を覚える。

 

「もしかして結構マズイ状況なんスか?もう既にクロミ以外にもスタンド使いの猫が生まれているとか」

「うーむ、そんな事はないと言ってやりたいが、残念じゃがもう既におるじゃろうなぁ」

「クロミは猫達のボスとして君臨していると考えれば、相手となる雌猫に困る事はないだろう。既に複数のスタンド使いの猫がいると考えた方がいい」

「ええっ!?」

 

仗助は思わず動揺するがジョセフは笑って落ち着かせる。

 

「心配するな仗助、仮にスタンド使いが襲撃してきても儂と承太郎がいれば恐れるに足らずじゃ!猫なんかに負ける程儂等は弱くないわい」

「調子に乗るなジジイ、油断していると足元を掬われるぞ……仗助君、今のうちに動物のスタンド使いを見分ける方法を教えておく」

 

ジョセフを窘めた承太郎は、仗助に動物のスタンド使いをどうやって見分けるか説明する事にした。

 

 

 

「スタンド使いとの戦いでまず一番重要なのは「注意深く観察して行動しろ」だ。スタンド使いになった動物は他の個体に比べて知能が劇的に向上している場合が多い。それに雰囲気や目を見ればすぐ違和感に気付けるだろう」

「知性と、雰囲気と、目っスか?」

「ああ、実際に相対すれば仗助君もすぐ気付けるだろう。彼らから発せられる尋常ならざる雰囲気にな……「自分は他の無力な同族達とは違う」という自信に満ち溢れた態度を取り、人間を見下す奴も多いな」

「イギーがそうじゃったのぉ。ポルナレフがよく酷い目に遭っておったわい」

 

承太郎の言葉にジョセフも同意する。

 

「昔の諺で「目は口ほどに物を言う」とあるが、彼等の目は高い知性を宿している事が多い。人間並、それも並の人間より賢いかもしれない知性を感じる目だ。相手の目を見て普通の動物ならありえない高い知性を持っていると感じたら即座に警戒態勢を取るんだ。スタンド攻撃を受けてもすぐ対応できるようにな」

「なるほど、わかったっスよ。何か違和感がないか注意深く観察して警戒しろって事っスね!」

「その通りじゃ!さすが儂の息子なだけあって理解が早いのぉ〜〜〜ッ!」

「まあその理解でいいだろう。それと甘やかすなジジイ」

 

仗助を手放しで褒めるジョセフに呆れつつも、承太郎は引き続き油断せず周囲を観察し調査を続けるのであった。

 

 

 

「……ホント猫が多いっスね。それと何と言うか、猫達に見られている気がするんスけど俺の気のせいですかね?」

「いや、気のせいじゃないぞい。尾行している奴がおるし、他の猫達も遠くから観察しているようじゃ」

「やれやれ」

 

暫く調査していた承太郎達は、猫達が自分達を注意深く観察している事を察していた。

 

「仗助君はともかく、儂と承太郎が部外者だという事は猫達も理解しておるようじゃ。まあ儂等は目立つからのぉ~」

「爺さんと承太郎さんってデカいっスからね。二メートル近い大男の二人組なんてスタンド使いじゃなくても気になるよなぁ〜」

 

図体がデカく目立つ承太郎とジョセフは猫達だけでなく杜王町に住む人達からも注目されていた。興味深い様子で遠巻きに見てくる住民達を確認した承太郎は溜息をつく。

 

「はぁ、俺達は見世物じゃないんだがな……暫く杜王町で噂にされそうだな」

「儂の不倫の件とかバレないといいんじゃが」

「あ、それはもう随分前に噂になってたっス。俺が不動産王の隠し子だっていうのは周囲の人達にバレてますよ」

「えっ、マジで?」

「本当っス。暫く学校で揶揄われてたっスよ」

「オーマイガッ!?」

「落ち着けジジイ。この静かな町で派手な出来事があれば噂になるのは当然だ……ん?」

 

仗助の言葉を聞いたジョセフは思わずショックを受け頭を抱えていた。そんなジョセフを見て呆れていた承太郎は、進行方向からやって来る自転車に目を向ける。

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、大きな人達だなぁ。二メートル近い大男とお爺さんなんて……観光客かな?」

「ニャッ!?フーッ、シャーッ!!」

「えっ?ど、どうしたのエリザベス?な、なんだか怖いよ?」

 

 

 

 

「……………ジジイ、仗助君を後ろに下がらせろ。恐らくあの黒猫はスタンド使いだ。スタープラチナ

「なあ爺さん。あの自転車の籠に入っている黒猫さ、深い知性と尋常じゃない雰囲気を感じるんスけど。というか承太郎さんのスタープラチナを見てないか?」

「オーマイガッ、承太郎の予想が的中してしまったわい!仗助君は儂の後ろに来るんじゃッ!」

 

自転車の籠にいる黒猫がスタンド使いだと確信した承太郎達は臨戦態勢を取るのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●空条 承太郎

→自分の予想が的中していたのを確認し溜息をつく。そしてスタープラチナを出して臨戦態勢を取るのであった。

 

 全身白づくめの二メートル近い大男なので杜王町ではとても目立つようだ。ちなみにジョセフもスゴく目立っており近隣住民は二人の事を興味深い様子で見ていた。

 

 

 

●ジョセフ・ジョースター

→敵スタンド使いが現れたのに驚きつつ仗助を庇う事にした。原作三部に比べて衰えてはいるがまだまだ戦えるお爺さんである。

 

 自分が杜王町で有名になっていたのを知りショックを受けていたようだ。でも金持ちの外国人の爺さんが高級車に乗って杜王町の家を訪問するのはスゴく目立つので噂になるのは仕方ないね。

 

 

 

●東方 仗助

→承太郎からレクチャーを受けて感心していたら猫のスタンド使いが現れて驚愕する。クレイジー・ダイヤモンドはまだ未熟なので戦闘になれば厳しい戦いを強いられるだろうが、承太郎とジョセフがいるので大丈夫だ、問題ない。

 

 

 

●広瀬 康一

→買い物に行ったら何も知らずスタンドバトルに巻き込まれてしまった不幸な少年。まあエリザベスがいるから大丈夫だろう。

 

 

 

●エリザベス

→進行方向にヤバイ奴等がいると察して戦闘態勢に入った。別に戦いたくはないがお気に入りの康一君が傍にいるので戦う事を決めた飼い猫の鑑である。スタンドについては次回。

 

 

 

●杜王町の猫達

→他所者である承太郎に気付いて遠巻きに観察している。猫達から話を聞いたボス猫が現場に急行しているようだ。




趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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