イマジネーション・タイラントを呼び出してから早一時間。
俺のデスクの前には既に二人が立っていた。
「さて、形式だけの自己紹介からしよう。俺は魔法省情報部部長 村重葵だ」
「Ⅳ級魔法少女タイラントです」
「Ⅳ級魔法少女イマジネーション……です」
挨拶する二人を見る。
緑を基調とした華美ではないフリルドレスを纏い、一方は薄青色のエプソンドレスを纏っている。
そして感じる魔力のプレッシャー。
なるほど確かに素質はあるらしい。
Ⅶ級を近くで見続けた故に審美眼は鍛えられている。
「今回君達を組織長からの指示でⅥ級魔獣の討伐に追従させることにした。詳しい話は今回の指揮を担当する”Ⅵ級魔法少女 インテリタス”に聞いてくれ」
「分かりました」
タイラントが決意のある目で俺を見る。
隣のイマジネーションも俺とは目を合わせてくれないが、決意しているのだろう。
「……本来なら許可できるものではない。Ⅵ級とは化け物だ。過去に一体のⅦ級を除けば現状最上級だ。だからこそ我々情報部は厳密な情報による管理をしている。……組織長が言うようにいい経験にはなるだろうが、ま、死ぬ気で頑張れ」
俺が言いきり、喉を潤すためコーヒーを啜っていると、二人は確りと頷いた。
「では俺からは以上だ。二日後本部の3階に集まるように」
そう伝え、俺は二人を見送った。
直ぐして、金村がノックと共に入ってきた。
「どうでしたっすか?」
「ま、見た限り問題ないだろう。幸い今回のⅥ級は直接的な戦闘力はあまりないしな」
「”永遠の命”でしたっけ?」
「いのち、じゃなくてミコトな。あいつは京都に出現したんだがな、如何せん能力が地味に厄介でな」
「厄介っすか?」
「そうだ。やつは自身の領域に入れたやつを恒久的に閉じ込める。これまでで何人も魔法少女が巻き込まれて音信不通のままだ」
「マジっすか?!それ倒せるんすか?!」
「魔法は結局、相性の問題が一番大きいもんさ。インテリタスはやつと極めて相性がいいからな」
「そういうもんなんっすか」
金村がスンとしたように肩を落とす。どうやら魔法は現実的らしい。
新しいコーヒー缶を開けながら、俺は金村を睨む。
「そういうもんだ。それよりもお前は目の前の事件をやれ」
「魔法少女の失踪のやつっすか……? あれ全然情報がまわってこないんすよ……」
「だが先日ついにⅤ級まで一人突如失踪しただろう?大分きな臭くなってきたな」
俺はデスクの紙束から分厚いものを取り出し、金村へ放り投げる。
金村はそれを慌てて受け取った。
「な、なんすかこれ」
「”アンチマギカ"の資料だ。フルフレイムから送られてきた」
一枚一枚と捲りながら金村が首を傾げる。
「……んん? この組織、結構ヤバ気っすね」
「最近また生き返ったんだ。ゴキブリよりしつこいかもな」
「ゴキブリ……それで、この組織が原因ってことっすか」
「まぁそうだろう」
コーヒー缶を啜りながら、天井を見る。
強い苦味の余韻。
いつもと変わらないが、どこか不安を感じさせてくる。
俺は決意して金村の方を見やった。
「取り敢えず魔法少女に対して注意喚起を促そう」
「それだけっすか?」
「やつらはどうせ向こうからやってくるだろうからな。そのとき確実に殺虫すればいいさ」
俺の本能はやつらに警鐘を鳴らしている。
……早めに対処する方がいいかもしれんな。
◇ ◇ ◇ ◇
「――――こんにちは」
ある部屋、暗闇から少女が姿を現した。
大きなフードを被り、冷徹な声を響かせる。
その声が異常に目立つ、静かな部屋だった。
「なんだ?私は今、サンプルの調整中だ。用がないならとっとと失せろ」
その奥の男が、何かを触りながら言い放つ。
男が手を動かす度、何かはビクビクと小刻みに痙攣した。
独特な麻酔と薬の臭いが鼻を刺す。
フードの少女は平然としたまま肩を竦めた。
「なら新しく捕獲した彼女達は不必要?」
少女が後ろを見やる。
そこには、蠢く魔獣達と、それに捕らえられた魔法少女達の姿があった。
魔法少女の象徴たるドレスは原型を留めず、露わになっている体からは血が止めどなく流れていた。
涙目の一人、動かない一人、焦点が合っていない一人……。
「サンプルは大歓迎だ。特に魔法少女はな」
「それは何より。態々ここから遠い日本から捕ってきた甲斐がある。変身解除もできないようにした」
「それは朗報だ。だが、折角の魔法少女をこんな状態にしていいとは言っていない。私は新鮮なサンプルが欲しいんだ」
男が振り返らないまま強く言う。
「なら丁度いい。今回は生きのいいのが入った」
「ほう?」
初めて、男が振り返った。
「Ⅴ級の魔法少女。生け捕りは苦労した」
「おお!それは素晴らしい!! Ⅴ級ならいいサンプルになる!!」
男は喜ばしげに声を張り上げる。
「それで、
フードの少女が軽く手を振ると、影が蠢き一匹の魔獣が出てきた。
人型に近いその魔獣は、片手に手と足があらぬ方向に向いた一人の魔法少女を持っていた。
その魔法少女は二人を認識するなり、精一杯睨んだ。
「……こんなこと、して……ッ!」
痛みを堪え、未だ折れない心で必死に叫ぶ。
Ⅴ級としての矜持でもあった。
だが、それは男にとって愉悦の足しでしかなかった。
「いい!!!いい!!! 素晴らしいい!!!これだけ元気があるなら私の改造にも耐えれるだろう!!!」
満面の笑みで叫ぶ男に、吊るされたままの魔法少女は思わず顔を顰めた。
「さて……では強い強い
男は麻酔を手に歪んだ表情の魔法少女へ触れる。
魔法少女達には最早成す術もなかった――――――
「――――――次は魔力核の回収を頼むよ。更なる高みのために」
部屋から出てきた男が、血の付いた手袋を脱ぎ捨てながら言った。
ちょっとずつ暗くなる、、、かも
掲示板が欲しいかい?(by nihil)
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ego nescio ita(?)