僕は目の前にある景色を見て辟易した。
灼熱地獄。
フルフレイムの極限魔法を受けた周囲は地面までもが融解している。
観戦室の保護結界が溶ける感覚もあった(観戦室に被害はなかったようだが)
寒いの次は熱い、か。
本当に、上級の魔法少女は世話が焼ける。
僕はソファから立ち上がり、変わり果てた平野へと転移する。
そこはまさに空気までもが燃える地獄空間だが、僕の魔法をもってすれば問題ない。
視線の先で自然体で立つフルフレイムへと話しかける。
「おつかれフルフレイム」
「組織長。模擬戦終了致しました」
フルフレイムは僕を見るなり姿勢を良くし、頭を軽く下げた。
この熱気の中でも彼女は何ら変わらないらしい。
「うん。楽しかったよ。だけれども……ここで極限魔法を使うのはやめてほしいな」
「申し訳ありません。私の個人判断で、この方が効果的だと判断しました」
頭を再び下げるその瞳は、真逆。確信に溢れていた。
僕は軽く溜息をついて肩を竦める。
「ま、確かにいい判断ではある。それに……本気では使ってないだろう?」
「……流石に気づかれましたか」
「Ⅶ級で世界一位の君が、あの程度なわけないだろうに」
思わず笑ってしまう。
重ねて言うが、Ⅶ級は最早人ではない。
ましてやその中で単純な戦闘力ならば最も強いフルフレイムだ。
本気で極限魔法を使ったならば今頃ここどころか、魔法省周辺の土地が灼熱地獄と化すだろう。
「組織長。ここの修繕はどうすれば?」
フルフレイムが真っ黒な焼け野原と化した辺りを見渡す。
「あ、修繕ね。少し待って。頼むから」
僕は懐からスマホを取り出し、彼女へ連絡を取る。
模擬戦の魔法空間は全て彼女が作り出している。
古くから知己であり、同時に僕に最も近い魔法少女だ。
―――僕と同じ”例外”だとも言える。
”模擬戦場を修繕してほしい”
少しして返事が来る。
”分かった”
次の瞬間、空間のひび割れるような音が耳に入る。
そして、
――――――流石だ。
「これは……」
隣ではフルフレイムが驚愕の表情を浮かべていた。
僕は微笑み、手をひらひらと振る。
「さ、これで元通り。何も気にすることはないよ」
平原の中を歩き出しながら言う。
「僕は部屋に戻るよ。タイラントが”死”から戻るのはもう少しかかる。その間にやっておきたいことがあるのでね。彼女が起きたら部屋に呼んでくれ」
そして、脳内で魔法を発動する。
―――転移。
瞬間、戻ってきた組織長室のデスクのチェアーに座り、書類の束を開く。
その中の一枚。
”Ⅵ級魔獣<名称:永遠の命>討伐についての概要”
その文字を静かになぞる。
今回僕は。
――――タイラントとイマジネーションをこれに同行させることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
――――タイラント視点
白光に包まれた瞬間、私は意識を失った。
次に目に光が入った時、私は草原に横たわっていた。
心地よい風が頬を撫でる。
穏やかな草の匂い。
そして、感じない火傷の痛み。
先ほどと真逆の感覚に呆けていると、隣から意識が途切れる前に聞いた声が聞こえた。
「――――目が覚めたようですね」
倒れたまま声のする方へと顔を向けると、フルフレイムが此方を見下ろしていた。
「……ここは?」
「模擬戦場です。貴女は先ほど死にましたが、魔法で生き返りました」
「……え?死んだ……?」
私が死んだ?
しかし、今現在こうして私は生を実感している。
信じられない、といった目で私は彼女を見た。
「ええ、死にました。私の魔法で。ですがご安心を。この空間は全て魔法で作られているらしく、死んでも生き返れます。ここだけ特別に作られているんです」
少しして漸く理解が追いついた私は、慌てて起き上がる。
「えッ!!わ、私……死んだの⁈」
「何度もそう言ってますよ」
信じられない。
けれど、理性が白光で死んだことを肯定していた。
「どうやって……」
「さて? 私も詳しくは聞いていないです。そういう魔法だ、とだけ」
魔法……。
私は数年の間で数多くの魔法を見てきたが、こんな次元の違う魔法は見たことがなかった。
風を起こしたり、岩を浮かせたり。
イジーなら想像した物質を作り出すことができた。
しかし、あろうことか死からの復活。
そんなのあり得るのか……と頭を悩ませている私に、平然とした様子のフルフレイムが言い放った。
「色々悩んでいるところ悪いですが、組織長が待ってますよ」
思わず拳を握り締めた。
高評価おなしゃーすー(^▽^)/
閑話欲しい?
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欲しい!
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本文書け
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他者支店閑話だ!
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何それおいしいの?