――――――タイラント視点
私は改めてマスコットを名乗る白い小さな酔っ払いを見る。
泥酔して頬を赤く染めたぬいぐるみ。
時々一升瓶を傾けて、行儀悪くフラフラと浮かんでいる。
本当にこれがかのマスコットなのだろうか?
「あんた、本当に”契約マスコット”なの?」
「ヒック……何度もそう言ってるっぴね。逆に、この見た目でそれ以外ないっぴ」
「……ただの酔っ払いではなくて?」
「ちゃんとマスコットだっぴ!そこまで言うなら、ヒック……証拠を見せてやろうっぴ!!」
「証拠?」
マスコットは可愛くもウザったらしい笑みを浮かながら、私の前で短い腕を上げる。
「召喚!魔法ステッキだっぴ!」
突如マスコットが光ったかと思うと、右手にステッキを握ってた。
「これは魔法ステッキだっぴ。ヒック……僕のお手製魔法武器だっぴ」
「お手製魔法武器?それ、本当なの?」
「ヒック……勿論だっぴ! それを対象に向かって振ればいいだけっぴ。魔獣用だから、勿論威力は保証するっぴ。ヒック……是非振ってみてほしいっぴ!」
マスコットは自慢げに語りながらまた一升瓶をあおる。
「ならこれ、こんな所で振っていいの?」
私は自室を見渡す。
魔法少女として一定稼いでいるが、やはり私自身は庶民。
一人暮らしを始めた、いたって普通のアパート暮らしだった。
「ヒック……アパートを吹き飛ばしたいなら振ってみるっぴ」
「吹き飛ばすつもりは一ミリもないわよ!」
驚く私に対し、マスコットは平然とした様子で残り僅かな量の一升瓶に縋っている。
呆れた私は、右手に握るシンプルなステッキを見る。
その時、魔法省用のスマホに着信音が入った。
開いて見る。
【任務 魔法少女:タイラント 魔獣:Ⅳ級
下記の場所のⅣ級魔獣を期日以内に討伐してください
場所:大阪府―――――― 期日:二日以内 報酬:魔法省より配布】
ちょうどいい。
私は手に持つものを試してみることにした。
好奇心には勝てないらしい。
「ちょっと付き合ってくれない?」
私は無くなった一升瓶を寂しく見つめるマスコットを見た。
「指定場所はこの辺りね」
新しい一升瓶を持つマスコットを連れ、私は任務の場所に立つ。
魔獣を此方から見つけるのはⅣ級程度なら中々難しい。
知能がなく、魔力も総じて多くはないからだ。
故に待つしかない。
だが、今回は運が良いのか直ぐに反応があった。
夕暮れの景色があたかも夜のように暗くなる。
同時に収まる風と――――――濃密な魔獣の気配。
イノシシをそのまま大きくしたような黒色の魔獣が、獰猛な目つきで此方を見ていた。
影のような色の尖った毛を逆立て、禍々しい角を生やしている。
「来たわね」
私は瞬時に懐から魔法武器―――――ステッキを取り出す。
ハンマーは前に溶けてしまい、現在新注している最中だ。
同時に、イノシシが野生の本能に従い突撃してくる。
合わせて私はイノシシに向かって魔力を込めたステッキを振った。
―――――何も起きない
思った瞬間だった。
一気に魔力が吸い取られると同時。
目の前に閃光と爆風。
大きな衝撃音。
煙が晴れ、私が目を開けると目の前は更地になっていた。
100メートルほど先まで地面がえぐれ、異質な見た目だった魔獣は見る影もない。
呆然として何も言えない私に、隣のマスコットは満足気に言った。
「一回きりの使用だけど、ヒック……中々いい性能だったっぴね」
掲示板が欲しいかい?(by nihil)
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ego nescio ita(?)