形だけでも聖職者として振る舞えるようにと、慣れない神父服を羽織る。十字架のかたちをした栓を抜いて、多分こうしたほうがいいだろうと思いながら、骨だけになった親父の死体に中の水をぶっかけ、祈り、埋めた。
「一回しか見れなかったけど、意外と似合ってたぜ…親父。親父の分も、頑張ってくるよ。じゃあ行ってきます。」
◯◯◯◯◯
「はい、監督役は私の目の前ですぐに……。はい、代理として私が。戦争についてははサーヴァントの多くが退場し、無事終決に向かっていると聞いております。私も監督役代理兼、マスター代理としてサーヴァントを…。」
部屋に戻ると、アサシンの、シャルロット・コルデーさんが不安げに電話機を両手で持ち、もう一人のアサシンである、マタ・ハリさんがサラサラとメモをカンペ代わりにして指示を出している。
戦争で何かあったときの元締めの連絡先に電話をかけてもらっているところだ。出会って何日も経ってないのに、めっちゃ仲よくて助かる。
「次の聖杯戦争…?あっ、あぁ~そうでしたわね!申し訳ございません。その件ですが、もう一度、進展について教えていただきたいのですが……」
電話口であわあわしてるシャロさん。可愛いけど、大丈夫だろうか。心配になる。手でも握っとけば落ち着くだろうか………
それに次の聖杯戦争って、もう終わるんじゃないの?
「聖杯として機能が満たせない、リソースを次の聖杯戦争に?……では、今回の戦争は…?さっさと終わらせるですって?無理にもほどがありますわ!私………のサーヴァントは、アサシンですのよ?!」
シャロさん声でか!目に火がついっちゃってる!シャロさん、落ち着いて。手を握って、はい深呼吸。
「っすぅぅぅぅ、し、失礼。速やかに終わらせます。かわりに、被害の隠ぺいについて、お任せしたく…お代?……むしろ、その倍の金額はいただきたい所ですが。速やかに終わらせるということは、そういうことですわ。」
シャロさん?ちょっと?目が怖いよ?マタ・ハリさんもびっくりしてるけど?……あ、カンペ書き始めた。俺も、シャロさんの強張った握り拳に手を添えて、ゆっくりとさすって…あれ、解けない。
「………すみません。では、こうしましょう。次の聖杯戦争の監督役も代理ではありますが、私にお任せください。できない?…………では、次回のマスター候補と、そのサーヴァントについて、お教えいただけますか?此度のこれがどうなっても……ええ、ありがとうございます。では………」
おっと、シャルロットさん、マタ・ハリさんのペンとメモをひったくって………凄い速度と勢いで文字を書き殴っている!!これにはマタ・ハリさんも苦笑いだ!!
「はい、ありがとうございます。それでは戦場で落ち合いましょう?貴方もご参加されるのでしょう?……うふふ!では、その日まで、お、るぼわーる♡」
ガッ、と低い音が響いた後に、ち~んと電話の切れた音がする。
うわ~目頭押さえちゃってる。マタ・ハリさんのあんな顔初めて見た…。
「………あのー」
「はい!」
「…シャルロットさ「大丈夫です、私。今も、昔も、変わりません。私が、為すべきことをするだけです。もう腹はくくりましたから。」…アッハイ」
「それは、大丈夫じゃない人の言葉じゃないかしら?……ひとまず、使えるか分からないけど、聞けるだけの情報はもらったわ。マスターも、シャロも、次のことを考えましょう?今生き残っているマスターにコンタクトも取りましょう」
マジメな顔から一変、いつもと変わらない笑顔で、その服似合ってるねと言いながら去る2人を見て、俺は顔を引きつらせながら、お礼を言うしかできなかった。