虚無の先の魔法少女   作:おおは

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第二章:魔法祭
魔法のおじマスコット


「――――さて、これから会議を始めようと思う」

 

組織長室の隣の部屋。

 

会議室の中、僕は集った者達に視線を向けた。

 

日本のⅦ級魔法少女全員。多忙な合間を縫って揃っていた。

 

僕の合図に従って、フルフレイムが立ち上がる。

 

「今回の議題は魔獣の増加についてです。ここ10年間で魔獣の出現数が著しい増加傾向にあります」

 

「何か発見したりした者はいるかな?」

 

一人が静かに手を上げる。

 

Ⅶ級魔法少女 テクニカルだ。

 

「発見したわけではないが、やはり”例の場所”が原因じゃないかい?」

 

「やろうな。ウチもそう思うとったところや」

 

ロロックが特有の口調と共に頷くと、ウィンドウもまた頷いた。

 

「本格的に調査に入るべきではありませんこと?いくら危険でも、放置というのは看過できないと思いますの」

 

「組織長はどう思うんや?」

 

ロロックが此方を見る。

 

僕は肩を竦めた。

 

「さてね、僕にも原因はイマイチといったところだけど……まぁ、見当はついてる」

 

「見当?」

 

視線が一気に集まる。

 

「そう。大体は”アンチマギカ”の仕業だろうね」

 

その瞬間、彼女たちが僅かだが驚愕の表情を浮かべた。

 

数人は眠っていたりなどして気にしていないようだが。

 

薄暗い会議室でも僕には手に取るように分かる。これがまた中々面白い。

 

「まさか、あの組織が……また動き出したとでもいいますの?」

 

「嘘です、といいたいところですが。残念ながら事実です」

 

僕に代わってフルフレイムが答えてくれる。

 

真面目だが優秀だ。事実、助かってはいるね。

 

「やつらは”例の場所”で滅んだはずじゃなかったか……?」

 

「フルフレイムが事実っていうなら……ホンマなんか……」

 

動揺が伝わる中、僕は一度大きく手を鳴らした。

 

「ということで、今後は君達にも”アンチマギカ”の相手をしてもらうことになる。恐らく相手には同じ魔法少女がいるだろう。是非とも注意してくれ」

 

「同じ魔法少女が? アンチの癖に? 笑わせるねぇ」

 

スナイプが鼻を鳴らす。その目はギラギラと光っていた。

 

「魔法少女を目的の為に使うなら”セーフ”なんだろうね。多分結構強いから、やられないようにね」

 

そう言ってやると、エターナルフローズンがムッとした表情を浮かべた。

 

「Ⅶ級がおいそれと負けるとでもお思いで?」

 

「いや、そうは思ってないとは言っておく。―――――――というわけで、これでこの議題は終わり。フルフレイム、次お願い」

 

エターナルフローズンの相手は実に疲れるので、軽く流して次をフルフレイムにお願いする。面倒なものはサッサと逃げるに限るのだ。

 

指示に従いフルフレイムが一枚の紙を捲る。

 

「はい。次の議題は魔法祭についてで――――――――――――」

 

あぁ、次の議題は外国のⅦ級にも伝えないとなぁ……

 

 

◇     ◇     ◇     ◇

 

――――――タイラント視点

 

「――――結局連れ帰ってきちゃったわね……」

 

私は自室のベッドで行儀悪く眠る白い酔っ払いを見る。

 

フニフニとした体。見れば見るほどぬいぐるみのようだった。

 

触感も、サイズまでもが似ている。

 

ベッドの脇に並んでいるかわいいぬいぐるみとも良く映える。

 

「この子……何なの……?」

 

そして、変わらず右手には一升瓶。

 

今は起きそうもないので、私は暫く別の事をすることにした。

 

勉強机に向かい課題をしていると、やがて円らな瞳が開かれるのが目に入った。

 

「ヒック……知らねぇ天井だっぴ……」

 

「あら、起きた?」

 

「む? 君は……」

 

酔っ払いが横たわったままこちらを見る。

 

目が合った瞬間、酔っ払いは妙に真剣な声を出した。

 

「魔法少女だっぴか?」

 

「え、な、何で分かったの?」

 

変身前と後では姿が全く異なるので、普通は見抜けるはずがない。

 

故に、これは魔法少女の個人情報保護の面でも重宝されている。

 

「あ、失礼。ヒック……僕、こういうものだっぴ」

 

突然立ったかと思うと、ふわりと浮かび、何かを手渡してきた。

 

同時に酒臭さが鼻をつく。

 

親戚の酔ったおじさんと会話するような嫌な気分になりながら、それを受け取る。

 

”魔法動物兼契約マスコット   ロー”

 

「契約マスコット……?」

 

「そうだっぴ~。ヒック……昔はよく契約して、色んな子を魔法少女にしてあげてたっぴねぇ~」

 

契約マスコットを名乗る酔っ払いは、自信気になりながら一升瓶を傾ける。

 

ぐびぐびぐび……

 

「ヒック……最近は自動で魔法少女が生まれるようになって、暇だっぴ。ヒック……」

 

思い出した。

 

――――古き魔法少女達は、異界より来し”マスコット”と契約したことで魔法少女になったと昔、先輩魔法少女から聞いたことがあった。

 

――不思議と否定したい気分だった。

 

 




「僕と契約して、魔法少女になってっぴ~」です。
胡散臭いと思わないでほしい!

掲示板が欲しいかい?(by nihil)

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