「……」
「承太郎、コイツはヤバイぞ」
「ああ、言われなくてもわかってる」
こちらに近づきながら自分達を観察するクロミを見て承太郎とジョセフは冷や汗を流しつつ警戒していた。
「た、確かにグレートにヤバイ雰囲気を出してやがる。そこのエリザベスとは格が違うのがわかるっスよ」
「ニャッ!」
「ちょ、ちょっとエリザベス!袖を引っ張らないでよ!す、スゴい力で引っ張られるぅ〜〜〜ッ!?」
エリザベスとは格が違うと察した仗助が警戒する中、エリザベスはスタンドを使って康一を引っ張りつつ巻き込まれないように距離を取っていた。
「こちらを観察しているな。そしてあの自信に満ち溢れた態度は俺達を何時でも殺せると確信しているからだ。自分のスタンドに余程自信があるようだ」
「まさか、首狩り事件の犯人はあのボス猫なのか?」
「確証はないが、その可能性が高いだろう。目を見たらわかる……人を殺す事に躊躇するような性格ではなさそうだ」
「ううむ、スタンドを出すべきか?じゃがさっきのエリザベスのように警戒させてしまうかもしれん」
ジョセフがスタンドを出すか迷っている間にもクロミは着実に承太郎達へ近づいていた。クロミの目を見た承太郎は戦闘は避けられそうにないと確信する。
「マズイな、相手はやる気だ。ジジイと仗助君は離れていろ」
「うむ、任せたぞ」
「承太郎さんも気をつけて!」
ジョセフ達を下がらせた承太郎はスタープラチナを出して臨戦態勢を取った。
「そこで止まれ!こちらに戦闘の意思はない!だがそれ以上近づいてくるようなら、こちらも戦うしかない」
「……」
承太郎のスタープラチナを見たクロミは足を止めて承太郎をジッと見ていた。暫しの間考えていたクロミはやがて自分のスタンド……ブレイク・フリーを身に纏い前進を再開する。
「止まらないか、相手もスタンドを出したしやるしかないようだ」
「オラァ!」
承太郎は足元にあった石を数個程拾いスタープラチナに投げさせる。石を投げたのは牽制の為でもあったが、可能ならばクロミのスタンド能力を確認しておきたかったからだ。
「フンッ」
「……速い、スタープラチナ並のスピードがあるようだ。これは厄介だぞ」
凄まじく速い動きで石をはたき落としたクロミを見て承太郎は苦い顔をする。近距離パワー型スタンドでも最高峰の性能を誇るスタープラチナだが、そのスタープラチナと同等のスピードを持つというのは承太郎から見ても脅威であったからだ。
「猫の反応速度を考えれば、正面からのスタンド同士の殴り合いは不利だな。時を停めれば問題ないが……」
自分の切り札である時間停止能力を使えば何も問題なかったのだが、承太郎の勘が迂闊な攻撃はやめるべきだと警告していた。
(相手のスタンド能力がわからないのがマズイ。あのスタンドビジョンやスタープラチナ並のスピードを見る限り遠距離型や遠隔自動型ではない。スタンドビジョンに触れたら発動するタイプの能力か?)
冷静に観察していた承太郎は、クロミが前進を止めて飛び掛かる態勢を取ったのを見て迎え討たんとする。
「チッ、殴り合いは避けたかったが、やるしかないか」
「シャアッ!」
「オラァッ!」
飛び掛かってきたクロミに対して、まずは小手調べとしてスタープラチナで迎撃した承太郎であったが……
「……やはりそうか、触れたら発動するタイプだ」
「ニャッ」
敵スタンドと接触したスタープラチナの左腕が斬り裂かれ本体にフィードバックされた結果、左手が斬り飛ばされた承太郎は冷や汗を流すのであった。
「オーマイガッ!?承太郎の左手が!」
「承太郎さんッ!?俺のクレイジー・ダイヤモンドで!」
承太郎の左手が斬り飛ばされたのを見たジョセフは戦慄しつつも、仗助が走り寄ろうとするのを慌てて止める。
「待つんじゃ仗助君!迂闊な真似はよせッ!今近づいたらあのボス猫の間合いに入ってしまう!」
「でも左腕を治さないと!」
承太郎を心配する仗助を落ち着かせつつジョセフは必死に考え込んでいた。
(なるほどこれは厄介じゃ。スタープラチナと渡り合えるスピードの時点で脅威だが、触れたら発動するタイプのスタンド能力……近距離パワー型のスタープラチナでは相性が最悪じゃ。スタンドでの殴り合いは自殺行為じゃな。そしてそれは承太郎も理解しているはずだ)
クロミのスタンド能力を推測しつつジョセフは承太郎がこれからどう行動するか予想する。
(スタンドビジョンを攻撃しても無意味。ならば本体を狙うしかあるまい。俊敏に動き回る本体を狙うのは至難の業だが、承太郎のスタープラチナの能力を使えば簡単だ……じゃが儂の考える最悪の予想が当たっていれば承太郎では勝ち目がない)
「頼むから儂の予想が外れてくれんかのぉ〜〜〜ッ……」
冷や汗を流しながら祈るジョセフに対し、承太郎は左手を斬り飛ばされても冷静に行動していた。
「やれやれ、本体を狙うしかないようだな」
「ニャ?」
「スタープラチナ・ザ・ワールド」
承太郎は切り札である時間停止能力を使い本体のクロミを攻撃する事にした。
「スタンドビジョンが本体を覆っているが、完全に覆われているわけではない。スタンドビジョンの隙間を突いて本体を狙えば攻撃が通るはずだ。
「……これは、ヘビー過ぎるぞ」
「ニャフッ」
時間停止が解除されたが、ドロドロに溶け出した右手の指先を見た承太郎は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。それとは対照的にクロミは笑みを見せる余裕があった。
「オー、マイ、ガッ……儂の予想が当たってしまった!まさか本体にまでスタンド能力が適用されるとはッ!?攻守ともにまったく隙がないぞ!それにあのボス猫の余裕の笑み……承太郎が自分の脅威ではないと確信した笑みじゃッ!」
「ま、マズイっスよ本当に!」
承太郎の様子を見ていたジョセフ達は戦慄しつつも、どうすればいいか必死に考えていた。だがクロミが承太郎に襲い掛かろうとしているのを見て慌ててスタンドを出す事にした。
「シャアッ!」
「させるかッ!ハーミットパープル!」
「フギャッ!?」
蛇のような動きで飛び出したハーミットパープルを見て、クロミは思わず後ろへ飛び警戒態勢を取る。その隙に仗助が承太郎に駆け寄ってクレイジー・ダイヤモンドで治療していた。
「大丈夫ですか承太郎さん!」
「すまない、助かった……ジジイのスタンドを蛇と誤認して距離を取ったか。スタンド使いになって知能が向上しても猫の本能には逆らえないようだな。だが一度きりしか通用しないだろう」
承太郎はクロミがハーミットパープルを猫の天敵である蛇と誤認した事を察していたが、厳しい顔を変える事なく考え込んでいた。
「 ハーミットパープル!」
「ヴゥーッ、シャーッ!」
「……やはり二度目は効かないのぉ」
ハーミットパープルが脅威ではないと認識したクロミは、自分をコケにしたジョセフに対して怒りを見せる。そして自分の脅威ではないと判断した承太郎は一先ず放置しジョセフを狙う事にしたのであった。
「ま、マズイッ!?クロミが爺さんに狙いを定めたっスよ!間違いなくグレートに怒ってますよアイツ!」
「ああ、自分がコケにされたと感じたのだろうな。だがそれがジジイの狙いだ」
「えっ!?でも爺さんにクロミを倒す手段なんてないっスよ!?早く助けないと!」
「落ち着け仗助君、こういう時こそ冷静に考えろ……ジジイにはスタンド以外にも
「よし、承太郎から目を離したな。儂に対して怒り心頭なようじゃな。儂のスタンドが脅威ではないと考えたお前の判断は間違ってはおらんぞ。じゃが儂にはスタンド以外にも頼れる武器があるのじゃよ……コオオオオォ」
<人物紹介>
●空条 承太郎
→クロミのスタンドに戦慄しつつも冷静に観察を続ける。自分では対抗するのが難しいのでジョセフに任せる事にした。
スタンドの特訓をした結果
●ジョセフ・ジョースター
→承太郎の代わりにクロミの相手をする事になった。ハーミットパープルではクロミには決して勝てないが、
ちなみに余裕そうに見えるが内心では「頼む効いてくれよォ〜〜〜ッ!」と必死に祈っている模様。
●東方 仗助
→クロミのスタンド能力に驚愕しつつも負傷した承太郎を心配し治療していた人間の鑑である。
●康一君とエリザベス
→父親がやる気なのを察したエリザベスがスタンドを使って康一君を安全な場所へ引っ張っていった。巻き込れたら危ないから逃げるのは仕方ないね。
●クロミ
→少し考えた結果歴戦の戦士である承太郎達を脅威だと判断し排除する事にした。吉影が見ていたら「やめろバカ猫ォーーッ!」と絶叫していただろう。
自分のスタンドを過信して、承太郎は脅威ではないと理解し調子に乗り、そしてコケにしてくれたジョセフに対し殺意を向けるという敗北フラグを順調に積み重ねている。
趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。