あべこべ世界でも平和にLBXを遊びたい! 作:光のトオルちゃん
たった一度の発言で、人生の全てが決まることだってある……それが本人にとって軽い言葉であろうとも
「海道先生こちらへ、
「うむ……眠っている間は子供らしい寝顔だな」
う、あっ。まぶしい、どこだここ……?また窮屈なスーツ着せられてるし、線とか管も色々……
「血圧値、心拍数ともに正常……脳波状態も極めて良好と、メディカルコーディネートも終わりCCMアジャストも問題ありません」
「"灰原ユウヤ"無事に実践投入いけますな」
「ジンとこのユウヤもいれば、メタナスGXもプラチナカプセルも手に入ったも同然だな!」
灰原、ユウヤ……?あぁ、僕の名前だ。僕の家族と友達と……
「んぅ、あ……おはようございます、先生……」
「おはようユウヤ君、今日は海道先生もいらっしゃってるよ。たしか海道先生とは前にも会ったことがあるんだったかな?」
いつも僕の身体を検査してくれる先生が目を向けた方向、そこにいたのは確かに前にも会ったことのある人で……そうだ。入院してる時に隣になった子、ジンくんのおじいさん……
「久しぶりだねユウヤ君、今日は連絡も無しに来てしまって申し訳ない」
「いいんです海道先生、いつも検査や訓練ばかりしている僕が悪いんですから……それに、海道先生が来てくれたおかげか懐かしい夢も見れましたので……」
「確かに今日はいつも以上に脳波が安定していた……どんな夢を見ていたか聞いてもいいかい?」
えぇ~……?ちょっと恥ずかしいけど、誰かに話さないと忘れたくない思い出も忘れちゃうもんね……
「結構恥ずかしいので、言いふらしたりしちゃダメなんですからね……?」
「ご、郷田お姉ちゃん……僕の家族がみんな、みんな目の前でいなくなっちゃった……!」
「大丈夫!大丈夫だからジン君……!お姉ちゃんの胸でならいくらでも泣いていいからっ……!お姉ちゃんはいなくならないからね!」
初めての出会いって言うか、僕が目を覚ました時に隣のベッドで泣いていた声を聞いたんだよね……カーテンで仕切られてたから顔は分からなかったけど、きっと姉弟だと思ったんだ……
「お姉ちゃんの方こそ謝らないといけない……お姉ちゃん怖かったの。もしも引き止めたら
「ぼ、僕にはよく分からない、けど……郷田お姉ちゃんは悪くないと思うよ。トキオブリッジが崩れたのは、お姉ちゃんのせいじゃないし……き、きっと誰かが悪いって話でもないんだよ……」
"トキオブリッジ"、その名前を聞いてやっと僕も記憶が鮮明になってきたんだ。あの瓦礫の中で奇跡的に生き残ったんだって……
「わ、私がほんの少しだけ勇気を出せてたらジン君の家族は……決めた。お姉ちゃんね、一生かけてジン君に沢山罪滅ぼしするから。ジン君が困った時はいつでも必ず駆け付けるから!」
「むぐっ……ちょ、ちょっと苦しいかも……!」
正直、羨ましいと思った。隣のジンくんって子も家族を失って……でも自分を大切に思ってくれるお姉さんだけはいる。対して空っぽの僕には何も残ってなくて……いや、次の日には僕にもお姉さんが出来たんだった。
「今日も来たよジン君……って、隣の子は?」
「あ、は、初めまして!灰原ユウヤっていいます……な、何もすることがなかったので、ジンくんとおおお話してました!」
「そんなに緊張しなくて大丈夫だよユウヤ君、この人は郷田お姉ちゃん。僕とは事故の前からずっと仲良くしてくれてるんだ」
「どうも郷田お姉ちゃんです!フルネームは郷田ハンゾウ、ちょっと男の子みたいな名前って思ったでしょ?かっこよくて私は結構気に入ってるよ!気軽にユウヤ君も郷田お姉ちゃんって呼んでいいから!」
「あ、は、はい!郷田お姉、さん……!」
同じ境遇だからかジンくんともすぐに仲良くなれて……お姉さんとも話していくうちに、他の女の人とは違うことも分かった。だからジンくんもお姉さんに惹かれたんだと思う。
「えっ、ジンくんとお姉さんって姉弟じゃないんですか?僕はてっきり……」
「実は単なる近所のおせっかいお姉さんなのです!だから結婚もできるよ~」
「け、結婚……!郷田お姉ちゃんと結婚……♡」
ジン君が退院するまで一か月くらいだったかな?その間もお姉さんは毎日お見舞いに来てくれて……僕のためじゃないって分かってても、嬉しかったなぁ……
「僕は今日で退院だけど……ユウヤ君はこれからどうなるの?」
「正直分かんない。頼れる人もいないし、病院に居続けるのかどうかも……もう二人とも会えないかも」
「大丈夫だよユウヤ君!いつかまた楽しく会える日が絶対来るから、お姉さんが保証するよ!信用できないなら……はいぎゅ~っと!」
「んむっ……えへへ、ありがとうお姉さん」
あの時のお姉さんの温もり、安心する匂い、優しい声が……今のどんなつらい訓練でも頑張ろうって気持ちにさせてくれる。
「そうだなぁ、またこの三人で逢う日が会ったら……温泉旅館でも行こうよ。私とジン君とユウヤ君の三人で湯舟に浸かって、温まったらふかふかの布団で雑魚寝しよう!」
「温泉旅館か……その時は僕がお祖父様に頼み込んだらいけるかな?」
「みんなで絶対行こうね……!」
「お姉様起きてください、もう着きますよ」
「んぅ……っ? おはようジン君」
「おはようございますお姉様。アルテミス会場はもう目の前です、そろそろ降りる準備をしましょう」
なんか懐かしい夢を見たような見てないような……てか戦闘機の中でよう眠れるなオレ。まぁ狭い場所好きだからか安心して眠れるってのはあるか
「お姉様、今日のアルテミスは僕が優勝します。メタナスGXを手に入れてついでにバン君のアキレスからはプラチナカプセルも頂きます」
「……あー、どうしてメタナスGXもそんなに欲しがっているんだっけ?」
「その中にとても重要な情報が眠っているからです」
結論から言ってしまうと……海道邸への侵入イベントはそもそも起こらなかった。本来は里奈さんが海道邸の地図を手に入れたため、みんなで行って博士を救出するハズが……
「つい先日山野博士が海道邸から逃げ出しました。CCMやパソコンなどの電子機器は渡していなかったのに、まさかメガネ一つで爆発まで引き起こして脱出するなんて……天才といってもここまでやる人だとは」
「ははは、無限のエネルギーを作りだす人だぜ?とあるFPSゲームがあらゆる電子機器でプレイできるように、あの人はどんな物であろうと、電気で動く物が手元にあればお手の物さ」
救出前にまさか自力で脱出するとはね。ご丁寧にプラチナカプセルの解除コードがメタナスGXであるとの書置きまで残して……それはしなくてもよかったんじゃない?
「先日のアングラビシダスではCCMが僕の反応速度について来なかった、敗因はそれだけです。実力では僕が100%勝っていた……今回のアルテミスではお姉様と一緒に優勝しますので」
「た、頼りにしてるからねジン君……」
確かプラチナカプセルの方はレックスが入れ替えてたんだっけ?ジ・エンペラーの自爆に巻き込まれた際の暗転時にひっそりと……勝っても負けても両方が海道に渡ることはない。
「さ、着きましたよお姉様。足元に気を付けて降りてくださいね」
「あらよっと……お、バンたちも来てたか」
「なんか久々に会った気がするな郷田!アルテミスはジンと一緒に出るのか?」
「私とカズはバンと一緒に出るから、もし戦うことになったら容赦しないんだからね!」
「あんまり気は乗らねぇけどな……」
本来はオレとレックスのコンビで出場のハズだったけど、あまりにジン君がオレと出たがってたし、どうせレックスは途中でわざと負けて決勝はジン君が出るから……問題ないな!
「さっさと受付をして勝負にそなえておこうか。今日のハカイオーは調整もバッチリしてきたからな、敵をジン君だけだと思ってると痛い目みるぜ!」
久々に本気で戦っちゃおうかな!
「お姉、さん……?」
昔のことすぎて忘れた←これはダメだろ
確かに言った側は何十年も経ってたらあの瞬間に何を言ったかなんて忘れるだろうとも思う……しゃあけど言われた側はかなり引きずるわ!しかも家族がいなくって一人で寂しい時に言われたら『お姉さんとの約束を大きくなるまで引きずってヤンデレになるタイプの男の子』になっちゃうよね