作中の登場人物はジャックタルトの登場人物と関係があったりなかったりします
時系列は不明、所在地も不明
「いくぜメスガキ決定戦!!デュエル開始ぃ!!どんどんぱふぱFoooooooooooooo!」
意味不明な開始宣言にその場の全員が困惑の表情を浮かべた。
「え、なにこれ?なんなんこれ?」
一人は灰色のワンピースに黒い打ち掛けを羽織った魔法少女モノプティング。呆然としている。
「あーー、みふちゃんかぁ……なんでメスガキ?」
一人は大きすぎるジャンパーにすっぽりおさまった水色髪の魔法少女シーエクレア。納得と困惑半分ずつの悟りの途中の様な表情だ。
「………………は?」
一人はマゼンタのメッシュ混じりの黒髪をツインテールにした和風ゴスロリ忍者魔法少女ザイルチェリー。表情こそ顔を顰め不機嫌を装っているが背後には宇宙が広がっていた。
「何故俺まで……?」
最後の一人は真っ赤な髪に白いウェディングの様なドレスを纏った魔法少女ジャックタルト。普通に困惑していた。
ジャックタルトの問いにデュエル開始の宣言をした長身グラマラスな輝く黒髪の魔法少女が胸を張って答えた。タレ目に目尻のほくろ。黙っていればおっとりしたお姉さんに見えそうな人物がテンション高めに叫びはしゃいでいるのは割と脳がバグる。
「お兄ちゃん、だ!!!!」
「おにいちゃん……?」
突き出される胸から目を逸らしながらジャックタルトは困惑したまま相手の言葉を鸚鵡返しにする。
黒髪の彼女が身に纏っているのはピッタリと体に張り付く白と緑のボディースーツで、その為に体のラインがはっきりと浮き出ていた。正直同性でもやや目のやり場に困る。元が男であったジャックタルトなら尚更だった。
「そうさ、メスガキには煽る為のお兄ちゃんが必須パーツ……しかぁし!!悲しいかな我らは魔法少女。お兄ちゃん候補がこれまでいなかった。最悪永遠春のおっさんでもいいかなって思ったけどあの人どんなメスガキ当てがっても多分微笑ましい以上の感情を抱いてくれないし」
「……」
「そこに現れたのがお兄ちゃん経歴のあるお前DA!!これでメスガキ決定戦の為の勝利の方程式が揃ったわけさぁ!はーはっはっはっはっ!!」
「いや、お兄ちゃん経歴ってなんだよ……」
結局説明を受けても困惑は何一つ解消されなかった。
「そもそも何でメスガキなのさ」
「ツッコむところそこなん?他にも色々あると思うんけど……」
手を挙げて発言したシーエクレアに隣のモノプティングは釈然としない表情を浮かべている。辺りを見回してここがどこなのか確かめようとしている。今のところ何もわからない。なんか不思議空間。
「いい質問だ。エクレア氏」
「わーい、褒められた」
「何故メスガキなのか。その理由は……は……は…………は…………」
「めっちゃ貯めるやん」
「考えてなかった可能性がそこそこあるねー」
「まあ……真剣に悩んでも頭を悪くするだけだと思うぞ」
「……メス、ガキ?」
四者四様好き勝手な事を話しているのを横目に進行役の魔法少女は上半身を深く折り曲げたポーズでセルフエコーをかけ続けていた。やがてぞの上体ががばりと起き上がる。
「その理由は!!人類が!!メスガキを!!好きだからっだぁ!!!」
「人類が」
「メスガキを」
「好きだから?」
「メス……ガキ……雌の牡蠣?」
今明かされた真実に驚愕する者はいない。何故って全然理解ができなかったから。
理解できる理由があっても怖かったのでそれで良かったのかもしれないと八鍔は人知れず思っていた。時に価値観の汚染は人格を破壊する。
「はい、というわけでルールをドーン!!」
言葉と共に───何も起きない。
「では今から私の選んだ現時点メスガキ適性高めメンバーには、タルトお兄ちゃんに5分間のアピールタイムを行ってもらいマース」
何も起きないまま話は続く。不条理だ。
「それぞれのアピールタイム終了時にお兄ちゃんにMGPを計測してもらいその値が最も高かった人物が真のメスガキとなります」
「サッキせんせー」
「はいモノプティングさん」
「MGPってなに?」
いい加減適応し始めたのかモノプティングが手を挙げて質問し始めた。シーエクレアも割とノリがいいのでこのままでは三対ニで狂人側の認識が多数派になりそうで怖い。
「別にここ多数決とかじゃねーので。私がルールなので」
地の文に突っ込まないで欲しい。
「いや、地の文って言っても八鍔の内心の描写でしょ?突っ込んでるのは八鍔に対してだよHigh論破!」
「……そうか」
「そうそう!はい、それよりMGPについてーー!!」
自由だな。
「MGPとはマジック・ガール・ポイント!つまり魔法少女ポイントってぇことだぁ!!」
「メスガキポイントじゃねーのかよ!!」
「お、タルトいいツッコミや」
「……関西人ってほんとにそういうこと言うんだ」
「さーちゃんがちょっと帰ってきた。でも、つきあってると正気度削られるよー」
「別に、アルミサッキの奇行は私も慣れてるし」
「あ、そうやん。あんたらみんな星屑文庫の子やん。なんでウチだけ別で呼ばれてん?」
「既存にメスガキ候補が全然いなくてさぁ」
「既存って何だ?」
「やっちゃんダメだよ!それは宇宙のめくれの向こうの話だから。ワンチャン不定の狂気入るよ」
「そうか……なら聞かなかったことにしてくれ」
「ふていのきょうき?……きょうきって多分狂気よね。ふていは……不貞?」
「ふてぇ野郎のふてぇだな!」
「ふてぇの狂気……?」
「ふてぇのきょうきー、なんやかわいらしい響きでええなぁ」
もうなんか滅茶苦茶だった。
姦しいとはこういう事を言うのだろうか。八鍔は謎の感動を覚えていた現実逃避ともいう。
「現実じゃないから逃避のしようはねーけどなっ!」
「だから人の頭を読むな、そういうのはうちの相方だけで間に合ってるんだ」
「っていうかさぁ」
話をぶった斬るようにして輝く黒髪の魔法少女、トスアルミサッキはぼやいた。
「思ったけど、ここにいる全員メスガキって感じしないよなぁ」
「はぁ!?」
「じゃあ、なんでウチら呼ばれたん」
「私は割とメスガキ度あるとも追うけどなぁ……ほら、ざぁこ♡ざぁこ♡お兄ちゃん性別よわよわ♡半月くらいで女子寮に馴染むとか女の子のさいのうありすぎ♡」
「やめろ、そのメスガキは俺に効く」
「お兄ちゃん、案外ノリいいよねー⭐︎そういうところー、けっこうす・き・だ・よ♡」
「そういうところがメスガキ度低いねん。すぐ媚びてるんは養殖以下や。ド三流や」
「はぁーーひっどーー!!」
「めす、がき……雌餓鬼!」
「あ、ザイルチェリーが答えにたどり着いたっぽいぞ」
「おめでとー」
「おめでとさん」
「おめでとーー!そして解散!!!」
混沌としていた会話はその混沌を生み出した張本人によって終了を宣言された。ピンと腕を天高く掲げる姿は無駄に神々しかった。ボディースーツのせいでどこかの戦闘員の様にも見えた。
「結局メスガキ決定戦は不戦勝……?でいいのか」
「しれっと勝ちを取りに行く姿勢は嫌いじゃないが今回はドロー!また次回、第二回メスガキ決定戦をお待ちください!!!」
そういう事で第一回メスガキ決定戦は閉幕となるのだった。
「……え、これまたやるの?」
「二回目こそは勝ち抜きたいなぁ」
「その頃にはウチもう呼ばれんやろ」
第ニ回へ続く。
のかもしれない。