「ベルスターモンとベルゼブモンか。くくく、なかなかの似合いの番(つがい)だな」
神が楽しげに笑うのをオレは睨みつける。
「決めたぜ」
オレはジズのエンジンを最大限に噴かし、マフラーから黒煙を噴きあげてベルゼブモンの顔面に浴びせてやった。
「ゴホッ!? な、何しやがるっ!!」
オレはそのまま爆速で、ひとつの時空間ゲートに向かった。
突っ走るゲートの向こう側は、紅い砂漠が延々と広がる果てしない荒野。
背後で喚いているベルゼブモンを無視して置き去りにし、トップスピードでゲートの中へと突き進む。
が、突如、鋭利なデータの破片で満たされた凶々しい廃墟へと変貌する──『サヴァイブ』世界の「歪み」が、ベルスターモンを飲み込んだのだ)
デジモンサヴァイブのワールド。
「……フン。せっかく他世界から呼んでやったのにベルゼブモンの助けは必要ないと? なるほど、お前は悪魔で、『孤高』を大切にするつもりだな」
神が不満そうにする。
けっ、てめえの指図は受けねえよ、紛い物が。オレは揺らぐ不気味な影を睨む。コイツは神を名乗るだけの力を持っているが、オレには分かる。コイツは信用ならない。
(周囲のクロスワールドの風景が急速に変化し、代わりに現れたのは──)
『絶対孤独の砂漠』
『ロスト島』の崩壊後
空は『凶悪なアプリドライバー』たちの残したバグで赤く染まり、地面には『コロシアム』の残骸が転がっている。
赤い世界は地の果てまで、赤々と続く。遠くで、瀕死のガンマモンが「助けて……」と呻いている──あれは元々『主人公』のパートナーだった個体か?
異変の中心に、『帝王(ルキフグドラモン)』の角の破片が突き刺さっている。触れれば『進化の強制』が起きる危険がある。
◆この世界のルール◆
「選択は全て『生存率』で表示される」
例)「ガンマモンを撃て(生存率+12%)」「見逃す(生存率-30%)」
ただし、数字は欺きも含む。ベルスターモンは「確率」など信じないだろうが。
「ジズのエンジンが『アプリドライバー』の痕跡を感知する」
排気音に混じって、過去の戦いの声が聞こえる──「シュウジ……逃げろ……!」「俺たち……勝てるはず……!」
「倒した敵から『強制進化ウイルス』を抽出できる」
銃で撃ち殺したデジモンが、数秒後に暴走進化する可能性あり。
【今、取るべき行動】
『瀕死のガンマモンの頭を踏み潰す』
生存率表示が『+5%→+50%』に急変異する(明らかな罠)
もし撃てば、その瞬間に『ルキフグドラモンの角』が光りだす
『ジズでコロシアム跡に突撃』
地下から『アグニモン(凶暴化)』が這い出してくる
元々は『主人公』の進化系だった個体──倒せば『主人公の記憶』が銃に宿る
『孤狼の銃で空のバグ雲を撃ち抜く』
上空から『シュウジのゴーグル』が落下してくる
これをかければ『一時的に人間として』振る舞えるが、代償でジズが暴走する
(ジズのチェーンが、地面にこびりついた血のデータを巻き上げる──この世界は既に『サヴァイブ』ではない。お前が来た時点で、新たな『殺戮編』が始まったのだ)
「さあ、ベルスターモン。お前の『孤高』が、この廃墟と貸した世界に最後の一撃を加えるか──」
神の影がオレを高みから、見下ろし不敵に嗤う。
……上等じゃねえか。やってやるよ。
オレはジズのエンジンを爆音で轟々と轟かせ唸らせ、紅い世界の中心に颯爽と踊り出た。