吉良親子は静かに暮らしている   作:すも

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息抜きを兼ねて投稿しました。更新は不定期です。


吉良家の夏休み

「うん、心配してなかったが優秀な成績だね。成績表のコメントでも先生から褒められているしスゴいじゃないか」

「うん、えへへ」

 

1991年7月、杜王町にサマーシーズンが到来し外部から大勢の観光客が訪れている頃、ぶどうヶ丘小学校の一学期が終わり吉美の夏休みが始まろうとしていた。愛娘の一学期の成績を確認した吉良吉影は娘の好成績に満足気な様子を浮かべる。

 

「私の娘だしこれくらい出来て当然だね。じゃあ約束通りサマーキャンプを予約しておこう」

「わあ、やったぁ!ありがとうお父さん!」

「フフッ、どういたしまして。吉美もサマーキャンプを楽しんできなさい」

 

無邪気に喜ぶ娘を微笑ましく眺めつつ吉影は今年は充実した夏休みを過ごそうと決めるのであった。

 

 

 

「ほぅ、ほぅ!サマーキャンプかぁ。俺も小さい頃ボーイスカウトやってたな。吉良はどうだったんだ?」

「そうだな、私の時は夏休みに家族で何度かキャンプに行ってたかな。親父が張り切っていたのをよく覚えているよ。でも親父ったらキャンプについては素人で下手くそだったからテントを建てるのにもすごく苦戦していたっけ。私や母親がやめろというのに大型テントなんか買うからだ」

「ハハッ、俺の父親もキャンプの時は張り切ってたなあ」

 

カメユーチェーンで働く吉良は同僚と雑談しながら夏休みの予定を考えていた。

 

「2泊3日のキャンプか。保護者同伴なのか?」

「いや、子供達限定だから私はついて行かないよ。私も偶には家でゆっくりして羽を伸ばすとするさ」

「なるほど、なるほど。まあ親バカなお前さんでも一人になりたい時はあるよな!」

「ああそうさ、私だって一人の人間なのだからね」

 

(……休みを一緒に過ごす()()については既に候補がいるしね。ンッン〜〜ッ、楽しみだなぁ)

 

吉良は同僚の言葉に相槌を打ちつつ充実した休みを想像して上機嫌になるのであった。

 

 

 

「重ちー君こっちこっち!」

「ま、待ってほしいど〜!」

 

「ううッ、吉美ちゃんたらすごく楽しそうじゃ。かわいい孫娘が楽しそうで儂も嬉しいよォ〜〜ッ……まあ隣に珍獣がおるが吉美ちゃんの友達だし大目に見てやるとするか」

 

サマーキャンプが始まり孫娘の吉美が友達と楽しそうに過ごすのを見て、吉廣は嬉し涙を流しつつ遠くから見守っていた。小さな写真からカメラが飛び出て撮影しているのは傍から見れば異様な光景であったが誰も気付いていないので問題ないだろう。

 

「妻や吉影と一緒にキャンプに行った時を思い出すなぁ〜、儂がテントを建てようとして悪戦苦闘してたのを見兼ねた2人が手伝ってくれて3人でテントを建てたっけ。まだあのテント残っていたかのぉ?確か倉庫に仕舞っておいたはずじゃが、もしまだ使えるなら家族3人でキャンプする時に役立つかもしれんな!」

 

吉廣は孫娘の姿を撮りつついずれ家族でキャンプに行く事を想像してウキウキした様子を見せていた。

 

「さぁて撮影を続けるか。吉影から吉美ちゃんの元気な姿を撮るように頼まれたしの!吉影も今頃は家で久々に一人でゆっくりしているじゃろうな」

 

 

 

「さあ着いたよ。ここが私の家、古き良き数寄屋住宅だよ。でも古いといっても住み心地は快適だし自慢の家なんだ」

 

一方その頃、愛娘がサマーキャンプに行ったので吉良吉影は久しぶりに一人の時間を満喫しようとしていた。

 

「今日から2日間よろしく頼むよ。娘がいないから誰にも邪魔される事なくゆっくりできるね。楽しい思い出を作ろうじゃないか……ああいや、娘が嫌いなわけじゃないよ。吉美の事は目に入れても痛くないくらい愛している。でも私だって偶には邪魔される事なくノンビリ過ごしたい時があるのさ」

 

吉影はこの日の為に調達した()()に上機嫌に話しかけつつ車を降りて自宅に入る。

 

「ニャーン」

「おお、クロミか。紹介するよ、この子はクロミ、ウチのペットさ。吉美が一目見て気に入って迎え入れたんだ。とても賢い猫で家を汚さないし躾の必要もないからとても助かっているよ」

「ウニャ?」

 

クロミは吉影が()()に話しかけているのを見て不思議そうにしていた……まあ客観的に見れば女性の手首に話しかけている男という異常な光景であり、クロミが困惑するのも無理はないだろう。

 

「それに賢いだけじゃない。私や吉美の指示には従う忠実な子なのさ。ほらクロミ、おいで」

「ニャ」

「ほらね」

 

吉影に呼ばれてクロミは大人しく吉影の足元まで近づく。吉影の()()の結果クロミは吉影を吉良家のボスとして認めており、吉影の言う事には絶対服従であった。

 

「ニャッ!?」

「落ち着いてクロミ、見知らぬ人が来て警戒するのもわかるが()()は大丈夫だよ」

「ニ、ニャッ……」

 

そんなクロミは()()に触られて驚愕するが、ボスである吉影の言葉に従い逃げずに大人しくする事にした。

 

「よおし、いい子だ……ほら、素晴らしい毛並みだろう?」

 

吉影はクロミが大人しく()()に触らせているのを見て上機嫌な様子で言葉を続ける。

 

「滑らかでスベスベしているね?娘がいつも甲斐甲斐しく世話をしているからクロミの毛並みはいつでもベストな状態なんだ。美貌の黒猫だと近所の人達にも褒められているんだよ」

「ニャッニャ」

 

「娘とクロミはとても仲良しでね、いつも一緒に寝ているんだ。娘が幸せそうだと私も心がポカポカするんだよ」

「ニャ、ゴロゴロ……」

 

「よし、そろそろ夕飯を一緒に作り始めようか。私も腕によりをかけて料理するから君にも手伝ってほしいな」

「……………ハァ〜ッ、レロレロ」

 

吉影が夕飯を作る為に台所に移動し、ようやく解放されたクロミは溜息をつきつつ身体に変な匂いが染み付かないよう入念に毛繕いを行う。そして飼い主である吉美が早く帰ってこないかなと思うのであった。

 

 

 

 

「ただいまー!」

「帰ったぞい吉影」

「ああ、二人ともおかえり」

「ニャーニャ-」

 

そしてサマーキャンプが終わり吉良家に帰宅した愛娘達を吉影とクロミが迎え入れていた。()()とは既にお別れ済みである。

 

「サマーキャンプは楽しかったかい?」

「うん!」

「そうか、それはよかったね。私も家でゆっくりする事ができたよ」

「おおっ、吉影もリフレッシュできてよかったのぉ」

 

短い期間だったが()()とノンビリ一緒に過ごせた吉影はリラックスした様子を見せており、充実した休みを取れたのが伺えた。

 

「さて、夏休みはまだまだあるけど、ちゃんと宿題はやっているかな?」

「うん、お父さんに言われた通り頑張ってもう終わらせたよ!」

「そうかそうか、それならいい。課題やトラブルについてはさっさと対処しておくのが一番だからね」

「えへへ」

 

娘の返事を聞いて満足した吉影は吉美の頭を撫でて褒める。吉美も父親から褒められて嬉しそうにしており、とても仲が良い親子であった。その後も吉良家は残された休みを有意義に使い充実した夏休みを送る事ができたのであった。

 

 

 

 

 

<人物紹介>

●吉良 吉影

→愛娘がサマーキャンプに行くのを快く送り出した後、調達しておいた()()と家でゆっくり過ごしてリフレッシュする。娘の事は大事だが偶には一人でノンビリしたい事があるのだ。人間(殺人鬼)だもの。

 

 その後も娘が楽しそうに夏休みを満喫するのを微笑ましく見守っていた父親の鑑である。

 

 

 

吉良 吉美(きら よしみ)

→父親譲りの優秀な能力を発揮し、とてもいい成績を出して父親を満足させていた。そしてサマーキャンプでは重ちーと一緒に大いに楽しんでいた模様。

 

 帰ったらクロミがほんの少し疲れた様子を見せていたので心配した飼い主の鑑である。

 

 

 

●吉良の同僚

→吉良の娘がサマーキャンプに行くと聞いて自分が小学生の頃を思い出ししみじみとする。そして息子が大きくなったら参加させてみようかなと思ったようだ。

 

 

 

●吉良 吉廣

→吉影も偶には一人でいたいだろうと空気を読んで孫娘のサマーキャンプについて行くことに。孫娘の成長を喜びつつカメラで撮って満足していた。原作では「矢」を持ち歩いていたしカメラを持ち歩く事くらい余裕である。

 

 重ちーの事は珍獣扱いしているが、珍獣なので孫娘に近づく事を特別に許している。

 

 

 

●今回の()()

→吉良吉影に殺された犠牲者の手首。サマーシーズン到来という事で杜王町に遊びに来ていた観光客。最終的に尻を拭かされ、その後キラークイーンで爆破され消滅した。充実した休みを過ごし吉影も満足していたので()()も浮かばれると思いたい。

 

 

 

 

●クロミ

→吉良家のペットでスタンド使い。「こいつ何やってるんだ……?」と困惑し宇宙猫になるも吉影の一人芝居につきあってあげた飼い猫の鑑である。普通の猫ならすぐ逃げ出していただろう。ほんの少し疲れたが心配した吉美に構われて落ち着いた。

 

 ちなみに吉良家のボスは吉影だと認識しているが、自分の飼い主は吉美だと思っている。




趣味で書いているので更新は遅くなります。今後は少しずつ投稿していく予定なのでよろしくお願いします。
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