コードギアス 筋骨のドズルルーシュ   作:Ak102

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【ゴリラの生まれた日】
【覚醒の緑の猛将】


1話2話

【ゴリラの生まれた日】

 

ボグシャアッ!!!

 

身長210cmの体躯から生み出される、美しき剛腕の前に相手は沈む。

掛けボクシングのピンチヒッターとして参加した彼により、元ヘビー級ボクサーを物ともせず、相手が可哀想とも思える一方的な試合展開の後、リングの底に沈めた。

 

相手が悪かった。

無差別級の体格だとは聞いていたが、こんな化け物が相手とは聞いていない。

「なんだこのゴリラは!聞いてないぞ!」

「こんなの無効だ、無効。」

「おい!こんなやつ、つまみ出せ。」

貴族としてのプライドがあのゴリラを許せない。

冷や汗をかきながらSPは、ゴリラににじり寄る。

しかし…。

 

「おい。今なんと言ったか…?」

「ゴリラ……だと?」

 

クシャッ!

 

目の前で、金属製の手摺りが紙のように何の抵抗も無くひしゃげた。

人間じゃない。

少なくとも人間にはあの様な真似は出来ない。

掴まれでもしたら文字通り捻り潰されてしまう。

貴族の男は身震いした。

 

「わ、悪かった。冗談。そ、そ、そ、そうだよ。」

「ちょ、ちょっとした冗談なんだ冗談。」

「余りにも勇敢なファイトだったので、ついちょっと。」

「約束していたファ、ファイトマネーの2…あいや、3倍、3倍渡すから…ね!ね!ね!」

 

ゴリラはスーツケースを、むんずと3つ掴むとその場を後にした。

去った事を確認した後、貴族の男はイスからずり落ちる。

(なんだ…なんなんだアレは!もう二度と掛けボクシングは開催せんわ!!)

 

…。

……。

………。

 

「ドズルルーシュ、いやルルーシュ、やり過ぎじゃないかな?」

リヴァルはヘルメットを被りつつ、そう男に話掛ける。

 

「ゴリラは心優しい森の賢者だ。オレみたいに野蛮ではない。」

制服より軍服が似合いそうな彼だが、見た目に反して理知的な面を持ち合わせている。

 

学園に帰ろうとした折に、テロリストと思われる逃走車両を目にし、リヴァルの静止を無視してドズルルーシュ走って追い掛けるのであたった。

 

…。

……。

………。

 

偶然再会した枢木朱雀は凶弾により倒れ、辺りはブリタニア兵で包囲された。

絶対絶命。

一縷の望みを掛け、毒ガスとやらに手を伸ばす。

10分くらいならば息を止めて朱雀を抱えて行動できるからだ。

しかし、毒ガスとやらは偽の情報で、中から拘束具を着せられた女性が現れた。

 

「王の力はお前を孤独にす…孤独…に…?ヒト……?ゴリラ…の王…?」

「ギアスいらなくない?」

「え!?いる?」

「と、とにかくギアスを授けよう。」

 

キュイイ!!!

 

ドズルルーシュの脳内に不思議なビジョンが流れ込む。

(ダブルオー・シックス・ティナイン。)

(スペースコロニー。)

(独立戦争。)

一体何だろうか?

「うおぉおおおお!!!!」

更に頭に何か流れ込む!

(ビグ・ザムが量産された暁には…。)

(モビルワーカー…クラブマン…ヴァッフ…ブグ…ザク…。)

(戦いは数だよ兄貴!)

(やらせはせん!やらせはせんぞ!!)

これは何だろうか?自分に課せられた使命、重圧、これがギアス(定め)というものなのか。

 

「ジーク・ジオンっ!!!」

 

ビクッ!

 

突如雄叫びをあげた彼にC.Cは竦み上がる。

この短い時間だが、C.Cには分かった事がある。

彼の事が苦手だ。

それでもC.Cは説明をしなければならない。

「ギアスは、潜在的に最も欲しいと抱いているものが能力として発現する。」

「お前は何だろうか、内に話掛けるといい。」

ドズルルーシュは暫し思案顔をした後、腑に落ちた様な顔付きになった。

どうやら、心で理解できたようで安心した。

彼は、目を閉じ深呼吸をしたかと突如声を張り上げた。

 

「ギ〜ア〜ス〜。」

 

ドわぁー!!という悲鳴と共に、ブリタニア兵が薙ぎ倒された。

 

「待て!それはギアスではない!拳だ!!!」

「絶対違うっ!!!」

事態はどうにかなったが、直接的に身体能力が上がるギアスなんてあり得ない。

ただの思い込みだ。

 

ドズルルーシュはふと呟く。

「ジオンだ…。」

 

「なんて?」

さっきといい今といい、C.Cには全く理解出来ない。

 

「オレは、慈恩(じおん)公国を立ち上げる。」

「残念ながら、日本国は国体、そしてその精神が滅んでしまっている。」

「なぁ、枢木の。ゲットーの荒んだ生活を見たか?名誉ブリタニアとして無様に隷属する様を見たか?」

「あれはもう日本国ではない。」

「慈しむ心、自然に恩を抱く、精神、大和魂が失われてしまっ

ている。」

「だからこそ、ジーク・ジオン(慈恩)だ。」

 

目を覚ましていた枢木朱雀は慌てる。

全くもって脈絡がなさ過ぎる。

「待て!ドズルルーシュ!ジオンはまだ良いとして、何故ジークなんだ、ドイツ語じゃないか!!」

「しかも名前の割にやる事が物騒だぞ!」

 

しかしあんまりな返答だった。

「語呂がいいからだ。」

 

「あ、はい…。」

枢木朱雀は、暴論だが余りの勢いに萎縮する。

 

何れにせよ、この場面を切り抜けるにはナイトメアが必要と結論付けて、ドズルルーシュ一行はその場を後にした。

 

…。

……。

………。

 

【覚醒の緑の猛将】

 

知略は任せろ。オレはアシュフォード学園に通っていると言い、ナイトメアを見つけたドズルルーシュは、その身を無防備に晒す。

不審者を見つけた、パイロットに声を掛けられる。

 

「そこの者!止まれ!!」

「が…がくせい?あんな体格の……学生なのか…?」

「はっ?消え…!!」

 

ゴバアッ!

 

「う、うわぁ!」

ヴィレッタ・ヌゥの意識はそこで途切れた。

 

C.Cは唖然とした。

「なななな???え?なんでナイトメアの外装を素手で引き剥がしてるの?」

「アシュフォード学園関係無くない?知略とは???」

 

「流石だよ、ドズルルーシュ!昔より更に強くなったね!!」

「僕も軍に入って鍛えたけど、素早くはなったけど、あの怪力は無理だったなぁ。」

「それにしてもいい手際だね。パイロットを綺麗に気絶させた。」

 

C.Cは心配そうに朱雀とやらを見る。

「お前、撃たれたんじゃなかったのか?銃弾は?」

そう。確かに撃たれたのだ。普通ならまともに歩けないはずだ。

 

「ん?あぁアレね。」

「気絶はしたけど、アレくらいの口径なら大丈夫だよ。」

「まぁ、痣にはなるけどね。」

 

C.Cはコイツもゴリラの系譜なのだと理解し、それ以上考えるのをやめた。

 

ドズルルーシュがナイトメアを手に入れてからは、圧倒的だった。

殴る殴る殴る殴る。

するとどうだろうか、あれだけいたグラスゴーはいなくなった。

積み上げられたグラスゴーの残骸を背に包囲網を突破する。

 

「ドズルルーシュが居るなら、僕はそっちにつくよ。」

「さぁ、一緒にジーク・ジオンしよう。」

 

「「ジーク・ジオンっ!!!」」

ルルーシュと朱雀は握り締めた右拳を天高く突き上げて雄叫びを上げる。

 

(もうやだコイツら…。)

C.Cは人知れず涙した。

 

…。

……。

………。

 

戦況が悪い。

このままでは全滅だ。

カレンは自他共に認める、一騎当千の強者だが流石に多勢に無勢だ。

薄ら寒い何かが背中をはしる。

そんな最中、突如として通信が入る。

 

「お前も慈恩公国にならないか?」

(は?)

思いも寄らない発言にカレンは固まる。

何を言っているのか全く理解出来ない。

沈黙から事情を察したようで、続けて発言が聞こえる。

「オレがこれから、ここら一帯を制圧する。」

 

そんな事できるわけないだろうと、思っているとカレンの赤いグラスゴーの前に、岩を連想させるような男が現れた。

知略は任せろ。オレはアシュフォード学園に通っている。

まぁ、力こそがブリタニアを倒す唯一の道だがな。

そう言うと彼は、ガハハと豪快に笑いながらズンズンと歩いていった。

その後ろを鹵獲したと思われるグラスゴーが付いていいってた。

 

「はぁーっ!!??」

グラスゴーのコクピットブロックの後ろ側が開放している事に気が付く。

流石に何か爆薬でも使ったのであろう。

本人も知略は任せろと言っていたし。

カレンは最も有り得そうなストーリーを考え、一人納得した。

 

…。

……。

………。

 

クロヴィスは焦燥していた。

(何故だ!何故こうも容易く撃破されている!!)

(おかしい、何かがおかしい!)

部下からの報告で内面から意識が戻る。

 

「なにぃ?」

「ゴリラみたいのに、正面からグラスゴーが撃破されている?」

「戦車が道路標識で貫かれた?」

「バカを言え!!錯乱しているのか!?」

「ありえん!!全ての戦力を投入し、そいつを撃破しろ!!」

全てが無駄となり、ゴリラとやらの快進撃を止められない。

そしてクロヴィスの滞在する指揮車が騒がしくなるが、一頻(ひとしき)り銃声が鳴った後、静寂が訪れる。

(終わったのか………?)

 

グシャッ!

 

ひしゃげたドアノブを片手に、下手人が侵入してきた。

クロヴィスは、構わず拳銃を連射する。

確かに当たったはずだ。

しかし掠り傷すら負っていない。

あり…えない…。

そして顔を見て気付く。

 

「ドズルルーシュ!!」

「ひ、久しぶりではないか…。」

「げ、元気そうだな。いや、元気過ぎるくらいだ。」

 

この無駄な掃討作戦を止めるように申し入れるが、クロヴィスは、メンツやら本国に逃げ帰った場合の立場がと宣っている。

必殺技を使わなければならないと考えた。

「ギ〜ア〜ス〜。」

サイドチェストのポージングをしながら、ギアスを発動する。

 

「な、なぜギアスを…!!」

「っていうか何か違うぞ!それは絶対違うぞ!!」

「いや、今はそうじゃない。」

「わ、分かった!隠居する!今直ぐ隠居する!!」

「今直ぐ隠居するから、許して下さい。」

「ドズルルーシュが生きていた事も言わない!!」

「この通りだっ!!!」

クロヴィスは清々しいまでの土下座を決めて、誠心誠意の謝罪をした。

 

分かった、その約束違うなよと言い、ドズルルーシュは窓ガラスを突き破ってその場を後にした。

 

ズンッ!

 

とても人間が出すようなものではない着地音がした事を付け加えておく。

 

「C.Cギアスというのはスゴイな。」

「オレがギアスと言いながらお願いしたら、クロヴィスは隠居を決意してくれた。」

「流石に争うとはいえ、戦意の無い者を手に掛けるのは武人としてやりたく無い事だったからな…。」

ドズルは嬉しそうにC.Cに報告した。

 

「違うと…思うぞ。」

C.Cの冷静な突っ込みは、彼には届かなかった。

 

…。

……。

………。

 

その夜、速報が流れる。

「エリア11総督クロヴィス殿下、突如隠居を表明。『芸術の道に専念する』とのこと。」

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