仲間と共に、この理不尽な世界で頑張ります   作:ギラサメ

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お待たせしました。

今回の話ではスーパー戦隊のある回のあのシーンが出ます。

サーシャの回が終わったら次はダークエルフ種のシオンになりますけど、そこでも新たに仲間追加を考えています。




第22話 サーシャの栄光

「あぐぁ……」

 

「ぐぅ」

 

 倒れながら呻き声を出すサーシャとミカエル。ミカエルはライトと狂三を見据える。

 

「ははは……まさかこんな事になるとは……こんな化け物の人種がそれも二人も存在するなんて想定外ですよ。本当に『ますたー』ではないんですよね?」

 

 ミカエルがライトに問い出す。

 

「そう国々が判断して僕を殺そうとしたはずだけど?君達の判断は間違っていたのか?」

 

 淡々と答えるライト。

 

「全く……君達のような危険人物をどうして確実に殺さなかったのでしょうか?どちらだろうが殺してさえいれば何も問題なかったものを。サーシャ殿、これは前回に続いて更なる大失態ですよ。上に報告せざるを得ませんね」

 

「ミ、ミカエル様……」

 

「貴方達のような危険な存在を見過ごすわけにはいきません。一度国に戻り、国家連合を率いて伺いますね」

 

「「……」」

 

 ミカエルがライトと狂三にそう言うが、二人は何も動じない。

 

「では今日は一旦失礼します。マジックアイテム『空を駆ける翼』」

 

 ミカエルはマジックアイテムを掲げる。

 

 しかし……

 

 

 しーん

 

 何も起きない。

 

「……!?発動しない!?何故だ!『空を駆ける翼』はワタシの家に代々伝わる『ますたー』から引き継いだ長距離転移の札だぞ!」

 

 魔法が発動しない事に驚くミカエル。

 

「無駄だよ。この塔内で『長距離転移』はできないよ。魔術で阻害しているから」

 

 魔法が発動しない理由を説明するライト。

 

「ば、馬鹿な!この世に転移阻害なんて魔術はない!デタラメを言うな!」

 

 動揺するミカエル。

 

「確かに地上にはないね。けど、ないのなら作ればいいだけ」

 

 そう言ってライトはある人物に目を向ける。

 

「ねえ、エリー」

 

「ライト神様の仰る通りですわ」

 

 ライトの仲間であるエリーだった。

 

「この塔に施されている転移阻害の魔術はわたくしが『奈落』のコアを解析して作り出したオリジナル魔術ですわ。本当に『奈落』では苦労させられ、『奈落』の転移阻害の解除には一年もかかりましたわ……そのおかげでわたくしなりの魔術で再現できたのでしたけど」

 

 説明するエリー。転移阻害の魔術は彼女が『奈落』のコアを解析して作ったオリジナルの魔術だった。

 

「さて転移は潰した。他に手はないの?」

 

「ミ、ミカエル様……」

 

「くッ……」

 

 ライトの言葉にサーシャとミカエルが絶望の表情を見せる。

 

「ま、まだだ!まだ希望はある!団長達が助けにくるはずだ!最初来た時は偽物だったから油断したが、本物の団長はレベル3000を超える力を持つ!お前達なんて一瞬で殺されるぞ!今なら許してやる!国に報告もしないでやる!だからワタシ達を解放しろ!ここから出せッ!」

 

 ミカエルがここに団長達が来る事を言い、二人に自分たちをここから出すよう懇願する。

 

「あら貴方おバカなのかしら?」

 

「は?」

 

 チェルシーが言った事に首を傾げるミカエル。

 

「私達が君達の仲間に化けていたって事は」

 

「もうあなた達の仲間はとっくにくたばったって事だわよ!」

 

「っ!?そんなはずはない!団長達が!皆がやられるはずが!」

 

 ヒミコ、ボン・クレーが団長達がやられた事を言うが、ミカエルは全く信じなかった。

 

「では、見せてあげましょう。残酷な現実を」

 

 パチン!

 

 ギィイイイ

 

 狂三がそう言ってフィンガースナップを入れると部屋の扉が開き、ライトの仲間と狂三の仲間が入って来た。その手にはある物を持って。

 

『あれはハーディー団長!?あっちはマスト!?シャープハット!あの丸焦げはニアとキア!?まさか全員……倒された!?』

 

 ライトの仲間と狂三の仲間が持っていたのはやられたハーディー団長を始めとする『白の騎士団』の面々だった。ミカエル達は目の前の仲間の無残な姿に動揺する。

 

「「希望が何だって(何ですって)?」」

 

「うああああああああっ!」

 

「いやぁああああああっ!」

 

 ミカエル、サーシャの絶望的な悲鳴が部屋に響き渡るのであった。

 

「ご主人様、遅くなり大変申し訳ございません」

 

「こっちも遅れた。すまない」

 

 アイスヒート、猗窩座を始め、ライトと狂三の仲間達がライトと狂三の前に跪く。

 

「遅れてなんかいないよ」

 

「むしろナイスタイミングです」

 

「皆立っていいよ」

 

「皆さんもよろしいですよ」

 

 ライトと狂三は全く気にしなかった。

 

「最後の頼みの綱は全滅だよ」

 

「どう致しますか?」

 

「ひぃ」

 

「……っ」

 

 ライトと狂三の言ったことにサーシャは恐怖し、ミカエルは歯を噛み締める。

 

「貴方様達の素晴らしい力に平伏してワタシから提案があります」

 

「ミ、ミカエル様?」

 

 ミカエルの突然の行動に戸惑うサーシャ。

 

「ワタシと手を組んでエルフ女王国を支配しませんか?貴方様達の力があればエルフ女王国を手中に収める事ができます!」

 

「「……」」

 

「ワタシはそこで無様に気絶している団長のハーディーとは違い……政治にも精通しています。ワタシに任せて頂ければすぐにでも玉座へ押し上げてみせましょう!そうすればエルフ種の女性達や男性達を好きに扱えますよ!」

 

「……僕がそんな事を望んでいると言ったか?」

 

「全く以て興味ございません」

 

 ミカエルの提案をライトと狂三は拒否した。

 

「僕の望みは復讐と真実を知る事そう言ったはずだ。僕はそのためにこの三年間生きてきたんだ」

 

「私の望みは仲間との平穏。ただそれだけです」

 

「だ、だったらワタシは関係ない!解放してください!」

 

「ミ、ミカエル様!?」

 

 ミカエルが解放をお願いする。それに動揺するサーシャ。

 

「ワタシは貴方様達を殺そうとはしてない!命令だって国がしたものでワタシは関係ない!ワタシは部外者ではありませんか!」

 

「ミカエル様!無関係だなんて!あたし達は未来を誓い合った婚約者同士じゃありませんか!」

 

「気持ち悪い!触るな!ぶさいく!復讐されるなら勝手に死ね!ワタシを巻き込むな!本当は嫌だったんだ下品な庶子との婚約など!』

 

『……『奈落』で裏切られた僕の再演だな。狙った事とはいえまさかここまで上手く嵌るとは……』

 

『逃げようとしたのによくこんな馬鹿を愛せますね』

 

 ミカエルとサーシャの醜い喧嘩を見てライトは嘗て裏切られた状況を思い出す。しかもこれも作戦の内だった。狂三に至っては二人を見て呆れていた。

 

「酷いわ!愛してるって言ってくれたのに!信じていたのに!愛していたのに!裏切り者!あんまりよ!」

 

「嘘に決まってるだろ!気持ち悪い売女め!」

 

「ミカエル様!ミカエルうぅぅ!」

 

「……『もう十分だな』」

 

 尚も続く二人の醜い喧嘩。ライトはもういいと感じ、狂三と目を合わせる。それを見て彼女は頷く。

 

「ミカエル副団長、三年前の復讐に関して僕が君に手を下すつもりはないよ」

 

「私もです」

 

「では」

 

「どうするかは彼女達に一任する事にしている」

 

「え!?」

 

「エリー、後は任せた」

 

「お願い致しますエリーさん」

 

「はい。ライト神様、クルミさんお任せくださいですわ」

 

 ミカエルの事はエリーに任せる事になった。

 

「よくも散々わたくし達の前でライト神様とクルミさんを罵ってくれましたわね。腑が煮えくりかえってご命令を無視してぶち殺そうとするのを何度耐えた事か……ッ!楽に死ねると思わないでくださいね?」

 

 エリーからとてつもない怒りが湧き出ていた。

 

「あ、あれはまだライト……ライト神様とクルミ様の偉大さを知らなかっただけ!今は違います!誰よりもライト神様とクルミ様の偉大さを文字通り身に染みて理解した次第です!」

 

 なんとか弁明するミカエル。

 

「あらそうなの?ライト神様とクルミさんの偉大さを理解したの?」

 

「はい!はい!しました!」

 

「……ですが、その程度の理解ではまだまだ全然足りませんわ。あの程度でライト神様とクルミさんの偉大さを理解などできるはずありませんもの。だから、その体に直接刻み込んであげますわね」

 

 ミカエルの必死の弁明も彼女には届かなかった。

 

「ひぃいぃあぁぁあぁッ!」

 

 情けない悲鳴を上げて逃げるミカエル。

 

「『茨の束縛』!」

 

「ぎゃあ!」

 

 しかし、エリーの魔法で拘束される。

 

「この程度の拘束!痛みを堪えて引きちぎれば!」

 

「無駄ですわ。戦略級『茨の束縛』。単体しか拘束できませんが、わたくし達クラスでも一時拘束できる魔術ですわ。貴方程度のレベルでは脱出は不可能ですの」

 

 この拘束はミカエルでは脱出できないとエリーが説明する。

 

「とりあえずもう逃げ出さないように両足と腕も折って……存分に痛くしながら記憶を確認するために脳の中を調べて差し上げまわね」

 

「や、やめてく」

 

「ライト神様とクルミさんに暴言を吐き、そのお体に傷をつけようとした罪を懺悔しながら地獄の苦痛に悶えなさいな」

 

 エリーはミカエルの頭に触れる。それを見たライトと狂三はサーシャに目を向ける。

 

「さてサーシャ。次は君の番だ」

 

「お覚悟はよろしくて?」

 

「ひぃっ」

 

 サーシャは後退ろうとするが、後ろで倒れている『白の騎士団』の面々を見て恐怖する。

 

「覚えているかしらライト?あ……貴方が『種族の集い』に入団した後も貴方は他の種から差別を受けていたわよね?それが悲しくて貴方は一人で泣いていたわ。あたしその時貴方を慰めてあげたわよね?」

 

「……」

 

「泣いているライトの隣に座って慰めてあげたわよね?背中を摩ったり、ハンカチで涙を拭ったり、覚えているでしょう?覚えているわよね?ね?」

 

 ライトを説得しようと昔話をし出すサーシャ。

 

「森の歩き方や採取の仕方、野営の時の料理だって教えてあげたわ!仲間内で揶揄われた時、真っ先にあたしが助けてあげたじゃない。お願いよ!何か言ってよ!」

 

「……確かにサーシャには色々教えてもらったね」

 

「でしょ!そうでしょ!」

 

 説得が効いたのか笑顔になるサーシャ。

 

「でも、それは全て嘘で演技。本当は人種を見下していてその本性を現して僕を嬉々として殺そうとしたよね?」

 

「う」

 

 びくつくサーシャ。

 

「未だに足に矢が刺さる夢を見るんだけど……」

 

「あ!あれは!国からの命令で……ッ。竜人種のドラゴや魔人種のディアブロまでいたのよ!あたしが一人逆らってどうにかできるはずないじゃない!逆らっていたらあたしまで殺されていたわ!だからあたしは悪くない!悪くないのよ!悪くない、あたしは悪くない……っ」

 

 サーシャはあくまで国からの命令でライトを殺そうとした事を説明し、自分は悪くないと言う。

 サーシャは今度は狂三に目を向ける。

 

「お願い!貴女からも言ってあげて!貴女にとってライトを弟のように可愛いがっていたんでしょ!お願い!彼を止めて!」

 

 サーシャは狂三にライトを説得するよう懇願する。

 

「……フフフフフフ」

 

 突然、笑う狂三。

 

「サーシャ!所詮貴女は流れ星!如何に輝こうと庶子である事に変わらず、落ちる運命にあったのです!」

 

「え?」

 

 突然の事に戸惑うサーシャ。

 

「では、話しましょう。今明かされる衝撃の真実ぅ!ジャンジャジャーン!」

 

「何なのそれ?」

 

 ライトはツッコむが気にしない狂三。

 

「私とライト君にはそのような関係はなかったのです!それに私はライト君と同郷でもないのです!」

 

「えっ!だってあの時!」

 

「あの時言ったのは嘘です!全部演技だったのです!ライト君を誘き出すための!」

 

「誘き出すため?」

 

「私は仲間と『奈落』を攻略していた時、偶然貴女の仲間だったガルーに復讐しようとしている彼に遭遇してしてしまったのです。これが彼との初めての出会いです。私は自分や仲間の平穏の為にライト君と手を組む為、嘗て『種族の集い』の面々がいるとこに私の仲間を行かせたんです。その時に私が向かったのは貴女のとこだったんですよ!」

 

「何ですって!?」

 

 狂三が言った事に動揺を隠せないサーシャ。

 

「まぁ、最もそのライト君はダガスで見つかったとディアブロから聞きましたけど」

 

「ディアブロですって!?」

 

 サーシャはディアブロと聞いて嘗ての仲間を思い出す。

 

「何を勘違いしているのですか?」

 

「ヒィっ!?」

 

 突然、目の前に現れたディアブロに驚く。

 

「クルミ様の言うディアブロは私の事です。私をあんな奴と一緒にされるのは不愉快極まりないです」

 

 ディアブロは『種族の集い』にいた同じ名前の魔人種と一緒にされたのが気に入らなかったようだ。

 

「さて、では始めましょうか。リーファ、剣をお借りしても?」

 

「えっ?うん」

 

 リーファは自分の剣を狂三に渡す。

 

「ライト君よろしいですか?」

 

 狂三がライトにお願いする。彼はそれに頷く。

 

「あぁ、ウェンディ。ちょっと貴女には刺激が強いので覚悟していてください」

 

「え?」

 

 ウェンディに忠告する狂三。そのまま彼女はサーシャに近づくと……

 

「はぁ!」

 

「あぁああああああっ!!」

 

 彼女の手に剣を刺した。

 

「サーシャ、私の名を言ってみなさい」

 

「だ、誰が劣等種の名を!」

 

 狂三がサーシャに命令するが、彼女は拒否する。

 

「何!?」

 

「うぅ!」

 

 狂三は怒り、サーシャの肩を踏みつけた。

 

「サーシャ、私の名を言ってみなさい!」

 

「……く、クルミ!」

 

「何!?狂三ですって!?」

 

 狂三はさらにサーシャの肩を強く踏みつけ、手に刺さった剣を強くぐりぐりと捻り込む。

 

「あぁああああああっ!!クルミ様!!」

 

「そうです!」

 

 狂三はサーシャの肩から足をどかし、刺していた剣を抜く。

 

「ですけど、殺しはしません。『奈落』の奥底の暗闇の中で一生私の名を恐れるのです!そして既に捕らえられたガルーのようにライト君が真実を知って仮に生き永らえたとしても私の名を恐れるのです!ライト君!」

 

「うん。メラ、もう『奈落』の最下層に連れて行っていいよ。サーシャの嫌悪感を掻き立てるような醜いモノで拘束してね。ついでに気絶してる『白の騎士団』の拘束もお願い」

 

「ケケケケケケ!ご主人様お任せください!」

 

 ライトがメラに命令すると、彼女の体から悍ましい生物達がサーシャを捕まえようとする。

 

「いやあぁあ!何よ!これ!」

 

「あ、そうそう忘れるところだった。ちょっと待ってねメラ」

 

 そう言ってライトは一本の矢を出す。

 

 ビッ

 

 ドス

 

 そのままサーシャの足に投げ刺す。嘗て自分がされた時と同じように。

 

「いぎゃああぁああ」

 

「三年前の矢傷の借りはこれで返したよ。メラやってくれ」

 

「ひいぃぃ!」

 

 サーシャの拘束を再開するメラ。

 

「いや!いや!ごめんなさい!ごめんなさい!お願い!ライト何でもするから助けて!あたしはただ幸せになりたかっただけなの!両親と姉妹達を見返したかっただけなの!」

 

「僕を殺してだろ?別の方法を考えるべきだったね」

 

 ライトに助けを願うも届かず、絶望するサーシャ。

 

「嫌あぁあぁぁぁっライト!殺そうとしてごめんなさい!許して!ライト様ぁぁぁあっ!クルミ様ぁぁぁあっ!たすけ……」

 

 結局、サーシャはメラによって拘束されてしまった。

 

 

 

 

 後日、『奈落』の奥底の暗闇でサーシャの悲鳴が響き渡るようになった。

 

 




如何でしたか?

狂三のあれはあのスーパー戦隊史上最もトラウマ回と言われるあれを参考にしました。

次回、エルフ女王国、陥落
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