「わあ、犬やネコさんがいっぱいいる!」
「流石杜王町で一番大きなペットショップだなあ。では新しい家族となる猫を選ぼうか」
「うん!」
「わたしこのクロネコさんがいい!」
「これは……他の猫とは雰囲気からして違う。とても賢い猫だな。こちらをじっと見ているが品定めしているのか?……猫の分際で生意気だな」
「ナーオ」
「わあ、かわいい!」
「ふむ、吉美の事が気に入ったようだ。それに私の事も嫌ってはないようだし、この賢い黒猫なら躾も楽だろうな……すみません店員さん、この子を購入したいのですが」
「ありがとうございます!」
「吉美ったら猫が入ったケージを大事そうに抱えちゃって……フフッ、かわいいものだね」
「お父さんありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして。その子の名前はもう決めたのかい?」
「ううん、お家に帰ってみんなで決める!」
「そうか、確かに今すぐ決める必要もないな。三人で考えようか」
「おとうさん!ネコちゃんになにか刺さっちゃったあ!」
「よ、吉影!「矢」が、「矢」が動いて猫に刺さったんじゃ!儂や吉美ちゃんは何もしとらんのに箪笥から勝手に出てきて猫に刺さったんじゃッ!?」
「……なんでこうなるんだ」
愛娘の為に新しい家族となる黒猫を連れ帰ったが、「矢」が独りでに動き出し黒猫に刺さるという異常事態に遭遇した吉良吉影はどうしてこうなったと思わず手で顔を覆うのであった。
「ニャア」
「こいつ、私のキラークイーンを見ているな。私や親父と同じように「矢」によって異能に目覚めたのか……厄介事になる前に始末しておくか?」
黒猫がキラークイーンを視認しているのを察した吉良吉影は自分や家族に危害を加えるなら容赦はしないと臨戦態勢に入る。
「ネコちゃん大丈夫!?」
「ッ!?吉美、その猫に近づくなッ!」
「ナァン、ゴロゴロ」
「あ、大丈夫みたい!よかったぁ」
「矢」が刺さった事を心配して黒猫に駆け寄る愛娘に吉影は慌てて警告するが、黒猫が吉美に頭を擦り付け喉を鳴らしながら甘える姿を見て少しだけ警戒を緩める。
「……とりあえず敵意はないようだな。吉美にすっかり懐いたみたいだ」
「よ、吉影。どうするんじゃ?」
「親父は「矢」を回収してくれないか。あんな危険物を吉美に触らせるわけにはいかない。写真の中に封印してくれ」
「うむ、わかった!」
父親の吉廣に「矢」の回収を頼んだ吉影は黒猫を一時的にケージに入れる事にした。
「吉美、私は親父とちょっとお話をするから君はおやつでも食べて待っていなさい。冷蔵庫にケーキがあるからそれを食べていいからね。吉美の好きなチョコケーキだよ……それと黒猫をケージに入れてくれないかな?」
「はーい」
「ニャン」
「よしよし、大人しくケージに入ったな」
娘と黒猫を引き離す事に成功した吉影は一息つくと、今後についてどうするか父親と相談する事にしたのであった。
「どういう事だ、「矢」が独りでに動くなんて事は今まで一度もなかったぞ」
「わ、儂にもさっぱりわからん。だがあの「矢」を譲ってくれた占い師の婆さんによれば「矢」は太古の昔に造られた聖遺物だという事らしいが」
「聖遺物だから勝手に動き出した?滅茶苦茶だ、なんだそのオカルトは……いや、私達は「矢」のお陰で超能力を手に入れたのだしあり得なくもないのか?」
「とりあえずこの危険物を封印する方法を考えよう。私達は偶々素質あったからいいが、素質のない人間に「矢」が刺さったら適応できず死ぬらしいじゃないか。吉美に刺さったらどうなるかわからないし、そんな危険過ぎる賭けを娘にやらせるつもりはない」
「うむ、その通りじゃ!吉美ちゃんが絶対に触れないような場所に入れておかないと!箪笥ではダメじゃったし鍵付きの頑丈な金庫に入れるべきじゃ!」
「まあそれがいいだろうな」
「いっその事その占い師の婆さんとやらに送り返したらいいんじゃないか?聖遺物だか何だか知らないが、この「矢」は私の平穏を乱す呪物だ。さっさと手放すべきだと思うんだが」
「う、うーーむ。確かにその通りなんじゃが、風の便りによれば占い師の婆さんは既に死んでいるらしいのじゃよ」
「チッ、じゃあこのまま持つしかないか。金目当てで売れば余計なトラブルを招きそうだしな……後はこの猫だが」
「お父さん、お腹空いたー」
「ん?ああ、もうこんな時間か」
黒猫の入ったケージを前にして話し込んでいた吉影達は、気が付けば日が沈みそうになっている事に気付く。
「私とした事が情けない。今から急いで夕飯を作るから吉美は少し待ってくれないかな?」
「うん。あ、ネコちゃんのご飯は?」
「そういえばそうだった。一緒に買ってきたキャットフードを与えとくか」
「ニャッ」
「は?魚が入ったパックを咥えてるがこれが食べたいのか?図々しい奴だな、家に来たばかりなのにもう冷蔵庫を漁るなんて……………いや待て、いつの間にケージから出てきたんだ」
ケージに入れたはずの黒猫が足元にいるのに気付いた吉影は思わず戦慄する。
「おかしい、ケージはちゃんと閉じているのに。まさかこの猫の異能なのかッ!?」
「ネコちゃん、お父さんが怒ってるよ?勝手な事したらダメ!ケージに戻らなきゃ。ご飯はキャットフードだよ」
「ウニャ」
「大人しく戻っていくな。吉美の言う事には従うようだ……おい、ケージの金網を透過したぞ」
まるで液体のようにケージの金網を通り抜けた黒猫を見て吉影は黒猫の異能について大体把握する。
「自分を液体状に変える事が出来るのか。厄介だな、だが親父の能力なら問題ない。親父、頼めるか?」
「うむ、儂に任せろ!」
「あ、そうだ!ネコちゃんのお名前決めなくちゃ!わたしはクロミちゃんがいいな!」
吉廣の能力で黒猫を封じ込めようとした吉影達だが、吉美の言葉を聞いて力を抜く事にし、とりあえず黒猫ことクロミを受け入れる事にしたのであった。
「クロミ、クロミかあ……うん、まあそれでいいんじゃないか?」
「そうじゃな、吉美ちゃんに懐いているようだし吉美ちゃんが決めべきじゃな!」
「わぁ、ありがとう!これからよろしくねクロミちゃん!」
「ニャニャッ」
「ウ、ウニャ!?ニャッニャッ!」
「よし、親父の能力を突破できないようだ。ああ、そう警戒しなくてもいいよクロミ。君を始末するつもりはない。吉美にすごく懐いているようだしね……少し
「ニャーン」
「よかった、クロミったらお父さんやおじいちゃんにもすっかり懐いたみたい!」
「フフ、誠心誠意
「へぇー」
<人物紹介>
●吉良 吉影
→ジョジョ4部のラスボス。ペットとなる猫を購入したらスタンド使いになった事に驚愕するも、その後しっかり
吉美に「矢」を使わせるつもりは一切ない父親の鑑である。もしこの世界の吉良吉影が原作6部で徐倫がスタンドに目覚めた経緯を知ったら「ば、馬鹿な…非常事態とはいえ娘に死ぬかもしれない博打をさせたのか!?」とドン引きするだろう。
●
→吉良吉影の一人娘。オリキャラ。新しく来た黒猫のクロミをすっかり気に入った。クロミが父親や祖父と仲良くしているのを見て無邪気に喜ぶ。
スタンド使いの素質はあるが父親と祖父は決して「矢」を使わせないだろう。
●吉良 吉廣
→写真の親父。故人。エンヤ婆から「矢」の危険性を教えられたので愛する孫娘が刺されないよう厳重に封印する事にした祖父の鑑である。
●「矢」
→古代に作られた特殊な矢。刺されても適応すればスタンド使いになれるが失敗したら死ぬ危険物であり、鍵付きの頑丈な金庫に封印された。
●クロミ
→吉良家の新しい家族。雄の黒猫。非常に賢くプライドも高いが吉美の事を気に入って懐いた。「矢」に刺されてスタンド使いになるもすぐに順応する。スタンド能力を手に入れ少し調子に乗ったが
クロミは杜王町に住む猫達のボスとして君臨する事になる。去勢?されてないよ?気に入った雌猫と偶にいい関係になるが杜王町のボスの特権だから大丈夫だ、問題ない。生まれた子猫達がスタンド使いになるかもしれないが可能性は低いだろうから大丈夫だ、問題ない。
吉影のことは自分より上の立場で吉良家のリーダーとして認めつつも「こいつ何で時々狩りの獲物の一部を持ち歩いているんだろう。非常食か?」と不思議に思っているようだ。
●クロミのスタンド
名前:ブレイク・フリー
タイプ:装着型
ステータス:【破壊力 - C / スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - C】
→本体に纏わりつくように具現化したスタンド。触れた物を液体状にする事ができる。セッコのオアシスに近い能力で似たよう事が出来るが本体のクロミも液体状にできる。
液体状になったクロミは物理攻撃が殆ど通用しなくなり、例えばスタプラのオラオラや半径20メートルのエメラルドスプラッシュでもノーダメになる。
弱点は本体が黒猫なので貧弱であり、セッコのようなパワーもなく建物を地中に沈めるなんて事はできない。それにキラークイーンで爆弾にされ爆破されたら消滅するし、マジシャンズレッドならあっさり焼き尽くされるし、グレイトフルデッドですぐに老衰死するし、クリームでガオンされたらどうしようもないので「そこそこ強いが無敵ではないスタンド」である。
趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。