ゴジュウジャー世界に転生したので、指輪集めて願い叶えます 作:Matdya
この小説が書き終わったら、ギーツの転生モノをやろうかな...?
「...僕も、あなたと同じでしたから。」
「...は?」
「あなたからは、僕と同じ匂いを感じる。
...あなたになら、話しても良い気がします。僕の過去の話を。」
この世界に、転生者として産み落とされる前。
僕は、ある家の長男として生を受けた。
「おーい、もうトッキュウジャー始まっちゃうぞー!起きろー!」
小さい頃、僕は『烈車戦隊トッキュウジャー』という作品が好きだった。
仲間と、力を合わせて敵を倒す。彼らの勇姿が、大好きだった。
そんな調子で、何事もなく日々を過ごしていたんだけど...
「白血病、ですか...?」
重い病気にかかってしまった。通常、僕のような若い年齢の人間なら治癒率がかなり高いはずなんだけれど...
僕は生まれつき体があまり強くなかったため、治るかが分からなかった。おまけに、病気もかなり進行していたらしい。
発症が発覚した流れで入院の手続きをし、翌日に入院。
その後は、ひたすらに闘病生活を続けた。
だけど、病状は悪化の一途を辿っていった。
そんな状況でも、僕は希望を失わなかった。
毎週、両親がスマホで撮ったトッキュウジャーの放送を見せてくれたからだ。
トッキュウジャーの勇姿を見届けたい。その一心で、僕は生き続けた。
そして、最終回が放送を見届けた直後に、僕の意識は暗闇に落ちた。
そのはず、だったのに。
僕は、再び明るい空を見た。そして、謎の声が語りかけてきた。
曰く、自分は僕をこの世界に転生させた上位存在なのだとか。
曰く、僕は"自分の最も
「車井創」。それが僕の新しい名前だった。
僕は今度こそ、何事も無く成長した。そして、前世では行けなかった幼稚園に入園した。
「おはよう、創!」
「おはよう友香。」
僕は、幼稚園で
僕とは違い、快活で優しい性格の子だった。あまり友達の多くなかった僕にも、他の子と変わらず接してくれた。
「鬼ごっこしよ!創が鬼!」
「え?ちょっと待ってよ〜!」
「きゃ〜!逃げろ〜!」
「疲れた...」
「創、すぐ疲れすぎ!」
「ごめん...」
「...ねぇ、創。」
「何?」
「大人になったら、結婚しよ!」
「結、婚...?うん、いいよ!」
その言葉が何を意味するのか、僕は分からなかった。
彼女もそうだろう。幼稚園生に、恋とか、愛とか、そんなものが分かるはずがない。
それから特に何か関係が変わったとかもなく、僕達は小学校に入学した。
毎日、昼休みになる度に、僕達は外に駆け出し、ひたすらに遊んだ。
楽しかった。1度目の人生で出来なかったことを、2度目の人生で少しだけ取り戻せた気がした。
気がつけば、僕達は4年生になっていた。
この4年の間に、僕達は電車に親が居なくても乗れる、という能力を手に入れ、前よりもずっと遠くに行けるようになっていた。
「今日は付き合ってくれてありがと!」
「いいよ。新しいゲームソフトも変えたし。」
休日の度に、2人で買い物に出かけた。そのせいで、2人は付き合っているのではないか、という噂が流れたが、そんなことはない。ただ、友達として一緒に出かけているだけ。
だと、思ってたのに。
日常が壊れるのは、一瞬だ。
「じゃあ、またね!」
「またね...って、友香!」
「え?キャッ...」
黒く、大きな塊が、友香のいる方向に突っ込んでいった。
それが車だと気づくのには、かなりの時間を要した。
「...」
「友香!友香!!」
「創...」
直前で車がブレーキを踏んだが、間に合わなかった。
彼女は、全身から血が流れる、満身創痍の状態だった。
「待ってて、すぐ、大人の人を...」
「やめて...多分、私は助からない...」
「ダメだ!友香は助かる!絶対!」
「やめて...創と、最期に話したい...」
「最期って...!」
「創...あの時の約束、果たせなくてごめんね...」
「約束...?」
「幼稚園の時、言ったじゃない...!大人になったら結婚しようって...!」
「あ...」
「私は、本気だったよ...いつだって、あの時のことを忘れたことはなかったよ...」
「友香...ごめん...」
「謝らないで。...ああ、もう、ダメそう...創、一つ、お願いさせて?」
「何でも、何でもする。」
「笑った顔、見せて?」
涙をぐっとこらえながら、必死に、その時出来た最大限の笑顔を見せた。
「ありがとう...!創...!」
彼女の瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
それを最後に、彼女の目が開くことはなかった。
「創くん...」
「お母さん...友香は、助かりましたよね?」
「残念だけど、さっき...」
「...!」
その後のことは、断片的にしか覚えていない。
夜中にも関わらず、周りを憚らないで慟哭したこと。
友香の母親と抱き合って泣いたこと。
病院のお医者さんや看護師さんたちが、暗い顔で俯いていたこと。
両親と兄が、年不相応に泣きじゃくる僕を抱きながら車に連れて行ったこと。
その日、僕は1度目と2度目の人生を通して、最初の一番大切な友人を...僕を、愛してくれた人を、失った。
「今日は、友香のために来てくれてありがとう。」
「いえ...幼馴染の姿を、お葬式という最後の日までしっかり見届けたかっただけです。」
「...ねえ、創くん。友香は、君のことを、きっと天国で見届けてくれてるはず。だから...強く生きて。」
僕より辛いのは、あなたのはずなのに。なんで、そんなに優しい言葉をかけられるんだ。あなたは。
それから、世界は何事もなかったかのように動き出した。
それでも、僕の友香への想いは消えなかった。だから、あの日...
(願いを言え...願いを言え...!)
(願い...僕の願いは...忍野友香を、蘇らせることだ!絶対に叶えてみせる...誰にも譲れない!)
テガソードに、彼女の蘇生を願ったのだ。
「君に、そんな過去が...」
「信じて、いただけるんですか?自分で言うのもなんですが...転生とか、非現実的ですし...」
「確かに、疑問には思った。だけど...君の、過去を語る姿を見て、嘘を言っているとは思えなかった。」
「ありがとうございます。...辛くなければ、あなたの話も聞かせてくれませんか?」
「...分かった。」
彼は、自分のミスによって起きた事故でパートナーを失ったのだとか。
だから、
「そうなんですね...」
「...もう、お互い戦う気にはなれないな。」
「えぇ...それでは、また。」
彼の願いが嘘だと知ったのは、その1ヶ月後だった。
「ただいま...」
「おかえり、創。」
「おぉ!やっと帰ってきたか!創!」
「...何で?もう春休み終わったんじゃないの?」
「あぁ。だから今日は授業が終わってからすっ飛んで帰ってきたんだぞ!なんせ、愛する弟の入学祝いの日だからな!」
「兄ちゃん...」
いつもはウザい明るさが、過去を思い出して暗く沈んだ僕の心に、深く染みた。
「うわぁ!ちょ、何泣いてるんだよ!そんなに寂しかったか?ガッハッハ!」
次回は、主人公の本編への介入回です!