吉良親子は静かに暮らしている   作:すも

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息抜きを兼ねて投稿しました。更新は不定期です。


ブレイク・フリー②

「……」

 

クロミは苛立っていた。白づくめの大男が自分の脅威にはならないと理解し、自分の能力が無敵である事に満足して白づくめを始末しようとしたら思わぬ邪魔が入ったからだ。

 

「……」

 

邪魔してきた老いぼれの大男は小賢しくも蛇のような物を出してきて自分を驚かせていた。注意深く観察した結果それは脅威ではないとわかったが、クロミの怒りは収まらなかった。

 

「……ニャア」

 

あんな老いぼれ如きに自分が驚かされコケにされた事が屈辱だったのだ。クロミはこの町に住む猫達の王であり、王としてのプライドがあった。そしてそのプライドを傷付けてくれた老いぼれを許すつもりは一切なかった。

 

「ヴゥーッ……」

 

クロミはスタンド使いであり並外れて賢い猫でもある。自分の飼い主である吉良吉美やボスの吉良吉影、それと吉良吉廣や重ちーと重ちーの両親、広瀬康一といった例外を除いて殆どの人間を見下していた。そして目の前にいる老いぼれも大した事ないジジイだと侮っていた。

 

コオオオオォ……」

 

老いぼれが変な呼吸をしている事にクロミは気づいていたが無視する。普段の冷静なクロミならば何か違和感を抱いていただろうが、プライドを傷付けられ怒り心頭であった事と、自分のスタンド能力に慢心して目の前の老いぼれを侮っていたクロミは気にする事なく始末する事を決めたのだ。

 

「シャアッ!!」

 

クロミは俊敏な動きで目の前の老いぼれ……ジョセフに襲い掛かる。そのスピードは驚異的であり承太郎のスタープラチナと同等であった。目の前のすっとろい動きをした老いぼれでは反応できまいとクロミは確信していた。

 

「ハーミットパープル!」

 

襲い掛かるタイミングを予測していたジョセフはハーミットパープルを出して迎撃する。だがクロミに焦りはなかった。老いぼれの出す蔦のような物は自分の脅威ではないと理解していたからだ。液体化して蔦をすり抜け老いぼれの首を刎ねればいいとクロミは考えていた。

 

「……!?」

 

クロミの判断は間違っていなかった。ジョセフのハーミットパープルは念写能力など諜報では優秀であったが、正面からの殴り合いには非力なスタンドであった。ハーミットパープルだけならクロミの脅威ではなかっただろう……だがジョセフの武器はスタンドだけではなかったのだ。

 

「フ、フギャアアァッ!?」

 

ハーミットパープルに触れたクロミは強烈な電撃のような衝撃に襲われ、身体が痺れて制御できなくなる。突然の事態にクロミは大いに混乱し迂闊だったと後悔する。慌てて離脱しようとするも身体が上手く動かず焦るが現実は非情であった。

 

コオオオオォッ!!、ほぅれもう一度じゃッ!」

「ギニャアアァッ!?……キュウ」

 

ジョセフから再度電撃のような物……波紋疾走(オーバードライブ)をくらったクロミは衝撃に耐えられず気絶してしまうのであった。

 

 

 

「よーしよし!ちゃんと効いたようじゃな!どうじゃ儂の波紋疾走(オーバードライブ)はッ!」

 

クロミが気絶したのを確認したジョセフは自分の波紋が通用した事に安堵していた。

 

「自分のスタンド能力を過信し儂を侮ったのがお前の敗因じゃよ。まあ、猫が波紋を知るわけがないのはわかってるがの」

「うおおお……!グレート、グレートだぜ爺さん!」

 

承太郎では対抗できなかったクロミがあっさり気絶して無力化したのを見た仗助はジョセフをキラキラした目で見ていた。息子から尊敬の目で見られてジョセフは調子に乗る。

 

「ハッハッハ、もっと褒めていいんじゃぞ仗助君!」

「いやホントグレートっスね!俺も!俺も波紋を習ってみたいっスよ!」

「おお、いいぞ!喜んで教えてやるわい!いっそ今度の夏休みに一緒にチベットで修行しに行くか?仗助君も波紋の才能はあるじゃろうし、覚えておいて損はないしのぉ!」

「おい調子に乗るなジジイ」

 

承太郎が溜息をついてジョセフを窘めつつクロミを拘束し籠にいれる。

 

「まだ完全に終わったわけじゃないんだぞ。クロミは気絶して無力化したが、いつ目覚めるかわからない。ジジイはしっかり見張ってくれ」

「うむ、わかった。儂のハーミットパープルでグルグル巻きにしておこう」

「頼むぞ。ジジイの波紋が通用したのはいいが、この黒猫も間抜けじゃないから次は引っかからないだろう。逃げ出されたら厄介な事になる……それに周囲の猫達の問題もある」

 

承太郎は油断する事なく周囲を見回す。周囲では猫達がボスであるクロミがやられた事に動揺しつつも逃げずに承太郎達を観察していた。

 

「あの、なんかエリザベスの他にも賢くて尋常じゃない気配を纏った猫が複数いるんスけど。ソイツらがゆっくり近付いてきてますよ!?」

「やれやれ、騒ぎを聞きつけて他のスタンド使い達も集まってきたか」

「オーマイガッ!?連戦は勘弁してほしいぞい!」

 

ボスの敵討ちかと警戒した承太郎達であったが、猫達の目をみた承太郎は相手に戦意がない事に気付く。

 

「これは……どうやら向こうは戦う気はないようだ」

「ど、どういう事っスか?」

「落ち着け仗助君、どうも猫達の目的はジジイのようだな」

 

エリザベスや他の猫のスタンド使い達はジョセフをジッと見ながら近付いており、やがてジョセフの前で整列し揃って頭を下げた。

 

「「「「「ニャア……」」」」」

「えっ、どういう事なんスか?」

「やれやれ、ジジイを自分達のボスと認めたようだ。あのクロミをあっさり無力化したジジイを恐れているようだな」

「ほほぉ〜う?中々物分りのいい猫達じゃのぉ〜ッ!儂の威光にひれ伏したか!」

 

ジョセフは猫達を撫でくりまわしながら上機嫌となる。

 

「猫達が話の分かる連中でよかったわい。これなら杜王町の猫達の調査もスムーズに進められるじゃろうな。どうじゃ承太郎!儂がいてよかったじゃろ?」

「調子に乗るなジジイ……まあ、ジジイがいなければクロミを無力化できなかったのは認めるし感謝はしておくぜ」

「そうじゃろうそうじゃろう!もっと素直に感謝してもいいんじゃぞ承太郎!まったくお前は高校生になってから随分と捻くれてしまったのぉ~ッ」

「だから調子に乗るなジジイ。では吉良吉影の家に向かうとしよう」

 

上機嫌で肩を組んでくるジョセフに辟易しつつ承太郎は吉良吉影の家に向かう事にしたのであった。

 

 

 

 

<人物紹介>

●クロミ

→ジョセフの波紋疾走(オーバードライブ)をくらって気絶し無力化された。すごくあっけないが自分のスタンド能力に慢心して相手を舐めていたせいである。それに猫が波紋の存在なんて知っているわけがないので仕方ないね。

 

 クロミが敗北した事で杜王町に住む猫達のボスはジョセフになった。

 

 

 

●クロミのスタンド

名前:ブレイク・フリー

タイプ:装着型

ステータス:【破壊力 - C / スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - C】

→本体に纏わりつくように具現化したスタンド。触れた物を液体状にする事ができる。セッコのオアシスに近い能力で似たような事が出来るが本体のクロミも液体状にできる。

 

 触れた物を液体状にする防御無視攻撃と、物理攻撃完全無効という鉄壁の防御力を兼ね備えたスタンドであるが状態異常耐性は皆無である。本体がただの黒猫で貧弱なので一度状態異常にすれば脆い。やはりそこそこ強い止まりのスタンドだろう。

 

 

 

●ジョセフ・ジョースター

→波紋が効いてくれてホッとした後、仗助に褒められて調子に乗っていた。ちなみにもう一度やれと言われたら断固として拒否する模様。クロミを倒した結果杜王町の猫達のボスになる。

 

 今回ジョセフが使った波紋疾走(オーバードライブ)は全盛期に比べると涙を誘う程貧弱な波紋であり、もしカーズが見れば鼻で笑うレベルの威力であったが、猫一匹を気絶させるには十分な威力だった。

 

 

 

●東方 仗助

→ジョセフの活躍を見てグレートだと称賛し尊敬していた。夏休みにチベットで波紋の修行しようか迷ったが修行がとんでもなくハードだと知りやめる事にした。でもジョセフの息子である仗助なら波紋の才能はあると思われる。

 

 

 

●空条 承太郎

→調子に乗るジョセフを見て呆れつつも、ジョセフがいなければクロミには勝てなかったと認め感謝していた。

 

 クロミの処遇については吉良家の飼い猫なので勝手に殺すわけにもいかず、とりあえず吉良家に引き渡して事情を説明する事にしたようだ。

 

 

 

●エリザベスと猫のスタンド使い達

→自分達の父親で杜王町のボスであるクロミをあっさり倒してしまったジョセフに驚愕し服従する事にした。薄情なように見えるが猫だから仕方ないね。

 

 その後スピードワゴン財団の調査が入るだろうがジョセフに大人しく従っているので酷い目には遭わないだろう。

 

 

 

●吉良吉影

→次回登場予定。突然来訪した承太郎達に困惑するもクロミがやった事を聞かされ呆然とし宇宙猫になるだろう。




趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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