模擬戦場から出ると、傍の廊下にイジーがいた。
「お疲れ様……」
無表情でも、その音色だけで私を気遣っていることが分かる。
「ありがとう、イジー」
感謝を述べると、彼女は照れ臭そうに僅かにはにかんだ。
無表情の奥に、微かな温かみを感じた。
「では行きましょうか」
フルフレイムに従って私達は進む。
その途中で、フルフレイムが振り返らないまま言った。
「いい経験はできましたか?」
その声色に変化はなかったが、僅かに此方を気遣う感触がした。
「Ⅶ級って……やっぱり強いな、って」
「当たり前です。世界に何十何百万といる魔法少女の頂点ですよ?逆にこれほど強くなければ、”平和”という理想は維持できませんからね」
そう言い終わって、初めて彼女は此方を向いた。
紅い瞳が静かに私を射抜く。
「……ただ、今回の戦闘、恐らく組織長は貴女達に強者との戦闘を経験させたかったのでしょう」
「それは……何で?」
イジーが聞く。
フルフレイムは再び前を向き歩きながら答えた。
「強者に負ける、というのは時に急激な成長を促すからです」
「なるほど……?」
「いずれ分かりますよ。そして、態々組織長がこんな機会を設けるという事は――――――この先、貴女達には”地獄”が待っているでしょう。精々頑張ってください」
冷めた音色。
私は体の強張りを感じた。
どうやら、組織長はこの経験をもとに何かさせたいらしい。
組織長室の前で、フルフレイムが止まる。
「さ、入りましょうか」
どうやらスナイプはいないらしく、フルフレイムが軽やかに扉を押し開けた。
「やぁ、タイラント、イマジネーション。待っていたよ」
チェアーから組織長、ヴェニタールが手を振ってくる。
変わらず、積年の風格がそこにはあった。
「憧れ―――Ⅶ級魔法少女との模擬戦はどうだったかな?」
「……最後はほとんど手も足も出ませんでした」
私は灼熱の光景を思い出し、無意識に歯を食いしばった。
そして同時に思った。
いつかはそこに立ちたい、と。
確かな熱とともに私の心を占めていた。
それは隣のイジーもそのようだった。
「ふふ、どうやら目標は決まったようだね」
組織長がニヤリと笑う。
「なら、僕から君達に――――更なる経験を与えようじゃないか」
彼女が立ち上がり、私達の前に一枚の紙を突き出した。
―――――”Ⅵ級魔獣<名称:永遠の命>討伐についての概要”
「行って見ておいで。君達が将来相手するかもしれない世界というものを」
ヴェニタールは再び笑みを浮かべた。
〇組織長室
大企業の社長室を想像してほしい!
何なら魔法省は世界規模だ!凄い!
次回第一章完結!
閑話欲しい?
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欲しい!
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本文書け
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他者支店閑話だ!
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何それおいしいの?