虚無の先の魔法少女   作:おおは

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タイトル通り、完全他者視点回です。


魔法少女に痺れて 前編(※完全他者視点)

俺は目の前で物言わない妹を見る。

 

白い布を被せられ、横たわっていた。

 

……どうしてこうなった。

 

そうか、俺のせいか。

 

あの日、はしゃぎすぎた妹を窘めておけば。

 

飛び出した妹にすぐ気づけば。

 

しかし、全ては後悔先に立たずだった。

 

親からはお前のせいじゃないと言われた。

 

親戚やおじさんからは仕方がない、だから自分を責めるなと言われた。

 

だが、どうやったら俺は自分を肯定できるんだ。全く分からない。

 

そこから俺は止まった。

 

あぁしていれば。こぉしていれば。と取り留めもない思考をする日々。

 

友人に海水浴に誘われなければ、永遠にそうしていたかもしれない。

 

 

 

 

海水浴に来るのは、去年妹と来て以来だった気がする。

 

揺れる波をつい目で追ってしまう。

 

友人達に断って、俺は今静かに浜辺を眺めていた。

 

ゆらりゆらり。

 

俺もそこに行きたいな、とつい考えてしまう。

 

そんな時だった。

 

静寂を破り裂くような悲鳴が近くから聞こえた。

 

思わず振り向くと、視界の遠く先で、異質な生き物が立ち上がっていた。

 

魔獣。

 

昔、義務教育で習ったものだった。

 

人型に頭が三個、足が6本生えたそれは、学校で見た魔獣とはまるで格が違うようだった。

 

「逃げろぉ――――!!Ⅴ級だぁ――――――!!!!」

 

瞬時、金切り声や悲鳴がそこかしこから生まれる。

 

俺もそれに従い走り出した。

 

走る中でも、阿鼻叫喚が波のように伝わってくる。

 

だが途中で、俺の視界にあるものが映った。

 

少女がアイスクリーム片手にのんびりとしていた。

 

その少女は黒髪を肩まで伸ばし、似合わないTシャツを着ていた。

 

しかし、魔獣の混乱を少女はまるで興味がないかのように海を眺めていた。

 

俺はその時、迷った。

 

その少女を助けるべきか。

 

そのまま走り出すか。

 

俺は少女を見る。その容姿は妹と似ていて思わず幻影が見えた。

 

あと5年もすればあんな容姿だったかもしれない、と。

 

俺は自責と共に、ある使命に燃えた。

 

その時には俺は既に声をかけていた。

 

「おいお前! 早く逃げないと!」

 

そこからの記憶はあまりない。

 

気づけば俺は少女の手を取り、走っていた。

 

少女はそれでも呑気にアイスクリームを舐めていた。

 

「――――それは大変だ。そして、さっきから周りに人もいないのも大変だ」

 

「は……? ―――――ッ、マジか……」

 

少女につれて、俺も見上げる。

 

そこには、さっき見た異形―――――魔獣が此方を見下していた。

 

「に、に、ニンげゲげン……かかかかかるるるる」

 

同時に、俺に耐えがたいプレッシャーがかかった。

 

そして同時に、背後からアイスクリームを齧る音が聞こえた。

 

「これは仕方ないね……変身―――――」




痺れて、です。憧れてるわけではありませんΣ(・□・;)

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